転生サトシの旅路   作:ナノブ

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13.生存報告は大事

第22話 サントアンヌ号の戦い

 

 

夜に騒いでしまったことで大目玉を食らった、翌日。

手持ちをピカチュウ、スイクン、太陽、ピジョン、ゼニガメ、ゲンガーにして、俺達は船着き場を訪れていた。

フシギダネとヒトカゲは、この後起こる騒動を考え、一度オーキド研究所に行ってもらうことにしたのだ。

行ってもらいたいと話した際、二匹は俺が仲間を捨てるようなやつではないと信じてくれているからか、多少の迷いはあったのもの笑顔で頷いてくれた。

それでもまだ多少の人間不信は残っているので、騒動が終わればまた手持ちに加えたいところだ。

 

そんなこんなで豪華な船がたくさんある船着き場を歩いていると、ロケット団が変装してサントアンヌ号のチケットを配ってきた。

 

 

「おめでとう~~!あんた達は超ラッキー!っていうか、みたいな、感じ~~~~!!」

 

「な、なんだぁ?」

 

 

カスミとタケシはロケット団の変装だと気付いていないようだった。

俺は転生者としての知識があるからわかったが、もしなくても今回はわかったような気がする。

波導の力で。

沈没船に乗るかどうかを俺が迷っていると、カスミとタケシは乗り気なようだった。

 

 

「いいじゃない!超豪華なパーティー!ゆったりと船旅!してみたい!」

 

「パーティーとなれば綺麗なお姉さん!美味しいご飯!行かなわけにはいかないだろう!」

 

 

そんな感じで、すごくテンションアゲアゲだ。

俺が迷っているとわかると、たくさんバトルできるぞ、と釣ってきた。

しょうがない。

手持ちも整えたことだし、行ってみよう。

 

 

「それじゃあ!」

 

「ちょう~~~~~!!!」

 

「楽しんできてね!!!」

 

 

そう言ってロケット団は去って行く。

ギャルに変装してまで、ご苦労なことだ。

サントアンヌ号に入ると、既に大勢のポケモントレーナーで賑わっていた。

 

 

「いやぁ~~楽しそうだなぁ~~~」

 

「ウキウキしてくるわね」

 

「ピカッチュウ!」

 

 

パーティー会場の中を歩いていると、互いのポケモン達を自慢し合っているトレーナーや、バトルをしているトレーナー達を見かける。

バトルをしている場所では、ラッタがスターミーに勝っていた。

勝ったジェントルマンは綺麗なお姉さんにしな垂れかかられている。

それを見かけたタケシが、前の時と違い大いに悔しがっていた。

 

 

「さぁ!私のラッタに挑戦してくださる、勇気のある人はいませんか?」

 

「サトシ!やってやれ!」

 

 

血涙を流しそうなほど悔しがっているタケシに背を押され、ジェントルマンの前に出た。

 

 

「俺のゼニガメが相手になります!」

 

「けっこうでしょう」

 

 

というわけで、前の時と同じようにラッタが相手のバトルが始まる。

 

 

「ラッタ、〝ひっさつまえば〟!」

 

「ラタッ!!」

 

「ゼニガメ、〝からにこもる〟で防御だ!」

 

「ゼニ!」

 

 

ラッタ自慢の前歯による攻撃を、防御力を上げて受け流す。

ここからは省いてしまってゼニガメには悪いが、特筆することなくゼニガメの圧勝で終わった。

ジェントルマンは負ける前に引き分けという形で止めたかったようだが、勢いのついた〝こうそくスピン〟からの〝みずでっぽう〟で一気に戦闘不能にまで持っていってしまったのだ。

 

俺の勝ちで終わり、タケシも気分がスッキリしたところで食事にしようかと思ったが、バトルを見ていた他のトレーナー達にも挑まれたので、全て返り討ちにしていく。

主にピカチュウ、ピジョン、ゼニガメのレベル上げが捗り、いい感じである。

一通り相手にし終わった後で、改めて食事にする。

せっかくの豪勢な食事に、今食べなければ勿体ないという勢いで皆食べていると、先ほどのジェントルマンがやってきた。

 

 

「いやぁ。楽しんでいるかね」

 

「あっ、さっきの!」

 

「しかし、君のゼニガメは素晴らしいね!」

 

「本当に」

 

 

一緒に来ていた綺麗なお姉さんまで同意してくれて、少し照れくさくなる。

カスミの視線が何やら怖いので、顔には出さないが。

 

 

「ありがとうございます」

 

「私のラッタはどうかな?」

 

「中々にカッコよかったです」

 

「ピーカ!」

 

「ならば話は早い!交換しようではないか!」

 

 

やはりきたか。

俺が前、訳も分からぬまま初めて交換して後悔し、交換し直してもらった思い入れのある出来事。

だが、今回は違う。

俺は自分の仲間を手放す気はない。

 

 

「すみません。俺、そういうのは―――」

 

「ポケモンを持つものは、気に入ったポケモンがあれば交換し合う。これが世間の常識だよ。交換し合った友達は、また別の友達と交換する。こうして友情は、どんどん深まり広がってゆく。これが、ポケモンが取り持つ友情なんだよ。全国に広がる、ポケモンの輪なんだ」

 

「友情が広がるのよ」

 

 

ジェントルマンも綺麗なお姉さんも何やららしいことを言っているが、今の俺には響かない。

交換だけが、友情を広げるものではないと知っているから。

前のように流されたりはしない。

 

 

「すみません。俺、こいつらが大好きなんです」

 

「ピカ……チャ~~~~」

 

 

近くでご飯を食べていたピカチュウの頭を撫でると、ピカチュウは食べていた手を止めて気持ちよさそうにする。

 

 

「だから、誰も手放すつもりはありません。ごめんなさい」

 

 

俺が頭を下げて謝ると、ジェントルマン達は俺の意思が固いことがわかったのか、苦笑した。

 

 

「そうか。残念だよ。もし気が変われば、いつでも交換してほしい」

 

「…………はい」

 

 

そんな機会は訪れないだろうけど。

そんな感じで食事の時間を終え、船の中でのんびりしていると、急にホールのドアがバタンバタンと閉まっていく。

 

 

「ん?」

 

「なんだ?」

 

 

皆が不思議そうにしている中、変装して紛れていたロケット団達が次々と姿を現した。

一度照明が落ち、ムサシとコジロウがスポットライトを浴びていつもの決め台詞を言っている。

 

 

「ここにあるポケモンは、我らロケット団が全ていただく!」

 

 

そう言って背負っている機械が動き出し、モンスターボールが次々に吸い込まれていく。

 

 

「さぁ出すんだ!」

 

「嫌よ!」

 

 

カスミの方にもロケット団の団員が迫るが、カスミはバッグを抱きしめて拒絶した。

 

 

「お前もな!」

 

「ピカチュウ、GO!!」

 

「ピィィカチュウウウウウ!!!!」

 

 

俺の方にもポケモンを出せと宣ってきたので、遠慮なくピカチュウの〝10まんボルト〟で沈めた。

ついでに機械から吸い込まれたモンスターボールを救出する。

 

 

「お前達に捕られるくらいなら、戦った方がマシだ!」

 

「あいつの言うとおりだ!」

 

「そうだそうだ!」

 

 

俺の言葉に賛同してくれて、トレーナー全員でロケット団に抗っていく。

乱戦になってしまったが、同じポケモンが一か所に集まり集団で戦うことで、勝率を上げる。

幹部のような特別強いトレーナーはおらず、あっという間にロケット団達を返り討ちにした。

一か所に縄で捕らえたところで、船が大きく揺れ始めた。

 

 

「うわぁ!嵐だぁ!」

 

「これじゃ、港に戻れないぞ…」

 

「えぇ!?」

 

 

カスミとタケシの会話を聞きながら、船長の姿を探す。

あの時は交換のことで頭がいっぱいだったため、まともに対処できず沈む船の中に取り残されてしまったが、情報さえ聞き逃さなければ今回は逃げられるだろう。

 

 

「気が付いたら!高波で沖に流されてしまいまして――!!」

 

「もっとはやく気付けよ!」

 

「外は嵐ですが!ご安心ください!今、港に向かっています!それにこの船は、絶対に沈んだりしません!」

 

 

船長と別の客達が話している声が聞こえる。

途端、更に大きく船が揺れた。

 

 

「きゃあ!!」

 

「カスミ!!」

 

 

倒れそうになったカスミを慌てて支える。

幼い頃から鍛えているので、このくらいはわけない。

 

 

「あ、ありがと……」

 

「いいって。それより、この船……」

 

 

視線を船長達がいた場所に向けると、すでにそこに船長の姿はなかった。

皆して何処に行ったのかと探せば、

 

 

「ご心配なく!!この船は、絶対に沈みません!!!」

 

 

と言いながら、真っ先に救命ボートに乗っている船長の姿。

皆の顔が青ざめた。

そこから先は、パニックになった。

我先にと駆けていく客達に押し潰されないよう、俺とタケシはカスミを人の波から庇いながら一旦隅に移動する。

前もこんなんだったのかよ。

よく俺達以外に被害が出なかったものだ。

 

 

「ね、ねぇ。あたしは大丈夫。だから早く救命ボートに行きましょう?」

 

「そうだな。だがこの人の群れの中に突入するのは、逆に危ないかもしれないぞ」

 

「タケシの言うとおりだ。少しだけ待とう。まだ猶予はあるよ」

 

「でも…!!」

 

 

カスミは窓から外の景色を見て、荒れ狂う波に顔色を悪くする。

 

 

「大丈夫だって。少し待って最後尾に並べばいい。さすがにこの大人数が入るだけの救命ボートは用意してあるだろうさ。いざとなれば、俺達にはポケモン達がいるしな」

 

「ピッカチュウ」

 

「………うん」

 

 

カスミは外に出ていたピカチュウを抱きしめ、自分の心を落ち着けているようだった。

それから少しだけ人の波が落ち着くのを待ち、移動を開始する。

救命ボート乗り場に行けば、ちょうど俺達が最後のようだった。

ロケット団達も全員縄で捕らえられたまま救命ボートに乗っている。

乗る前に、俺達の他にもう誰もいないか波導で確認した。

すると見つけてしまった、動かない見知った波導の気配が三つ。

 

 

「(そういえば、あいつら……!!!)」

 

 

今思い出した。

遭難したのは、俺達だけではなかったのだと。

もし俺達がいない船に取り残されない世界線で、あいつらが脱出できなかったとしたら―――。

 

 

「サトシ?」

 

「どうした?」

 

 

見捨てることは、できない。

悪者でも、根っからの悪ではないと知っているから。

自分のポケモン達と、確かな絆を持つトレーナーだと知っているから。

見捨てていい命ではないと、知っているから。

あぁもう!

 

 

「ピカピ?」

 

「悪いみんな!みんなは、この救命ボートで脱出してくれ!」

 

 

カスミに抱かれているピカチュウをそのままに、ロケット団の波導がある方へと走り出す。

もう船は、もちそうになかった。

 

 

「なっ!?」

 

「ちょっと!!サトシ!!?」

 

「先行ってくれ!まだ中に、残ってるやつらがいるんだ!」

 

 

カスミ達にそう声をかけながら、ひた走る。

どういうわけか動かないロケット団の波導の気配に、気絶でもしているのかと思って転生者の方の記憶を探ってみると、俺達と同じように船が傾いた際壁にぶつかって気絶しているらしいことがわかった。

気絶した大人二人にニャース一匹を背負って船から脱出するのはさすがに無理なので、またしてもスイクンの力を借りることになるかもしれない。

 

 

「サトシーーーー!」

 

「待ってくれ!いや待たないでいい!俺達も勝手についてくぞ!」

 

「なっ!?」

 

 

なんとカスミとタケシ、それにピカチュウが後ろからついて来ていた。

思わず走るスピードが緩む。

 

 

「カスミ、タケシ!?何で!?」

 

「あんた一人に行かせるわけないでしょ!」

 

「俺達を置いていくなよ!」

 

「ピカピカチュウ!」

 

「カスミ………タケシ……ピカチュウ……」

 

 

フッと笑って見せるカスミとタケシに感動しながら、どこまでもついて行くという雰囲気のピカチュウに涙腺が緩みそうになる。

慌てて首を横に振って、前を向く。

 

 

「ありがとな…………こっちだ!」

 

 

こうして結局は三人と一匹でロケット団の元に行くことになった。

傾き始めている船内を走り、ロケット団の波導があるキッチンに辿り着くと、カスミ達に動いていないから気絶しているかもしれない、という説明の通り気絶しているロケット団がいた。

 

 

「ロケット団!」

 

「しっかりしろ!」

 

「あぁもう!本当にしょうがない人達なんだから!」

 

 

三人でロケット団に駆け寄ると、途端に船が大きく揺れた。

 

 

「うわっ!?」

 

 

そのまま上が下に、下が上になっていき壁に激突しそうになったところを、咄嗟に足をついて回避し、タケシとカスミを腕一本ずつで抱き留めた。

ロケット団はもう気絶してるから知らん。

立て続け様に変な浮遊感がして、船が沈んでいるのがわかる。

怖いのかカスミは腕に抱き付いて来たが、もう片方の手がタケシを支えるのに手いっぱいで何もできない。

しばらくして嫌な浮遊感が収まり、天井にそっと足を下ろす。

 

 

「大丈夫か?」

 

「あ、あぁ……」

 

「あんたこそ大丈夫なの?あたし達二人も抱き留めて……」

 

「気にするな。鍛えてるからな」

 

「お、俺も言えるようになりたい…!!そしたら綺麗なお姉さんを自分が…!!!」

 

 

何やら欲望全開で妄想しているタケシを放り、さっきとは違う体勢で倒れているロケット団に駆け寄った。

 

 

「おい!起きろロケット団!このままじゃ海の藻屑だぞ!!」

 

「んぅ?」

 

「もく、ずぅ~~~?」

 

「起きなさーーーーーい!!!」

 

「「!!!!?はい!!!」」

 

「ニャ!!?」

 

 

寝惚けていたロケット団は、カスミの大声にびっくりしたように飛び上がる。

そして寝惚け目のまま立ち上がった。

 

 

「あれ?ジャリボーイ?」

 

「にゃんでここにジャリボーイが……」

 

「何でも何も!この船沈んじゃったのよ!」

 

「船が………」

 

「沈んだ………?」

 

 

現実を理解したくなくて思考が現実逃避し始めるロケット団に、窓の外を見せてやった。

 

 

「ニャァァァァ!!!?本当に沈んでるニャ!?」

 

「あんた達の気配がまだ船の中に残ってて、動かないって気付いたサトシが戻ってきてくれたのよ!感謝なさい!」

 

「「「ははーーーっ!!!」」」

 

 

大げさにロケット団は俺の前に跪く。

恥ずかしいからやめてほしい。

 

 

「いいよ。結局沈んじゃったしな。それより、早くここから脱出しよう」

 

「それなら………アーボ!」

 

 

おもむろにムサシがアーボを出した。

嫌な予感がしたので、咄嗟にアーボを素手で掴む。

 

 

「シャーーーー!!!?」

 

「ちょ、ちょっと!何するのよ!」

 

「こっちの台詞だよ!何する気だ!まさか今ここで船に穴でも開けようっていうじゃないだろうな!?」

 

「だ、脱出するには、それしか……」

 

「アホニャ!船が沈んでるって言ってるニャ!上も下も右も左も海水だニャ!」

 

「!!!」

 

 

ニャースに言われて気付いたらしいムサシは真っ青な顔で慌てて俺に掴まれて涙目のアーボを戻した。

 

 

「まったく。せっかちだな」

 

「うるさいわね!今のはたまたま!ミスっただけよ!」

 

「そのミス一つで命にかかわるところだったんだけど?」

 

「うぐっ…!」

 

 

タケシとカスミに言い負かされているムサシを一先ず放って置いて、コジロウに水ポケモンを持っているか確認する。

 

 

「水ポケモン?」

 

「あぁ、持ってるか?」

 

「一応、騙されて三万円で買っちゃったコイキングがいるけど……」

 

「お!ならいけるな!」

 

「どこに?」

 

 

ボケるコジロウも放り、パンパンと手を打ち鳴らして注目を集める。

 

 

「いがみ合いはそこまでな。一先ず休戦だ。仲良くしようぜ?」

 

「…………しょうがないわね」

 

「こっちの台詞よ。今だけなんだからね!」

 

 

ムサシとカスミは言い合いながらも、休戦協定として握手する。

コジロウとタケシも握手したが、互いに物凄い力を入れていた。

残るニャースとピカチュウは、握手した後にピカチュウが軽い電撃を放っていたので慌てて止めて抱き上げる。

 

 

「ピカチュウ、ごめんな。今だけ我慢してくれ」

 

「ピカピ………」

 

 

その後カスミの提案で、船底に穴を開けて脱出することになった。

イワークを足場に上(下)に向かい、暗くなっている通路を太陽の炎で照らしてもらい、炎が燃え盛る部屋を太陽に往復してもらって皆を運んでもらい、スクリュー室までの道を急ぐ。

辿り着いた先で、カスミのヒトデマンとスターミー、そしてトサキント、俺のゼニガメ、コジロウのコイキングを出してポケモンと人間とを縄で繋ぐ。

その際、ロケット団のポケモンがコイキングだけでは心許なかったので、ゼニガメを貸してあげた。

俺はカスミのヒトデマンを貸してもらう。

 

 

「よし、行くぞ!一気に海面まで脱出する!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

 

太陽の炎で鉄板を焼き切り、皆で船からの脱出を図る。

海を泳ぎ、海面まで上がった。

スイクンと太陽を出し、スイクンにカスミとピカチュウが、太陽に俺とタケシが乗って完全に海から出た。

 

太陽は日頃から鍛えているおかげか、前のリザードンの時のようにふらついたりはせず、人を乗せて飛んでも大丈夫だった。

ロケット団はというと、海面に向かって泳いでいる際、引っ張っていたのが主にゼニガメだけだったらしく、怒ったゼニガメの喝を受けてなんとコイキングがギャラドスに進化していた。

そのギャラドスの背に乗り、コジロウが崇められている。

とりあえず、沈没船からは脱出できたな。

 

 

 

 

 

第23話 巨大ポケモンの島へ

 

 

「無事脱出できたはいいものの」

 

「どっちに行けばいいのよ……」

 

「昔、ノアという人は、鳩が木の枝を咥えているのを見て陸を見つけたそうだ」

 

「なるほどね。ピジョン、ゲンガー、君達に決めた!」

 

 

タケシの言葉を受けて、飛べる二匹を空に送り出す。

 

 

「ピジョ!」

 

「ゲン!ゲンッ!?」

 

 

ゲンガーはロケット団の姿を見るや否や、目を吊り上げて攻撃しようとしたので、慌てて止めた。

そういえば、ゲンガーはロケット団に心の傷を抉られたのだった。

許せない気持ちはわかるが、今は緊急事態なのでどうにか見逃してもらいたいと頼み込み、何とか了承を貰う。

 

 

「ピジョン、ゲンガー!何か見つけたら持ってきてくれ!俺達の方で見つけたら、空にピカチュウの〝10まんボルト〟を放つから、注意していてほしい!」

 

「ピジョォ!」

 

「ゲンゲロゲー!」

 

 

了承の言葉を返してから、二匹は別れて飛んでいく。

 

 

「俺達の方で、って………」

 

「波導を使ってみるよ」

 

「あぁ、なるほどね!」

 

 

波導の力を全開にして、辺りの様子を探っていく。

辺りは海しか見えない通り、しばらく行っても海海海。

しばらく探していると、巨大なポケモン達がたくさんいる島を見つけた。

前に〝りゅうのいかり〟の竜巻で飛ばされた先に辿り着いた島だ。

とりあえず島は島なので、そのことを報告してみる。

 

 

「巨大なポケモン達がいる島?」

 

「あぁ。人間がいるかどうかはわからない」

 

「けど、島は島よね。行ってみましょうよ!」

 

 

というわけで、空に〝10まんボルト〟を放ち、ピジョンとゲンガーを回収してから移動を開始した。

スイクンはカスミとピカチュウを乗せて水面を走り、太陽は俺とタケシ二人を乗せて飛び、ギャラドスはロケット団を乗せてその後に続く。

しばらく移動していると、前の時とは違いスムーズに島に着くことができた。

波導様様である。

 

 

「ここが………」

 

「巨大ポケモンの島……」

 

 

タケシとカスミは島に上がるなりキョロキョロ辺りを見渡しているが、今のところ巨大ポケモンの姿は見えない。

スイクンと太陽にお礼を言って、モンスターボールに戻す。

コジロウも島に着くなりギャラドスに抱き付いてお礼を言い、モンスターボールに戻していた。

 

 

「とにかく、人を見つけよう」

 

「そうね」

 

 

というわけで歩いて行くことにしたのだが、俺は知識としてここのポケモン達が機械仕掛けのポケモン達だと知っている。

そしてロケット団のボスが経営している島だということも思い出した。

是非潰したい。

そのためには、是非ロケット団に活躍してもらわねば。

 

島の中に入っていく前に、あっちに電話ボックスらしきものがある、コードを辿れば人間がいるかもと言ってやり、喜んでそちらに向かうロケット団を見送り、俺達はトロッコがある方に向かって歩き出した。

途中、カブトプスやピカチュウ、リザードンやフシギバナ等の巨大ポケモン達と遭遇し、何故か攻撃を仕掛けてくるので逃げながら隠れながら慎重に進む。

ポケモン図鑑をかざしてみて、とカスミに頼まれたが、機械仕掛けのポケモンなので反応することはない。

それを見て、タケシとカスミも不審がっていた。

 

そして岩でできた橋に差し掛かった時、遠くからカブトプスを引っ掛けたトロッコが走ってくるのが見えた。

 

 

「なんだ?」

 

「なにあれ?」

 

 

タケシとカスミが不思議そうにしている間に、岩が崩れて橋が落ちる。

 

 

「きゃああああ!!」

 

「うわぁぁああ!!!」

 

 

咄嗟にピカチュウとカスミを抱え、トロッコに乗っているロケット団の上に着地した。

タケシも勿論一緒だ。

 

 

「「「あぁ!!ジャリボーイ!!」」」」

 

 

あとはもう前の時と同じように動いた。

トロッコがそのままピカチュウ、リザードン、フシギバナ、カメックス等を巻き込み巨大ポケモン達が転倒。

ケーブルが切れ。

そのまま空に放り出され。

飛んでいる巨大なサンダーにぶつかった。

サンダーを破壊したことで、カスミとタケシもようやく巨大ポケモン達が機械仕掛けのポケモンだと気付いたようだった。

 

 

それから。

いつの間にかいなくなっていたロケット団を気にせず。

島に上がって改めて森を抜けると。

そこは――――。

 

 

 

 

 

第24話 アオプルコの休日

 

 

ジャングルを抜けた先には、この世界で一番のリゾート地といわれている、アオプルコがあった。

さっそく泳ごうとするカスミを宥め、一先ずポケモンセンターに向かう。

ここまで頑張ってくれたポケモン達をゆっくり休ませてやりたい。

ジョーイさんにピカチュウ達を預け、お風呂に入り洗濯をして、必要最低限の買い物をする。

それから元気になって返ってきたピカチュウ達を受け取った。

 

 

「それじゃ、海に行きましょうよ!」

 

「そうだな。せっかくだし泳ぐか!」

 

 

手持ちのポケモンをピカチュウ、スイクン、フシギダネ、ヒトカゲ、クラブ、イーブイにして海に向かう。

ゼニガメとゲンガーは今回オーキド研究所に行ってもらった。

俺のことを信じてくれているようで、抵抗なく行ってくれた。

ロコンやピジョン、ニドラン♂も手持ちに入れたいが、六体しか持てないのが本当に残念だ。

超悩んだ末に、今回のメンバーとなった。

水着に着替え、タケシと一緒にカスミを待つ。

 

 

「はぁ~い!渚のアイドル、お転婆人魚!カスミ様登場!」

 

「お!似合ってるじゃん。綺麗だよ」

 

「っ!!?~~~~~~~っ!!!」

 

 

素直に褒めると、カスミは顔を真っ赤にして怒り、そっぽを向いてしまった。

何やら対応を間違えたらしい。

困ってタケシの方を見ると、何故か俺のことを尊敬の目で見ていた。

何故に。

 

ピカチュウ、フシギダネ、ヒトカゲ、クラブ、イーブイを出して改めて海で遊ぶ。

ヒトカゲは海に入れないものの、足をパチャパチャと水につけて遊んでいた。

海で泳いだり、カスミが持っていたビーチバレーボールで遊んだり、砂浜で走り込みをしたり、海を満喫する。

しばらくバトルの特訓を兼ねた遊びをしてからお昼ご飯を食べるため、海の家リュウに入ったのだが、何やら老男女が揉めていた。

 

 

「相変わらず客のいない店だねぇ。こりゃいつ潰れてもおかしくないババ」

 

「くっ……」

 

「潰れるのは構わないけど、あたしが貸した金はきっちり払ってもらわないと困るババ」

 

「わ、わかっとるよ!」

 

「期限は明日だからね。明日までに払えない時は、あんたの船をいただくババ」

 

「ま、待ってくれ!あの船だけは勘弁してくれ!」

 

「ダメババ。………ん?なんだ、このしけた店に客が来たよ」

 

 

ようやくこちらに気付いたようで、出て行こうとしていたオババが足を止める。

 

 

「あ、あの………こんにちは」

 

「どうかされたんですか?」

 

「ふん。赤の他人が口を出すことじゃないババ。それじゃ」

 

 

俺とタケシで仲裁に入ろうとしたが、オババは出て行ってしまった。

落ち込んだ様子の老人、リュウさんに話を聞いていく。

 

 

「期限は明日。しかし今日中に金を稼げる当てもないし………あの船をオババに渡すしかなさそうじゃ……」

 

「その船って、大事なものなんでしょう?」

 

「ずっと働きづめでやっと手に入れた船じゃ。あの船で世界一周の旅に出るのがワシの夢なんじゃよ」

 

「だったら、簡単に諦めちゃダメですよ。自分の大切な夢を、そんな簡単に捨てちゃダメです。自分の夢が叶う寸前で、諦めたりしたら勿体ないですよ。俺達も力を貸します。どうにかしてお金を稼ぎましょう!」

 

「サトシの言うとおりだ!船を渡さないためにも、頑張りましょう!」

 

「そうよ!皆で力を合わせれば、きっとなんとかなるわ!」

 

「サ、サトシ君………タケシ君、カスミちゃん……!ありがとう…!!」

 

 

というわけで、放って置けないので海の家リュウを手伝うことにした。

ピカチュウは割引券のビラを配り、クラブとヒトカゲは厨房で料理の手伝いを、フシギダネは店内を手伝ってもらい、人懐っこい可愛いイーブイで更に客を引く。

 

店内をカスミに、料理をタケシに手伝ってもらい、俺は波導の力を駆使して邪魔が入らないよう、見張りを兼ねて外の席を増やしながら客引きを行った。

前はロケット団のせいでトラブルが続けて起こったからな。

もうそのようなことはさせない。

 

 

「…………サトシ……?」

 

 

そう思っていると、突然後ろから聞き慣れた声がかかった。

 

 

「あれ、母さん?」

 

「サトシ…………サトシ!!!」

 

 

母さんは幻でも見ているかのように呆然としていたが、俺が呼びかけると涙を流しながら抱き付いてきた。

 

 

「うわっ!ちょ、母さん!!?」

 

「サトシ…!サトシ、無事だったのね…!よかった………」

 

「サトシ………無事じゃったか」

 

「オーキド博士……………あ」

 

 

ポロポロ涙を流しながら俺の無事を喜んでくれる母さんに、母さんの後ろから現れた同じく心配げな顔をしたオーキド博士。

そこでようやく、サントアンヌ号の件で生死不明になっていたのだと思い至った。

ポケモンセンターに行った時、何故いつもしている連絡をしようと思わなかったのか。

今回に限って忘れていた。

何だ何だとこちらを見てくる野次馬達の視線が恥ずかしいが、そっと母さんを抱きしめ返す。

 

 

「ごめん、母さん。心配かけて……。俺は、大丈夫だよ。生きてるよ」

 

「えぇ、えぇ…!生きてる!よかった……!」

 

 

とりあえず悪いのは全面的に俺なので、母さんが落ち着くまでこうしていようと思ったら、何やら海からロケット団のギャラドスメカが現れ、客の混乱を誘ってきた。

今来るか。

今回の目的が何か知らないが、邪魔はさせない。

驚いた様子の母さんを庇うように立ち、あらかじめ用意していたマイクでパニックになってしまった客を落ち着かせようと声を張る。

 

 

「皆さん、落ち着いてください!あれは本物のギャラドスではありません!偽物です!落ち着いてください!偽物です!」

 

 

辺りに響く俺の声に多少は場が落ち着いたようで、客たちは動きを止めて俺の方を見たりギャラドスメカの方を見たりしていた。

 

 

「偽ギャラドスは俺達に任せて、皆さんはその場を動かないでください!」

 

 

そう言って、ギャラドスメカの前にピカチュウ、クラブ、イーブイと一緒に立ち塞がる。

するとロケット団が怒り心頭でメカから出てきた。

 

 

「ジャリボーイ!またしても邪魔してくれちゃって!」

 

「ジャリボーイにも助けられた恩はあれど、それはそれこれはこれ」

 

「ニャー達は一宿一飯の恩により、その店の売り上げを潰させてもらうニャ!」

 

 

どうやらあの後、ロケット団はオババにご馳走になり泊めてもらったらしい。

今回はその恩でリュウさんの店を潰したいようだ。

 

 

「行くのよ、アーボ!」

 

「ドガース!そして!!!!ギャラドス!行ってこい!」

 

 

ムサシはいつも通りアーボだけだが、コジロウは意気揚々と本物のギャラドスを繰り出した。

再びパニックになるかと思われた客は、カスミとタケシが宥めてくれている。

 

 

「そうはさせるかよ!行くぞ、ピカチュウ、クラブ、イーブイ!」

 

「ピッカ!」

 

「コキコキ」

 

「ブイ!」

 

 

戦闘態勢に入るピカチュウ達を前に、コジロウ達は余裕の笑みを崩さない。

 

 

「ピカチュウゥ?クラブゥ?イーブイィ?そんな小さなポケモン達で、俺のこの、本物のギャラドスに勝てるとでも?」

 

「知らないのかしらぁ。ギャラドスは凶悪ポケモン。そんなちびっこいポケモン達で相手取ろうなんて、百年早いわよぉ?」

 

 

コジロウとムサシ、完全に調子に乗っている。

いいだろう。

それなら痛い目見せてやる。

 

 

「イーブイ、〝うたう〟だ!」

 

「ブイ!」

 

「「「ゲッ!?」」」

 

 

イーブイの隠し必殺技、〝うたう〟でギャラドス達三体を眠らせていく。

 

 

「アー、ボ………」

 

「ドガ~~ス………」

 

「ギャァ………」

 

「ニャァ!!?寝るニャア!!………ニャアァァァ……」

 

 

慌ててニャースが〝みだれひっかき〟で起こそうとするが、〝あくび〟と違い〝うたう〟は聞かせた相手を眠らせる技。

ギャラドス達と同じラインに来たニャースの目もトロンと眠気に誘われる。

 

 

「こ、こらぁ!お前達、寝るなぁ!」

 

「ニャース!あんたまで寝てどうすんのよ!」

 

「行け!クラブ、〝みずでっぽう〟!ピカチュウ、〝10まんボルト〟!」

 

「コキコキコッキ!」

 

「ピィィカァァァァチュウウウウウウ!!!」

 

 

相手のポケモン達全員が寝たのを見計らい、クラブの〝みずでっぽう〟で電気の通りをよくしたところに、ピカチュウの〝10まんボルト〟を叩き込んだ。

ギャラドスはただでさえ電気タイプが四倍弱点。

一気に戦闘不能まで持って行った。

 

 

「「なぁぁぁ!!?」」

 

「くっ!こうなったら…!」

 

「戻れ、お前達!」

 

 

ロケット団は自分のポケモン達を戻し、ニャースを回収して再びギャラドスメカに入っていく。

そしてなんと、ミサイルを放ってきた。

 

 

「カゲカゲ!」

 

「ヒトカゲ!いいところに!〝かえんほうしゃ〟!」

 

「カゲッコォ!!!」

 

 

様子を見に来てくれたヒトカゲの〝かえんほうしゃ〟をミサイルに当てると、前と同じようにミサイルは急旋回してギャラドスメカの方に向かい始めた。

 

 

「どうなってんのよぉ!?」

 

「中古で買ったミサイルはダメかぁ」

 

「そんニャァ」

 

 

慌ててギャラドスメカも方向転換して走り出すが、ミサイルは綺麗にその後ろを付いていく。

そしてオババの店と書かれている店に突っ込んでいき、大きな爆発を起こした。

ロケット団とオババが「「「「やな感じーーーーー」」」」と吹き飛んでいく。

一件落着。

 

その後、母さんに涙ながら叱られた。

危険なことはしないと約束したのに、自ら船に戻っていったということまで聞かされていたようで、母さんの涙が止まることを知らなかった。

さすがに悪いことをした。

オーキド博士にも無理はするなと釘を刺され、前よりもたくさんのポケモン達を仲間にしているからか、成長したことを褒められる。

人助けもいいが自分の命も大切に、と念を押されようやく母さんの涙が止まったのだった。

 

母さんとオーキド博士は、俺が死んだと思った母さんの落ち込み様が酷く、オーキド博士が気を遣って外に連れ出してくれたらしい。

前は町内会の慰安旅行で来ていたと思うのだが、変わったらしい。

 

海の家リュウの売り上げは上々で、借金を全て返済できるほどのものとなった。

店をたたみ、全員で世界一周の旅に出るリュウさんを見送る。

 

 

「お気をつけてー!」

 

「さようならー!」

 

「またどこかで!」

 

「ありがとう!サトシ君!カスミちゃん!タケシ君!そしてポケモンの諸君!君達もいい旅を続けるんだよ!」

 

「リュウさんも!」

 

 

手を振り合って別れを告げた。

夢を叶える一歩手前にいるリュウさんが、少しだけ羨ましい。

俺も夢を叶えるために、頑張らねば。

旅の準備を整え、母さんとオーキド博士に向き合う。

 

 

「それじゃ、俺達も行くよ」

 

「えぇ。気を付けて。もう心配させるようなことしないでね」

 

「はぁい」

 

 

耳が痛い。

 

 

「じゃ、元気で」

 

 

そう言って背を向け、振り返らずに歩いて行く。

俺は大丈夫。

その意味を込めて。

 

 







・アニメでの知識だけでなく、きちんと経験した記憶も持っているので、すぐに思い出しやすいのが強み。





スイクン(色違い) Lv.46

エーフィ♀  Lv.35

リザードン♂ Lv.40→41 -太陽-

ピカチュウ♂ Lv.35→38

ロコン♂(色違い) Lv.29

バタフリー♂ Lv.28

ピジョン♂  Lv.26→30

ニドラン♂  Lv.24

フシギダネ♂ Lv.21→24

ヒトカゲ♂  Lv.23→26

ゼニガメ♂  Lv.21→26

クラブ♂   Lv.20→24

イーブイ♀  Lv.18→21

ゲンガー♂  Lv.50

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