転生サトシの旅路   作:ナノブ

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16.進化の先で

第28話 怒らないでねオコリザル

 

 

ナツメ達と別れ、ヤマブキシティのポケモンセンターで母さんとオーキド博士に連絡を入れた。

オーキド博士によると、俺と同時期に旅立った二人はタマムシシティを超え、シゲルに至ってはセキチクシティ近くまで行っているらしい。

バトル修行を怠らずやりながら進んでいるから多少の遅れは認めるが、シゲルは早すぎるだろう。

どれだけ強くなっているのか、今から楽しみである。

 

近況報告も済ませ、手持ちを調整する。

ピカチュウ、スイクン、ピジョン、ニドラン♂、クラブ、イーブイが今回の面子だ。

とりあえず今回は、進化が残っているポケモン達を優先してみた。

イーブイは石で進化する進化先もあるので、イーブイの意思次第では応じた石が必要になってくるが。

何はともあれ、タマムシシティに向かって出発することにした。

 

道中、お昼の時間になったのでタケシの作ったおにぎりを皆で頬張りながら、イーブイの意思を確認してみる。

 

 

「イーブイ。君は、進化する気はあるかい?」

 

「ブイ?」

 

「イーブイは色んな進化先があるからなぁ」

 

「サトシのエーフィみたいに、未だ知られていない進化先もあるかもしれないし!」

 

 

タケシとカスミも話しに入ってきた。

俺は第九世代、ZAまでに出てくるイーブイの全ての進化先を知っているので、タケシとカスミにも教えるように、イーブイに教えていく。

 

 

「炎タイプのブースター、電気タイプのサンダース、水タイプのシャワーズ、エスパータイプのエーフィ、悪タイプのブラッキー、草タイプのリーフィア、氷タイプのグレイシア、フェアリータイプのニンフィア。以上八種類が、現状見つかっているイーブイの進化先だな」

 

「ちょ、ちょっと待って!ブラッキーもイーブイの進化系なの!?」

 

「それにリーフィアやグレイシア、ニンフィアと言えば、遠い地方で発見されたポケモンだろう。それもイーブイの進化系なのか!?」

 

 

やっぱり驚くか。

今の時代、まだ知れ渡ってないからな。

ついでに進化方法まで教えれば、さらに驚いていた。

何故そんなことまで知っている、と詰め寄られたがなぁなぁで濁す。

タケシはサトシだからな、で納得してくれていた。

 

 

「さてイーブイ。どうしたい?進化せずに、イーブイのままでいたっていい」

 

「ブ……」

 

「これだけ進化先があるのに、進化させないの?勿体ない……」

 

「俺はポケモン達の意思を第一優先にしたいからな。ポケモン達が進化したくないなら、それでいいと思ってる。未進化のポケモンでも、強くなる方法を模索するのがトレーナーの役割だし」

 

 

カスミの言葉に答えてやれば、カスミはそっと小さく微笑んでくれた。

まるで、サトシらしい、とでも言うように。

少しくすぐったい。

 

 

「勿論、今決めなくてもいい。その時はイーブイのなりたい道を、俺も一緒に見つけに行くよ」

 

「ブ………ブイ!」

 

 

イーブイはじわりと目を見開いた後、嬉しそうに俺の腕の中に飛び込んできた。

受け止めると、イーブイは笑顔で俺に擦り寄ってくる。

 

 

「ブイ!ブイブーイ!」

 

「イーブイ…」

 

 

可愛い。

イーブイは、今は進化先を決めないことにしたみたいだった。

ポケモン図鑑がカントー地方に適したものなので、全ての進化先の姿を画像で見られないことが一因だろう。

エーフィやブラッキー、ニンフィアに進化するのは進化条件がなつき進化であることから別に構わないみたいで、進化先は流れるままに身を任せる、と。

 

 

「そういう決め方もあるのね」

 

「サトシが大好きだからこそ、サトシとの絆を実感できる進化先になっても構わないんだろうな」

 

 

照れくさい。

お礼にイーブイをブラッシングしてあげながら昼食の続きを取っていると、草むらからひょっこりマンキーが顔を出した。

 

 

「あ!」

 

「ん?」

 

「あれは……」

 

 

間違いなく、俺のオコリザルになるマンキーである。

マンキーはニコニコ笑顔で近付いて来て、タケシにおにぎりを貰っていた。

その笑顔の可愛らしいこと。

前はすぐにモンスターボールを投げて怒らせてしまったが、同じ轍は二度踏まない。

おにぎりを食べ終わったマンキーに自作のポフィンをあげて、交流を試みる。

 

 

「良かったら、これもどうだ?」

 

「!」

 

 

マンキーは大げさにびっくりした表情をした後、笑顔で受け取ってくれた―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のだが。

 

 

 

 

 

「見つけたわよ、ジャリボーイ!」

 

「ここで会ったが百年目!」

 

「ニャース!」

 

「あ!!!!」

 

 

俺の目の前にいたマンキーを蹴っ飛ばして、ロケット団が横からズザーーーッと現れた。

ポフィンが空中に飛ぶ。

 

 

「マンキー!!!」

 

 

慌てて蹴っ飛ばされたマンキーに駆け寄って、怪我をしていないか確認する。

 

 

「ちょっと!ジャリボーイ!!」

 

「無視すんなぁ!!」

 

「急に来て、無視するなも何もないわよ!」

 

「ポケモンを蹴っ飛ばすなんて、なんてことを!」

 

「うるさいニャース!ニャー達の狙いはジャリボーイのポケモンだけニャース!」

 

 

うるさいロケット団の相手をカスミとタケシに任せ、マンキーを助け起こす。

幸いにも大きな怪我はしていなかった。

 

 

「マンキー、大丈夫か?」

 

「~~~~~!!!!!」

 

「あ」

 

 

と思った時には、やっぱり遅かった。

怒りに燃えたマンキーがそのままオコリザルに進化し、ロケット団に襲い掛かる。

あっという間に伸してしまい、〝メガトンキック〟で空中に打ち上げた。

 

 

「「「や、やなかんじ~~~~~~~!!!」」」

 

 

ロケット団を吹っ飛ばした後も、オコリザルの怒りは収まらない。

〝あばれる〟でドタバタと大暴れしている。

 

 

「ちょ、ちょっと………大丈夫なの……?」

 

 

恐る恐る、問いかけたカスミの方に視線を向けたオコリザル。

その目に一瞬で怒気と闘気が宿る。

 

 

「ヒッ!」

 

「カスミ!」

 

 

カスミに殴りかかったオコリザルの手を阻み、俺自身がオコリザルの相手をしていく。

 

 

「落ち着け、オコリザル!あいつらはもういない!」

 

「~~~~~ッ!!!」

 

 

声をかけ、オコリザルの技を受け流しながら落ち着かせようと試みるが、オコリザルの怒りは収まらない。

幼い頃からスイクンと組手をしていた甲斐もあり、オコリザルの相手をすること自体は全然苦ではないので、物理的に落ち着かせることにした。

 

力を受け流すのではなく、わからせる。

俺の方が上なのだと、その身に刻ませる。

格上の相手が居た方が、冷静になれるってもんだ。

そうと決まれば話は早く、あっという間にオコリザルを組み伏せた。

 

 

「!!!?」

 

「俺の勝ちだな、オコリザル」

 

 

ニッと笑って見せると、人間に負けたという事実にオコリザルは呆然としてしまった。

あまりにも呆然とし過ぎてもう暴れる気配はなかったので、すぐに解放する。

 

 

「サ、サトシ!あんた、大丈夫なの?」

 

「あぁ。これくらいはへっちゃらさ」

 

「なんと言うか、さすがはサトシだな」

 

 

タケシは俺がポケモンと取っ組み合って普通に勝てることに、普通に納得していた。

ズボンに付いた草を払い、帽子を被り直す。

寝転がって大の字になったまま、オコリザルは立ち上がることすらできていなかった。

 

 

「オコリザル、大丈夫か?」

 

 

手を差し伸べると、ようやく反応が返ってきた。

オコリザルは目をパチクリとさせ、俺の手を取って起き上がる。

飛んで行ってしまったポフィンをピカチュウが持ってきてくれたので、それを再びオコリザルに差し出せば、呆然としたまま受け取ってくれた。

 

 

「ごめんな、こっちの都合で巻き込んじゃって。お詫びってわけじゃないけど、よかったらそれ食べてくれ」

 

「そ、それじゃあね~~………」

 

 

仲間にしたかったところだが、カスミが忍び足でその場を去ろうとしていたので、それに合わせて俺もポケモン達をモンスターボールに戻し、後に続いた。

 

 

「おっ?」

 

 

っと、ぐいっと上着が引っ張られる。

見ると、オコリザルがやる気に満ちた目でこちらを見ていた。

どうやら力の差をわからせたことで、俺を兄貴分として認めてくれたらしかった。

となれば。

 

 

「俺と一緒に、来るか?」

 

「ウキャ!!!」

 

 

力強い返事を貰い、モンスターボールを取り出せばオコリザルは自らの拳を当ててモンスターボールに入っていく。

 

 

「オコリザル、ゲットだぜ!」

 

「ピッピカチュウ!」

 

 

数回の揺れで収まったモンスターボールを手に、いつもの台詞を決めればモンスターボールがオーキド研究所に転送されていく。

オーキド博士と対面した時、暴れ出さないといいが。

 

 

 

 

 

第29話 タマムシジム戦 VSエリカ

 

 

前回のようにオコリザルに追いかけられたわけではなく、全力疾走もしなかったので普通にタマムシシティに着くまで丸一日かかった。

タマムシシティに着くなりタケシとカスミ、それにピカチュウが香水の匂いに釣られてどこかに行こうとしていたので、一旦引き留めてポケモンセンターに向かう。

俺に付き合ってバトルの特訓をしてくれていたタケシ達のポケモンも、クタクタだ。

まずは自分のポケモン達の回復が第一優先だろう。

軽率に匂いの元を辿ろうとしたことにタケシとカスミは気恥ずかしそうにしていた。

 

さて、ピカチュウ、スイクン、ピジョン、ニドラン♂、クラブ、イーブイという面子を変えることなく、タマムシジムに挑戦することにした。

母さんとオーキド博士に連絡を入れるのは、タマムシジムに勝ってからでいいだろう。

そういうわけで、さっそくタマムシジムに向かう。

前回はサトシの不要な発言で出入り禁止にされたからなぁ。

あの頃のサトシ、俺は、本当にデリカシーも礼儀もなってなかった。

黒歴史を思い返すような心地になりながら、タマムシジムの扉を開く。

 

 

「たのもーーーー」

 

「ピィカァ~~~」

 

 

あまり声は張らず、それでも来客だと伝わるように声を上げた。

奥から出てきた女性達に、タケシの鼻の下が伸びる。

 

 

「はぁ~い。あなた達は?」

 

「俺、マサラタウンのサトシです。タマムシジムに挑戦しに来ました」

 

「そうだったの。あなたは香水、好き?」

 

「は、はい!」

 

「ならOKよ!案内するわね」

 

 

好きだと頷くと、普通に通してもらえた。

別にいいが、いかがな通し方なのか。

そのままエリカ、さんの元まで案内され、改めてジム戦を申し込むと、快く引き受けてくれた。

 

 

「挑まれた勝負は、受けなければなりませんわね。使用ポケモンは三体。勝負ですわ!」

 

 

というわけで、バトルフィールドに移動しジム戦を開始する。

 

 

「モンジャラ、お相手して差し上げて!」

 

「イーブイ、君に決めた!」

 

「ブイ!」

 

 

エリカさんの初手は前と変わらずモンジャラか。

〝からみつく〟には要注意だな。

 

 

「モンジャラ、〝からみつく〟攻撃ですわ!」

 

 

さっそくか。

 

 

「イーブイ、〝うたう〟!」

 

「ブ~~イ~~~」

 

「!?まぁ!?」

 

 

蔓を伸ばしてきていたモンジャラの動きが止まり、眠気に誘われるまま眠ってしまった。

イーブイが覚えているとは思わない技だからな。

油断大敵だ。

 

 

「よし!〝ずつき〟だ!」

 

「ブイ!」

 

「モンジャラ!起きるのですわ!」

 

 

エリカが必死に声をかけるが、それも空しくモンジャラは〝ずつき〟の直撃を受ける。

 

 

「連続で〝ずつき〟!」

 

「ブイ!ブイ!ブイ!!」

 

 

眠っているのをいいことに、〝ずつき〟でダメージを与え続けていく。

しかし防御力が高いのがモンジャラ。

イーブイの今の威力では、中々戦闘不能まで持っていくのに苦労しそうだ。

 

 

「モンジャラ!!!」

 

「………モ?」

 

 

エリカの必死の呼びかけに、モンジャラの目がようやく開きかけた。

 

 

「〝どろかけ〟!」

 

「ブイ!」

 

「モ!?」

 

 

寝起きの目覚ましに、顔面に思い切り泥を蹴りつける。

これで命中率も下がった。

 

 

「なんてことを…!モンジャラ、〝ギガドレイン〟ですわ!」

 

「〝でんこうせっか〟で避けろ!」

 

「ブイ!」

 

 

〝命中率〟が下がっていることもあり、〝ギガドレイン〟は〝でんこうせっか〟で軽く避けることができた。

 

 

「でしたら〝しびれごな〟ですわ!」

 

「!〝でんこうせっか〟!」

 

 

で、避けきれるものではなかった。

フィールド全体に撒かれた〝しびれごな〟が、イーブイの動きを鈍らせる。

 

 

「ブ、イ…!」

 

「イーブイ!」

 

「今ですわ!〝つるのムチ〟!」

 

「モ!」

 

 

動きが鈍ったイーブイを正確に蔓で巻き上げ、空中に持ち上げられる。

〝サイコキネシス〟も厄介だけど、この技もホント厄介だな!

 

 

「イーブイ、〝うたう〟だ!」

 

「ブゥ…!」

 

「させませんわ!モンジャラ、振り回して!」

 

 

歌おうとしたイーブイは、蔓で持ち上げられたまま振り回されて〝うたう〟どころではなくなる。

 

 

「くっ!〝でんこうせっか〟!」

 

「ブゥイィィィィ!!」

 

 

技を発動させて何とか抜け出そうと試みるが、拘束が緩む気配はない。

 

 

「モンジャラ、〝ギガドレイン〟!」

 

「モ!」

 

 

せっかく与えたダメージが回復されてしまう。

そう思い別の技を指示しようとした直後、イーブイがキッと顔を上げてモンジャラの方を見た。

 

 

「ブゥゥ、イッ!」

 

「えっ?」

 

 

そして繰り出すは、華麗なウインク。

 

 

「えっ。えっ?今のって……」

 

「何かの技、なのか……?」

 

 

見守ってくれていたカスミとタケシも困惑している。

技、技か。

そうか、今のは!

 

 

「イーブイ、もう一度〝でんこうせっか〟!」

 

「ブイ!」

 

 

再び発動させた〝でんこうせっか〟で、〝ギガドレイン〟が届くより前に蔓から抜け出した。

明らかに攻撃力が下がっている。

つまり今のは。

 

 

「なっ!?そんな簡単に!モンジャラ、もう一回〝つるのムチ〟ですわ!」

 

「イーブイ、〝つぶらなひとみ〟!」

 

「ブゥゥイッ!」

 

 

イーブイのウインク、基〝つぶらなひとみ〟で攻撃力が下がった〝つるのムチ〟は、先ほどまでの攻撃力でイーブイを縛れない。

指示を出さずとも楽に〝でんこうせっか〟で抜け出した。

 

 

「〝つぶらなひとみ〟……?」

 

「先制で相手の攻撃力を下げる技ですよ」

 

「そんな技が……」

 

 

知らなかったらしいエリカさんに説明し、改めてイーブイと共にモンジャラと向き合う。

痺れる前に与えたダメージを、〝ギガドレイン〟で回復されてしまうのだけは避けたい。

 

 

「一気に行くぞ、イーブイ!」

 

「ブゥゥゥゥゥイィィィィィ!!!!!」

 

 

力強いイーブイの咆哮が響き渡る。

瞬間。

光り出す、イーブイの体。

 

 

「!」

 

「あれって!」

 

「間違いない!進化が始まったんだ!」

 

 

体が一回り大きくなり、胸元からリボンが伸びてくる。

パシンと弾けた光の先。

そこにいたのはイーブイではなく。

 

 

「フィ~ア」

 

 

ニンフィアだった。

 

 

「ニンフィア!進化したんだな!」

 

「あれが、ニンフィア……」

 

「可愛い~~~~!!」

 

 

タケシは呆然とし、カスミはその可愛さにメロメロだ。

 

 

「よし、新しい技も覚えてる。行くぞ、ニンフィア!」

 

「フィア!」

 

「!負けませんわ!進化したとて、痺れがとれたわけではありませんもの!モンジャラ、〝ギガドレイン〟!」

 

「〝チャームボイス〟!」

 

 

〝ギガドレイン〟の球は〝チャームボイス〟の音の波に阻まれ、霧散する。

確かに痺れがとれたわけではないので、ニンフィアは少し苦しそうだ。

早期決着が望ましい。

 

 

「頑張れ、ニンフィア!〝でんこうせっか〟!」

 

「フィア!」

 

 

今まで見せていなかったトップスピードでモンジャラの後ろに回り込む。

 

 

「なっ!?速い!!」

 

「〝ずつき〟!」

 

「フィア!」

 

 

反応できていなかったモンジャラを後ろから〝ずつき〟で空中に飛ばし、そのまま〝どろかけ〟と〝チャームボイス〟で何とか戦闘不能にまで持っていった。

 

 

「モンジャラ、戦闘不能!」

 

「よし!よくやったぞ、ニンフィア!」

 

「フィアフィ~ア!」

 

 

腕の中に飛び込んできたニンフィアを抱きしめて、優しく撫でる。

ニンフィアも嬉しそうに擦り寄ってきてくれた。

可愛いやつだ。

 

 

「………なるほど。中々にやりますわね」

 

 

モンジャラをモンスターボールに戻しながら、エリカさんからも素直に認められる。

 

 

「では次は、ウツドン!行くでございます!」

 

「ニンフィア、休んでてくれ。ピジョン、君に決めた!」

 

 

俺も痺れているニンフィアをモンスターボールに戻し、ピジョンを送り出す。

 

 

「ウツドン、〝はっぱカッター〟よ!」

 

「ピジョン、〝かぜおこし〟だ!」

 

 

〝はっぱカッター〟は〝かぜおこし〟で防ぎ、さらにそのままウツドンにまでダメージを与える。

 

 

「〝でんこうせっか〟!」

 

「ピジョ!」

 

 

自慢のスピードでウツドンに近寄りダメージを与え、即座に離脱する。

 

 

「!もうあんなに離れて!ウツドン、〝あまいかおり〟!」

 

「〝ふきとばし〟!」

 

「ピジョーーー!」

 

 

〝あまいかおり〟で動きが鈍る前に、〝ふきとばし〟で〝あまいかおり〟を吹き飛ばして対応する。

そのまま〝かぜおこし〟、〝でんこうせっか〟のヒット&アウェイで攻め続けるが、威力が低いので中々戦闘不能にし切れない。

〝つばめがえし〟でも覚えてくれないかな、なんて思っていたら。

明らかにピジョンの〝でんこうせっか〟の威力とは思えないダメージがウツドンに入った。

 

 

「ウツドン!」

 

「今のは!」

 

 

波導で確認したところ、〝たいあたり〟を忘れて〝つばめがえし〟を覚えたようだった。

イーブイに続き、嬉しい誤算である。

 

 

「よーし、ピジョン!〝つばめがえし〟!」

 

「ピジョーーーーー!!」

 

「ウツドン、〝つるのムチ〟を!」

 

 

エリカさん達も必死に攻めてくるが、〝つるのムチ〟を掻い潜った〝つばめがえし〟がウツドンに決まり、ウツドンは戦闘不能になった。

 

 

「ウツドン、戦闘不能!」

 

「よっしゃ!よくやったぞ、ピジョン!」

 

「ピジョォ!」

 

 

誇らしげに両翼を思い切り広げるピジョンが微笑ましい。

 

 

「ウツドン、戻って!サトシさん、あなたの実力は、やはり高いものでございますね。それでも、私の草ポケモンへの愛情は、それを上回るでございますことよ。それではクサイハナ、頼みますことよ!そぉれ、いでよ!」

 

 

エリカさんはウツドンを戻し、俺を正式に認める発言をした後に、クサイハナを繰り出してきた。

このままピジョンで行ってもいいが、どうせなら他のポケモン達にも活躍してもらいたい。

 

 

「ピジョン、ゆっくり休んでくれ。ニドラン、君に決めた!」

 

「ニド!」

 

 

ここはイーブイのように進化を期待してニドラン♂を送り出す。

 

 

「ニドラン、〝きあいだめ〟!」

 

「ニドォ!」

 

「〝きあいだめ〟……?」

 

 

エリカさんは〝きあいだめ〟の効果についても知らないようだった。

おかげで楽に急所率を上げられた。

 

 

「何かわかりませんが、警戒するに越したことはありませんわ!クサイハナ、〝ねむりごな〟!」

 

「クッサァ!」

 

「げ」

 

 

先ほどの〝うたう〟のお返しか。

どうする、ニドラン♂は粉系を防ぐ術を持っていない。

 

 

「ニドラン、息を思い切り吐き出せ!」

 

「ニド!」

 

空気を思い切り吸い込み、思い切り吐き出す。

荒業だが、〝ねむりごな〟を軽く吹き飛ばしてニドラン♂まで届かせないようにした。

 

 

「まぁ!そんな防ぎ方が!」

 

 

前の記憶で、フシギダネがバタフリー相手にやっていたのを、今さっき思い出しました。

息を吸い込む段階で既に粉技が近くに来てたらアウトなので、飛びながら粉技を撒いてくる相手には難しい対処法かもしれない。

 

 

「ニドラン、〝つつく〟だ!」

 

「ニドォ!」

 

 

何はともあれ、〝ねむりごな〟は避けられたので一気に攻撃に転じていく。

まさかの防ぎ方に驚いて呆然としていたクサイハナに、効果抜群の〝つつく〟がクリーンヒットした。

急所に当たったようだ。

 

 

「クサイハナ、しっかり!さっきのは攻撃力を上げる技……?でしたら、〝ちからをすいとる〟ですわ!」

 

「なっ!?」

 

 

ガチか!

〝ちからをすいとる〟を覚えているクサイハナとは。

〝きあいだめ〟は正確には急所率を上げる技なので、攻撃力はあまり関係ないが回復もされて面倒なことこの上ない。

 

 

「ニドラン、ここは攻めて攻めて攻めまくるぞ!」

 

「ニド!」

 

「〝つのでつく〟攻撃!」

 

「クサイハナ、〝ようかいえき〟よ!」

 

「クッサァ!」

 

 

クサイハナとの距離を詰めたところ、〝ようかいえき〟を真正面から浴びることになったが甘んじて受け入れる。

効果はいま一つだし、防御力が下がるかもしれないのはだるいが、こちらが先に決めてしまえばいいだけだ。

〝ようかいえき〟を顔面に浴びながらも、〝つのでつく〟をクサイハナに決める。

 

 

「今だ!〝つつく〟攻撃!」

 

「ニド!」

 

 

〝つのでつく〟の角に〝つつく〟攻撃を発動させ、技の切り替えをスムーズに行い、避ける暇なく〝つつく〟攻撃を当てた。

 

 

「!〝ちからをすいとる〟ですわ!」

 

「またか…!」

 

 

ダメージを与えた分のほとんどが回復され、さらには攻撃力が下げられる。

近くにいたので避けようがない。

この技、本当に厄介だな。

物理型で戦うポケモン相手なら本当によく効く。

 

そこから〝つつく〟、〝どくばり〟、〝つのでつく〟、〝にどげり〟を駆使して押していくが、〝ちからをすいとる〟の前に暖簾に腕押しの状態になってしまった。

ニドラン♂の攻撃力も下がり、急所に当てた時以外のダメージ量が著しく下がっており、中々攻め切れない。

ただし、クサイハナもニドラン♂に有効打がないので中々ダメージを与えられず、ほとんど膠着状態になってしまった。

 

 

「厄介な技を………ニドラン、大丈夫か!」

 

「ニ、ニドニド!」

 

 

気丈に答えてくれるニドラン♂だが、動き回っていたせいか息が上がってきている。

ここは交代も視野に入れて、柔軟に戦うべきだったな。

そう思ってピジョンのモンスターボールを手に取った時、ニドラン♂がこちらを振り返って首を横に振った。

 

 

「ニド!ニドニド!」

 

「ニドラン……」

 

 

ここまでの旅路やニンフィア、ピジョンが一対一で倒してきている以上、自分も戦闘不能になるまで戦いたいのだろう。

ニドラン♂が望むならやってもいいが、かなりの長期戦になる。

それだけの体力があるかどうか。

 

 

「ニドラン……………」

 

「ニド!ニィィィドォォォォォ!!!!!」

 

 

それを見極めるためにニドラン♂を呼んだところ、ニドラン♂の体が光り始める。

 

 

「!まさか!」

 

「えぇ!?またぁ!?」

 

「進化が一日に何回も起こるとは!」

 

 

体が二回り以上大きくなり、光がパシンと弾けた先で。

 

 

「ニドォ…!」

 

 

ニドリーノが、そこにいた。

期待はしていたが、本当に進化してくれるとは思わなかった。

本当に嬉しい。

 

 

「新しい技まで覚えたのか!これなら行けるぞ、ニドリーノ!」

 

「ニドォ!!」

 

「!!まさか、一試合の中で二回も進化を見るなんて……。ですが、今度こそ負けませんわ!クサイハナ、〝はっぱカッター〟!」

 

「クッサァァ!!」

 

「ニドリーノ、〝れいとうビーム〟!」

 

「ニドォ!!!」

 

 

ニドリーノは本来、技マシンでしか〝れいとうビーム〟を覚えない。

後で聞いた話だが、ニドラン♂の頃から俺が色んな技を覚えてもらいたいと言っていたからか、ずっと手持ちに入れているスイクンの〝れいとうビーム〟を見て、オーキド研究所に送られた後もずっと練習していたらしい。

本当に、トレーナー想いの優しいやつである。

 

 

「新技が、まさかの氷技!」

 

「行けるぞ!草タイプに氷タイプの技は効果抜群だ!しかも特殊技!〝ちからをすいとる〟の効果を気にせず戦える!」

 

 

カスミとタケシも盛り上がっていた。

〝はっぱカッター〟を〝れいとうビーム〟で凍り付かせ、ある意味で相殺する。

しかしそれで終わらなかった。

ニドリーノは〝れいとうビーム〟を放つのを止めず、クサイハナまで届かせたのだ。

効果抜群の技がクサイハナを襲い、追加効果で凍り付かせていく。

 

 

「まずいわ!クサイハナ、〝ようかいえき〟で氷を解かすのよ!」

 

「させない!もっともっと〝れいとうビーム〟だ!」

 

「ニドォ!!!」

 

 

エリカさんは慌てて対処しようとしたが、ニドリーノの〝れいとうビーム〟がクサイハナを凍り付かせる方が早かった。

そのままクサイハナは動かなくなり、目を回す。

戦闘不能だ。

 

 

「クサイハナ、戦闘不能!ニドリーノの勝ち!よって勝者、チャレンジャーサトシ!」

 

「やったぜニドリーノ!!!」

 

「ニドォ!」

 

 

ニドリーノに駆け寄って抱き付けば、ニドリーノも嬉しそうに頬擦りしてきてくれる。

可愛いやつだ。

 

 

「まさか、この私がここまで何もできないとは。恐れ入りましたわ、サトシさん。あなたはやはり強い。お見事でした。受け取ってください。これが私に勝った証、レインボーバッジですわ」

 

「ありがとうございます。よーし!レインボーバッジ、ゲットだぜ!」

 

「ピッピカチュウ!」

 

「フィアフィ~ア!」

 

「ピジョォ!」

 

「ニドニード!」

 

 

エリカさんから貰ったレインボーバッジを手に、いつもの台詞を決めて、ピカチュウ達も後に続いてくれる。

イーブイもニドラン♂も進化して新技を覚えたし、本当にいい日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思った直後、いきなり〝どくガス〟が辺りに充満し始めた。

 

 

「な、なんだ!?」

 

「なんだかんだと聞かれたら」

 

「答えてあげるのが世の情け」

 

 

聞き慣れた声に聞き飽きたフレーズ。

今回はロケット団には遭遇してなかったので大丈夫だと高を括っていたが、どうやらあいつらの執念を舐めていたようだ。

ロケット団の登場と名乗りが終わり、その手にはタマムシジムにあったのだろう伝説の香水が。

 

 

「どこから入ったのよ!」

 

「ちゃんと閉め出したのに!」

 

「べーー!ロケット団の辞書に不可能の文字はない!」

 

「一度の失敗でめげる我らでもない!」

 

「ニャー達は超エリート。忍び込むなんて余裕だニャ!」

 

 

タマムシジムのスタッフの女性達が驚いているが、そう言えばこいつら、ロケット団訓練生時代は超エリートだったな。

俺もジム戦に集中してたから、波導でタマムシジムの警備なんかも一切していなかった。

 

 

「ロケット団!大切な香水を返せ!」

 

「返せと言われて誰が返すもんですか!」

 

「ついでにこのジムのポケモン達も、戦って疲れたジムリーダーのポケモン達も、ジャリボーイのポケモン達も、みーんなまとめてゲットだぜ!」

 

「ニャ!」

 

 

そう言うが早いか、ニャースは何らかのボタンを押した。

途端、ロケット団の足元が爆発する。

 

 

「え」

 

「な」

 

「はぁ……?」

 

 

そうはさせるかと、モンスターボールに手をやっていたカスミもタケシも動きが止まる。

 

 

「どこに仕掛けてるんだよぉ!!」

 

「ニャんでこうなるニャーーー!!」

 

「で・も!伝説の香水はこれでいただいたわよ!」

 

「「「やな感じーーーーー!!!!」」」

 

 

あっという間に空の彼方に飛んで行ったロケット団を唖然と見送っていたが、爆弾が爆発した影響で前の時のようにジム内が燃え始めてしまった。

 

 

「ポケモン達を避難させるのよ!!」

 

 

ジムスタッフの中でもリーダー格の人が、慌てて声を上げる。

ポケモン達をモンスターボールの中に避難させ、俺達も外に出て消火活動を手伝った。

あと少しで火を消し切れる、というところでエリカさんが前のように何かを探しながら走ってくる。

 

 

「エリカさん、どうしたんですか?」

 

「クサイハナが、いないんでございます!!」

 

「えぇ!!?」

 

 

カスミの驚きの声を聞きながら、バッとタマムシジムを見て波導の力を拡大する。

タマムシジムの中、バトルフィールドがあった部屋の隅で、逃げ遅れたらしいクサイハナが縮こまっているのがわかった。

わかった瞬間、タマムシジムの中に走り出す。

 

 

「あ!ちょっとサトシ!」

 

「サトシさん!」

 

「俺が行ってきます!」

 

 

それだけ告げて、クサイハナの元までひた走る。

普段から波導の力を抑えていた影響で、こういう非常事態でも波導の力を使うのを忘れるようになったのは悪い癖だ。

見落としがないか、全員無事か、きちんと確かめるようにしなければ。

波導でクサイハナのことを探れば、大きな怪我はしていない。

 

 

「クサイハナ!無事か!」

 

「クッサ…!」

 

 

強烈な臭いを撒き散らしていたクサイハナに気合で近付いて、抱き上げる。

 

 

「もう、大丈夫だからな」

 

「ハナ……」

 

 

すぐに強烈な臭いが収まり、安心した表情をするクサイハナを抱えてタマムシジムを脱出する。

エリカさんの元までクサイハナを届ければ、泣きながら感謝された。

さらには感極まったのかエリカさんに抱き付かれてしまい、タケシには心底悔しがられカスミには睨まれる始末。

 

俺がどうこうしたわけではないので勘弁してほしかったが、犠牲者が誰一人出なかったので、まぁいいか。

エリカさんの背を優しく叩いて宥め、もう大丈夫だと告げると、心から安心したように微笑んでいた。

ロケット団に盗られた伝説の香水も、香水の原料になるクサイハナのエキスだと教えてもらい、一先ずは一件落着である。

 

 







・エリカ戦、ニドラン♂ではなくピジョンに交代させれば楽に勝てたが、進化を期待していたのとニドラン♂の意思を尊重して、負ければ終わる試合でもなかったので突っ張った。
結果、進化はしたがそれ以前のバトルは非常にグダグダしていた。





スイクン(色違い) Lv.46

エーフィ♀  Lv.38

リザードン♂ Lv.41 -太陽-

ピカチュウ♂ Lv.38

ロコン♂(色違い) Lv.32

バタフリー♂ Lv.30

ピジョン♂  Lv.30→35

ニドラン♂→ニドリーノ  Lv. 28→32

フシギダネ♂ Lv.25→27

ヒトカゲ♂  Lv.26→28

ゼニガメ♂  Lv.26→28

クラブ♂   Lv.25→27

イーブイ→ニンフィア♀ Lv.23→30

ゲンガー♂  Lv.50

バタフリー♀(桃色の色違い) Lv.15 -モルガナ-

ゴースト♂  Lv.30

オコリザル♂ Lv.35 NEW!

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