転生サトシの旅路   作:ナノブ

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17.許せない所業 限界を超えて

第30話 タマムシシティ騒動

 

 

タマムシジムを終えて、ポケモンセンターで一晩過ごした後。

つきのいしを既に持っていたので、ニドリーノに意思を確認したところ、早く最終進化して色々な技を覚えたい!という強く熱い意思が返ってきたので、つきのいしを使ってすぐにニドキングにまで進化させた。

自主練で技を覚えてくると言うので、オーキド博士に連絡してゴーストと交換したところ、ゴーストもゲンガーに進化する。

 

そういえば、ゴーストをオーキド研究所に送った時は交換という形じゃなかったから反応しなかったが、こういう交換の仕方でも進化するんだった。

大喜びのゴースト、いやゲンガーにおめでとうの言葉を送り、もう一匹のゲンガーにも見せたいと言うのでオーキド研究所に送り返す。

手持ちをピカチュウ、スイクン、フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ、オコリザルにしてオーキド博士との連絡を終え、母さんにも連絡を入れた。

 

母さんとの連絡を終え、デパートがあるので生活必需品を整えてから出発しようというタケシの提案に乗り、ポケモンセンターを出たところでエリカさんに遭遇する。

ぜひクサイハナを救ってくれたお礼がしたいということで、エリカさんが社長を務めているお店に案内された。

 

 

「よければ餞別として、私からプレゼントさせてくださいませ」

 

「えっ?いいんですか?けっこう高いんじゃあ…」

 

「クサイハナの命に比べれば、全然安いものですわ」

 

「そ、それなら……!」

 

 

エリカさんの言葉に嬉々として香水を選び始めるカスミに、タケシと苦笑する。

クサイハナの命を救ったのは俺なんだがなぁ。

まぁいいか。

俺もプレゼント用として、母さんとナツメに贈るものを、エリカさんのアドバイスを聞きながら選ぶことにする。

 

 

「あら。サトシさんは、香水を贈るような素敵な女性がすでにいるのですか?」

 

「あ、いえ。そういう関係じゃありません。母さんと、友人用です」

 

「まぁまぁ、そうでしたか!お母様もご友人も、とてもお喜びになるでしょう!」

 

 

何故か嬉しそうなエリカさんに、香水を選んでいたはずがこちらを横目でにらみ付けてくるカスミに、涙を流してこちらを見ているタケシ。

何だってんだ。

無事母さんとナツメ用の香水を選び、ラッピングして宅急便用の箱に詰めてもらい、送ってもらうことにした。

 

その際何故かエリカさんに、愛用しているオススメの香水だと紹介されたものをプレゼントされた。

是非俺に使ってほしいとのことで、よくわからないがありがたくいただくことにする。

そしたら何故かカスミが不機嫌になり、自分の香水はいらないとへそを曲げてしまったので、タケシからの助言を聞いてカスミに内緒で俺が選んだものをプレゼントしたら、何とか機嫌を直してくれた。

よくわからないが、女の子の扱いは本当に難しいぜ。

 

エリカさんと別れ際、エリカさんからもポケフォン番号とメールアドレスが書かれたメモを貰ったことで、そういえばポケフォンを買わなければいけないのだと思い出した。

カスミがまた不機嫌になる前に店に行くぞー、とカスミを連れて駆け出したタケシの後を追い、エリカさんに別れを告げてからポケフォンを売っている店に駆け込む。

 

お金はあるのかって?

小さい頃から母さんの手伝いをしてコツコツ溜めたお小遣いと、前よりもたくさんのトレーナーを倒してきたことで得られた資金があるのでノープロブレムだ。

お店の人に旅をしているので丈夫なものが欲しいと頼み、防水、防塵、防電の丈夫なポケフォンを購入した。

俺は綺麗な青、カスミはオレンジ、タケシはブラウンのポケフォンだ。

その場でお互いに連絡先を交換し、俺はナツメとエリカさんにも連絡を入れる。

すぐに返信がきて、これからたくさん連絡し合おうと言われ、肯定を返しておいた。

 

 

「さて。もう少し旅に必要なものを買っていくか」

 

「そうだな」

 

 

というわけで、デパートを周り生活必需品を買っていく。

そして溜めに溜めたお金に物を言わせ、売っていた技マシンと進化の石を爆買いした。

 

技マシンは〝かげぶんしん〟、〝リフレクター〟、〝かまいたち〟、〝つのドリル〟、〝タマゴばくだん〟、〝メガトンパンチ〟、〝メガトンキック〟、〝とっしん〟、〝じごくぐるま〟、〝ほえる〟、〝はかいこうせん〟、〝あなをほる〟、〝かわらわり〟、〝ひみつのちから〟、〝メロメロ〟、〝ドラゴンテール〟、〝とんぼがえり〟、〝アイアンテール〟、〝たきのぼり〟、〝トライアタック〟、〝ビルドアップ〟、〝シャドーボール〟、〝めざめるパワー〟、〝にほんばれ〟、〝まもる〟、〝あまごい〟、〝すなあらし〟、〝ちょうはつ〟、〝しんぴのまもり〟、〝やつあたり〟、〝おんがえし〟、〝いちゃもん〟、〝しおみず〟、〝ゆきなだれ〟、〝ステルスロック〟、〝ゆうわく〟、〝あくのはどう〟、〝いばる〟だ。

 

進化の石はみずのいし、かみなりのいし、ほのおのいし、リーフのいし、こおりのいしをそれぞれ三個ずつ。

 

一気にお金が少なくなってしまったが、バトルでの戦術の幅が広がると思えば、オールオッケーだ。

宿泊費も食費も、ポケモンセンターを利用すれば浮くしな。

カスミとタケシに呆れ目で見られながら、よくわかっていないピカチュウとハイタッチする。

 

買い物を一通り終わらせた後に行くのは、もちろんゲームコーナー。

前の記憶ではスルーしていたが、ゲームの知識がある以上行かないわけにはいかないだろう。

ロケット団が運営しているゲームコーナーだった場合、ロケット団アジトへの隠し通路があるが、そちらをどうするかはまだ決めていない。

今の手持ちで乗り込んで、犠牲が出ないとは限らないしな。

 

ゲームコーナーの前に行くと、どういうわけか身体検査と身分確認が行われた。

随分厳重だが、スロットがモラル的にあまりよくないので実施しているのだろうか。

俺とカスミは入れることになったが、何故かタケシは入れないと言われた。

 

 

「何で、俺だけ………」

 

「まぁまぁ。タケシの分まで、あたし達が勝ってくるわよ!」

 

 

落ち込むタケシをカスミが適当に慰め、いざゲームコーナーへ。

すると何やらものすごく盛り上がっており、皆大熱狂しながらスロットを回していた。

何事だ?

見ると、今だけの特別賞品と銘打って、色違いのイーブイが景品化されていた。

基本的にポケモンの商品化は違法に当たるはずなので、取り扱っていないと思っていたが、いざ目の前にすると胸糞悪い。

 

タケシを中に入れなかったのは、元ジムリーダーだからか。

正義感から警察に連絡されることを恐れたのだろう。

俺はまだまだ子どもだからと見逃され、カスミは表向きジムリーダーだと知られていないから。

 

ガラスケースに入れられた色違いのイーブイは、人間への嫌悪と憎悪を煮詰めたような瞳をして、ものすごく悔しそうな顔をしながらガラスケースに頭突きして何とか出ようと頑張っていた。

そんなイーブイの様子に、悲痛な面持ちをしたカスミが俺の服を握ってくる。

 

 

「サトシ、これって………」

 

「見逃せないな」

 

「ピカァ!!」

 

 

今までがどうだったのかは知らないが、珍しいポケモンを景品にして稼がねばならないほど、逼迫しているのか切迫しているのか。

何にしても気持ちのいいものではない。

受付からコインケースを貸し出してもらい、スロットの台に座る。

色違いのイーブイを交換するのに必要な枚数は、十万枚。

一つのコインケースに入れられる最大枚数を二つ分、必要になってくる。

 

 

「なんとか、できる?」

 

「してみせる」

 

 

弱々しく聞いてくるカスミに力強く答えて、コイン集めを開始する。

波導の力を目に集め、目押しでジャックポットを狙う。

一回で大当たりが出たのを確認して、しっかりカスミの目を見た。

 

 

「大丈夫だ、カスミ。大丈夫」

 

「!……うん!」

 

 

笑顔で頷いてくれたカスミに応えるため、それからもスロットを回し続け。

丸一日かかって、ようやく十万枚集めることに成功した。

食事等は、全部カスミが持ってきてくれた。

睡眠は一週間ほどなら取らなくても問題ない。

異常なゲームコーナーに怯えているからか、受付に行く際俺の背に隠れて付いてくるカスミに内心癒されながら、景品交換スタッフに十万枚突き付けた。

 

 

「景品になっているイーブイと交換してほしい」

 

「ほ、本当に十万枚!!!?しかもこんな早く!!!」

 

 

慌てるスタッフを急かし、動揺にどよめく他の客を無視し。

無理やりモンスターボールに入れられるイーブイの姿に、怒りがはち切れそうになる。

恐る恐る差し出されたモンスターボールを、波導できちんとイーブイのモンスターボールかを確認してから受け取った。

他にポケモンが景品化されていないことを、波導で入念に確認してからゲームコーナーを出る。

食事を買いに行く際ゲームコーナーから出たカスミから話を聞いていたのか、怒り心頭のタケシが外で待っていてくれた。

 

 

「サトシ!イーブイは!」

 

「あぁ。ここにいるよ」

 

 

受け取ったモンスターボールを見せれば、多少は表情を和らげるタケシ。

それでもすぐに怒りを顕わにする。

 

 

「ポケモンを景品化しているだなんて!なんて場所だ!」

 

「もう景品化されてるポケモンはいなかった。とりあえずここから離れようぜ」

 

「そうね。なんだかちょっと、怖いわ」

 

「ピィカァ…」

 

 

怯えるカスミのためにピカチュウを貸し、ピカチュウを抱っこしたカスミは少し落ち着いたようだった。

珍しく弱気なカスミにタケシも溜飲が下がったようで、俺の言葉に頷いてくれる。

一先ずイーブイを落ち着かせるために、ポケモンセンターに行って部屋を一室貸してもらった。

間違っても逃げないように密室にしてカーテンだけ開けてから、イーブイをモンスターボールから出す。

途端牙をむくイーブイ。

人間への強い憎しみの感情が、波導を使わなくても手に取るようにわかった。

 

 

「はじめまして、イーブイ。俺はマサラタウンのサトシっていうんだ。こいつは相棒のピカチュウ」

 

「ピカ、ピカチュウ」

 

「あたしはカスミよ。よろしくね」

 

「俺はタケシだ。腹減ってないか?」

 

 

タケシが差し出したポケモンフーズが入ったお皿を、イーブイは尻尾で払いのけた。

 

 

「ブゥゥゥゥゥイ!!!!!」

 

 

威嚇を止めないイーブイに、カスミもタケシも眉を下げる。

波導でもっと詳しくイーブイのことを調べてみると、人間に対する憎しみだけではなく怯えや恐怖、悲しみといった感情も抱いているようだった。

怯えや恐怖は当然として、悲しみか。

ロケット団に身内でも捕まったのだろうか。

もしかしたら、家族がいたのかもしれない。

本当にやるせなくて、耳を下げたピカチュウの頭を撫でる。

 

 

「ここは、もう安全だよ。君を傷付ける存在は居ない。もう、大丈夫だよ」

 

「ブゥゥゥ!!!」

 

 

俺の言葉を理解できないのかしたくないのか。

イーブイは毛を逆立てて、俺がそろそろと伸ばした手を警戒する。

 

 

「イーブイ。君は、もう自由だ」

 

 

〝いやしのはどう〟を真似た、心を落ち着ける波導を流しながら。

噛まれるかもしれない状況で。

切り裂かれるかもしれないイーブイ相手に。

俺は、優しく頭に手を置いた。

 

 

「ブッ…!!!!?」

 

 

抵抗することはできたはずなのに。

後ろに下がって避けることも、できたはずなのに。

それを知らないとばかりに、イーブイは今度はガタガタと震え、怯えだす。

警戒、威嚇の仕方を教わっても、それ以上の身の守り方を教わらなかったのかもしれない。

もしかしたらこのイーブイは、まだ幼い類なのかもしれない。

そう思うほどには、このイーブイは抱く憎悪と表に出せる戦意が噛み合っていなかった。

 

 

「怖かったな……。恐ろしかったな。けど、もう大丈夫だ。もう、酷い目にはあわせない。俺達が守ってやる。君が本当に自由になった時。その時は……」

 

 

頭から顎下に手を移動させ、そっと顔を上げさせる。

涙目のイーブイと、目を合わせた。

 

 

「その時は、野生で生きていけるよう、俺が何とかしてやる」

 

「ブゥ、イ………」

 

 

俺が手元に置く判断ではなく、野生で生きていけるよう手配する判断をしたからか。

波導の力もあって落ち着き始めたイーブイの目に、ほんのり希望が灯った。

希少価値から人間の欲望のままに欲しがられていたせいか、俺の言葉は完全に予想外だったらしい。

目をパチクリさせ、瞬きした影響で涙が頬を伝う。

震えが落ち着いたイーブイに、安心させるように微笑んだ。

 

 

「信じてくれ。俺は、俺達は君を守って、必ず野生で生きていけるようにする。約束する」

 

「……ブゥイ………」

 

 

真摯な想いが伝わるよう、イーブイから目を逸らさずまた頭を撫でれば、あれだけ威嚇していたイーブイは俺の言葉を信じてみる気になったようだった。

俺の手を、ペロリと舐めてくれた。

ちょろい、と言ってしまってもいいが、それだけやはり幼いのかもしれない。

 

 

「でもサトシ。野生に戻すったって、どうやって?」

 

「トレーナーや悪質な奴らに、また捕まる可能性もゼロじゃないぞ?」

 

「保護区とか、シロガネ山を当たってみるよ。保護区なら警備もいるし、シロガネ山ならレベルの低いトレーナーも悪質な奴らも、あまり入ってこない」

 

「あぁ!なるほどな」

 

「けどまぁ、このイーブイが野生で生きていけるよう、ちょっと鍛えたり教えたりしなきゃいけないことは多そうだけど」

 

 

俺のことを信じてくれたからか、俺の相棒であるピカチュウのことも信じてあっという間に仲良くなっているイーブイの、危機管理意識が本当に心配だ。

一応タケシとカスミに対してはまだ警戒心を持っていたので、及第点といったところか。

何はともあれ、俺のことを信じてくれたイーブイに改めてご飯をあげ、一旦ジョーイさんに預けて健康チェックをお願いする。

 

その間に、俺はタケシとカスミに波導でゲームコーナーの下にアジトらしきものを見つけたので潰したいと頼み、手持ちをガチメンバーに変えてもらう。

俺も手持ちをピカチュウ、スイクン、エーフィ、太陽、ゲンガー(のろわれボディ個体)、オコリザルにして、今できる最高戦力を整える。

 

いざもう一度ゲームコーナーへ、と外に出たところで目にしたのは、変装もしていないロケット団の下っ端達がうようよ溢れている姿。

よほど焦っているのか、周りに配慮せず喋ってくれたおかげで何があったのか教えてくれた。

 

 

「見つかったか!?」

 

「いやだめだ!こっちにはいない!」

 

「くそぉ!!すごく珍しいガーディの新種が!!!」

 

「ボスにも丁重に扱うよう、言われていたのに!」

 

「丁重に扱い過ぎたんだ!だから逃げ出したんだろう!鎖でも何でもいいから、縛り付けておくべきだった!」

 

「馬鹿野郎!傷が付いたら価値が下がる!」

 

「言ってる場合か!とっとと探すぞ!」

 

 

ちょっと聞こえただけでも胸糞悪い。

カスミとタケシも怒りを顕わにしたので、周辺にいた下っ端達全てをポケモンバトルでさくっと倒し、縛り上げてジュンサーさんに連絡を入れる。

タケシが見張っていると申し出てくれたので、後を任せて波導の力を全開にした。

ロケット団が見つける前に、ガーディを保護するのが目的だ。

 

最初は裏路地から調べ、ビルの中、ビルの屋上へと徐々に意識を替えて探していく。

すると、一つのビルの屋上で蹲っている波導を見つけた。

弱っているわけではないが、できるだけ気配を押し殺そうとしているのだろうその波導の持ち主は、ひどく怯えている。

カスミに見つけたと報告して、カスミが追える範囲の速度で走り出す。

 

屋上に着くと、ガーディを怖がらせないように静かに扉を開けた。

そこにいたのは、珍しいヒスイの姿のガーディ。

姿を見て、カスミが息を呑んだのがわかる。

俺はできるだけ刺激を与えないように、両手を上げて笑顔でゆっくり近寄る。

 

 

「はじめまして、ガーディ。俺、マサラタウンのサトシっていうんだ。こいつは相棒のピカチュウ」

 

「ピカ、ピカチュウ」

 

「ガゥ………」

 

 

ガーディは怯え切っており、さらに隅に縮こまるように後退る。

 

 

「俺達は君の味方だよ。君を安全なところまで連れて行きたいんだ。すぐに信じるのは無理かもしれないけど、どうか怯えないでほしい。俺達は君に、何もしない」

 

「ガゥゥゥ………」

 

 

申し訳程度に牙をむいて、ガーディは俺の手を拒絶する意思を見せる。

あまり無理強いしてガーディの信頼を損ねるようなことはしたくないし、かといって時間もかけられない。

心配そうなカスミに大丈夫の意味を込めてアイコンタクトを取り、俺はバッグからポフィンを取り出した。

昨晩作ったばかりの出来立てだ。

 

 

「腹減ってないか?よかったらこれどうだ?」

 

「ガゥ…………?」

 

 

そっとポフィンを差し出してみても、ガーディは怖がって隅から出てこようとしない。

 

 

「ピカ!」

 

 

見かねたピカチュウが俺の手からポフィンを受け取り、ガーディの傍まで寄ってポフィンをガーディの鼻先の地面に置いた。

 

 

「ガゥゥゥ………」

 

 

ピカチュウが傍に寄ると、途端に震え始めるガーディの様子に心が痛む。

ピカチュウもそんなガーディの様子を見て、そっと俺の元に戻ってくる。

本当に何もしないのかと、ガーディが疑念を抱き始めたのが全開にしていた波導でわかった。

 

そして鼻先に置かれたポフィンの匂いをクンクンと嗅ぎ、一度は後退って距離を取ろうとしたが、途端にガーディのお腹が鳴った。

動きを止めたガーディは、恥ずかしそうにそろそろとポフィンの前に戻ってきて、恐る恐る口にする。

シャクシャクと咀嚼し、ゴクンと飲み込めばガーディの表情に明るさが戻った。

 

 

「ガゥワゥ!」

 

「美味しいか?もっとあるぞ?」

 

「ガゥッ!?」

 

 

あまりの美味しさに、俺達がいることを忘れていたらしい。

俺が声をかけてポフィンを取り出すと、再びガーディは震え始めてしまった。

刺激しないように意識して優し気な笑みを浮かべ、そっとポフィンをガーディの口元まで持っていく。

 

 

「おかわり、どうだ?」

 

「ガ、ゥ……………」

 

 

散々に散々悩んだガーディは、再びガーディのお腹が鳴ったことでようやく一歩を踏み出し、恐る恐る俺の手からポフィンを食べてくれた。

シャクシャクと咀嚼するガーディの頭を、そっと優しく撫でる。

心地好かったようで、ガーディの表情から硬さが消えていく。

ポフィンを食べ終わった後、俺の手の匂いを嗅ぎ、そっと俺の方を見上げてきた。

 

 

「俺は、俺達は、君を助けるためにここに来たんだ」

 

「ピーカ」

 

「どうか、信じてちょうだい」

 

 

ピカチュウとカスミも笑顔で俺の後に続けば、ガーディはペロペロと俺の手を舐め、俺の手に頭を押し付けてくる。

期待通りに頭を優しく撫でてやれば、やっとガーディの顔に笑みが浮かんだ。

 

 

「ガウ!」

 

「…………ありがとな、ガーディ」

 

 

俺達のことを信じてくれたガーディの前に、空のモンスターボールを一つ差し出す。

 

 

「ガゥ?」

 

 

首を傾げるガーディの、可愛いこと。

 

 

「一旦ここに入って、この場所とは離れた、もっと安全な場所に行ってくれるか?落ち着いた後、君の居場所を作るからさ」

 

「ピーカピカ」

 

「ガゥ……………ワゥ!」

 

 

少し悩む素振りを見せたガーディだったが、モンスターボールと俺の顔を見比べた後、笑顔で頷いてモンスターボールに入ってくれた。

俺のモンスターボールなので、当然オーキド研究所に転送される。

博士に事情を説明するために急いでカスミとポケモンセンターに戻り、待っていてくれたタケシと合流してオーキド博士に連絡を入れる。

しばらくの間保護してほしいと頼み、健康チェックもお願いして了承を貰ってから通話を切る。

 

頬袋から電気を迸らせてやる気十分のピカチュウを肩に乗せ、改めてポケモンセンターの外に出る。

そこからは蹂躙劇の開始だ。

外に出ていた下っ端達を全て倒し、ゲームコーナーの下、ロケット団のアジトに突撃する。

 

タケシのガチメンバー、ゴローニャ、イワーク、カブトプスは平気でレベル50を超えているし、当然後れを取ることはない。

普通に戦力過多の状態で殴り込み、バッタバッタと薙ぎ倒しながら進んでいくと、大切に育てていたカスミのナゾノクサがクサイハナに進化した。

大喜びするカスミを一先ず落ち着けていると、向こうから幹部がやって来た。

 

 

「おやおや。あまりにも騒がしいので何事かと思えば。お子様がこの場所に何の用ですか?」

 

 

出てきたのは、ロケット団最高幹部のアポロ。

恐らく今までの下っ端とは別格の強さだろう。

 

 

「助けたい奴がいるんでな。悪いがここは潰させてもらうぜ」

 

「はて、助けたい奴。おや。お前は研究員が泣く泣く手放した、あの色違いのイーブイを連れて行った小僧。あのイーブイに何か不満でも?こんな実力行使ではなく、不満は受付に言ってもらわないと」

 

 

癇に障る言い方をする奴だ。

 

 

「不満じゃない。これは怒りだ」

 

「怒り」

 

「そうだ!イーブイにあれほど憎悪を抱かせることをしやがって!ガーディに対してもそうだ!お前達の行為は、見逃せない!」

 

 

モンスターボールを構える俺に、アポロはふむと頷いた。

 

 

「お子様が正義感に駆られた故の衝動的な行動というわけですか。それにしても、手酷くしてやられたものです」

 

 

アポロは倒れている下っ端達を見て、軽蔑の視線を送る。

 

 

「後で鍛え直す必要がある」

 

「お前達に後があると思うか?」

 

「粋がるのもここまでですよ。行きなさい、マルマイン!」

 

「エーフィ、君に決めた!」

 

「フィ!」

 

 

出されたマルマインは、やはりというかレベルが高い。

普通に50近くある。

加勢しようとするタケシとカスミを一旦制して、今の俺がどこまで行けるのか試してみることにした。

 

〝だいばくはつ〟や〝じばく〟される可能性があったので、距離を詰めることはせずに〝あくび〟と〝サイケこうせん〟、〝めいそう〟からの〝アシストパワー〟で攻める。

素早さが高いマルマインの攻撃を避ける時は必ず〝でんこうせっか〟に頼り、油断はしない。

最後の最後で予想通り〝だいばくはつ〟をされたが、波導を使わずとも読めていたのでずっと手に持ったままだったモンスターボールにエーフィを戻すことで完全回避した。

 

 

「ほう……。ただのお子様ではないようですね。では次はどうします?」

 

 

面白そうに嫌な笑みを浮かべるアポロが次に繰り出してきたのは、ゴルバット。

ここは相性の差で押していこうと、ピカチュウを送り出す。

空を飛ぶ相手ということで少し手こずるな、と考えていたら、まさかの〝とんぼがえり〟で逃げられマタドガスが出てくる。

交代際に〝10まんボルト〟を入れられたのがまだ救いか。

 

こいつも〝だいばくはつ〟や〝じばく〟に気を付けなければいけない。

と考えていたら、〝どくどく〟で避ける間もなく猛毒状態にされる。

搦め手も使ってくるのか!

ピカチュウを一旦下げてもいいが、モンスターボールに戻せない都合上、毒のダメージは入り続ける。

どくけしを使わせてくれる隙は、残念ながらなさそうだ。

 

心を鬼にしてピカチュウ続行を決め、スピードで錯乱しながらダメージを与え続け、気合で戦闘不能にまで持っていった。

マタドガスがアポロのモンスターボールに戻ると同時にピカチュウも俺の元に戻ってきて、毒のダメージで戦闘不能になる。

頑張ってくれたピカチュウを労い、カスミに預けてから改めてアポロと向き合った。

 

 

「中々にやりますね。実に面白いです。ですが、これ以上の邪魔はさせませんよ。行きなさい、ブーバー!」

 

 

次に出てきたのは、ブーバー。

こちらが出すのは決まっている。

 

 

「太陽!君に決めた!」

 

「グアァァァァ!!!」

 

 

やる気十分の太陽に任せ、炎タイプ同士の戦闘になった。

最終進化している太陽相手に、アポロのブーバーは一歩も引かなかった。

火力はほぼ同じ。

〝かみなりパンチ〟を使ってくることで、むしろこちらが追い込まれそうになったが空を飛べる利点を活かして、なんとか戦闘不能に持っていく。

 

太陽が負ったダメージも、少なくない。

続けて出されたゴルバットと空中戦を繰り広げ、ブーバーに負わされたダメージで先に太陽がダウンしてしまったがエーフィが残りを持っていってくれた。

 

これで終わり――――――と思っていると、アポロは五つ目のモンスターボールを取り出した。

まだいるのか!

思わず驚きに目を見開いた俺を、愉快そうに笑いながらアポロが繰り出したのは、ヘルガー。

 

 

 

それも――――。

 

 

「あれは………」

 

「お前に、暴力の一端を見せてやりましょう。ヘルガー、メガシンカ!」

 

 

アポロが持っていたキーストーンと反応し、ヘルガーの姿が変わっていく。

 

 

「グォォォォォォォォォォオオオオ!!!!!!!」

 

 

メガヘルガーへとメガシンカしたヘルガーは、とてつもない咆哮を上げた。

思わず冷や汗が出る。

メガシンカ。

まさかこんなに早く目にすることになるとは。

 

 

「サトシ!ここは俺達も加勢する!」

 

「そうよ!何も一人で背負うことないわ!行くのよ、マイステディ!」

 

 

慌てたタケシとカスミが横に並び、それぞれゴローニャとスターミーを繰り出す。

正直ありがたい。

今の俺じゃ、90%勝てないだろう。

 

 

「ピィカ」

 

 

レベルだって50を超えているのだから。

 

 

「サトシ、行くぞ!」

 

 

本当に?

 

 

「サトシ!」

 

 

このままでいいのか。

 

 

「………サトシ、どうした?」

 

 

本当にそれでいいのか。

これから先。

こんな強敵とやり合える機会なんて、ごく僅かだぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

帽子のつばを掴んで、後ろに回す。

 

 

 

 

タケシとカスミよりも一歩前に出て、エーフィをモンスターボールに戻し、オコリザルを繰り出す。

 

 

 

 

今の俺に残されているのは、エーフィ、オコリザル、ゲンガー、スイクン。

 

 

 

 

スイクンという手は、なしだ。

 

 

 

 

いざとなったらスイクンがいる。

 

 

 

 

そんな甘えた思考じゃ、いつまで経っても強くなれない。

 

 

 

 

だからここは、エーフィとオコリザル、ゲンガーで勝つ術を探す。

 

 

 

 

これは―――――。

 

 

 

 

 

 

「悪い、タケシ、カスミ。本当に、本当にありがたいんだけど、ここは俺一人にやらせてくれ」

 

「サトシ!!!!我が儘言ってる場合じゃないでしょ!負けたら―――!!!」

 

「負けた時のことは考えない。これは、俺の意地だ。これは、俺が始めた戦いだから。俺が、決着をつけるよ」

 

「…………………………………サトシ………」

 

 

さすがに怒って俺の頬を引っ叩こうとしたタケシは、俺の目を見てその行動を止めた。

胸倉を掴んでいた手の力を抜き、しょうがなさそうに大きなため息を吐く。

 

 

「終わったら、説教だぞ」

 

「……あぁ。ありがとう」

 

 

折れてくれたタケシにお礼を言って、思考を急速回転させる。

 

 

考えろ。

 

 

勝つには。

 

 

ゲンガーの〝ナイトヘッド〟が一番ダメージが入る。

 

 

オコリザルはまだ俺との戦闘経験が少ない。

 

 

オコリザルですべき行動は。

 

 

エーフィはどうする。

 

 

何をするのが正解だ?

 

 

メガシンカに。

 

 

打ち勝つためには。

 

 

 

 

 

 

 

 

オコリザルは、メガヘルガーの高い特攻から繰り出される〝かえんほうしゃ〟に、近寄ることができなかった。

気合で近付いて〝あばれる〟をぶち込んだが、超至近距離で放たれた〝かえんほうしゃ〟に戦闘不能になってしまい、エーフィに交代する。

 

〝あくび〟で眠気を誘えればと思ったが、上手いこと技で防がれてしまい、決まらない。

〝バークアウト〟の一撃で戦闘不能寸前まで追い込まれてしまったので、ゲンガーに交代。

ほとんど何もできず、最終手段のゲンガーを引きずり出された。

 

 

「行くぞ、ゲンガー!相性は悪いが、お前なら絶対勝てる!」

 

「ゲン!!!!!」

 

 

ゲンガーは、レベルの高さから唯一まともに戦えた。

高い素早さと特攻を活かし、〝シャドーボール〟と〝サイコキネシス〟、〝れいとうパンチ〟で技を相殺して〝ナイトヘッド〟でダメージを与える。

メガシンカしている差としていない差は大きかったが、それでもだいぶ削ってくれた。

 

しかし、あと一発〝ナイトヘッド〟を当てることができれば勝てる!というところで、必中の〝だましうち〟にしてやられ戦闘不能になってしまった。

残るは相性最悪のエーフィ、ただ一人。

 

 

「…………頼むぞ、エーフィ!」

 

「フィィィィ!!!!」

 

 

絶体絶命の状況で、それでも諦めず俺達はアポロと対峙する。

 

 

「泣けますね。仲間の手を借りていればもう少しまともに戦えたでしょうに」

 

「それでもよかったが、それじゃあ俺が成長できないんでね」

 

「おや。踏み台というわけですか。生意気な」

 

 

アポロと軽口を叩くぐらいの冷静さはある。

余裕?

そんなものは微塵もない。

ないが、冷静さは保たねば戦況を見誤る。

まだ、負けていないのだから。

 

 

「エーフィ、〝でんこうせっか〟!」

 

「フィ!」

 

 

エスパータイプの技が効かない悪タイプである以上、〝でんこうせっか〟で攻めて攻めて攻めるしかない。

アポロもそれをわかっているのか、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべて何も指示をしない。

完全に舐められている。

 

 

「エーフィ。俺は」

 

 

こんな時だからこそ。

 

 

「お前を信じてる」

 

 

それが、力になると信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フィィィィィィィイイイイイイイ!!!!」

 

「!!?ガ、ガゥ…ッ!!!?」

 

 

エーフィの体から光が迸り、その光に当てられたメガヘルガーが突然苦しみだす。

 

 

「なんだ!?」

 

「あれは!!」

 

 

波導で調べてみると、新たな技スロットが二つ追加され、それぞれ新しい技名が記されていた。

 

 

「〝マジカルシャイン〟………フェアリータイプの技!」

 

「フェアリータイプだと!?」

 

 

アポロが俺の言葉を聞いて、驚愕に顔を歪ませる。

油断、大敵。

 

 

「エーフィ!もう一つ新技だ!〝でんこうせっか〟からの〝ドレインキッス〟!」

 

「フィィッ!」

 

 

〝でんこうせっか〟で距離を詰め、〝ドレインキッス〟で体力を奪う。

〝バークアウト〟で大ダメージを負ったエーフィの体が、みるみる回復していく。

 

 

「何だと!?」

 

「終わりだアポロ!〝マジカルシャイン〟ッッ!」

 

「!!!!〝かえんほうしゃ〟ぁぁぁぁ!!!!」

 

 

ヘルガーと距離を詰めたままのエーフィが再び輝きだし、超至近距離で〝マジカルシャイン〟がヘルガーに当たりその眩しさ故に目を潰す。

最後っ屁で放たれた〝かえんほうしゃ〟はしっちゃかめっちゃかな方向に放たれ、最終的には傍にいたエーフィを薙ぎ払って終わった。

 

 

「エーフィッッ!!!!」

 

 

強力な〝かえんほうしゃ〟に払われて、エーフィは〝ドレインキッス〟で回復したにもかかわらず、誰がどう見ても戦闘不能の状態に追い込まれた。

意地で立っていたが、その足は震えている。

メガヘルガーはというと………。

 

 

「チィッ!!!!!」

 

 

大きな舌打ちをして、アポロは戦闘不能になってメガシンカが解けたヘルガーをモンスターボールに戻す。

 

 

「……………この借りは忘れませんよ。絶対にいつか、返させてもらいます」

 

 

鬼の形相でそう言って、アポロは逃げ去って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサリ。

 

 

 

 

「!!!!エーフィ!!!!」

 

 

倒れる音に、慌ててエーフィに駆け寄って抱き上げる。

 

 

「フィ~~……」

 

「勝った、勝ったぞエーフィ!!!本当に、本当にありがとな!!!すごいぞ!!!!」

 

 

感極まって、エーフィの傷に障らない程度にエーフィを抱きしめる。

エーフィも嬉しそうに擦り寄ってくれた。

 

 

「やったな、サトシ」

 

「ほんと、無茶ばっかりなんだから……」

 

 

カスミとタケシも傍に寄ってきてくれて、全員の無事を確認する。

よかった。

勝てた。

 

 

「ピィカ。ピカチュウ」

 

「ピカチュウも。ほんと、ありがとな」

 

「チャ~~~~~」

 

 

カスミに抱かれているピカチュウの頭を撫でて、心を落ち着けた。

その後、残っていた下っ端の相手はさすがにカスミとタケシに任せ。

全てが片付いた後にやってきたジュンサーさんに後を任せて、ポケモンセンターに帰宅した。

スイクン以外の全員をジョーイさんに預け、健康状態は特に異常なしだとされたイーブイに再び面会する。

タケシとカスミは先に部屋で休むと言って別れたので、今は久しぶりの一人だ。

 

 

「イーブイ」

 

「ブイ……?ブイ!ブイブイ!」

 

 

部屋に入って呼びかけると、途端に尻尾を振って出迎えてくれるこのちょろさよ。

 

 

「君はもう、自由だよ。君を捕らえたあいつらは、一先ず捕まえたから」

 

「ブイ!?ブーイ!」

 

 

俺の言葉を正確に理解しているのか、イーブイは体全体で喜びを顕わにする。

 

 

「約束通り、君を野生で生きていけるよう、手配したい。それでいいかい?」

 

「ブ………」

 

 

俺の言葉に、何故かイーブイの動きが止まる。

何か考え込んだと思ったら、耳を下げ俯いてしまう。

 

 

「どうした?何か不安なことでもあるのか?」

 

「ブゥゥイ……」

 

 

イーブイがいたベッドに腰掛けて尋ねてみると、イーブイは俺の傍に来てちょこんと俺の膝の上に乗る。

 

 

「まだまだ幼いみたいだから、一人で生きていくのは不安か?」

 

「……………ブイ………」

 

 

当たりらしい。

 

 

「それじゃあ、しばらくは俺達と一緒にいるか?色々世界を見て、バトルの特訓をして、一人でも大丈夫だって思えるようになったら、その時はそう言ってくれれば野生に返れる場所を紹介するよ」

 

「ブ!ブイブイ!」

 

 

それでいいようで、イーブイは笑顔で頷いてくる。

仮ゲット、ってところかな。

 

 

「それじゃあ、それまでの間はよろしくな、イーブイ」

 

「ブーイ!」

 

 

改めてイーブイをモンスターボールに入れると、正式な俺の手持ちとして認識され、オーキド研究所に転送される。

オーキド博士に連絡を取ると、ガーディも健康状態問題なしのようだった。

ジョーイさんから元気になったポケモン達を返してもらい、手持ちをピカチュウ、スイクン、イーブイ、ガーディ、フシギダネ、ヒトカゲにしてオーキド博士との連絡を終える。

自分の部屋で休んでいたタケシとカスミに俺も休むと一言入れ、部屋に入った。

そして、ガーディをモンスターボールから出す。

 

 

「改めまして、ガーディ。俺はサトシ。よろしくな?」

 

「ワゥ!」

 

 

律儀にお座りして尻尾を振ってくれるガーディの可愛いこと可愛いこと。

 

 

「君を探していた連中は、一先ず捕まったよ。全員じゃないけどな。それでも一旦は落ち着いた。それでだけど、君はこれからどうしたい?」

 

「ガゥ……?」

 

 

どうしたい、と聞かれてガーディは首を傾げる。

 

 

「俺としては、君には絶対に安全だと思える場所に居てもらいたいんだ。どういう経緯でここに来たのかは知らないけど、君はこの場所じゃなく、世界単位で見ても珍しすぎる。きっと、欲しいって人間が後を絶たないと思う」

 

「ワゥゥ………」

 

 

困った表情でどうしよう、とばかりに体を揺らすガーディ。

 

 

「俺が傍で守れたらいいんだけど、俺はまだまだ弱い。俺よりも強いやつなんて、この世界にごまんといる。だから、そういう人に貰われるか、もっと安全な……………そうだな、ポケモンレンジャー協会にでも頼むか、ポケモンGメンのワタルさんに連絡を取ってもらうか……」

 

 

う~~~~~~~~ん、と悩んでいると、ガーディにちょいちょいと前足で突かれる。

 

 

「ん?どうした?」

 

「ガウ!」

 

 

ガーディは尻尾を振って、俺に飛び付いてきた。

急なことだったが、鍛えているので後ろに倒れたりはしなかった。

 

 

「おっと。どうしたんだ?」

 

「ガゥ!ワゥワゥ!ガウ!」

 

 

ガーディはへっへっへっ、と舌を出しながら何事か訴えかけてくる。

お腹が減っているのかとポフィンをあげてみたが、違う。

ブラッシングでもしてほしいのかとブラシを取り出せば、違う。

撫でてほしいのかと撫でてみても、違う。

どうしたのだとようやく波導を向けてみると、一緒にいたいの意思。

 

 

「………………俺で、いいのか?俺、まだまだ弱っちくて、全然頼りにならないぜ?」

 

「ワゥ!ワゥガゥ!ワゥワゥワゥ!」

 

 

聞けば、オーキド研究所にいる時に、俺のポケモン達に俺のことを色々聞いたらしい。

全員が全員、幸せそうな表情でトレーナーである俺のことを一途に信じ続けている姿を見て、自分も俺と一緒にいれば幸せになれるのではないかと思ったのだとか。

自分のために一生懸命頭を悩ませる俺の姿を見て、決心がついたのだと。

それに――――。

 

 

「一緒に強くなるのが、ポケモンとポケモントレーナーの在り方、か……」

 

「ワゥ!」

 

 

新参のガーディにそれを言われてしまえば、弱い。

 

 

「わかった。一緒に行こうぜ、ガーディ。俺が責任を持って、お前を幸せにするよ」

 

「ガゥ!ワゥワゥワゥ!」

 

 

俺の言葉を聞いて大喜びで俺に擦り寄ってくるガーディが可愛いので、まぁよしとしよう。

ずっと静かにしてくれていたピカチュウの方を見ると、ベッドで丸くなって眠ってしまっていた。

無理もない。

大激戦だったからな。

俺も仮眠をとるために、ガーディを抱き上げてベッドに横になり、ガーディを寝かしつけるのだった。

 

 







・巨大ポケモンの島を壊したことでロケット団の資金源が不足し、一時的にでも資金を増やすことを目的として今回の騒動が起こった。
色違いのイーブイが景品になったのはサトシがやってくる数日前。
思ったよりもかなり早い段階でコイン十万枚を集められてしまったので、結果としてあまり売り上げは出ていない。

・ゲームだと絶対に勝てない相手に、現実だからこそ勝った。
ぶっちゃけサクラギ研究所になる建物の前で、ゲンガーをゲットしていなかったら絶対勝てなかった相手。
アポロがメガシンカというわかりやすい力の暴力に酔い、心底油断していたのが大きい。
スイクン以外の全員が戦闘不能になったが、それでも成長はできた。
尚、後でタケシにしこたま怒られる。





スイクン(色違い) Lv.46

エーフィ♀  Lv.38→48

リザードン♂ Lv.41→48 -太陽-

ピカチュウ♂ Lv.38→46

ロコン♂(色違い) Lv.32

バタフリー♂ Lv.30

ピジョン♂  Lv.35

ニドリーノ→ニドキング  Lv.32

フシギダネ♂ Lv.27

ヒトカゲ♂  Lv.28

ゼニガメ♂  Lv.28

クラブ♂   Lv.27

ニンフィア♀ Lv.30

ゲンガー♂  Lv.50→52

バタフリー♀(桃色の色違い) Lv.15 -モルガナ-

ゴースト→ゲンガー♂  Lv.30

オコリザル♂ Lv.35→40

イーブイ♂(色違い) Lv.5 NEW!

ガーディ♂(ヒスイの姿) Lv.20 NEW!

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