転生サトシの旅路   作:ナノブ

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2.いつか君を見つけた時に

第3話 運命の出会い

 

 

いつもと違うのは、空気でわかった。

 

ひんやりと心地良い風が頬を撫でて。

 

いつもより澄んだ湖を目にして。

 

思わず感嘆のため息をもらした。

 

 

 

そして目の端に捉えた――――水色。

 

 

 

 

 

思わず、息を呑む。

 

 

 

 

 

美しい。

 

 

 

 

 

 

とても、美しいポケモン。

 

 

それが。

 

 

 

 

 

「(色違い、の、………スイクン!?)」

 

 

 

息を呑んだことで声にはならなかった驚き。

 

 

 

ここにいるはずのない、色違いのスイクンが、そこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

驚きで動けなかった俺とスイクンは、しばし見つめ合っていた。

 

何をするでもなく。

 

俺は動けなかった、が正しいが。

 

スイクンの方は、俺のことをじっと観察しているようだった。

 

 

 

 

しばらくしてふいと視線を逸らしたスイクンは、去って行こうとしたようで、落ち着けていた腰を上げた。

 

 

止める気はなかった。

 

会えただけで、僥倖。

 

いつか友人になりたいという、夢は抱いたが。

 

それでも自分にも今スイクンをどうこうする気はなく。

 

去って行くのを見送ろうとして―――――――気付いた。

 

 

 

足、を――――引きずっている?

 

 

 

 

だから。

 

 

 

 

「待ってくれ!!!!!」

 

 

 

 

咄嗟に、呼び止めてしまった。

 

 

見過ごすなんて、できなかったのだ。

 

 

スイクンの右後ろ脚に、身体の色に似合わない真っ赤な血が付着し、大きな切り傷が見えたから。

 

 

 

 

大きな声を出してしまい、逆にスイクンは去ってしまうかと思ったが、律儀に振り返ってくれた。

見える感情の色は、不信と嫌悪と憎悪、らしきもの。

感情が目で見えるようになってから、初めて見る色だ。

慌てて俺はスイクンに敵意がないことを知らせようと、両手を目いっぱい広げた。

 

 

「何もしない!!何もしないから、傷の手当てだけさせてくれないか!?」

 

 

反応はない。

ただ見定めるように、じっと視線を逸らさず再び見つめてくる。

そんなスイクンに誠意が伝わるように、必死に言葉を考える。

 

 

「だってそれ、痛いだろう?ばい菌とか入ったらまずいだろうし………少しでも早く治すために、その手伝いをさせてくれないか?信頼できないのはわかる。俺を警戒するのは当然だ。でも、俺は本当に何もしない。俺はお前の傷を治すために、手当てだけしたいんだ。お前を傷付けるつもりがないってことを、俺の命にかけて誓う。どうか、信じてくれ!」

 

 

必死に言葉を紡ぐ。

精神年齢は高くても地頭が良くないから、普通の言い回ししかできないが。

それでも、自分の心が伝わるように。

心配なだけだとわかってもらえるように。

スイクンの目を見つめて、俺も逸らさずに、必死になって誠意を伝えた。

 

 

 

 

どれくらい経っただろう。

時間にして三分ほど経った時、スイクンは諦めたようにゆるりと首を動かして再びその場に腰を落ち着けた。

気持ちが伝わったのか小さい子どもだからと多少心を許してくれたのか。

どちらでも構わない。

俺は嬉しくなって満面の笑みになる。

 

 

「ありがとう!ちょっと……ちょっと、待っててくれ!治療の道具を持ってくる!」

 

 

スイクンの気が変わってしまわぬうちにと、慌ててオーキド研究所までの道をひた走る。

今ばかりは大人じゃない小さな身体が恨めしい。

もっと速く走れれば良かったのに。

 

そんなことを考えているうちにオーキド研究所が見えて、急いで駆け込んだ。

 

 

「博士!キズぐすりない!?できればオレンの実とか、オボンの実もあると良いんだけど!」

 

 

いきなりドアを開け放ってそう言うと、おっかなびっくりした顔のシゲルとオーキド博士、そしてシゲルの姉のナナミさんがいた。

 

 

「なんじゃいサトシ。そんなに慌てて大きな声を出しおって…………一体何があったんじゃ」

 

「まったくサートシ君は――」

 

「説明している時間が惜しいんだ!傷付いているポケモンがいる!あるなら早急にほしいんだ!」

 

 

シゲルが構って来ようとしたので今はそれを遮ってオーキド博士に突撃した。

本当に、説明している時間が惜しい。

そうこうしているうちに、スイクンの気が変わってしまうかもしれない。

あまりにも必死な様子にオーキド博士はポカンとなり、見かねて動いてくれたのはナナミさんだった。

 

 

「はいこれ。すごくよく効くキズぐすりよ。それから、家で育てている、オレンの実とオボンの実」

 

「!!」

 

 

持ってきて差し出してくれたのは、救急箱に入ったすごいキズぐすりと、ご丁寧に網ネットに入ったオレンの実が三個にオボンの実が三個。

慌てて受け取って、頭を下げる。

 

 

「ナナミさん、ありがとうございます!」

 

「どういたしまして。傷付いているポケモンがいるなら、早く行ってあげて?」

 

「はい!!」

 

 

目的の物以上にすごい効果が得られるキズぐすりが手に入り、あまりにも優しいナナミさんに笑顔で頷いた。

そして元来た道を再び走り出すと、背中の方からオーキド博士の

 

 

「こりゃサトシ!!森や草むらには入っちゃいかんぞ!!!」

 

 

という声が聞こえてきたので、

 

 

「はーい!!!!」

 

 

と形ばかりの返事をしておいた。

救急箱と網ネットに入っている木の実を抱え、急いでスイクンの元まで戻る。

いささか遠くにある湖のため、小さい足ではどんなに頑張っても時間がかかってしまうのが悔やまれる。

 

走って走って走って。

ようやくたどり着いたその先では、スイクンが静かに伏せたまま、そこにいてくれた。

待っていてくれたことが嬉しくて、呼吸を整えながら緩む頬を抑えきれずに、ニマニマしながらゆっくりと近付いた。

スイクンは気配で気付いていたのか、伏せていた瞳をそっと開けてこちらを見つめる。

そんなスイクンにも見えるように、救急箱と木の実を掲げた。

 

 

「持ってきたよ、治療の道具!これで傷が早く治る!」

 

 

こちらが笑顔でそう告げても、スイクンはただ静かに見つめるのみ。

自分だけがはしゃいでいるようで少し気恥ずかしくなり、掲げていた腕を下ろしてそっとスイクンに近寄った。

 

濃くなる警戒の色。

それでも動かないでいてくれるスイクン。

なるべく緊張をさとらせないように傍に腰を下ろして、救急箱を地面に置いた。

 

 

「これ、体力が回復するオレンの実とオボンの実。毒とかは本当にないから、良かったら食べてくれ」

 

 

そう言ってスイクンの顔の近くに木の実を合計で六つ、転がす。

スイクンは微動だにしなかった。

ただただ猫のように警戒しながら、じっと俺を見つめていた。

 

その視線と視線を合わせ、微笑む。

大丈夫だと伝えたくて。

もう心配はいらないと、思ってほしくて。

しばらくじっと俺と視線を合わせていたスイクンは、ふいと視線を逸らして木の実のほうを見た。

ジーッと見つめ、おそるおそる口を開ける。

そして、しゃくりと一口木の実を口にした。

 

それもまた嬉しくて、俺はパァァと笑顔になる。

お気に召したようで木の実を食べ始めたスイクンを横目に、俺はスイクンの傷の手当てを始めた。

傷口を洗い、消毒し、すごいキズぐすりを吹きかけ、タケシから教えてもらった薬草が運の良いことに近くに生えていたので、それを塗り。

スイクンは意地で痛みに耐えているようだった。

最後に包帯を巻いて、出来上がり。

 

 

「はぁぁぁ、できた~~」

 

 

記憶をたどりながらタケシに教わった通り傷の手当てが完了し、俺はようやく肩の力を抜いた。

血が流れる痛々しい傷を見て、気が滅入らないほど体の年齢がまだ大人じゃなかった。

額の汗を拭って両足を投げ出し一息ついてスイクンの方を見ると、スイクンはすでに木の実を全て食べ終わり、包帯が巻かれた自分の足をじっと見ている。

 

 

「…………まだ痛いか?」

 

 

心配になってそう聞けば、ゆるりと首を横に振って答えてくれた。

答えが返ってきたことが嬉しくて、「そっか」とニコニコ笑顔でこちらも返した。

そんな俺をちらりと見たスイクンは、ふいと顔を逸らして真正面を向く。

 

 

「なぁ、お前のこと、何て呼んだらいい?スイクン、で良いのか?」

 

 

人間に名を呼ばれたくないかもしれない。

そんな思いからの確認だ。

人間に良い感情を抱いていないのは、色でわかるから。

もう嫌な思いは、してほしくなくて。

 

 

「…………」

 

 

しばらく横目でこちらを見ていたスイクンは、クォォ…と、綺麗な声で答えてくれた。

おそらく、好きにすれば良い、と言ってくれたのだ。

 

 

「ありがとう!俺、サトシっていうんだ。よろしくな、スイクン!」

 

 

笑顔で挨拶しても、スイクンは無表情。

それでも逃げることなく、避けることなく、俺が傍に居ることを許してくれていた。

少しだけ警戒の色が薄まり、感謝の感情を抱いてくれたことも、色でわかる。

優しいポケモンである。

 

しばらく二人で、静かに湖の水面を見つめていた。

太陽の光が反射して、風に揺られてキラキラ光る。

泳いでいる水ポケモン達が、気まぐれで飛び出しては再び水の中に戻っていく。

穏やかな時間だ。

心癒される空間だ。

そんな空間にスイクンと二人。

その事実に気が緩み、つい俺は口を開いた。

 

 

「なぁ、スイクン…………俺さ、バケモノなんだ」

「………?」

 

 

俺の言葉に、スイクンは律儀に視線を向けて僅かに首を傾げる。

バケモノではなく人間だろうと、その目が語っていた。

そんなスイクンに苦笑いして、今の“俺”について話し出す。

俺がどういう存在か、スイクンにわかってもらう良い機会でもあった。

 

 

「バケモノなんだよ。その存在が抱いている感情が、色で見えるんだ。スイクンが今、人間達を憎悪していることも、嫌悪していることも、不信に思っていることも、俺に対しては少しだけ心を許してくれていることも、色でわかるんだ」

 

 

自分の感情を言い当てられたからか、スイクンは顔を上げてはっきりと俺の顔を見た。

勝手に心を覗き込んでしまう申し訳なさから、苦笑いしたまま俯く。

 

 

「勝手に心を覗き見て、ごめんな。でもこれ、俺自身にもどうしようもないんだ………生まれた時から勝手に見えるものだから……。それだけじゃないんだぜ?」

 

 

再び顔を上げた先で、スイクンはゆっくりと目を細めた。

 

 

「ポケモン達が使える、技がわかる。覚えられる、技の数がわかる。特性がわかる。たぶん、急所の場所がわかる。能力をどう伸ばせばいいか、何となくわかる。能力値が、わかる」

 

 

能力値がわかるとは、いわゆるジャッジさんの能力と似たようなものだろう。

歩くポケモン図鑑にジャッジ機能が追加されたバージョンの目を持っている、ということである。

そんな人間、廃人やハンターや密猟者が泣いて欲しがりそうなものだ。

ブリーダーや育て屋、警察官に向いている力だろう。

いっそ本当になってしまうか。

目を細めていたスイクンは、今度はゆっくりと目を見開いた。

 

 

「嘘じゃないぜ?スイクンの今覚えている技、〝ぜったいれいど〟、〝エアスラッシュ〟、〝しんそく〟、〝アクアリング〟、〝みずのはどう〟、〝めいそう〟、〝ほえる〟の七つだろう?他にもスイクンは、まだまだたくさんの技を覚えられる。技のスロットが、ええと……………………じゅ、じゅうご!?………ある、か、ら………」

 

 

スイクンの技スロットを数えていて、俺の方が驚いてしまった。

さすが、伝説のポケモン。

規模が違う。

驚く俺をよそに、スイクンは納得したように一つ頷いて変わらぬ態度で俺から目を逸らし、再び水面を見つめた。

 

 

「………………気味悪く思わないのか?俺のこと……」

 

 

自分から話しておきながら、一番気になっていたことを聞いてしまった。

自分の目が、見えているものが、異常だと理解していたからこそ。

知られてしまっては、色々な意味でとんでもないことになると、わかっていたから。

今まで一人で抱え込んできたものだった。

スイクンは何か考え込むようにしてしばらく、静かにクォォ、と綺麗な声で答えてくれた。

 

 

「えっ………は、波導?俺が言ったこと、全部波導の力で片付くの!?」

 

 

スイクンは静かに頷く。

スイクンの言った言葉が、なんとなくわかるのも、波導のおかげか。

波導の力。

前世と言って良いのかわからないが、前のサトシの時はそんな力が目覚めた記憶はない。

波導の片鱗は確かにあったが、ここまで強力なものではなかったはずだ。

強力、強力か……。

 

 

「波導の力が強力過ぎて、コントロールできてないから色々見えてる、のか………?」

 

 

思わず呟いた言葉に、スイクンからの肯定が返ってくる。

まさかまさか、であった。

自分の両手を見下ろして呆然とする俺をチラリと見たスイクンは、次いでこうも言ってくれた。

 

 

「えっ…………波導だとわかってしまえば、俺の持つ特性なだけだから、気味悪くない?」

 

 

思わず聞き返してスイクンの顔を見上げた俺に、スイクンは目を合わさないまま頷いてくれる。

口まで開けてポカンとしていた俺の涙腺がふいに緩もうとする。

ギュッと両手を握り、慌てて耐えた。

 

 

「………ありがとな、スイクン」

 

 

スイクンからの返答はない。

しかしそれでも、俺に対してまた心を許してくれたというのが色でわかる。

話して、良かった。

 

さて、そろそろ帰らなければ夕暮れ時になってしまう。

俺は救急箱にゴミを全て入れ、抱えて立ち上がった。

 

 

「今日はありがとう、スイクン。なぁ、また明日も来て良いかな?包帯替えようぜ?」

 

 

スイクンは俺の方をじっと見つめ、静かに頷くことで答えてくれる。

 

 

「サンキュー、スイクン!それじゃ、また明日!」

 

 

スイクンに一時の別れを告げ、手を振ってオーキド研究所までの道を歩き始める。

相変わらず俺の視界にはポケモン達の技スロット、感情の色が見えているが、スイクンに会う前のような気の滅入りはなかった。

むしろ、心が軽い。

スキップして帰れそうなぐらいだ。

 

原因がわかった。

事情を聞いても気味悪がらないでくれた存在がいた。

 

それだけで、ただただ心が弾むほど嬉しかった。

波導の力をコントロールできれば、ごちゃごちゃ考えずにバトルすることができるかもしれない。

ただポケモン達の未来を守るためだけに、力を使えるようになるかもしれない。

見ていた未来が広がり、世界が明るくなったようだ。

 

そんな感じでルンルンでオーキド研究所に帰った俺は、オーキド博士とナナミさんに草むらに入ったと思われており、救急箱を返す際にしこたま怒られたのだった。

そして一頻り怒られ終わった俺に待っていたのは、シゲルからのからかいだった。

さらには母さんにまで草むらに入った疑惑の話が伝わり、母さんにまで怒られたのだった。

 

 

 

 

 

第四話 夢とポケモンマスター

 

 

翌日、俺は朝から家の救急箱を抱えてスイクンがいた場所に走って向かっていた。

朝の空気は澄んでいて爽やかだ。

走る必要は特にないのだが、これも運動、ひいては特訓である。

 

スイクンがいた湖に着くと、スイクンは何やら水ポケモン達と話し込んでいた。

邪魔しちゃいけない気がして、足を踏み込むことを躊躇する。

しかし伝説のポケモンが俺の気配に気が付かないはずもなく、すぐに顔を上げてこちらを見た。

水ポケモン達も俺の方を見た後、スイクンに何やら頭を下げた後湖に帰っていった。

 

 

「悪い、話の邪魔しちゃったかな?」

 

 

俺の言葉に、スイクンは首を横に振りながら湖の淵に腰掛ける。

俺はスイクンに近付いて、昨日包帯を巻いた傷を改めて見た。

 

 

「包帯、替えるな?」

 

 

スイクンが頷いたのを確認し、スイクンの許可を得て昨日の包帯を取り替えていく。

まだまだ痛々しい傷ではあるが、昨日よりは幾分マシになったように見える。

救急箱から新しいキズぐすりを取り出し、吹きかけて薬草を付けてから新しい包帯を巻いていく。

綺麗に巻き終わったところで、一息ついた。

 

 

「ふぅ………こんなところか。なぁこの傷、どうしたんだ?」

 

 

昨日は聞けなかったことを、あえて聞いてみた。

今なら答えてくれるかもしれなかったから。

しかし予想に反し、スイクンは目を伏せ固く口を閉ざして拒絶の姿勢を取っている。

それを見て、スイクンの事情を聞くのは諦めた。

何も無理に聞き出さなければならない理由はない。

 

 

「そっか。話したくないなら、それで良いんだ。答えたくないこと聞いて、悪かったな」

 

 

あっけらかんとしながらそう言うと、スイクンは目を開けてこちらを見てくれた。

今日は朝から来たのでまだまだ時間がある。

スイクンが話したくないのなら、自分から話そう。

 

 

「なぁ。俺のことについて、もう少し話しても良いかな?知ってほしいんだ、スイクンに。俺がどんな存在か。そうすれば、俺のことそんなに警戒しなくてよくなるだろ?」

 

 

俺の提案に、スイクンはしばらく何も反応しないでいたが、根気強く待っていると小さく頷いてくれた。

それが嬉しくて、笑顔でお礼を言う。

 

 

「ありがとう!そうだな、何から話そうかな………。まず、俺さ、………ええっと、その………」

 

 

さすがに言い淀む。

この世界の人間じゃないかもしれないなんて、昨日のようにまた突拍子もないことを言い出して今度こそ呆れられてしまわないか。

変に思われないか。

自信がない。

自信がないからこそ、今まで誰にも言えなかったのだ。

 

しかしスイクンは、根気強く俺の言葉を待ってくれていた。

静かな瞳が、真剣に俺の話を聞こうと目を合わせてくれていた。

昨日、俺の話を疑うことなく、一も二もなく信じてくれたスイクンをもう一度信じて、俺は重たい口を開いた。

 

 

「俺の中に、この世界じゃない別の世界で生きた、二人分の記憶があるんだ。それも、二人とも違う世界の記憶だ」

 

 

どういうことか、と目で問いかけてくるスイクン。

なので話した。

生まれてすぐに高熱を出したこと。

その時に、サトシとして生涯を終えた記憶、すなわちアニメポケットモンスターそのままの記憶と、そのアニメを見ていたポケモンがいない世界で社会人として生きていた記憶を思い出したこと。

いわゆる転生者で、知識があること。

今の自分はアニメポケットモンスターの主人公、サトシに再び生まれてきていること。

記憶があるので周りの子どもたちに馴染めず、一人が楽なこと。

このことも、まだ誰にも話していないこと。

包み隠さず、全てを話した。

 

スイクンは口を挿まず真剣に聞いていてくれた。

最後まで話し終わって、沈黙が流れる。

やはり呆れられたか、ホラ話だと一蹴されるか。

そう思ってスイクンの目を見ると、何故か納得したように頷かれた。

 

 

「し、信じて、くれるのか…?」

 

 

その問いかけに返ってきたのは、再びの頷き。

曰く、子どもにしては随分と大人び、スイクンのことを事情がわかっているかのように気を遣う様があまりにも見た目に似合わなかったらしい。

何かしら事情がある子どもだとは思っていたらしいが、事情を聞いてむしろ納得できたと、そういったことを言われた気がした。

 

信じてくれた。

その事実が、独りだった心を抱きしめてくれたような気がした。

昨日のように沸き上がってきそうになる涙を堪え、震える声でスイクンにお礼を言う。

 

 

「ありがとう、スイクン………お前、本当に優しいんだな」

 

 

俺の言葉に、スイクンは意味がわからないといった顔で眉をひそめた。

その表情で、スイクンにとっては当たり前のことなのだと知って、笑みがこぼれる。

 

 

初めてこの世界で、息ができた気がした。

 

 

初めてこの世界で、生きている心地がした。

 

 

初めてこの世界で、存在を許された気がした。

 

 

初めてこの世界に、生きていることを祝われた、気がした。

 

 

 

 

あの時のヨーギラスはこんな心地だったのかな、と独り言ちる。

世界を怖がって、生まれてきたことを拒絶していたヨーギラス。

いつからか、いや生まれた時から。

変に記憶を持っているせいで、自分も世界を怖がっていたらしい。

変に世界を知っているせいで、自分は異質だからと決めつけて、臆病になっていたらしい。

 

それも全てスイクンに抱きしめられた心地がして、逃げる必要がないことに気付いた。

逃げなくて良いのだ。

自分もこの世界の一員なのだから。

おかしくないのだ。

自分が持って生まれた力は、確かにこの世界できちんと単語を与えられている力なのだから。

変ではないのだ。

 

誰にも言えなかったことをスイクンに話し、ようやく心がすっきりとした俺はスイクンに波導の使い方について聞いてみた。

返ってきた答えは、修行しろ、と一言だけ。

それならば、やることは決まっている。

元々体力も身体能力も精神力も鍛えるつもりだったのだ。

バトルにも旅にも、あって損するものはないからな。

その修行内容に波導の力が加わっただけのこと。

 

 

 

そうして俺は、スイクンの傷が治るまでの間、スイクンに修行に付き合ってもらうことにした。

走り込みは一人でもできるが、相手がいた方が良い修行もあるってもんだ。

渋々でもなく付き合ってくれるスイクンは、本当に優しいポケモンだと思う。

前からやっていたが、特に意識して森の中を駆け回り、枝を使ったり岩を使ったりして身体能力を鍛える。

そして瞑想し、波導の力をまず感じ取れるようにするところから。

 

スイクンとは組手だ。

最初は全然歯が立たなかった。

前足で踏み潰されて、終わり。

まだまだ全然力がない。

最終的には、スイクンと互角の押し合いができるところまでいきたい。

 

たまに休憩の時間を取り、スイクンと談笑する。

とは言っても、一方的に俺が話すだけだけどな。

それでも、スイクンは静かに聞いていてくれるからそれで良い。

 

 

 

そんな日々を過ごし、一週間が経った頃。

何とか波導の力を感じ取れるようになり、目を瞑っていてもぼんやりと周りが見えるようになった、そんな頃。

いつもの休憩時間に、なんとスイクンから質問が飛んできた。

曰く、お前は将来何になるのか。

スイクンから俺に興味を持ってくれたことが嬉しくて、俺は思考を巡らせる。

 

 

「ポケモントレーナーにはなるよ。でも、まだ迷ってるんだよなぁ………。スイクンに教えてもらったから、波導の力をコントロールできるようになればバトルに出ても不正にはならないだろうし、バトルで最強を目指すのもあり。波導の力を使って、ブリーダーや育て屋になるのもあり。逆に警察官になったり、ポケモン達の保護区を作ったりするのもあり。それと…………………ポケモンマスターを目指すのも、あり、なんだよな……」

 

 

言い淀んだのは、記憶で既に目指しているから。

再び同じ夢を持っても良いのだろうか。

そんな風に悩み始めた俺を見て、スイクンは再び問いかけてきてくれた。

ポケモンマスターとは、なにか、と。

 

 

「ポケモンマスターっていうのは……………そうだな………。世界中のポケモン達と友達になること、かな?」

 

 

サトシがアニメの最終話で出した答えだ。

答えると、スイクンの目が真ん丸になった。

その姿があまりにも可愛らしくて、つい笑みが浮かぶ。

 

 

「はは……やっぱ、びっくりするかな?世界中のポケモンと、友達になるんだ。もちろん、伝説のポケモン達も含めてだ。だから友達になるために、強くなることは手段になるのかな?弱いままだと友達になってくれないポケモン達が多いだろうし………口だけのやつ、って思われるのは、俺も嫌だからな。だから、チャンピオンになっても終わりじゃないんだ。いつだって俺はチャレンジャー。その気持ちを忘れないでいたい」

 

 

そう語ると、スイクンは一つ瞬きしてから俺から視線をずらし、真正面を向く。

俺の言葉を深くかみ砕いているようで、それからしばらく反応がなかった。

 

 

「…………無理だと思うか?でも、前回はな―――――前回、は………」

 

 

関係ない。

前回―――――前の記憶がどう語っていたとしても。

生きているのは今だ。

この世界だ。

この世界で俺がポケモンマスターになれるかどうかは、神ですらわからないことだ。

 

例えどんなにサトシとして偉業を成し遂げた記憶があったとしても、それは今の自分ではないのだ。

自慢できることではない。

そう思い直して、一度口をつぐみ、次いで笑みを浮かべた。

 

 

「なれるかは、わからない。いつもいつでも、上手くいく保証も自信もないけど、本気で掲げていた夢なんだ」

 

 

今は、違うけど。

迷っているけど。

サトシが、本気で生きていた証拠だ。

俺もスイクンにならって水面に視線を移すと、スイクンはゆっくりと口を開いた。

 

 

 

 

 

「…………えっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

-お前なら、この世界でもきっとなれるな-

 

 

 

 

 

このスイクンは、どれだけ優しいのだろう。

 

どれだけ俺を泣かせようとすれば気が済むのだろう。

 

 

 

「………そう、思うか?俺でも、ポケモンマスターに、なれると思うか?」

 

 

震える声で問いかけて返ってきた答えは、しっかりとした頷き。

目を合わせ、目の奥の真摯な光が嘘は吐いてないと伝えてくる。

 

 

命が、揺れた気がした。

 

 

俺は、ポケモンマスターになる。

 

 

小さく呟くと、胸に熱い炎が灯る。

変な言い方になるが、昔の情熱を取り戻した気分だ。

胸の辺りがムズムズする。

どうしようもなくワクワクしている。

 

目指して良いのだ。

何が悪いもんか。

つまらないものか。

この世界でポケモンマスターになったわけではないのに、何を自惚れているのか。

 

再びポケモンマスターを目指す。

それは俺にとって、こんなにもワクワクすることだったのだ。

俺の、サトシとしての根幹。

サトシとしての芯。

それが、ポケモンマスター。

 

逃げることは、もうやめたはずだった。

それでも、逃げ癖がついていた。

前に目指していた夢。

今回叶えられる保証はないからと、無意識のうちに逃げていた。

そんな弱腰でどうする。

 

両頬を力強く叩いてサンドイッチする。

 

 

痛い。

 

 

生きている。

 

 

この世界で。

 

 

これからも。

 

 

生き続ける。

 

 

 

 

 

「決めた。俺、ポケモンマスターを目指すよ、スイクン」

 

 

単純と言われれば、それまで。

俺じゃない誰かに、きっとなれると言ってもらえたから。

それだけで、自信がついてしまった。

決心がついてしまった。

それだけ俺にとって、大切なことだった。

スイクンはただ、当たり前のように頷いた。

 

 

「けど、職業はまた別に目指そうかな?ただ冒険しているのもワクワクするけど、今回はもっと色んな人たちの役に立ってみたい!最初は新しい地方をたくさん旅するけど、旅をしながら俺の夢を叶えられる職業を目指す!欲張りだけど、それが今の俺だ!」

 

 

そう誰に言うでもなく宣言したら、ようやく自分が形付いた気がした。

目に見える世界までも広がっていくような気がして、ただただ笑う。

スイクンはそんな俺を静かに見ながら、否定せずに傍に居てくれたのだった。

 

 

 

 

新たな夢ができてから、さらに一週間が経った。

スイクンと出会って二週間。

スイクンの傷も、もう完治寸前なほど良くなった。

俺の修行も驚くほど順調に進んでいる。

スイクンとは何とか形になる組手ができるようになり、自分の中にある波導の力を感じ取れるようになったのだ。

二週間でここまで進むとは思っていなかったので、嬉しい誤算だ。

 

スイクンとの心の距離も、あれからだいぶ縮まった。

スイクンの方から何か話してくれることはないが、俺の話に興味を持って色々質問してきてくれる。

スイクンと談笑している時間が楽しくて、お昼をすっぽかして母さんに怒られてしまったことも一度や二度じゃない。

 

 

そんなこんなで今日も、朝からスイクンの包帯を取り替えに来ていた。

しかしそこで、異変に気付く。

森がざわざわと落ち着かない。

嫌な予感がして俺は、練習したての波導を使って周囲を調べてみることにした。

 

目を閉じ、瞼の裏に集中して周りの風景を読み取っていく。

ぐるりと辺りを一周してみても、特に異常らしき異常はなかった――――。

 

 

いや、待て。

 

 

 

“異常”?

 

 

 

 

 

 

 

「ポケモン達が、いない………」

 

 

 

 

 

森の中で、確かな異常である。

 

 

ではどこに行ったのか?

 

 

さらに波導の力を広げて周囲を探索する。

すると上空を飛んでいるポッポ数羽の存在に気付き、どこかに一直線で向かっていることに気付いた。

慌てて波導の力をポッポに絞り、後を追っていく。

 

 

 

辿り着いたのは、スイクンがいたマサラの森の奥の湖。

 

 

 

 

 

そこでスイクンが、何やら機械を持った人間と対峙していた。

 

 

 

 

「!!!!」

 

 

 

 

スイクンに傷を付けた存在だ。

一瞬でわかった。

森のポケモン達は皆、スイクンの足を引っ張らないように隠れながら、遠巻きに見守っていた。

 

 

「まずい…ッ!」

 

 

スイクンの傷はほぼ完治しているとはいえ、深い傷を付けたことは事実だ。

あの、伝説のポケモンである、スイクンに。

悪い予感が広がっていく。

どうにかしなければ。

 

走り出そうと一歩を踏み出して、自分がまだまだ子どもでポケモンを連れていないことに気付き、力が抜けた。

今ここでスイクンの前に出て行けば、むしろ足を引っ張る可能性がある。

大人を呼びに行く?

その方が、できることとして確実だ。

それでもその間に、スイクンが無事でいる保証はない。

 

どうする。

どうする…っ!

 

確実なのはオーキド研究所に行き、ジュンサーさんか警察を呼んでもらうことだ。

けれど、それで良いのか。

本当に、その判断で正しいのか。

わからない。

 

そんなことをぐるぐる考えているうちに、スイクンと人間の機会が激突する音が、今いる場所にまで聞こえてきた。

 

 

「~~~~~くそ!!!」

 

 

悩んでいる暇はない。

抱えていた救急箱の中から、包帯とハサミを取り出してSOS、110の形に切る。

それを一括りにして、周囲を見渡した。

波導の力も使って、誰でも良いからポケモンを探す。

すると、見つけた。

木の根にうずくまって震えている、ポッポを。

 

 

「なぁ、ポッポ。頼みがあるんだ」

 

 

驚かせないように、逃げ出してしまわないように静かに顔を覗かせて話しかける。

ポッポはビクッと体を震わせたが、逃げ出してしまうことはなかった。

 

 

「怖いのはわかる。動きたくないと思うし、俺の言うことなんて訳が分からないと思う。でも頼む、今はお前しか頼める奴がいないんだ」

 

 

俺のあまりにも必死な様子を見て、ポッポは涙目になりながらゆっくりと首を傾げる。

 

 

「これを、オーキド研究所まで届けて、誰でも良いから人間に渡してほしい」

 

 

そう言って、さきほど作った包帯のSOSを一括りにしたものを、ポッポの方に差し出した。

ポッポは困惑したように俺の顔と包帯を見比べて、震えている。

 

 

「頼む。本当に、今はお前しかいないんだ。スイクンを、助けに行きたい。そのためにも、俺に力を貸してほしい」

 

 

スイクンのために。

その思いが通じたのか、ポッポはハッとした表情でスイクンが人間と対峙している方角を見た。

そしてもう一度俺が差し出した包帯を見て、俺の顔を見上げる。

俺も想いが伝わるように、真っ直ぐポッポを見返した。

一分もしないうちに小さく頷いたポッポは、震える翼を大きく広げ、俺の手から包帯を受け取って飛び上がる。

 

 

「頼んだぞ!!」

 

 

オーキド研究所の方角に飛び去っていくその背に声をかけ、今度こそ俺もスイクンの方へと走り出した。

衝突音、爆発音は、今も尚絶えず響いている。

鍛えているおかげで、息は切れない。

苦しくもない。

ただ手遅れになる前に、急いでスイクンの元へと向かう。

 

一瞬だけ、ラティオスの元に向かう時のことが思い起こされた。

すぐに首を横に振り、その時の記憶を振り払う。

 

 

 

「(あの時とは違う…………スイクンは大丈夫だ!)」

 

 

 

そう自分に言い聞かせながら、必死に足を動かした。

初めてスイクンのために救急箱を取りに行った時よりも速くスイクンがいる湖へとたどり着き、音を立てないように慎重に木の影から覗き込む。

 

スイクンに、傷らしい傷はなかった。

そのことに一先ず安堵する。

そして人間の方の様子を窺うと、何やらセレビィを狙ってきたロケット団のビシャスが乗っていたような機械に乗っており、四つのアームの先にそれぞれ武器がついているようだった。

人間の感情は喜びと愉悦らしき、色。

 

アームの一つが火炎放射器で、下手に湖から離れれば森を焼かれることになり、被害が広がるので逃げるのは得策ではないとスイクンは判断したのだろう。

もう一つは、小型のミサイル。

どれほどの威力があるのかはわからないが、少なくとも人間に当たればまず間違いなく死は確定だ。

 

もう一つは、鋭利な大型ナイフ。

脱色主人公が持っている斬魄刀のような形だ。

おそらくスイクンの傷はあれにつけられたものだろう。

そして最後の一つは、何やら電気を放出するスイクンを捕らえることができるほど大きなアームだ。

あれで捕らえて、電気でスイクンの体力を削ろうというのだろうか。

 

スイクンは火炎放射器の炎を〝みずのはどう〟で消し、〝しんそく〟でアーム達を掻い潜り、〝エアスラッシュ〟で攻撃していた。

しかし特殊な金属でできているのか、傷一つつかない。

機械の方もスイクンのスピードを捉えきれていないが、スイクンの方も打つ手がないように見えた。

 

とその時、スイクンが白いオーラを纏ったかと思えば、〝ぜったいれいど〟を放った。

〝ぜったいれいど〟で機械が凍り付けば――――と希望的観測を抱いたのも束の間。

その機械がアームを使い、大きく跳躍する。

 

 

「(はぁ!!!?)」

 

 

叫ばなかったことを褒めてほしい。

大きな機械が跳躍し、〝ぜったいれいど〟が発動した後の氷にドスンと土埃を立て、地面を振動させながら着地する。

 

 

「(そんなのありかよっ!!)」

 

 

元々外れやすい一撃必殺技。

だとしても伝説のポケモンの技を跳躍で回避する等、あの機械の機動力はどうなっているのか。

スイクンの様子を窺うが、スイクンは冷静に状況を分析しているようだった。

俺もスイクンを見習って心を落ち着け、冷静になろうと試みる。

あのアームさえ奪ってしまえば、機動力も攻撃力も奪ったも同然だろう。

しかしそのアームを攻撃しても、今のところ弾かれてしまっている。

攻撃を届かせる何か良い手はないか。

 

そういえばと思い、波導の力を全開にして機械を調べてみようと機械に全集中する。

するとポケモンで言う急所と思われる部分が、赤く見えるのがわかった。

それも運が良いことに、アームの各所が赤く見える。

さすがに弱点なしの無理ゲーではなかったようだ。

しかし、どうする。

 

 

「(スイクンの攻撃力と俺のこの波導の力を合わせれば、なんとかなるか……?)」

 

 

楽観的だろうか。

それでも、それしか手がないようにも思える。

俺が出て行って、スイクンの足を引っ張ってしまわないか。

 

ここまで来たのだ。

役に立つために、来たのだろう。

 

 

「(今さら、怯むな!俺!!)」

 

 

深く、深く呼吸する。

もう一度心を落ち着けて、スイクンと人間の機械が距離を取った時を見計らって飛び出した。

 

 

「スイクン!!!大丈夫か!!」

 

 

俺の声にスイクンは驚いたように俺の方を振り返り、何故出てきたとでも言いたそうな顔でにらんでくる。

さすがのプレッシャーに一瞬足が止まりかけるが気力で以て足を動かし、スイクンの隣に並んだ。

 

 

「機械の弱点が見えるんだ」

 

 

小声でそう告げると、スイクンは渋い顔をしながらも納得したように俺と同じ方向に顔をやった。

 

 

「誰だ!!!」

 

「誰だって良いだろ!スイクンにそんな物騒な機械で何してるんだ!」

 

 

機械に乗った人間が声を張り上げてきたので、同じように張り上げながら精一杯の虚勢を張る。

まだポケモントレーナーにすらなっていない、無力な子どもだ。

スイクンの力を借りねば、俺などひとたまりもないだろう。

だからこそ恐怖するが、それをさとられないように精一杯強がる。

 

 

「ふっふっふ………私はポケモンハンターさ。珍しいポケモンを売り買いするのが私の職業。他にも、美しいポケモンを手元において飾っておくのが趣味でね。美しい色違いのスイクンにも、私の趣味の一部として楽しませてもらっていたところさ」

 

 

ご丁寧にそんなことを宣ってきて、つい拳に力が入る。

 

 

「ポケモンは売り買いするものじゃないし、お前の趣味として飾っておくためのものじゃない!!何よりスイクンを傷付けるな!!!」

 

「そう、そうなんだよ。私とてできれば傷などつけたくないんだ。美しいものは美しいまま、飾っておきたいからね。だから坊や。そのスイクンと知り合いなら、坊やからも頼んでくれないか。傷付けたくないから、大人しく私の元に来てくれないかと」

 

「ふざけるな!!!!」

 

あまりにもふざけたことを言い、言葉が通じそうにないポケモンハンターに頭に血が上りそうになる。

スイクンの尾に背を優しく叩かれて、慌てて冷静を保とうと静かに深呼吸した。

 

 

「ポケモントレーナーとしてスイクンを仲間にしたいならそれを止める権利は俺にはない。けど、スイクンの自由を奪い金銭目的でスイクンを捕獲することが目的なら、俺はスイクンの友人としてお前を止める!!!」

 

「ほう………坊や如きが、何ができるんだ?」

 

 

明らかに小馬鹿にしたように鼻で笑われて、油断しているのが波導の力を使わなくても手に取るようにわかった。

だから俺も、笑う。

 

 

「その機械を、壊すことぐらいはできる」

 

「!………はっはっはっ!!!笑わせてくれるな。坊や如きがこの機械を停止させることができるとでも?伝説のポケモンであるスイクンを傍に従えて、気が強くなりすぎてるんじゃないか?」

 

「お前こそ!!スイクンの強さ、まだまだ知らないだろう!!」

 

 

スイクンは強い。

そんなの、よく知ってる。

一緒に組手をしていたからじゃない。

伝説のポケモンだからじゃない。

 

未知を恐怖せずに、受け入れられる強い心を持っているからだ。

俺の異端さを認めてくれた。

俺の異質さを受け止めてくれた。

俺の存在を受け居れてくれた。

 

スイクンは、強く大きく、広い心を持っている。

そんなスイクンが、弱いわけがない。

俺はスイクンに出会えて、独りじゃないって思えたんだ。

ようやく、この世界に生まれることができたんだ。

この世界で、生きていく覚悟ができたんだ。

 

俺は、そんなスイクンに、恩返しがしたい。

絶対に、ポケモンハンターには渡さない!

 

 

「行くぞ、スイクン」

 

 

俺の言葉に、スイクンはしっかりと頷いた。

全開にしている波導の力で、スイクンから俺への信頼の気持ちが伝わってくる。

裏切るわけにはいかない。

 

 

「〝しんそく〟!」

 

 

風のように、いや突風のようにスイクンが飛び出していく。

 

 

「面白い。スイクンのトレーナーにでもなったつもりか」

 

 

笑いながらそう言って、ポケモンハンターはアームの一つ、火炎放射器でスイクンを狙って炎を放ちまくる。

スイクンは湖の上を走りながら、〝しんそく〟を使って炎を避け機械との距離を詰めていく。

 

 

「坊やのような人間がスイクンに付いたところで、何も変わらん」

 

 

大型ナイフのアームがスイクンを狙って振りかざされる。

 

 

「ジャンプだスイクン!アームを駆け上れ!」

 

 

スイクンが避けたことで水飛沫を上げながらアームが水中に沈み、そのアームを伝ってスイクンがポケモンハンターに肉薄した。

 

 

「近付いてくれるとは、好都合だ」

 

 

電気を放つアームが伸び、スイクンに向かって電撃が放たれる。

 

 

「さらにジャンプ!〝ぜったいれいど〟!」

 

 

〝ほえる〟と見紛うほどのスイクンの咆哮が響き渡る。

華麗に電撃を避け、真下にある機械に向かって〝ぜったいれいど〟を放つ。

 

 

「!!しまった…!最初から機械を捕らえ足を奪うことが目的――!!」

 

 

慌てて残りのアームを使って避ける体勢に入るポケモンハンターだが、アームの二つを凍り付かせることに成功した。

機械が傾く。

 

 

「今だ!大型ナイフのアーム、ナイフの付け根からスイクンの尾ほど下の辺り!〝めいそう〟からの〝エアスラッシュ〟連打だ!」

 

 

〝めいそう〟を素早く積んだスイクンが、〝エアスラッシュ〟を連続で大型ナイフが付いたアームの一点に当て続ける。

 

 

「無駄だ!この機械は、特殊合金でできている!いくら伝説のポケモンと言えど、この機械に傷を付けることなど――――!」

 

 

ポケモンハンターの台詞を遮って、アームにビシリとヒビが入る。

 

 

「なんだと!?」

 

「スイクンの攻撃力をなめるな!」

 

 

〝めいそう〟で上げたスイクンの〝エアスラッシュ〟を、機械の急所に一点狙いはさすがに耐えられないだろう。

もちろん、ポケモンハンターは機械の急所など知らないだろうが。

 

 

「同じ場所に当て続けていたとしても、そんな簡単に壊れるなんて!」

 

 

ポケモンハンターが驚いている間に一つ目のアームを破壊し、落とし切ることに成功した。

 

 

「よし!まず一つ!」

 

「くっ…!!」

 

 

ポケモンハンターはすぐさま我に返り、切り落とされた大型ナイフが付いたアームを自ら切り離して新たなアームを生やす。

 

 

「追加があるのか!」

 

「ふん。お子様が………そう簡単にやられるほど、私は甘くないぞ」

 

 

多少余裕と油断が消えたポケモンハンターが、〝ぜったいれいど〟で凍り付いた場所を溶かそうと、火炎放射器の炎を浴びせ始めた。

しかしスイクンが生み出した氷は、そう簡単に溶けはしない。

ポケモンハンターが手こずっている間に、もう一度大型ナイフのアームを壊そうとスイクンに指示を出す。

 

 

「スイクン、さっきよりも20㎝ぐらい上の場所だ!〝エアスラッシュ〟!」

 

「ちっ!!」

 

 

ポケモンハンターは無理やり氷から抜け出そうとしているのか、機械をフル稼働させた。

ビシリバキリと、氷が溶けるのではなく砕けていく音がする。

アームの替えがいくつあるのかは知らないが、ジリ貧にはしたくない。

 

 

「スイクン、一気に壊し切るぞ!火炎放射器のアームは、スイクンの前足分下だ!」

 

 

スイクンの咆哮とともに、〝エアスラッシュ〟が乱れ撃ちされ新しい大型ナイフのアームと火炎放射器のアームが破壊され、切り落とされる。

 

 

「なんだと!?」

 

「よし!〝しんそく〟!」

 

 

再びスイクンが湖の上を駆け、ポケモンハンターと肉薄した。

 

 

「これで終わりだ!〝ぜったいれいど〟!」

 

「!!?」

 

 

機械の上からポケモンハンターの首までを、氷漬けにしていく。

 

 

「う……あ……こ、これ、は、………」

 

 

首から上は無事なため、喋ることはできるポケモンハンター。

しかし体全体が〝ぜったいれいど〟で凍り付いているので、もう動けないだろう。

 

 

 

 

 

――――――終わった。

 

 

 

どうにか、なった。

 

 

 

 

「~~~~~よ、っしゃぁ!!!!!スイクン、無事か!!?」

 

 

思わず両手を上げて喜んでしまったが、スイクンに怪我がないかどうかをいの一番に確認する。

スイクンは呆れたような顔をしながら俺の元に駆け寄ってきて、頷いてくれた。

 

 

「よかった…………ほんと、よかった……」

 

 

スイクンに傷一つないことを己の目で見て確認し、安堵から涙が込み上げる。

必死に涙を堪えながら、さらに口を開こうとした時、わりと近くから俺の名を呼んでいる声が聞こえてきた。

もう、すぐそこにいる。

 

 

「!!オーキド博士たち…!」

 

 

声がした方をチラリと見たスイクンは、すぐさま身をひるがえした。

あっと思った時には、スイクンは駆け出していく。

慌ててその背に向かって手を振った。

 

 

「またな!!!また会ったら、今度は絶対、お前の話を聞かせてくれよ!!!!」

 

 

一瞬だけ足を止め、こちらを振り向いてくれたスイクンは、頷くことなくすぐに背を向け去って行く。

途端に込み上げる、寂しさからの涙。

 

 

「サトシ!!!!!」

 

「!オーキド博士!!」

 

 

それもすぐに現れたオーキド博士と母さん達によって、引っ込んだが。

 

 

 

 

 

さて、この出来事の後日談といこう。

まずポケモンハンターは、無事捕えられた。

ジュンサーさんがきっちり引き取ってくれた。

引き取ってくれた後で、ポケモンハンターの趣味になっていたポケモン達も無事保護できたと教えてもらった。

 

俺はというと、みっちり怒られた。

二度と入らないと約束した森や草むらに入っていたどころか、自ら危険だとわかっていて飛び込んだと知られたから。

ポケモンハンターが狙っていたポケモンが強かったからよかったものの、子ども一人でどうにかなるような相手ではなかったので、最悪を覚悟するところだったと母さんに泣かれてしまった。

その後、もう二度と自ら危険に飛び込まないと約束させられた。

 

ポケモンハンターが狙っていたポケモンは何だったのか、これほど強力な氷を扱えるポケモンなのだから氷タイプのポケモンだろうと予測を立てているオーキド博士達に、ひっそり笑みをこぼしたところをシゲルに見られた。

結果、シゲルから問い詰められることになりスイクンだと白状させられた。

 

氷タイプではないにもかかわらずこれほどまでに強力な〝ぜったいれいど〟を扱えるポケモンが、伝説のポケモンだということに一同は納得していたものの、シゲルは俺が伝説のポケモンに会った羨望やら、早くトレーナーになりたい、なって自分の目でも見たい会いたい、そんなポケモン達と戦いたいという熱望やら渇望やらで、目をギラつかせていた。

 

 

 

 

そしてポケモンハンターと対峙した日から、数日が経った。

ここしばらくは、母さんを心配させないためにオーキド研究所の本やビデオを借りたり、家で家事を手伝ったりと、比較的大人しくしていた。

その間、シゲルがやたらポケモンの知識を自慢してきた。

そういえばこの頃のシゲルはこうだったなぁ、と懐かしくなりながら聞いていたら、知らず知らずのうちに笑みを浮かべていたようで、シゲルに気味悪がられた。

 

スイクンと別れてからは、あの湖には行けずじまいだ。

行ってもスイクンはもういないだろうし、今はジュンサーさんの見回りがあって見つかると怒られるだけだと思うが、俺という存在をこの世界に根付かせた大切な場所だ。

もう一度行ってスイクンとの思い出に浸りながら、改めてこの世界での俺の夢を描きたい。

 

そんなことを思い考えながら、さらに数日が経った。

ジュンサーさんの見回りがなくなったと聞き、これでようやく人目を気にせず湖に行けるようになった。

最近は大人しくしていたおかげか、俺の監視要員だったナナミさんもオーキド博士をたしなめる側に回ってくれている。

そうして久々に完全に自由になった俺は、ようやく湖に足を向けることができた。

 

スイクンに会う前の時のように、ゆっくり歩いて風景とポケモン達の日常を楽しみながら湖に向かう。

そういえば、あの時オーキド博士達にSOSを届けてくれたポッポにお礼を言えていない。

もうどこかに行ってしまった後だろうか。

少しだけ気がかりだった。

爽やかな風が木々を揺らし、ポケモンハンターの騒動などなかったかのように穏やかな時が流れている。

ポケモン達もいつも通りだ。

ポッポが空を飛び、コラッタが草むらを走り、ニドラン達がイチャついている。

 

そんな様子を微笑ましい気持ちで眺めながら、木々をくぐり抜け草木をかき分けて、湖に到着する。

スイクンがいた時のように、太陽光を反射して水面がキラキラと光っている。

そして、怪我を負ったスイクンが座っていた場所に―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スイクンが、いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!!!!?」

 

 

思わず大きな声を出してしまい、驚きで体が一瞬固まる。

スイクンは声で気付いたのか気配で気付いていたのか、どちらかはわからないがゆっくりと俺の方を見た。

 

 

「スイクン!!!!!!」

 

 

また怪我でもしたのかと、慌てて駆け寄った。

スイクンはゆっくりと立ち上がる。

 

 

「どうしたんだ!!また怪我でも―――っと」

 

 

言い終わらないうちに、遅い、とでも言いたげに額の水晶で額を小突かれた。

思わず小突かれた額を抑えて、キョトンとなる。

スイクンを見つめると、どこか不満げな顔をされた。

 

 

「……怪我したわけじゃなくて、俺を、待っていてくれたのか…………?」

 

 

俺の言葉に、スイクンはしばし間をおいてゆっくり頷いてくれた。

俺のことを、待っていてくれた。

それがどんなに嬉しいことか、スイクンはわかっているのだろうか。

上がっていく口角を抑えきれず、笑顔になって思わずスイクンに抱き付いた。

 

いきなり抱き付くほど感極まってしまったわけだが、スイクンは避けることも驚くこともなく、ただただ静かに受け入れてくれた。

それがさらに嬉しさに拍車をかけて、涙まで溢れてくる。

スイクンと出会ってから、一体どれだけ涙を堪えてきただろう。

もちろん、良い意味で。

 

しばらく抱き付いて顔をぐりぐり押し付けていたが、ようやく感極まった感情が落ち着いてきてスイクンからそっと離れる。

見上げた先でスイクンは、優しい瞳をしていた。

 

 

「ありがとう、スイクン。俺も、スイクンに会いたかった。スイクンが行っちゃう前に、また話せて嬉しいよ」

 

 

そう言ったら、何故かスイクンはまた不満げな顔になる。

何故に。

見える感情の色も不服気だ。

何故。

 

 

「お、俺と話したいわけじゃない、のか?」

 

 

なぜそうなる、と言いたげに額の水晶で頭突きされた。

それが先ほどと比べ物にならないくらい痛くて、頭突きされたところを手で押さえて悶える。

 

 

「な、なら、一体――――」

 

 

涙目で抗議しようとすると、スイクンが口を開いてくれた。

「何故、教えれば狙われることになる自分の体質のことを、話そうと思ったのか」と……。

 

 

「な、何で、って…………スイクンが俺のこと警戒してたから、余計な気を揉まなくて良いように、俺のことについて知ってもらえれば少しはスイクンの心配事が減るかな、って………。それに、―――――」

 

 

抗議しようとしていたことを忘れ、思わず微笑む。

 

 

「スイクンは、誰にも言わないだろうなって、そう思ったから」

 

 

スイクンがじわりと目を見開く。

 

 

「あ!友達がいないからとか、そう意味じゃないぜ!!?スイクンは、なんというか………誰にも話さない、って思ったんだ。ただの直感だけど、スイクンは、優しいポケモンだと思ったから……。だから、俺の秘密をばらしてスイクンの心が少しでも休まるなら、それで良いやって思ったんだ」

 

 

俺がそこまで言うと、スイクンは見開いていた目をそっと瞬いて、小さく小さくため息を吐いた。

呆れられたような気がしたが、目で見えるスイクンの感情が何やら優しい色をしていて、落ち込む気も怒る気もしなかった。

 

 

「何だよぉー。何か文句でもあるのかぁ?」

 

 

おどけたようにぶうたれて見せると、スイクンは今度こそ呆れたように大きなため息を吐く。

それが何だか気の置けない仲という気がして嬉しくて、つい笑ってしまった。

するとスイクンも、出会ってから初めて笑みを見せてくれた。

そしてスイクンは一歩前へ踏み出し、俺との距離を詰める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――えっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-お前の夢を、見てみたくなった-

 

 

 

 

 

 

 

 

-お前の夢を叶えるために、力になろう-

 

 

 

 

 

 

 

 

-お前なら、道を違えることなどないだろう-

 

 

 

 

 

 

 

 

-だから、存分に使え-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何を言われたかわからなくて、ポカンと口を開けて呆けてしまう。

力になる?

それは、つまり――――つまり、さきほど不満げだったのは、去って行くつもりなどなくて、これからも一緒にいるつもりで――――。

 

 

「いい、のか…………?俺で、いいのか?俺、これからバトルとかたくさんするつもりだけど、スイクンのことは、目立っちゃうからそんなに出せないぜ?俺、トレーナーとしてもまだまだ未熟だし………本当に、こんな俺で――――」

 

 

俺の言葉を遮って、再び額の水晶を俺の額に合わせ、額と額を小突き合わせながら目を合わせることで答えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

-お前がいい-

 

 

 

 

 

-ともにいこう-

 

 

 

 

 

 

はっきりとそう口にして、スイクンは微笑んだ。

 

 

 

 

「っ!……あぁ、あぁっ……」

 

 

 

 

何度目かわからない涙が、あとからあとから流れてきて止まらない。

言葉が上手く出てこなくて、必死に何度も頷いた。

そんな俺を仕方なさそうに、優しく見守ってくれるスイクン。

 

 

 

 

「一緒に行こう、スイクン」

 

 

 

 

ようやく言葉にできた俺に、スイクンはしっかりと頷いた。

 

 

 

 

「スイクン、ゲットだぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて会った時、好奇心の欠片も覗かせなかったその瞳が、嬉しかった。

 

 

 

人間に会えば、捕獲行為されてばかりの日々で。

 

 

 

捕まえたい欲も、触りたい欲も、戦いたい欲も、仲間にしたい欲も、何も映さなかったその瞳が。

 

 

 

ただ純粋な驚きだけを映していたその瞳が。

 

 

 

ただ純粋に、嬉しかったのだ。

 

 

 

だから、色眼鏡で見ないことに喜んだのは、お互い様。

 

 

 

お互いに、世界に怯え、恐怖していた中で。

 

 

 

ようやく、心休める存在と出会えたのだ。

 

 

 

運命を感じても良いだろう。

 

 

 

語る夢が眩しくて。

 

 

 

その力になりたいと願っても、構わないだろう。

 

 

 

伝説のポケモンと呼ばれる自分の存在が、人間達の中でどれだけ珍しいのかはわかっているつもりだ。

 

 

 

それでも、ただ一人の人間に。

 

 

 

自分を特別扱いしなかった人間に、肩入れしてみたくなってしまったのだ。

 

 

 

その夢が叶う瞬間、隣にいたいと思ってしまったのだ。

 

 

 

この思いは悪ではないだろう。

 

 

 

間違いでもないはずだ。

 

 

 

それを、これからの旅路で証明してみせよう。

 

 

 

伝説のポケモンの名にかけて。

 

 









スイクン(色違い) Lv.40 NEW!

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