第44話 ピカチュウの森
「ピッカァ!」
「ピカチュウ?」
美しい森に入り、小休憩をとっていると、何かに気付いたピカチュウが突然走り出した。
「ピカチュウどうしたの?」
「わからないけど、何か見つけたのかもしれない!」
カスミとタケシと三人で走りながら追いかけていると、開けた場所の前でピカチュウが立ち止まった。
倣って立ち止まり前を見てみると、ピカチュウの群れがいた。
仲間を見つけたピカチュウが嬉しそうに飛び出していく。
最初は異物が入って来たとでも思われたのか、一斉に逃げてしまったが落ち込んだピカチュウを見て小さなピカチュウが駆け寄ってきてくれた。
そして匂いを嗅ぎ、敵じゃないとわかってくれたようで仲良くなっている。
「どうやら、ピカチュウは仲間に入れてもらえたようだな」
「よかった」
楽しそうなピカチュウを見ていると、こちらも嬉しくなる。
前はここで俺が出張ってしまったせいでピカチュウ達が皆逃げ出してしまったが、今回はそんなことはしない。
遊び始めるピカチュウ達を見守りながら、俺達も今日のところは開けた場所の近くで野宿の準備にかかった。
ピカチュウ達を驚かせないように注意しながら、ブラッキー、クラブ、サイホーン、ストライク、ラッキーの特訓開始をする。
新たに仲間にしたサイホーンは、湖を工事していたことでもしかしたらと思っていたが、水タイプに耐性があった。
試しにクラブの水技を浴びせてみても、ピンピンしている。
それどころか何かしたか、とばかりに首を傾げていた。
「これはまた、すごいサイホーンをゲットしたな……。俺のゲットしたサイホーンは、少なくともサトシのクラブの水技であそこまでケロッとできないぞ」
「ははは………」
ストライクは血気盛んで、一度怒ると手が付けられないほど暴れるオコリザルのような気性の荒さをしている。
こいつもしかしたら、ハッサムよりバサギリに進化させた方が合っているかもしれない。
けどくろのきせき、どこでゲットしよう。
この世界にあるのだろうか。
ラッキーは育成論でも見てきたかのような耐久サポート型だ。
体力が非常に多く、特防が特攻と同じぐらいの代わりに素早さがとんでもなく速い。
〝ちいさくなる〟を積んで走り回ったらまず必中技じゃないと当たらないんじゃないかというレベルだ。
実際タケシとカスミと模擬バトルした際、ラッキーには一回も技が当たらなかった。
走り回ってスタミナは大丈夫なのかというと、いつも走り回っていたので問題ない、とラッキー本人からいい笑顔で言われた。
〝こうそくいどう〟を使っているわけじゃないのに、生まれ持った天性だろうか。
壁張り型、サポート型、耐久型で輝くだろう。
いずれ攻撃ができないわけじゃない、と言えるような隙のない完璧型にしたい。
ここは現実の世界。
数字だけが全ての世界ではないので、何とか出来るだろう。
「サトシのポケモン、どうしてこうも癖強ポケモンが集まるのよ……」
「類は友を呼ぶって言うからじゃないか……?」
「それ、俺が癖強いって言ってる?」
「「お前の癖が弱いなんてあってたまるか」」
タケシとカスミ、二人に突っ込まれてしまって口を噤む。
おかしいなぁ。
俺としては癖なく普通に生きているつもりなんだが。
まぁとにかく、俺のポケモン達はすこぶる順調だ。
ブラッキーもバトルに馴れてきたのか、俺に甘えてるだけじゃなくてちゃんと特訓に参加している。
精神的にも成長してきているらしく、最初は怯えていたカスミとタケシともきちんと交流できるようになり、トレーナーを入れ替えた入れ替えバトルではカスミの指示をきちんと聞いていた。
クラブは早く進化せい。
ゼニガメが進化したんだから進化できるやろ。
進化せい。
そう言ったら「え、進化していいの?」みたいな感じで首を傾げて進化したので、思わずズッコケた。
そうだよな、レベルは十分に足りてたもんな。
そんな感じで、非常に有益な時間を過ごせた。
夜、寝る時になってもピカチュウは帰ってこなかった。
ロケット団に襲われないだろうか、という意味で少し心配だが、仲間水入らずで過ごしたいだろうと思い、成長はしたがまだまだ甘えた盛りのブラッキーと一緒に眠りにつく。
真夜中になって、ピカチュウ達の悲鳴が聞こえて飛び起きた。
急いでピカチュウの群れがいたほうに行くと、ロケット団が電撃を通さない網でピカチュウ達を捕まえていた。
「ピカチュウ達を放せ!」
「「「やなこった!」」」
「お前達も大人しくしてなさい!」
「!!?」
ロケット団がこちらにも網を投げつけてくる。
波導の力で強化した手で、網を受け止めて引き千切った。
「「「ゲゲ!?」」」
「前から思ってたけど、あいつなんかヤバいわよ!?」
「普通の人間じゃない何かを感じるような!?」
「ニャー!馬鹿なこと言ってないで、とっととずらかるニャース!」
「「おう!」」
「あ!待て!」
ロケット団がさっさと気球に飛び乗り、ピカチュウ達を連れて行こうとしたのでストライクを出す。
「ストライク!鎌で網を切り裂いてくれ!」
「!」
まだそれほど空中に浮かんでおらず、地面に近い場所にいたことでストライクの脚力でも十分追い付き、あっという間に網を切り裂いてくれた。
ピカチュウ達が次々と地面に着地していく。
「「「ゲゲゲ!!?」」」
「ピカチュウ、〝10まんボルト〟!!」
最後はその場にいたピカチュウ達全員の〝10まんボルト〟を浴び、ロケット団は吹き飛ばされていった。
「ピッカッチュウ!ピッカッチュウ!」
ピカチュウ達全員が、やってやったぞ、と右手を上げて楽しそうだ。
俺のピカチュウも笑顔でそれに混ざっていたので、朝起きたら出発するから、と伝えて俺達は寝袋の場所に戻り、朝まで寝に戻った。
そして翌日、ピカチュウ達に見送られて出発したのだった。
第45話 ストンタウンへ
あと少しで街、というところで再びピカチュウが何かに気付いたようで、道を外れて走り出した。
ついて行ってみると、木に繋がれたイーブイを発見する。
「何で繋がれてるのかしら……」
「捨てられた、とか?」
「えぇ?」
タケシが外れてほしい予想を言う。
「けどわざわざ、ご飯と水を置くかな?」
「まぁ確かに……」
「名札が付いてるし、誰かのポケモンみたいよ?」
カスミの言う通り、首輪に名札が付いていた。
ストンタウンと書かれてあり、あまりにもイーブイが寂しそうでかわいそうなので、届けることにする。
カスミが抱っこしたイーブイにブラッキーを紹介してやると、すぐに仲良くなりカスミの腕から離れてブラッキーの背に乗った。
「ぶー………」
「あれ?もしかしてカスミ、捨てられてたらそのイーブイをゲットしてシャワーズにしよう、なんて考えてた?」
「べ、別にぃ……」
イーブイが腕から離れた途端に不貞腐れてしまったカスミに気になって聞けば、当たりだったらしい。
マサキの灯台の時は、俺に懐いちゃったからな。
今度はそういうことがないよう、抱っこしていたかったのだろう。
そういうところは強かだ。
「あれだ!三丁目十四番地!」
「わぁあ!すっごい!」
「なんとまぁ立派な屋敷」
すごく大きな屋敷だ。
そこではガーデンパーティが開かれており、石で進化できるポケモン達が多く集まっていた。
「イーブイ………?」
「ん?」
イーブイを呼ぶ声が聞こえ、そちらを見ればブースター、シャワーズ、サンダースのトレーナーと思わしき三人がいた。
「イーブイ!!」
「「イーブイ!」」
どうやらこのイーブイを知っているらしく、嬉しそうに駆け寄ってくる。
「心配してたんだぜ?どこ行ってたんだよ、イーブイ」
「どこのどなたか存じませんが、ありがとうございます」
ブラッキーの背に乗っていたイーブイが、シャワーズのトレーナーの手へと渡る。
「よかったな、兄貴。なんたって今日の主役はイーブイなんだからさ!」
「主役?」
「じゃあなんであんなとこに………」
カスミ達と顔を見合わせる。
「タイチ!おーいタイチ!イーブイが帰ってきたぞ!」
「……………はーい」
「ブイィ!」
タイチという子が姿を現すと、イーブイは嬉しそうにタイチ君の腕の中に飛び込んでいった。
とてもよく懐いているのがわかる。
余計に状況がわからない。
「もう逃げられるなんて、間抜けな真似すんなよ?」
「そんなんじゃトレーナー失格だぞ?」
「ねぇ、逃げられたの?イーブイ紐で繋がれて―――」
「何で連れて来たんだよ!!」
カスミが聞きかけると、タイチ君は思わぬ反発をした。
その言葉に聞き覚えがあり、思い出した。
イーブイを進化させたくないが、兄弟に進化を促されて悩んでいる話だったはず。
イーブイを連れてきてくれたお礼ということで、俺達もガーデンパーティに参加することになった。
タイチ君とタイチ君のイーブイを前に、アツシさん、ミズキさん、ライゾウさんは初バトルの前にイーブイを進化させて勝ってきたことで、初勝利の鍵は進化に在り、と説いている。
「僕、バトルはどうでもいいんだ……」
「「「あまーーい!!!」」」
タイチ君が自分の意見を言うと、一喝されてしまう。
タイチ君が決めるイーブイの進化先が、三人の育て方の評価に繋がると力説していた。
「あの、イーブイはイーブイのままでも十分強いですよ?」
「ん?君は……」
「すみません、口を挟んじゃって。俺、マサラタウンのサトシっていいます。ポケモンリーグ出場を目指して旅をしてるんです」
「サトシ君、か。それで?イーブイのままでも強いというのは?」
「言葉通りの意味です。ポケモンの魅力は進化だけじゃありません。未進化のままでも、最終進化形に勝てる強さまで育てることができます。ポケモンの魅力は進化じゃなく、ポケモン自体が魅力の塊です。その魅力をどう引き出すかが、トレーナーとしての腕にかかわってくるんです」
「………………サトシお兄ちゃん……」
思わぬお節介を焼いてしまったが、ポケモンの魅力は進化だけ、と思っているのは勿体ない。
イーブイにはイーブイのよさがある。
俺のイーブイ達は皆望んで進化してしまったから、説得力が足りないかもしれないが。
「うん。俺もサトシの意見に同意件だ。ポケモンにはそのポケモンにしかない魅力がある。それを上手く引き出すのがトレーナーで、引き出す手伝いをするのがポケモンブリーダーだ」
タケシも同意してくれて、反発しようとしていたらしい三人が口を噤む。
「けど、勿体なくないか?進化させないのは」
「そういう考えの人もいます。進化自体を否定してるんじゃなくて、進化させないことで得られる強さもある、ってことです。俺は、ポケモンの進化はそのポケモンに一任させてます。俺が進化してほしいって言えば、進化してくれる優しいやつももちろんいます。それでも、進化するのが嫌なら無理に進化させたいとは思いません。進化が嫌なら未進化のまま、得られる強さを磨きます。それが、トレーナーとしての役割だと思うから」
「「「……………」」」
熱く語っていた三人は、静まり返ってしまった。
いつの間にかガーデンパーティに集まっていた人達全員に注目されており、しまったここ(石で進化させることを目的とした場)で言うんじゃなかったと、一瞬反省する。
「す、すみません。ここで言うことじゃなかったですね」
「いや……」
しかし何やら悩んでいたらしいタイチ君には響いたようで、目を輝かせて俺のことを見ており、覚悟を決めたように一歩前に出た。
「兄ちゃん!!」
「タイチ……」
「僕、イーブイのトレーナーになりたいんだ。イーブイのまま、進化させずに強くなりたい!」
「…………タイチ……」
思わぬタイチ君からの援護に、三人が驚きに目を見開いた。
それも一瞬で、三人は顔を見合わせて緩やかに苦笑する。
「そうか、そういうこだわりなら納得だぜ」
「それならそうと、早く言ってくれりゃよかったのに」
「まさに、イーブイ4兄弟ってわけだ」
「!!ありがとう、兄ちゃん!」
否定されるんじゃないかと思っていたらしいタイチ君の目に、明るい希望が灯る。
「それに、サトシ君だったか。君の言うことにも確かに一理あるんだろう」
「俺達に新しい見解を教えてくれて、ありがとよ」
「確かに、ポケモンの魅力は進化だけじゃない。それでも進化することで強くなると信じているから、俺達はポケモンを進化させたい人のために、進化させ続けると思う」
「はい。それならそれでいいんです」
何度も言うが、進化自体を否定したいわけじゃないからな。
もう一度パーティに水を差してしまったことを謝り、あっけらかんと許されたことで事なきを得た。
と思ったところで急に上から、ダダダダダダダダと銃弾が降り注いだ。
慌ててピカチュウとカスミとタイチ君を庇う。
「いきなり何!?」
「決まってる!こんなことするのは―――」
「はぁ~い。ショータイムの始まりよ」
思った通り、ロケット団が上から気球でやってきた。
「何なんだお前達!」
「なんだかんだと聞かれたら」
「答えてあげるが世の情け」
いつもの口上が始まったと思ったら何故かご飯を食べ出したので、ロケット団がポケモンを出す前にキングラーを出して〝みずでっぽう〟した後にピカチュウの〝10まんボルト〟を食らわせた。
しかしいつもならそれで吹っ飛ぶのに、今回は吹っ飛ばなかった。
「ここでやられたらいつもと同じよ!」
「俺達はビクトリーロケット団!」
「頑張るニャ!」
ご飯片手に意気込んで、やる気満々にアーボックとサワムラー、マタドガスとギャラドスといういつもの面子を繰り出してくる。
なら全力で相手になってやる!と思ったのだが、ここでライゾウさん達が立ち上がった。
「見てろよタイチ!進化形の強さを!行け、サンダース!」
「行けぇ、シャワーズ!」
「行けぇ、ブースター!」
「兄ちゃん、僕もやるよ!イーブイ!」
「ブイ!」
というわけでイーブイ4兄弟に相手を任せたのだが、ロケット団も俺達の相手をしていただけあって強い。
いいところまでは追い詰めていたが、一網打尽にされかけていたので助太刀に入った。
そして結局はタイチ君のイーブイの渾身の〝たいあたり〟で一纏めにしたところを、ピカチュウの〝10まんボルト〟で空に吹っ飛ばしたのだった。
改めてパーティが再開され、俺達にはお礼として進化の石を自由に使っていってくれと言われてしまった。
そういうことなら、ポケモン達の意思を確認してから進化祭りといこう。
転送装置を使わせてもらって、ロコン、ガーディ、レアコイル、ニョロゾを手元に呼ぶ。
ガーディは人目のないところに行って意志を確認すると、進化したいとのことだったのでほのおのいしを使わせてもらってウインディに進化させた。
大喜びでじゃれついてきたので、頭を撫でてやりながら宥める。
パーティに戻ってそれぞれの意思を確認し、ロコンにほのおのいしを使ってキュウコンに、レアコイルにかみなりのいしを使ってジバコイルに進化させる。
ニョロゾは俺がニョロトノの方に進化してもらいたいのだと話すと納得し、元々あまり石での進化を望んでいなかったと言ってくれて、今は進化しない、で丸く収まった。
色違いの麗しいキュウコンに、この地方ではとても珍しいジバコイルは、ほとんどの人の目を惹いた。
「ジバコイル…!これが!」
「初めて見たわ…!」
タケシとカスミも驚いている。
交換を持ち掛けられもしたが、当然断る。
タケシのロコンもどうかと持ち掛けられていたが、ユキさんのロコンであり預かっているだけなので、勝手に進化させるわけにはいかないのだと断っている。
カスミのシェルダーはみずのいしを使ってパルシェンに進化させ、クサイハナにはリーフのいしでラフレシアに進化させようとしていたので、俺がたいようのいしを使えばキレイハナに進化できることを教えると、目を輝かせてたいようのいしを使い、キレイハナに進化させていた。
どちらにも嬉しそうに頬擦りするカスミは、大喜びだ。
せっかくなので、タイチ君にブースター、シャワーズ、サンダース以外のイーブイの進化先を見せてあげようと、エーフィ、ニンフィア、ブラッキー、リーフィアを手元に呼ぶ。
「フィ~~~~~」
久しぶりに会えたからか、エーフィは甘えるように頬擦りしてくる。
「何だか随分と久しぶりな気がするな、エーフィ。最近呼べなくて悪い」
「フィ、エフィ」
謝ると、気にしてないよと笑顔を見せてくれた。
今はレベルが50以下のポケモンと、新規加入したポケモンを優先的に手元に置いているので、どうしてもエーフィや太陽にはオーキド研究所にいるポケモン達のことを頼んでしまう。
申し訳ないなと思いつつ、エーフィや太陽が自分の意志で率先してポケモン達の特訓内容を作ってくれていると聞けば、その意思を尊重せずにはいられない。
とはいえ、そろそろ一度手元に戻すべきか。
俺も寂しいしな。
そう思っていつも以上に甘えてくるエーフィを存分に甘やかしていると、ニンフィアのリボンが体に絡んできた。
「ん?どうした?ニンフィア」
「フィア~~フィアフィ~ア」
ニンフィアはぐるぐると俺にリボンを絡ませながら、エーフィのように俺に擦り寄ってくる。
可愛い。
「よしよし。ニンフィアも可愛いな」
「フィ~ア」
「フィィィィ?」
ニンフィアを可愛がっていたら、エーフィが何やら低い声を出したような気がした。
ん?と見てみても、にっこり微笑まれるので気のせいかな?
どこかで火花が散った気がしたのもきっと気のせいだ。
ブラッキーとリーフィアが揃って首を傾げていた。
可愛い。
「うわぁ!すごい!この子達全員、イーブイの進化形!?」
「あぁ、そうだよ。左からエーフィ、ニンフィア、ブラッキー、リーフィアだ。ここにはいないけど、あと一体グレイシアがイーブイの進化形にあたる」
「へぇ!サトシお兄ちゃんは物知りなんだね!」
「頑張って勉強したからね。タイチ君は、エーフィ達を見てもイーブイのままでいてほしい?」
「うーん、正直迷ってきたな~~~」
イーブイの進化方法を教えながら、イーブイ談議に花が咲く。
すると、ライゾウさん達がやってきた。
「サトシ君」
「はい、何ですか?」
「どうせなら君の、未進化のまま、ポケモンそのものの魅力を引き出す戦いを、俺達に教えてくれないか?」
「え?教える、って……」
「俺達と、バトルしようぜ!」
「!是非やりましょう!」
ということで、急遽ライゾウさん達とバトルすることになった、と思ったら、なんとライゾウさん達のご両親が現れた。
「バトルトーナメント?」
「えぇ。タイチがポケモントレーナーとしての一歩を踏み出した記念です。是非皆さんも参加して行ってください!優勝賞金は100万円!進化の石セット付きです!」
豪邸に住んでいるだけあって、桁が違う。
出るしかないでしょうこれは!
タケシとカスミの目も燃えている。
前はここでバトルトーナメントが開催された記憶はないが、何かが変わったらしい。
手持ちをピカチュウ、エーフィ、太陽、フシギダネ、ヒトカゲ、カメールにしていざバトルトーナメントへ!
一回戦は知らない相手だ。
最初から太陽を出して、瞬殺させてもらった。
二回戦はライゾウさん。
お望み通り未進化のヒトカゲを出して、一回戦で出した太陽とは違う戦い方をして勝利をもぎ取る。
三回戦はアツシさん。
カメールを出して、〝こうそくスピン〟からの〝みずでっぽう〟のコンボを駆使して勝ちを掻っ攫って行く。
四回戦はミズキさん。
フシギダネを出して、〝どくどく〟からの〝やどりぎのタネ〟でじわじわと追い込まれる地獄を味わってもらった。
こういう戦い方もあります。
五回戦はカスミ。
エーフィを出して、カスミの本気ポケモンの一体であるスターミーと互角に戦い、何とか勝つ。
決勝戦、タケシ。
ピカチュウを出して、タケシの本気ポケモンの一体であるカブトプスを相手する。
「ほう、ピカチュウで来るか。俺がイワークやゴローニャを出さないことを、読んでいたのか?」
「違う個体とはいえ、タケシの育てたイワークとはずっとバトル練習させてもらってるからな。ゴローニャもトレーナー戦で戦った経験がある。俺が戦ってないのは、化石ポケモンで珍しいカブトプスぐらいだ」
「さすがだな」
タケシはフッと笑ってこちらを認めてくれるが、すぐに真剣な顔になってプレッシャーを放ってきた。
「サトシ。今のお前の本気の実力、俺に見せてみろ!」
「勿論!行くぜ、ピカチュウ!」
「ピッカァ!」
地面技は何故か初期から覚えていた〝でんじふゆう〟で避け。
物理技はできることなら喰らいたくないので〝こうそくいどう〟と〝でんこうせっか〟で避け、〝かわらわり〟で受け流し。
効果抜群の技である〝10まんボルト〟をぶち込む。
でんきだまを持たせていることもあって、ものすごい威力だ。
〝ばかぢから〟で無理やり捕まえられて〝れいとうビーム〟で凍らされた時には終わったかと思ったが、中から〝10まんボルト〟で氷を壊して脱出する。
技を当てるのに苦労したが、それでも〝10まんボルト〟を当ててギリギリで俺が勝った。
「勝った…………」
「ピ………ピ……………ピカピ……」
「ピカチュウ、勝ったぞ!!!!」
もう倒れそうなほどフラフラなピカチュウを抱き合げる。
「ピィカ!ピカピカチュウ!」
ピカチュウも嬉しそうに笑顔になる。
周りから拍手が降り注がれ、俺はピカチュウを皆に自慢するように高く掲げる。
相手する数が多すぎやしなかったかって?
ライゾウさん達三人と戦うために、俺だけ特別枠にさせられたんだよ。
経験値が上手いから文句はない。
そのライゾウさん達は、未進化のポケモン達の強さをよく理解したらしい。
これからはポケモン達の意思も確認して石を使うようにすると言ってくれた。
勝手にこちらが口を挟んだことなのに、理解を示してくれるなんて優しい人達だ。
俺は賞金100万円と、みずのいし、かみなりのいし、ほのおのいし、リーフのいし、つきのいし、たいようのいし、ひかりのいし、やみのいし、めざめいし、こおりのいしをそれぞれ二個ずつゲットする。
なんだかとってもいいかんじー。
「サトシお兄ちゃん、本当にありがとう!」
「俺は何もしてないよ。タイチ君が勇気を出して自分の思いを伝えたからさ」
「そうよ。自分の思いを伝えずにイーブイを隠して逃げていたけど、ちゃんとイーブイのトレーナーになるって自分の口から言えたじゃない。それって、すごいことよ?」
「カスミお姉ちゃん…………ありがとう!」
タイチ君は最初会った時とは違い晴れ晴れとした表情でイーブイを抱っこしていた。
イーブイもタイチ君の腕の中で、尻尾を振って嬉しそうだ。
「本当にお世話になりました。タイチのことも、心が熱くなるバトルを見せてくださったことも」
「こちらお礼です。よかったら受け取ってください」
ライゾウさん達のご両親が、なんとポケモンのタマゴを差し出してくる。
「い、いいんですか?」
「もちろんです。ポケモンの新しい魅力に気付かせてくれたお礼ですから」
「このタマゴって……」
「僕のイーブイの弟か妹!」
「やっぱり!」
俺がライゾウさんに確認をとる横で、カスミがタイチ君に尋ねて目の色を変えている。
「カスミ、受け取ってやれよ」
「えっ?い、いいの?」
だというのに、俺がいざ促すとカスミは本当にいいのかと戸惑っていた。
根は真面目で優しい子だからな。
「もちろん。今のカスミなら、シャワーズを推しつつイーブイの意思も尊重するいいトレーナーになれる。イーブイをうまく育てられると思う」
「俺も、サトシと同じ意見だな」
「サトシ………タケシ………ありがとう!」
感激して薄っすらと涙すら浮かべているカスミが、嬉しそうにイーブイのタマゴを受け取る。
念願のイーブイのタマゴというだけあって、本当に本当に嬉しそうだ。
「サトシお兄ちゃん、カスミお姉ちゃん、タケシお兄ちゃん。僕、お兄ちゃん達みたいな立派なトレーナーになるよ!」
「あぁ、頑張れよ!」
「楽しみにしてるわ!」
「トレーナーの先輩として、応援してるぞ」
タイチ君に激励の言葉をかけてから、手を振って屋敷を後にする。
その後、ストンタウンというだけあって石を売っているお店がたくさんあったので、一つ一つ見て回った。
そこで見つけた、メガストーン。
こんな場所にあるのか!
10000円と安いところもあれば、50000円と妥当な値段の店もあった。
お金は先ほどたんまり手に入れたので、惜しまず買っていく。
黒曜石に似た黒い石を売っているお店もあった。
これがくろのきせきかはわからないが、一応ということで一番綺麗な黒い石を一つ買った。
一つ1000円と安かったが、これがくろのきせきならこんなに安くはないだろうと、せめてということで5000円で買った。
物好きと思われたようで、奥からこれも持っていけと差し出されたのは、再びのメガストーン。
タダでなんて受け取れません!、と言ってみても、受け取らないなら黒い石は売らないと言われてしまい、結局受け取った。
結果的に手に入れたメガストーンは、合計で八個。
薄紫色の球に、黒と黄色の模様が入ったメガストーン。
薄オレンジ色の球に、クリーム色と青緑色と赤色の模様が入ったメガストーン。
恋橙色の球に、黄色と赤色の模様が入ったメガストーン。
薄紫色の球に、濃い紫色の模様が入ったメガストーン。
黄色の球に、灰色と黒に近い紫色の模様が入ったメガストーン。
水色の球に、灰色がかった黒と球と同じ色の模様が入ったメガストーン。
オレンジ色の球に、赤と山吹色の模様が入ったメガストーン。
そしてあと一つはわかりやすかった。
フシギバナの色をしていたから。
これはフシギバナイトだろう。
フシギダネが進化するかはわからないが、大事にとっておこう。
まぁそもそも、キーストーンはなかったのでメガストーンに合うポケモンがいても、まだメガシンカできないが。
何はともあれ、思わぬ買い物をしてホクホクだ。
ふふふ。
そういえば、ストライクは無事バサギリに進化した。
生きているバサギリを初めて見たタケシとカスミとオーキド博士が、悲鳴を上げていた。
・タケシの本気のポケモン一体を倒した。
六対六、はたまた三体三ではまだまだ勝率は低いと思われる。
変化技である〝ロックカット〟や〝つるぎのまい〟を使ってこなかったのも大きい。
スイクン(色違い) Lv.49
エーフィ♀ Lv.50→51
リザードン♂ Lv.50 -太陽-
ピカチュウ♂ Lv.50→52
ロコン→キュウコン♂(色違い) Lv.46
バタフリー♂ Lv.43→44
ピジョン♂ Lv.44→45
ニドキング Lv.43→44
フシギダネ♂ Lv.44→46
ヒトカゲ♂ Lv.44→46
カメール♂ Lv.42→45
クラブ→キングラー♂ Lv.41→43
ニンフィア♀ Lv.42→43
ゲンガー♂ Lv.53
バタフリー♀(桃色の色違い) Lv.20 -モルガナ-
ゲンガー♂ Lv.41→42
オコリザル♂ Lv.48
ブラッキー♂(色違い) Lv.38→40
ガーディ→ウインディ♂(ヒスイの姿) Lv.41→42
リーフィア♂ Lv.30→35
ベトベトン♂ Lv.40→41
レアコイル→ジバコイル(色違い) Lv.40→41
ケンタロス♂ Lv.32→34
ガルーラ♀ Lv.29→32
ニョロゾ♂ Lv.30→33
サイホーン♂ Lv.26→30
ストライク→バサギリ♂(色違い) Lv.30→32
ゾロア♀(色違い) Lv.25
ヒンバス♂(色違い) Lv.20
ラッキー♀ Lv.23→29
カラカラ♂ Lv.23→25
ポリゴン Lv.25→26