転生サトシの旅路   作:ナノブ

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25.カッコいいトレーナーを目指して

第46話 起きろ!カビゴン!

 

 

手持ちをピカチュウ、太陽、ピジョン、ゲンガー(ふゆう個体)、バタフリー、ベトベトンにして旅は続く。

イーブイのタマゴをゲットできてホクホクのカスミに、賞金も進化の石もメガストーンもゲットできてホクホクの俺。

順調に旅を続けていたと思っただのが、なんと食料が尽きた。

 

 

「寄り道ばっかしたせいかな?」

 

「バトルの特訓で無駄に日を使ったせいじゃない?」

 

「どっちもありうるな」

 

 

身に覚えがありまくるので、一旦反省する。

しかし反省して食料がゲットできるわけでもないので、先を急ぐ。

ピカチュウは疲れたのか、俺のバッグの上で俺の頭を枕に器用に寝ていた。

 

しばらく行くと、大きな石に腰掛けるおじいさんがいた。

 

 

「おぉぉ。少年少女達よいいところに来た」

 

「ん?どうしたの、おじいちゃん?」

 

「まぁ聞くがよい」

 

 

そう言ってポケモンの笛を取り出して、奏で始める。

その綺麗な音色に、ピカチュウが目を覚ました。

って、ポケモンの笛?

これもしかして、カビゴン関連か?

 

 

「すてき~」

 

「さて聞き賃じゃ。パンの一つでも貰おうかの」

 

「えぇ!?タダじゃないの!?」

 

「私の笛を聞けるなんて幸運なんじゃぞ!」

 

 

幸運かどうかはわからないが、求められているものが食糧なら運悪く何も持っていない。

 

 

「すみません。俺達、食料は持っていないんです」

 

「ビスケットとかもないのか?」

 

「すみません。欠片もないんです」

 

「なんじゃい、聞かせ損か。仕方ない。行った行った」

 

 

そう言っておじいさんは石の上で横になってしまう。

もう一度謝ってから通り過ぎる。

空腹を知らせる音を鳴らすお腹を押さえながら再びしばらく行くと、村が見えた。

 

 

「やっとたどり着いたな」

 

「これで何か食べられるのね!」

 

 

と思ったのだが、パン屋にパンはなく、八百屋に野菜がなく、レストランには材料がなかった。

途方に暮れていると、長老さんが現れて家に招待してくれた。

 

 

「でも、本当にいいんですか?俺達がご飯を食べちゃって……」

 

「遠慮することはない。ワシの家は蓄えでしばらくはなんとかなるからのぅ」

 

「ありがとうございます。いただきます!」

 

 

いただきます、と声を揃えて久しぶりの美味しいご飯にありつく。

長老さんに話を聞けば、川が干上がって作物が取れなくなってしまったらしい。

川が干上がるほどカンカン照りだったか?という疑問に、実際に川を見に行った。

確かに干上がっており、作物は皆しなびていた。

 

 

「あっちゃぁ。皆しなびてる……」

 

「小麦も他の野菜もできなくて皆困っとるんじゃ」

 

「川の上流に原因があるんじゃないかな?」

 

 

タケシの言葉で、美味しいパンとシチューをご馳走してくれたお礼に、上流まで調べに行くことにした。

 

 

「長老さん。上流へ行って調べてきます」

 

「上流へは村の者も滅多に行かん。何が起こるかわからんぞ……」

 

「俺達なら大丈夫です」

 

 

ピカチュウを肩に乗せ、村を出て上流に向かう。

川を辿ってしばらく行くと、川が行き止まりになっていた。

何だ何だとよく見てみると、茨が森を覆っている。

 

 

「ここを通るのは大変そうだな……」

 

「気を付けないと、全身傷らだけになるぞ」

 

「ここはポケモン達に助けてもらおう」

 

 

太陽の〝エアスラッシュ〟で茨を切り裂き、ピジョンの〝かぜおこし〟で切った茨をどかす。

人一人分の道を確保してから奥へと進む。

茨を抜けた先に、泉らしきものがあった。

らしきというのは、泉の水も干上がってしまっていたのだ。

唖然としていると、何やらいびきが聞こえた。

聞こえた方に行ってみると、予想通りカビゴンを見つける。

 

 

「気持ちよさそうに寝てるなぁ」

 

「あぁ!見て!カビゴンが湧き水の出口を塞いでるわ!」

 

「だから川まで水が流れなくなったんだな」

 

「じゃあ、どういてもらえば問題解決ね!」

 

 

そう言ってタケシとカスミがカビゴンを起こそうとするので待っててもらい、ポケモンの笛を持っているおじいさんを呼びに行った。

 

 

「おじいさーん!」

 

「ん?おや、さっきの。どうかしたのか?」

 

「お願いがあるんです!一緒に来てください!」

 

 

何が何だかわからないままに頷いてくれたおじいさんに感謝して、おじいさんを背負いカスミ達の元まで戻る。

 

 

「あ、サトシ!あれ?さっきのおじいちゃん?」

 

「どうしてその人を連れて来たんだ?」

 

「カビゴンは、ポケモンの笛を吹かなきゃ起きてくれないんだよ」

 

 

ほら、とポケモン図鑑の説明文を見せると、すぐに納得してくれた。

そしてそんなことまで知っていたのか、と尊敬の眼差しを向けられて少し気まずい。

 

 

「ポケモンの笛で、このカビゴンを起こしてほしいんです」

 

「おぉ!しばらく見んうちに大きくなったなぁ、カビゴンや。寝る子は育つじゃのう」

 

「おじいちゃん、このカビゴン知ってるの?」

 

「知ってるも何も私のじゃ。この子はよく寝る子でな。連れて歩くわけにもいかんので、一か月に一度起こしに来るんじゃよ」

 

「へぇ……」

 

「カビゴンのせいで川の水が干上がっちゃって大変なんです。起こしてもらえませんか?」

 

「そうか。それじゃあさっそく」

 

 

そうしておじいさんがポケモンの笛を吹き始めると、無事カビゴンが目覚めた。

しかしカビゴンがその場をどいても、水は流れなった。

見ると、ここでも茨が道を塞いでる。

この茨全部を撤去しなきゃダメか、と思っているとカビゴンが茨を食べ始めてくれた。

このカビゴンの大好物が茨らしい。

そんな個体もいるのか。

 

カビゴンが茨を食べ尽くし、再び眠りに入ると同時に川の水が復活し始めた。

徐々に水位が上がり、無事に元の川に戻る。

問題が解決したことを、長老さんに知らせに行った。

 

 

「やれやれ。これで村も元通り。よかったよかった!」

 

「本当によかったです」

 

「これもカビゴンのおかげね」

 

「さぁ、皆でお祝いしよう。パンとシチューの食べ放題じゃ!」

 

「「「やったー!」」」

 

 

腹いっぱいご馳走になり、ちゃんと食料を調達してから村を出発した。

 

 

 

 

 

第47話 対決!ポケモンジム!

 

 

旅の途中辿り着いた、ダークシティ。

真昼間だというのに人の姿が見えず、寂れていた。

家から出てきた子どもも、大人に「ポケモントレーナーが出たらどうするの!」と怒られて家の中に連れ戻されている。

 

 

「ポケモントレーナーがどうしたって言うのよ」

 

「!?チュウ!」

 

 

カスミが呟くと同時に、どこからともなく石が三つ投げられた。

咄嗟にカスミがタマゴを庇い、ピカチュウが慌てて避けて、反射的に石が投げられた方角に〝10まんボルト〟を放っている。

屋根から転げるように落ちてきたのは、三人の子ども。

 

 

「子ども!?」

 

「ご、ごめんよ。大丈夫かい?」

 

「でもいきなり石なんか投げるから……」

 

 

慌てて近寄って怪我らしい怪我がないことを確認する。

すると子ども達は、キッとこちらをにらみつけてきた。

 

 

「お前達、ポケモントレーナーだろう!?」

 

「えっ?う、うん。俺マサラタウンのサトシ。ポケモンマスターを目指して旅をしてるんだ」

 

「俺は世界一のポケモンブリーダーを目指しているタケシ」

 

「そんでもってあたしは、世界の美少女。名をカスミ」

 

「むっ!」

 

 

名乗った瞬間に子どもが棒を振りかぶったのを見て、咄嗟に手で受け止める。

 

 

「なっ!?」

 

「こら。人を叩いちゃダメだろう?」

 

「トレーナーでもブリーダーでも、俺達ポケモンって名が付くものは大っ嫌いなんだ!」

 

 

一人の言い分に、他の二人も頷いている。

わけがわからなくて受け止めたままカスミ達と顔を見合わせると、子ども達の保護者らしき人がやってきた。

 

 

「すみません。この子らが迷惑をかけてしまったようで。お詫びをしますので、家へきてもらえませんか?」

 

「え?あ、はい……」

 

 

レストランの店主らしいその人は、俺達にオムライス、カレーライス、ナポリタンをご馳走してくれる。

 

 

「実はこの町では、ヤスジムとカズジムという二つのポケモンジムが、旅のトレーナー達を用心棒に雇い入れて、事あるごとに所かまわずポケモンバトルをしているんです」

 

「それでこの町は荒れ放題なのか……」

 

「何でも、勝った方がポケモンリーグの公認ジムになれるんだとか」

 

「なるほど。ポケモンリーグの公認ジムになりたくて……」

 

 

そこまで聞いた時、外から騒がしい音がした。

 

 

「始まった!」

 

「え?何?」

 

「ヤスジムとカズジムの小競り合いだ。君達は二階へ隠れなさい。巻き込まれたら大変だ」

 

 

とは言われたものの、店主さんの大事なお店が荒らされるのは見過ごせない。

ヤスジムとカズジムの奴らは、周りの被害お構いなしにポケモンバトル――――いや喧嘩をし始める。

 

 

「あれじゃあ、ポケモントレーナーを嫌いになるのも無理ないな」

 

「あんなの、ポケモン勝負なんかじゃなくてただの喧嘩じゃない」

 

 

タケシもカスミも俺と同じ意見らしい。

そしてどういうわけか、カスミがこちらを見つめてきた。

 

 

「……………」

 

「…………………」

 

 

言いたいことはわかる。

よし、ご飯をくれた恩返しといくか!

ピカチュウ、太陽、ピジョン、ゲンガー(ふゆう個体)、バタフリー、ベトベトンを出して、ヤスジムとカズジム両方のポケモン達に勝負を挑み、片っ端から倒しまくっていく。

実力的には天と地ほどの差があるので、まず後れを取ることはない。

 

 

「何だてめぇ!?ヤスジムの用心棒のトレーナーか!?」

 

「何だお前は!?カズジムの用心棒のトレーナーか!?」

 

 

騒ぎに気付いたカズジムのカズとヤスジムのヤスが、喧嘩を止めてこちらを見てきた。

 

 

「俺はどちらでもないよ。ただのポケモントレーナーだ」

 

 

そう言ってやる間にも、カズのエレブーとヤスのストライク以外を全て戦闘不能にする。

そしてエレブーの相手をベトベトンに、ストライクの相手をピジョンに任せた。

 

 

「ピジョン、〝でんこうせっか〟から〝つばめがえし〟!ベトベトン、〝ヘドロばくだん〟!」

 

 

カズとヤス、どちらのポケモンも公認ジムリーダーにしては育てが足りていない。

ただ暴れているだけのポケモンに、さすがに負けなかった。

エレブーとストライクをあっという間に戦闘不能にすると、ピジョンがピジョットに進化する。

ここで進化するか!

あまりにも嬉しくて俺の元に戻ってきたピジョットに抱き付いて頬擦りしていると、羨ましがったベトベトンに〝のしかかり〟される。

 

 

「よしよし。ベトベトンもよくやったな」

 

「ベェトォ」

 

「す、すごい………カズジムとヤスジム、二つ同時にやっつけちゃった……」

 

 

バトルを観戦していたらしい子ども達が、驚きに目を見開いている。

 

 

「お前達がしているのはポケモンバトルじゃなくてただの喧嘩だ。ポケモンリーグの公認ジムは、喧嘩の強さを競うところじゃない。ポケモンとトレーナーの実力を測る場だ。町の人に迷惑かけて、ポケモンを喧嘩の道具にして、金儲けのために使おうとしているお前達は、公認ジムには向いていない」

 

 

偉そうに語ってしまったが、言わずにはいられない。

さて、これでカズとヤスが改心してくれればいいのだが……。

 

 

「おい!ここは一時休戦だ!」

 

「おう!野郎ども!あいつをとっちめてやれ!」

 

「「「「「「「「「「おー!!!!」」」」」」」」」」

 

 

なんと、ポケモンバトルじゃなく人間が喧嘩を仕掛けてきた。

 

 

「サトシ!!!!」

 

「サトシ!!!」

 

「大丈夫。あいつらも懲りないね」

 

 

慌てて駆け寄ってこようとするカスミとタケシを止めて、波導で強化した体を使って仕掛けてくる奴ら全員ぶん投げていく。

全員地に這いつくばったところで、影からこちらを覗いている人に目で合図を送った。

無事合図が伝わったようで、その人が出てくる。

皆が誰だ?、と疑問に思う中、その人はモンスターボールを突きつけた。

 

 

「私こそ、ポケモンリーグから来た正義の検定員」

 

「「えぇ!?」」

 

「行け、モンスターボール!」

 

「ラッキー」

 

 

出てきたラッキーに、カズとヤスがズッコケる。

その人はコートを脱いで、ジョーイさんその人が姿を現す。

 

 

「ポケモンを喧嘩としか捉えていない人達を、ポケモンリーグ公認ジムにするわけにはいきません!」

 

「そんなぁ!」

 

「そこんところ、なんとかなりませんか……?」

 

 

検定員が現れて急に弱々しくなったカズとヤスに、ジョーイさんはにっこり微笑む。

 

 

「一からやり直す気持ちがあれば、ね?」

 

「もちろんあります!」

 

「どうすればいいのか、教えてください!」

 

「だったら、私なんかより適任者がいるわ」

 

 

そう言ってジョーイさんに腕を引かれ、前に出される。

え?俺?

 

 

「「先生!さっそく何かお言葉を!」」

 

 

なんかカズとヤスもノリノリだし。

 

 

「とりあえず、ポケモンを喧嘩の道具として見るのをやめること。ポケモンは友達だ。家族として大切にしなきゃ」

 

「「ははーー」」

 

 

土下座している体勢で地面に頭を付けると、拝まれているようで非常にやりにくい。

 

 

「それと、町を荒らして寂れさせたことを町の人達に謝って、町を復興させるのに力を貸してあげなよ?」

 

「「ははーー」」

 

 

それからカズとヤスは、心を入れ替えて町の復興作業に手を貸していた。

 

 

「サトシさん、ありがとう!俺達、ポケモントレーナーのこと見直しました!な?皆でポケモントレーナーを目指そうぜ?」

 

「「うん!」」

 

「だって、めっちゃくちゃカッコよかったもん!」

 

「カッコよかったよ!」

 

 

俺のことをキラキラした目で見てくる子ども三人に、照れくさくなる。

 

 

「ありがとう。皆が立派なポケモントレーナーになるのを、楽しみにしてるよ」

 

 

こうして、手を振って笑顔で別れたのだった。

 

 

 

 

 

第48話 ナッシー軍団の大行進!

 

 

次の町に辿り着き、母さんとオーキド博士に連絡を入れて手持ちをピカチュウ、ニドキング、ヒトカゲ、ニンフィア、オコリザル、ウインディにする。

サファリゾーンで仲間にしたゾロアとヒンバスの傷はよくなったらしく、もうしばらく静かな場所で休ませれば全快するだろうとのことだった。

オーキド博士からポケモン達の近況を聞いていると、カーニバルが始まった。

町を挙げてのカーニバルらしく、町中賑わっている。

 

 

「こりゃ遊ばなきゃ損だな」

 

「ねぇサトシ!あっち行こう!」

 

「おっと。引っ張るなよ、カスミ」

 

 

踊りに行ったタケシを放り、カスミに腕を引かれてメリーゴーランド等遊具を遊び尽くす。

アイスクリームを買って美味しく食べていると、何やらもめている声が聞こえてきた。

 

 

「やめさせてもらいます!!」

 

「バイト代は必ず払うのね!だから、やめないでほしいのね!!」

 

 

綺麗なアシスタントのお姉さんと、土下座しているマジシャンっぽい服装のおじさん。

聞こえた話によると、バイト代が出ないからやめたいとのことで、今までのショーでお客さんが入らなかったのが原因らしい。

おじさんがアシスタントのお姉さんの足に縋りついて止めているが、叩かれて引っぺがされている。

さようなら、と歩いて行ってしまうアシスタントのお姉さん。

倒れ込んだままのおじさんをみかねて、カスミが声をかけに行った。

 

 

「あの~~大丈夫ですか?」

 

「おぉ、あなた優しい人ね」

 

「いや別にそういうわけじゃ」

 

「それにとてもビューティフルなお嬢さんです。こんな人に助けてもらえて、僕もう思い残すことはありませぇん」

 

 

がく、と再び倒れ込む。

 

 

「あ、おい!」

 

「しっかりしてよ!」

 

 

慌てて俺も駆け寄り、カスミも再び声をかける。

そんなカスミの優しさに付け込んでか、頼みを聞いてほしいと言ってカスミに顔を近付けてきたので、間に入って距離を取らせる。

 

 

「あれ?あなた、その子の彼氏さんなのね?」

 

「か、かれっ!?」

 

「違うけど、パーソナルスペースを保ってください。初対面の人にいきなり顔を近付けられて、戸惑わない人はいません」

 

「そ、それは申し訳なかったのね」

 

 

マギーと名乗ったおじさんは強かにも、カスミにアシスタントになってほしいと頼んできた。

 

 

「あたしがアシスタント?」

 

「はいなのね。僕、マジシャンなのね。マジシャン知ってる?」

 

「え、えぇ……」

 

「どうぞ」

 

 

マギーさんはマジックでカスミに花をプレゼントしている。

 

 

「僕、今あんまり人気ないから、これが精一杯だったりするのね。でも、いつかはブロードウェイの大劇場で、満員のお客さんを前にして僕のマジックを披露するのが、夢なのね!」

 

「ふーん、まぁいっか。でも一回だけよ?」

 

「ありがとなのね!」

 

 

そうして始まったマギーさんのマジックショーは、確かに人がまばらにしかいなかった。

披露される芸も微妙なものばかり。

結局はマギーさんが出した炎が火事騒動を引き起こし、スプリンクラーが発動してお客さんが水浸しになってしまった。

怒って出て行くお客さんを引き留めるマギーさんに、空瓶が投げ付けられる。

 

そして騒動を知ったお偉いさんにクビを宣言されてしまった。

落ち込むマギーさんに、再びみかねたカスミが声をかけに行っている。

優しいなぁ。

 

 

「マギーさん、元気出して」

 

「でも、クビになっちゃったのね。僕もう舞台に上がれないのねぇ。ごめんね、タマタマ!僕が下手くそなばっかりに……」

 

 

俺も見ていられないので、近寄って声をかける。

 

 

「芸人なんだから、受ける芸を作ればいいんじゃないですか?」

 

「あ、確かに!」

 

「俺達も協力します。練習しましょう?」

 

「頑張りましょう、マギーさん!」

 

「み、みなさん……うん、僕、頑張るのね!」

 

 

とは言っても急激に芸が上手くなるわけもなく。

 

 

「ダメだこりゃ……」

 

「才能ないのかもね……」

 

 

思わず溢したカスミの言葉に、マギーさんが膝を付く。

 

 

「マジシャンになるの、夢だったのね。僕のマジックで、子ども達の喜ぶ顔が見たかった………でも、何もかも終わりなのね」

 

「タマァ!タマタマ!」

 

 

落ち込むマギーさんをマギーさんのタマタマが必死になって慰めている。

弱気な人というか、泣き言ばかり言う人というか。

 

 

「ピィカ。ピカチュウ?」

 

「タマァ……」

 

 

マギーさんを慰めるタマタマにピカチュウが近寄り、話を聞いている。

マギーさんのために何かしたい!という思いはあるようなので、マギーさんがしっかりすればタマタマもついてくると思うのだが。

そんなことを考えていると、タマタマが〝さいみんじゅつ〟をピカチュウにかけたようで、ピカチュウがフラフラし出す。

 

 

「ピカチュウ………?自分の尾を追って、回るのね」

 

「ピカピカ」

 

「あ、おい。ピカチュウ、大丈夫か?」

 

「ピッ……ピィカ?」

 

 

マギーさんの指示で自分の尾を追って回っていたピカチュウを抱き上げて、波導を流して助け出す。

人のポケモンに何してくれてるのか。

 

 

「〝さいみんじゅつ〟…………これは、使えるかもしれないのね」

 

「え?」

 

 

マギーさんは何事か呟いたかと思えば、出かけてくると言って町の外に出て行ってしまった。

何だか嫌な予感がするぞ?

カスミ達と顔を見合わせた。

 

嫌な予感は当たり、ナッシー軍団が大行進して町に向かってきた。

慌ててニドキング、ヒトカゲ、ニンフィア、オコリザルを出して、ナッシーに攻撃し正気に戻していく。

その過程で、一番張り切っていたヒトカゲがリザードに進化した。

 

 

「リザード!進化したのか!」

 

 

嬉しさで上擦った俺の声に、静かに頷くリザードはクールだ。

前のように俺の言うことを聞かないということも、俺に〝かえんほうしゃ〟を撃ってくるということもなく、今回はただクールだ。

カッコいいぞ、リザード。

立派なクーデレになるよう褒めまくってやる。

 

ナッシーを全て正気に戻し、町を守ったことで俺達は町の人に感謝された。

そして状況を知るため、マギーさんを探しにリーフの森に向かうと、ナッシーに踏み潰されたのであろうマギーさんが倒れていた。

 

 

「マギーさん!」

 

「ちょっともう!大丈夫!?」

 

「世話のかかる人だ」

 

 

タケシの愚痴ももっともだ。

 

 

「マギーさん、しっかり!」

 

「う、う………サ、サトシ君……」

 

「何をしようとしたんですか?」

 

「うぅ………ナッシー達の〝さいみんじゅつ〟をお客さんにかけて、僕のマジックを見てもらおうとしたのね。これで僕も、ブロードウェイ進出なのね、って……」

 

「ズルしようとしたのか」

 

「ちゃんと自分の技術を磨こうとしなきゃダメじゃない!ズルしてお客さんを呼んだところで、腕が伴ってなきゃブロードウェイで恥をかくのはマギーさんなのよ?」

 

「うぅぅぅ………その通りなのね……。ナッシーも互いに〝さいみんじゅつ〟をかけ合って暴走しちゃったし、僕が間違ってたのね……」

 

 

マギーさんは心底から反省したようで、再び落ち込んでいる。

今回ばかりは町を壊してしまうところだったので、擁護できない。

これからは一からきちんと見直して基礎を積み立てていく、と言ってくれたし、まぁよしとしよう。

 

そういえば、マギーさんのタマタマもナッシーに進化していた。

結局マギーさんは自分のナッシーだけを手元に置くことにしたらしく、他のナッシーは逃がすことにしたようだ。

ナッシーが大量にいても、お世話が大変だからな。

 

 

「絶対に夢を叶えてねーーー!」

 

「練習あるのみですよーーー!」

 

「頑張ってくださいー!」

 

「ありがとなのね、皆さーん!」

 

 

一先ず問題解決ということで、笑顔で手を振って別れた。

まったく。

何だか今回は大変だったな。

 

 







・『おきろ! カビゴン!』より。
ロケット団はカビゴンゲットに燃えていたが、サトシがあまりにもスピード解決したので出て行くタイミングを見失った。
サトシ達が去った後、再び眠ってしまったカビゴンをあれやこれやと起こそうとしたが起きず、下敷きになって終わった。


・『たいけつ! ポケモンジム!』より。
カスミはサトシへの信頼が厚いので、サトシならきっと何でもどうにかしてくれるという思いが強い。
実際何とかしてしまえるので、余計に信頼が厚くなる。
だからこの世界のカスミは、サトシに対して何かと我が儘を多く言う。
しょうがないなって顔して叶えてくれるのを知っているので。
甘えてる。


・『ナッシーぐんだん だいこうしん!』より。
サトシが〝さいみんじゅつ〟にかからず、ピカチュウが〝さいみんじゅつ〟にかかったのを見てマギーが悪知恵を働かせることになった。
そもそも、このサトシに〝さいみんじゅつ〟は効かないので前のようにはいかなかった。





スイクン(色違い) Lv.49

エーフィ♀  Lv.51

リザードン♂ Lv.50→52 -太陽-

ピカチュウ♂ Lv.52→53

キュウコン♂(色違い) Lv.46

バタフリー♂ Lv.44→47

ピジョン→ピジョット♂  Lv.45→48

ニドキング  Lv.44→47

フシギダネ♂ Lv.46

ヒトカゲ→リザード♂  Lv.46→49

カメール♂  Lv.45

キングラー♂ Lv.43→44

ニンフィア♀ Lv.43→47

ゲンガー♂  Lv.53

バタフリー♀(桃色の色違い) Lv.20 -モルガナ-

ゲンガー♂  Lv.42→46

オコリザル♂ Lv.48→49

ブラッキー♂(色違い) Lv.40→41

ウインディ♂(ヒスイの姿) Lv.42→46

リーフィア♂ Lv.35→36

ベトベトン♂ Lv.41→45

ジバコイル(色違い) Lv.41→42

ケンタロス♂ Lv.34→36

ガルーラ♀  Lv.32→34

ニョロゾ♂  Lv.33→35

サイホーン♂ Lv.30→34

バサギリ♂(色違い) Lv.32→34

ゾロア♀(色違い) Lv.25

ヒンバス♂(色違い) Lv.20

ラッキー♀  Lv.29→32

カラカラ♂  Lv.25→28

ポリゴン   Lv.26→29

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総合評価:2788/評価:8.02/連載:38話/更新日時:2026年05月12日(火) 20:44 小説情報


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