転生サトシの旅路   作:ナノブ

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8.VSジムリーダー

第13話 VSニビジム ジムリーダー タケシ

 

 

「たのもーーー!」

 

 

ジムの扉を開け放って、薄暗い中声を張り上げる。

肩に乗ったピカチュウも、やる気満々だ。

ジムの中に入っていくと、奥に座ったタケシを見つけた。

 

 

「何者だ」

 

「俺はマサラタウンのサトシ。ジム戦を挑みに来た!」

 

「またマサラタウンから来たトレーナーか……。バッジはいくつだ?」

 

「まだ一つも持ってない」

 

「わかった。ポケモン達のレベルをバッジ0のトレーナー相手に合わせよう。使用ポケモンは二体。いいな?」

 

「おう!」

 

 

返事をすると、タケシはフッと笑って指パッチンをした。

途端に明るくなるフィールド。

左右から岩のフィールドが押し寄せてきたので、トレーナーの指定の位置まで戻る。

タケシも指定の位置にやってきて、モンスターボールを構えた。

 

 

「試合開始だ!行け!イシツブテ!」

 

「ロコン、君に決めた!」

 

 

こちらがロコンを出すと、タイプ相性も知らないトレーナーなのかと思われたようで、タケシが眉をひそめる。

 

 

「ちょ、ちょっと!岩タイプ相手に炎タイプは不利よ!」

 

 

上の観覧席で見守っていたカスミがそう声を張り上げるが、変えるつもりはない。

 

 

「行くぞ、ロコン!〝ひのこ〟!」

 

「コン!」

 

 

まだ〝かえんほうしゃ〟を覚えていないので〝ひのこ〟で攻撃するが、イシツブテはあまりダメージを負ったようには見えない。

やけど状態にでもなってくれればと思って指示を出したが、そう上手くはいかないか。

 

 

「まったく、これだから初心者は………イシツブテ、〝ころがる〟攻撃!」

 

 

呆れたようにタケシが攻撃に転じてきた。

 

 

「〝でんこうせっか〟!」

 

 

こちらは〝ころがる〟をしてきたイシツブテを〝でんこうせっか〟で避け、背後に回り込む。

するとタケシが意外な顔をした。

 

 

「行け、〝じんつうりき〟だ!」

 

「コーン!」

 

 

覚えた〝じんつうりき〟で転がっていたイシツブテを持ち上げ、地面に叩き付ける。

 

 

「とどめの〝じんつうりき〟!」

 

 

イシツブテが起き上がる前に再び〝じんつうりき〟を叩き込み、一気に戦闘不能にまで追い込んだ。

最初の〝ひのこ〟は特性がんじょうを潰すためにも放ったが、〝じんつうりき〟二発かかるならいらなかったかもしれないな。

ともあれ、これでまずは一勝である。

 

 

「戻れ、イシツブテ!ふっ。なるほど、ただの初心者トレーナーというわけではなさそうだ。では次はどうする?行け、イワーク!」

 

 

タケシは次が楽しみだとでも言うように笑った後、イワークを繰り出してきた。

 

 

「戻れ、ロコン!ニドラン、君に決めた!」

 

 

俺は一度ロコンをモンスターボールに戻し、ニドラン♂を繰り出す。

〝にどげり〟は昨日の段階で既に覚えた。

勝機は十分にある。

 

 

「もう油断はしない!イワーク、〝しめつける〟!」

 

 

避ける間も指示する間もなく、素早い動きでイワークの尻尾がニドラン♂に巻き付く。

ニドラン♂は足をジタバタさせるが、到底逃げれそうにない。

 

 

「〝きあいだめ〟だ!」

 

 

俺が指示をすると、聞き慣れない単語だったのかタケシは片眉を上げた。

巻き付かれながらニドラン♂は〝きあいだめ〟をし、急所率を上げていく。

 

 

「〝どくばり〟攻撃!」

 

 

イワークの顔を狙った〝どくばり〟は上手いこと突き刺さり、イワークが思わず怯み尻尾の拘束が緩んだ隙にニドラン♂は抜け出した。

運のいいことに毒らせることにも成功したようだった。

 

 

「いいぞ!〝にどげり〟だ!」

 

「ニドッ!」

 

「イワーク、〝たいあたり〟!」

 

「ニドラン、よく見てかわせ!」

 

 

イワークの巨体が迫ってくる中、ニドラン♂はひょいと体を横にずらして〝たいあたり〟を避け、イワークの頬に〝にどげり〟を決める。

これまた運よく急所に当たったようで、イワークはふらついた。

 

 

「よく育てられているな。ではこれはどうだ、〝あなをほる〟!」

 

 

イワークの巨体が地面に潜っていく。

 

 

「ニドラン、よく音を聞くんだ!」

 

 

俺がそう声をかけると、ニドラン♂は大きな耳で羽ばたくように動かしながら集中し始める。

 

 

「ニド!」

 

 

緊迫した空気が流れる中、ニドラン♂は突然斜めに飛び上がった。

途端、ニドラン♂がいた地面からイワークが飛び上がってくる。

 

 

「避けた!?」

 

「ニドランは耳がいいんだ!」

 

 

驚くタケシに解説し、止めをさそうと腕を振り上げた瞬間、体が一気に重くなった。

驚きで声が出せず、イワークの隙を逃してしまう。

なんだなんだと自分の体を見てみると、タケシと似たような顔をした子ども達が俺の体に纏わり付いていた。

前にもこんなことあったなぁ、なんて思いながらも、驚かずにはいられない。

 

 

「な、なん……!」

 

「お兄ちゃんが一生懸命育てたイワークをいじめるなぁ!」

 

「い、いじめるなったって、これは試合だぞ………?」

 

「お、お前達やめろ!サトシの言う通り、これは正式な公式試合だぞ!」

 

 

慌ててタケシが止めに入るが、子ども達は嫌だ嫌だと首を横に振る。

すっかりジム戦という雰囲気ではなくなってしまった。

仕方ないのでニドラン♂に戻ってくるように言い、バトルを中断する。

子ども達もイワークがこれ以上傷付かないとわかると、ようやく素直に放してくれた。

 

 

「何故だ、サトシ。試合はまだ終わってはいない」

 

「最初、油断してたんだろう?油断してないジムリーダーに勝ってこそジムバッジを貰った時に喜べるってもんだ。また明日貰いに来るよ」

 

 

何か言いたげな顔をしたタケシを置いて、戦ってくれたニドラン♂を労ってからモンスターボールに戻し、ピカチュウと一緒にジムを出た。

すると、むしゃくしゃした顔をしたカスミが足早にやってくる。

 

 

「もう~~~!あとちょっとで勝てそうだったのに!」

 

「まぁまぁ。子ども達を泣かせてまで、勝利にこだわるつもりはないよ」

 

 

カスミを宥めながらそう言うと、カスミは口を尖らせる。

 

 

「…………あんた、優しいところもあるじゃない」

 

「そうかぁ?」

 

 

あえておどけて見せ、場の空気を和らげる。

するとそこに、ムノーのおじさんがやってきて、「うちにきなさい」と招待してくれた。

カスミと顔を見合わせ、ついていくことにする。

 

 

「中々やるじゃないか。昨日笑ったことを詫びよう」

 

「別にいいですよ。俺自身はまだまだですから」

 

「ふむ、謙虚だな。謙虚は美徳だが嫌味にもなる。気を付けるんだぞ?」

 

「はぁ~い」

 

 

ムノーのおじさんに注意され、素直に頷きで返す。

自分がすごい、できたと思ったことは、素直にそう言うつもりではあったが。

すると前と同じように、ムノーのおじさんはタケシのことを話してくれた。

理由があってこの町を出られないのだと。

 

今思い出した。

そう言えばこの人、タケシの父親じゃん!

 

 

「ムノーさんは家族の元に帰らないんですか?」

 

「ギクゥ!!いや、わしはその、あれだ。あれなんだよ。わかるだろ?」

 

「帰りづらいのかもしれませんが、今からだってできることはたくさんあります。先延ばしにしていたら、取り返しのつかないところまで行ってしまうかもしれません。そうなる前に、行動すべきです」

 

 

俺がそう言うと、十歳の俺に諭されるとは思っていなかったのか、ムノーのおじさんは罰が悪そうな顔をして頬をかく。

 

 

「まさか、この歳で説教を喰らうことになるとはな」

 

「歳は関係なく、人は成長していくもんですよ」

 

 

俺の言葉に、ムノーのおじさんは苦笑した。

 

 

「そうだな、確かにそうだ。というわけで、今はお前の話をしよう」

 

「俺の?」

 

「話逸らした?」

 

 

突然話を振られ、俺がポカンとするとカスミが呆れ目でムノーのおじさんを見る。

 

 

「話は逸らしたが重要なことだ。そのピカチュウ、もっとパワーアップしたくはないかね?」

 

「できるんですか?」

 

「うむ」

 

 

そして連れて行かれたのは、水車発電所。

水がないので人力だと言われたが、そこは俺がいるのでどうにでもなる。

 

 

「よし、やるぞ、ピカチュウ!」

 

「ピカッチュウ!」

 

 

水車をこぎ、発電していく。

体力以上の電圧が送り込まれ、ピカチュウが苦しそうにしている声が聞こえて心苦しくなる。

それでも止めようとしないピカチュウを尊重し、俺もひたすらに水車をこぐ。

しばらくこいでいると、ピカチュウから眩い電気が迸った。

 

 

「ピカピカチュウ!」

 

 

元気な声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピカチュウが〝10まんボルト〟を覚え、翌日。

ニビジムに向かい、ジムの扉を開け放つ。

 

 

「たのもーーー!」

 

「サトシ!来たな」

 

 

俺の姿を見たタケシが走り寄ってきて、手のひらをこちらに向けた。

 

 

「忘れ物だぞ」

 

「え?」

 

 

ジムバッジが差し出されていた。

 

 

「俺、まだ勝ってないよ」

 

「いや、昨日の試合、兄妹達が邪魔しなければ、勝っていたのはお前だろう。それくらい俺にもわかる。〝きあいだめ〟は、急所率を上げる技。そうでなくても、一発目の〝にどげり〟が急所に入って既にイワークはフラフラだった。あと一発で、決着がついていただろう」

 

「でも……」

 

 

またお情けバッジになるかもしれないと思うと、気が乗らない。

そんな俺を見て、タケシは自分のことを話してくれた。

 

 

「俺、本当はポケモンを戦わせるより、育てることに生きがいを感じるんだ。世界一のトレーナーじゃなくて、世界一のブリーダーになりたいんだ。でも、兄妹達の面倒を見なくちゃならない。それでこの町を出られないんだ。だから、俺の代わりに夢を叶えてほしい。受け取ってくれ」

 

 

前と同じ言葉だが、そこまで言われては受け取らないわけにはいかない。

 

 

「ありがとう、タケシ。一つ目のバッジ、ゲットさせてもらうぜ」

 

「タケシ。お前は、お前の夢を追え」

 

 

バッジを受け取った直後、ムノーのおじさんが現れた。

 

 

「ムノーさん!」

 

「ムノー?それじゃあ!」

 

「うむ」

 

 

ムノーのおじさんは付け髭を外し、変装を取る。

 

 

「親父!」

 

「この歳になってそこの坊主に説教されてな。ようやく顔を見せる決心がついたのだ。皆の面倒は心配するな。俺の分まで夢を叶えてくれ」

 

「親父………言っておきたいことがある」

 

 

そう言ってタケシの口から飛び出したのは、兄妹達の情報。

慌ててムノーのおじさんがメモっている。

思わずピカチュウとカスミと顔を見合わせ、笑ってしまった。

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけでサトシ。お前の旅に付き合わせてもらうぞ」

 

「あぁ、よろしくな、タケシ!」

 

「よろしく!」

 

 

こうしてニビシティでも新たな仲間を迎え、三人での旅が始まったのだった。

 

 

 

 

 

第14話 おつきみ山からハナダシティへ VSハナダジム ジムリーダー カスミ

 

 

ハナダシティを目指し、最短距離で進めるオツキミ山にやってきた。

今の手持ちはピカチュウ、スイクン、ロコン、バタフリー、ピジョン、ニドラン♂である。

しばらく歩いていると突然悲鳴が聞こえ、急いで行ってみるとズバットの群れに襲われている男の人がいた。

 

 

「ピカチュウ、〝10まんボルト〟で追い払え!」

 

「ピーカチュウ!」

 

 

この前新しく覚えた〝10まんボルト〟で軽く追い払い、男の人を助け出す。

リカオと名乗ったその人は、洞窟の中が昼間でも明るくなってしまったことでポケモン達の生活が狂ってしまっており、悪い連中からおつきみ山を守るためにパトロールしているということだった。

 

 

「どうして荒らされているの?」

 

「つきのいしが有名になったからさ」

 

 

カスミの疑問にリカオが答えながら、洞窟の中を進む。

歩いていると、ピッピがつきのいしを持って運んでいるところに出くわした。

リカオさんが慌ててついて行くので、それに付き合うことにする。

すると突然、ピッピの悲鳴が聞こえた。

 

 

「なっ!!?」

 

 

慌ててピッピに追いつくと、ロケット団がピッピを網で捕まえていたところだった。

 

 

「な、何なんだお前達は!!」

 

 

リカオさんの言葉から始まる、いつもの名乗り。

全て終わるまで待ってやる必要はなかったので、呆然としているタケシに呼びかけて我に戻らせる。

 

 

「悪いけど、お前達に付き合ってやる必要はない!ピジョン、君に決めた!」

 

「これで勝負だ!行け、ズバット!」

 

 

なんとタケシは、先ほど洞窟の入り口でゲットしたというズバットを繰り出した。

今回も見ていなかった。

ほんといつの間に。

 

 

「もう!名乗りを邪魔しないでよ!行きなさい、アーボ!」

 

「ドガース!」

 

 

ロケット団の二人は、いつもと変わらない面子だ。

ドガースの〝スモッグ〟をズバットと一緒に吹き飛ばし、アーボの〝かみつく〟を〝でんこうせっか〟で避ける。

タケシのズバットの〝ちょうおんぱ〟で二体同時に混乱したところを、ピジョンの〝かぜおこし〟でロケット団二人の方まで吹き飛ばした。

 

 

「「なぁぁぁ!!?」」

 

「ニャース!?」

 

「行け、ピカチュウ!〝10まんボルト〟!」

 

「ピィカァァァァチュウウウウウウ!!!」

 

 

止めの〝10まんボルト〟で、ロケット団を空に吹き飛ばす。

そのあと急いでピッピを網から助けると、頭を下げて感謝された。

 

 

「気にしなくていいよ。無事でよかった」

 

 

そう言ってピッピの頭を撫でさせてもらうと、ピッピは嬉しそうにしたあと、ついて来てほしいとジェスチャーしてくる。

カスミとタケシ、そしてリカオと顔を見合わせた後、言う通りにピッピについて行くと、別の洞窟の入り口に辿り着いた。

入ってみると、キラキラ光っている大きな月の石が。

そういえばここで、ピッピ達が進化するんだった。

 

思い出すと同時にピッピ達がたくさん出て来て、輪になって踊り始める。

月の石の神秘的な輝き。

ピッピ達の楽しそうな踊り。

今回もいいものを見せてもらった。

 

そう思っていると、ロケット団の網から助けたピッピが近くにやってきて、つきのいしを一つ差し出してくる。

どうやら助けたお礼らしい。

ピッピ自ら渡してくれるということで、リカオが感動していた。

 

 

「ありがとう、ピッピ。ちょうど俺の仲間に、つきのいしで進化するポケモンがいるんだ。時期が来たら、ありがたく使わせてもらうな」

 

「ピッピ!」

 

 

ピッピの許可が出たので、つきのいしを受け取った。

すると他のピッピ達もお礼を言うように踊りが激しくなり、何体かが月の石に触れる。

ピッピがピクシーへと進化し、ピクシーも混じった踊りを始めた。

 

 

「わぁぁぁ」

 

「神秘的だな」

 

 

カスミとタケシも感激していた。

その後、リカオさんはピッピ達とともに暮らし、いつかピッピ達と一緒に宇宙に行くと言っていたので、頑張ってくださいと声をかけて洞窟の外で別れた。

あれもまた、前にタケシが言っていたようにポケモン大好き人間の一つの形だな。

 

ハナダシティに向かう看板がある場所に着くと、何やら看板に落書きがあった。

 

 

シゲル参上!サトシのバーカ!!

 

 

「……………子どもか!」

 

 

まだ子どもだったわ。

思わず突っ込んでからハンカチで落書きを消す。

水性ペンでよかった。

 

それからハナダシティに向かって近付いていくたび、カスミが別の町に行こうとごねる。

そう言えばこの頃は、姉達に啖呵を切って旅に出たばかりだったな。

一度帰ることになるので、抵抗があるのは頷ける。

 

 

「ね~ぇ。ハナダシティじゃなくてクチバシティに行かない?そこには水辺のポケモンがいて、なんたって港があるのよ。豪華客船もあって」

 

「う~ん。なんと言われようが、バッジを貰うためにハナダシティには行くぞ?」

 

「えぇぇぇ!!?」

 

 

よほど行きたくないのか、カスミはやだやだやだと駄々をこね始める。

前はこんなんじゃなかったと思うが、タケシが旅仲間に加わったことで甘えているのだろうか。

タケシも苦笑している。

 

 

「行きたくないなら、待ってたっていいんだぞ?」

 

「うっ……」

 

「俺はカスミに、俺のジム戦見てほしいけどなぁ」

 

「うう……」

 

 

散々悩みながら、カスミは後をついてくる。

結局ハナダシティについてもカスミは姿を消さず、一緒について来ていた。

途中、何やら泥棒が入ったという店があり、ジュンサーさんに犯人と疑われたがポケモン図鑑とバッジを見せて誤解を解く。

タケシがナンパしようとしていたが、すげなく断られていた。

まったく。

 

そんなことがありながら、ハナダジムに向かおうとすると、タケシは買い物があるということで一旦別れる。

渋々ついて来ていたカスミの案内でハナダジムに着くと、水中ショー真っ只中だった。

あちゃーと思っていると、カスミが水族館もやっており、姉達の趣味で水中ショーもやっているジムなのだと教えてくれる。

ついでに自分が四女であることもここで教えてくれた。

そういえば、前はここでジム戦できずにカスミと戦うことになったけど、今回もそうなるんじゃ……?

 

水中ショーが終わり、人がはけてから。

カスミが姉達をジムリーダーとして紹介してくれた。

 

 

「あらカスミ。もう帰ってきたの?」

 

「立派なポケモントレーナーになるまで帰ってこないって大きなこと言って出て行ったのはだあれ?」

 

「何よ。あんたあたし達美人三姉妹と一緒にいると否が応でも比べられてその出涸らしって言われるから、立派なポケモントレーナーになるって言って出て行ったのに」

 

 

その際姉達のカスミいじりは、散々なものだった。

 

 

「あの、カスミにだっていいところはたくさんあります。カスミだってお姉さん達に負けないくらい綺麗だし、虫ポケモン嫌いなところはちょっとあれだけど、他のポケモン達には優しい立派なポケモントレーナーです」

 

「あら」

 

 

思わず俺が言い返すと、サクラ、アヤメ、ボタンの姉三人は面白そうな顔になる。

 

 

「ダメよ、カスミ」

 

「もっとハンサムな子を選ばなきゃ」

 

「あんたがそんなんなんだから」

 

 

俺に対しても散々な言われようであった。

しかも誤解されとる。

 

 

「悪い、カスミ………ややこしくした…」

 

「べ、別に構わないわよ!」

 

 

カスミは庇われたことが嬉しかったのか、顔を真っ赤にしてそっぽを向く。

 

 

「あの……俺、ジム戦しに来たんですが…」

 

「あら、そうだったの。困ったわね。私達のポケモン、今はもう戦える子が残っていないのよ」

 

「マサラタウンから来た三人のトレーナーに、痛い目にあわされちゃって」

 

 

やっぱりか。

 

 

「とはいえ、バッジを渡さないわけにはいかないわ。よかったら―――」

 

「カスミ、バトルしてくれるか?」

 

「えっ?」

 

 

無料でバッジ差し出そうとするサクラさんの言葉を遮って、自分からカスミに提案した。

もうお情けバッジは十分だ。

意外そうな顔をしたカスミは、一瞬で嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

 

「もちろんよ!サクラ姉さん!ハナダジムの名誉を守るためにも、あたしがポケモンバトルをするわ!」

 

「ま、まぁ………そうね、戦えるポケモンを持っているのはカスミしかいないわけだし…」

 

 

というわけで、前と同じようにカスミとバトルすることになった。

フィールドに入り、カスミと対峙する。

使用ポケモン、二体二のバトルが始まった。

レベルはバッジ一個を所有するトレーナーのレベルに合わせてくれている。

 

 

「行くのよ、マイステディ!」

 

「ピカチュウ、君に決めた!」

 

「ピッカ!」

 

 

カスミが繰り出してきたのは、ヒトデマン。

ピカチュウは前の時は、カスミと戦いたくないと戦闘を拒否していたが、今回はそんなこともなく自分から進んでバトルに出たいとアピールしていたので、一番手をお願いした。

 

 

「初っ端からピカチュウか……」

 

「手加減はしないぜ?ピカチュウ、〝10まんボルト〟!」

 

「ピィカァチュウウウウウ!!!」

 

「ヒトデマン、水中に逃げて!」

 

 

一直線に放たれた〝10まんボルト〟は、水中に潜ることでかわされる。

 

 

「〝たいあたり〟よ!」

 

「ヘアッ!」

 

「〝でんこうせっか〟!」

 

 

ピカチュウの近くの水中から飛び出してきて、〝たいあたり〟を決めようとしたヒトデマンを〝でんこうせっか〟で避ける。

ヒット&アウェイ、スピードアタックは俺のポケモン達にとって大得意だ。

 

 

「ヒトデマン、水に潜って〝こうそくスピン〟!」

 

 

再び水中に潜ったヒトデマンが、水中で〝こうそくスピン〟を発動したことでまるで水の竜巻のように渦ができる。

 

 

「行っけぇ、ヒトデマン!」

 

 

ヒトデマンは渦を維持したまま水中から飛び出し、ピカチュウに突っ込んでくる。

 

 

「ピカチュウ、〝でんこうせっか〟だ!」

 

 

慌てて〝でんこうせっか〟で避けたが、ヒトデマンは元々当てる気はなかったようでピカチュウの真横で〝こうそくスピン〟を解除した。

 

 

「〝あやしいひかり〟!」

 

「!しまった!」

 

 

間近で〝あやしいひかり〟を当てられ、ピカチュウが混乱状態に陥る。

 

 

「ピカチュウ、水に入れ!」

 

「ピカ~~~~」

 

 

必死に呼びかけると、声が聞こえたようで倒れるようにピカチュウは水に入っていった。

 

 

「水ポケモン相手に水中戦をしようっていうのは、無謀じゃないかしら?ヒトデマン、〝たいあたり〟よ!」

 

「ヘア!」

 

 

すぐさまヒトデマンの〝たいあたり〟が直撃する。

しかし水に入ったことで、頭が冷えたのかピカチュウは首を横に振って正気を取り戻した。

そしてザバリと水中から飛び出してくる。

 

 

「うそ!?」

 

「よし!〝10まんボルト〟!」

 

「ピィィカチューーーー!!」

 

 

今度は一直線ではなく水に直接〝10まんボルト〟を放ったことで、ヒトデマンに直撃させた。

 

 

「〝でんこうせっか〟!」

 

「ピッカ!」

 

 

苦手な電気技を受けて動きが鈍ったところを〝でんこうせっか〟で水中にいるヒトデマンに突っ込み、打ち上げる。

 

 

「ヒトデマン!」

 

「〝10まんボルト〟!」

 

 

空中に打ちあがったヒトデマンに止めの〝10まんボルト〟を指示し、戦闘不能に持って行った。

嬉しそうに戻ってきたピカチュウと、尻尾でハイタッチする。

 

 

「よくやったぞ、ピカチュウ!」

 

「ピッカ!」

 

「………やっぱりやるわね、サトシ」

 

 

ヒトデマンをモンスターボールに戻しながら、カスミからお褒めの言葉を頂く。

 

 

「サンキュー、カスミ」

 

「でも、次の子はそうはいかないわよ!行くのよ、スターミー!」

 

 

カスミは今度はスターミーを繰り出してきた。

 

 

「スターミーか。ピカチュウ、いったん戻ってくれ」

 

「ピカ」

 

「ピジョン、君に決めた!」

 

「ピジョーーーー!」

 

 

元気よくピジョンが飛び出していく。

 

 

「スターミー、〝パワージェム〟!」

 

「〝ふきとばし〟だ!」

 

 

いきなり効果抜群の技で仕掛けてきたスターミーの〝パワージェム〟を、〝ふきとばし〟で文字通り技を吹き飛ばしていく。

 

 

「また、技をそんな風に…!」

 

「そんな使い方で防ぐなんて……!」

 

 

カスミやカスミの姉達が驚く声が聞こえる。

 

 

「ピジョン、〝かぜおこし〟だ!」

 

 

〝ふきとばし〟から〝かぜおこし〟に技を切り替え、スターミーに当てていく。

 

 

「スターミー、水中へ!」

 

 

それを見てカスミは一旦、スターミーを水中に逃がした。

こちらはピジョンだと水中にいる相手に対して有効打がないので、動きが止まる。

 

 

「〝こうそくスピン〟!からの〝ハイドロポンプ〟!」

 

「!」

 

 

水中から飛び出してきたスターミーは、〝こうそくスピン〟で回りながら〝ハイドロポンプ〟という高威力の技を放ってきた。

避ける術なく、ピジョンに〝ハイドロポンプ〟が直撃し体勢が崩れる。

 

 

「頑張れピジョン!体勢を立て直せ、〝でんこうせっか〟!」

 

「ピジョ!」

 

 

迫るスターミーの〝こうそくスピン〟をなんとか〝でんこうせっか〟でかわしていく。

しかしこのコンボは厄介だな。

〝ハイドロポンプ〟のPPが少ないとはいえ、決められれば確実に大ダメージを受ける技だ。

どうやって攻略するか。

 

 

「このコンボ、あんたに破れるかしら?スターミー、もう一度〝こうそくスピン〟よ!」

 

「ピジョン、〝かぜおこし〟!」

 

 

〝ハイドロポンプ〟は撃つタイミングを見計らっているのか、〝こうそくスピン〟だけしてきたので〝かぜおこし〟でスターミーを吹き飛ばす。

 

 

「頑張ってスターミー!〝パワージェム〟よ!」

 

「〝でんこうせっか〟でかわせ!」

 

 

放ってきた〝パワージェム〟を〝でんこうせっか〟のスピードで避け、そのまま水中に逃げられる前に距離を詰める。

 

 

「行けピジョン!〝たいあたり〟!」

 

「〝こうそくスピン〟!」

 

 

〝たいあたり〟と〝こうそくスピン〟がぶつかり合い、お互いを弾き合う。

 

 

「〝かぜおこし〟だ!」

 

 

水中に逃げられてしまえばこちらから攻める手立てがないため、果敢に攻めていく。

弾かれて空中で体勢を立て直そうとしていたスターミーに〝かぜおこし〟が直撃し、水面に叩き付けられる。

 

 

「スターミー!」

 

「よし!〝でんこうせっか〟!」

 

「!〝ハイドロポンプ〟!」

 

 

〝でんこうせっか〟で突っ込んだところを逆に〝ハイドロポンプ〟の反撃にあってしまった。

ピジョンは空中に飛ばされ、慌てて体勢を整える。

 

 

「やるなカスミ!」

 

「これでもジムリーダー!当然でしょ!」

 

 

カスミと好戦的に笑い合う。

強者とのバトルはやっぱり楽しいな。

 

 

「行くわよスターミー!〝こうそくスピン〟、からの〝ハイドロポンプ〟!」

 

「〝ふきとばし〟!水面に当てろ!」

 

「ピジョ!」

 

 

あのコンボの技を喰らう前に、水面に〝ふきとばし〟を当てて水をベールのように弾き上げ、水のカーテンでピジョンの身を守る。

 

 

「そんなやり方が!?」

 

「〝でんこうせっか〟!」

 

 

カスミが驚いた隙を逃さず〝でんこうせっか〟をぶち当て、再びスターミーを水面に叩き付けた。

 

 

「〝かぜおこし〟!」

 

「ピジョーーーーー!!!」

 

 

今度はしっぺ返しを喰らわないように注意して、〝かぜおこし〟を当てた。

スターミーは吹き飛ばされ、水面に浮かんでいた板に激突し、戦闘不能になった。

 

 

「勝った………よっしゃぁ、カスミに勝った!!!」

 

「ピカピカチュウーーー!!」

 

「ピジョーーーー!!」

 

 

前の時は勝てなかったカスミに勝つことができ、つい大げさに喜んでしまった。

ピカチュウもピジョンも嬉しそうに後に続く。

負けたカスミは悔しそうに口を尖らせていたが、仕方なさそうにため息をついてスターミーを戻した。

 

 

「やるわね、サトシ。あたしの負けよ。ブルーバッジ、あなたにあげるわ」

 

「サンキューカスミ!カスミに勝てて、すっげぇ嬉しいぜ!」

 

「そ、そう……」

 

 

カスミは照れたように頬を染め、頬をかきながら明後日の方を向く。

そしてブルーバッジを受け取ろうとしたところで、突然ロケット団がジムに乱入してきた。

いつもの「なんだかんだと聞かれたら」のくだり付きだ。

 

 

「な、何すんのよあんた達!」

 

「水辺のポケモンは水に強い」

 

「だから、その水を取ってやれば」

 

「弱ったポケモンガッポガポ」

 

「水を全部吸い上げるニャ!」

 

「何ですって!?」

 

 

ロケット団は何やらよくわからない機械で、プールの水を吸い上げ始める。

ハナダシティに来た時に遭遇した泥棒事件の犯人は、ロケット団だったのだ。

プールの水がすごい勢いで吸い上げられ、カスミのお姉さんのパウワウまで吸い取られてしまう。

 

 

「パウワウ!」

 

「まずい!」

 

「「いい感じーーーー!」」

 

「邪魔はさせないニャ!」

 

 

プールの水を吸い取っていたホースがこちらを向き、逆噴射してくる。

咄嗟に一番近くにいたカスミとピカチュウを抱え、波導の力で体を強化し水を避けた。

 

 

「あぁん。カスミだけずるい!」

 

「美女がビジョビジョ~~」

 

「つい咄嗟に…!カスミ、大丈夫か?」

 

「う、うん……ありがと……」

 

 

カスミを抱える時に流れでお姫様抱っこしてしまったからか、カスミは怒って顔を真っ赤にして手で覆っている。

とりあえず怒鳴られる前にカスミを下ろし、再びプールの水を吸い上げ始めた機械と対峙した。

 

 

「ピカチュウ、〝10まんボルト〟!」

 

 

初期の頃のロケット団は電撃対策をしていなかったようで、見事突き刺さった。

そのまま一気に「「「やな感じーーーーー」」」にしてやり、パウワウを助け出す。

 

 

「まぁ、ありがとう。サトシ君」

 

「いえ、無事でよかったです」

 

 

一件落着したところで改めてブルーバッジを受け取り、二つ目のバッジをゲットした。

カスミがお姉さん達に別れを告げているのを聞きながら、合流したタケシにバッジを見せて勝ったことを報告する。

そして次のバッジを手に入れるべく、クチバシティを目指して旅を再開するのだった。

 

 







・カスミがハナダシティに着くときにいなくならず、付いて来たのはサトシを信頼してるから。
初心者トレーナーなのにバトルの腕が強くて頼りになり、性格が優しいので甘えているのはサトシに対して。





スイクン(色違い) Lv.45

エーフィ♀  Lv.20→22

リザード♂  Lv.21→23 -太陽-

ピカチュウ♂ Lv.17→22

ロコン♂(色違い) Lv.15→18

バタフリー♂ Lv.14→16

ピジョン♂  Lv.19→20

ニドラン♂  Lv.15→18

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