筍暗闘   作:過労死志願

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●パーソナリティ
名前:ジョン・カーター 年齢:34
性別:男 信念:和 表の顔:貿易商
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
階級:中忍
流派:CIA
背景:出向、内務調査

●特技
体術:砲術、怪力
忍術:分身の術
謀術:調査術、経済力
妖術:召喚術

●忍法
接近戦攻撃、沈黙、内偵(出向)、極秘、抹消


ジョン・カーター

 金髪で黒縁メガネをかけた凡庸な男――ジョン・カーターは輸送機の扉が開くと同時に漂ってくる焦げ臭いにおいに眉をしかめる。

 

「……これが日本か」

 

 見渡す限り焼け野原になった大地に、地面を埋め尽くすおびただしい瓦礫。

 気力が抜けたような顔をした日本人たちが、瓦礫をあさり何かを探しているのが見受けられる。

 

「故国がやったこととはいえ、ひどいものだ……」

 

 敗戦国の惨状に、わずかに心を痛めながら、彼は米軍が整えた簡易的な空港に降り立つ。

 そのまま滑走路を歩いていると、待っていたのは妙に身ぎれいな黒髪赤目の日本人だ。

 

「待っていた。あなたが今回の依頼人――CIAのエージェント?」

 

 声からして女性だったらしい。

 とげとげしい雰囲気から女性らしさはみじんも感じられなかった相手の声に驚きながら、カーターは一礼する。

 

「初めまして、ミス・簪。CIA職員のジョン・カーターと」

「いい、どうせ名前は偽名だろう。私も同じだ、ジョン」

 

 女――簪はそれだけ告げると、さっさと踵を返した。

 

「互いの名前も知らない・教えるつもりがないやつが、深い関係など築けるはずもない。仕事上の相棒として互いにふるまうとしよう。任務の詳細については?」

「はい。うちのボスからしっかりと」

 

 乾燥したというよりは、もう砂漠地帯とすら言えるほど過酷すぎる簪の塩対応に、カーターは苦笑を浮かべながら書類を取り出した。

 その際に、自身の上司――ロゼルタ・マクスウェルから告げられた任務について思いをはせた。

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

「日本の正倉院という建物を知っているか?」

「噂程度ですが……」

 

 アメリカ合衆国のある地方都市にある秘密の地下基地。

 CIAエージェントが秘密裏に使う予定のその施設の内部において、長い黒髪に黄金の瞳を光らせた女傑が足を組んで座っていた。

 

 名をロゼルタ・マクスウェル。

 太平洋戦争の折、日本のNINJA達としのぎを削った影の英雄の一人。

 討ち取った忍の数から『万忍殺し』の称号を与えられた彼女は現在、CAIの副長官としてその辣腕をふるっている。

 

「マッカーサーに帯同したエージェントから、そこに面白いものがあると報告が入ってな」

「面白いものとは?」

「聞いて驚け。なんと――――」

「はぁ?」

 

 ロゼルタから到底出るとは思えないファンタジックな言葉に、カーターが思わず間の抜けた声を上げる。

 

「どうした。笑っていいぞ」

「あの、どう笑えばいいのか……」

「そんな調子ではこの先やっていけんぞ。なんといってもお前はこれから、その具もつかない噂話を信じた長官とその上の連中のために、日本に向かってその宝物を盗んでくるのだからな」

「……なんですって?」

 

 ロゼルタのとんでもないセリフに、カーターの目が丸くなる。

 

「太平洋戦争が終わり、日本の実効支配も始まったことで上はそろそろ次のことについて目を向け始めたんだ。世界で起こったこのWW2。悪の枢軸となった三国は討たれ、賠償金という名の負債を背負わせ死ぬまで搾り取られることが決まった。だが、戦勝国はあまりに多い。ドイツ・イタリアを除く欧州諸国に、北方の勇ソ連。奴らは虎視眈々と、次の世界の覇者となるために敗戦国からの利権略取に必死だ」

「そんな中上が目につけたのがそのプライズだ。今後の合衆国の未来を左右する、重要なものだと奴らは考えたらしい。当然そんなものがあると知られれば、ソ連は黙っていないだろう。だからこそ」

「気づかれる前に秘密裏に奪取しろと?」

「そういうことだ。できるな?」

 

 あるかないかもわからない、あったとしても本物かどうかもわからない得体のしれない宝物の奪取。

 リスクばかりでうまみが少なそうなその任務に、本来ならばモノ申してでも止めるべきだがーーロゼルタを見るかぎり、それはもうした後だったのだろう。

 

 頭痛を覚えるように額を抑えるロゼルタの姿に、わずかながらに同情の感情が浮かんだカーターは、ため息とともにこう告げた。

 

「任務了解。なんとしてでもこの任務達成して見せましょう」

「あぁ頼んだ……。最悪偽物だったのならそれはそれで構わん。その旨を報告に上げてくれ。この任務で正確な情報の取捨選択ができたということが、CIAの正式稼働に大きく寄与する。そのことを念頭に入れて行動しろ」

「はい」

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

「まったく、戦争も終わったというのにボスも気苦労なさる」

「おい、どうしたカーター?」

「おっと、申し訳ない。指令書の方は?」

「もう読んで燃やした」

 

 言われてみるといつの間にか渡していた指令書はなくなっており、代わりに空港に燃え尽きた紙だったものが風になって飛んで行っていた。

 

「勝手に燃やされると困るんですけど……」

「ふん。馬鹿を抜かせ。ここをどこだと思っているお前は」

 

 カーターの抗議に鼻を鳴らし、簪は周囲を見回した。

 

「太平洋戦争中、お前たちを苦しめた忍の住処だぞ。紙媒体で秘密なんぞ持ち歩いてみろ。秘密を大声で垂れ流しながら歩いているようなものだ」

「NINJAというのはそれほどですか」

「『万忍殺し』のロゼルタの部下と聞いていたが、お前忍との交戦経験はないのかひょっとして?」

 

 どうしてそんな奴が日本に土を踏んだ。と言いたげな簪の視線に、苦笑と共に「私しか任務を受けるものがいなかったようで」と肩をすくめかけた時だった。

 

「いでっ!」

「?」

 

 足元から聞きなれない声が響き渡る。

 

「っ! 放れろカーター!」

 

 瞬間、簪がカーターの襟首をつかみその場から飛びのいた。

 

「ぐぇっ!」

 

 突然の急加速にカーターが驚く中、その視界は確かに得体のしれない何かをとらえていた。

 

 真っ白な毛にところどころブチ模様が入った、軟体生物らしい何か。

 それが先程カーターが蹴ってしまったと思われる場所を押さえながら(?)抗議の声を上げていた。

 

「おいお前ら! いきなり蹴るなんてひどいじゃないか!」

「妖魔か? 何でこんなところにいる。まぁいい、始末するか」

「ま、まて! オレは悪いウミウシじゃねぇ!」

 

 即断即決。

 得体のしれないものはさっさと消すに限ると、袖から取り出した細身のカンザシを構える簪に、カーターが慌てて止めに入った。

 

「ま、待ってください簪さん。悪い人(?)には見えませんよ彼(?)」

「やかましい。いずれにしろ任務について知られた可能性がある。不確定要素を排するためにこういうのは消すのが鉄則だろうが」

「いやそんな、無益な殺生はしてはいけませんよ」

「坊主連中みたいなことを言うな貴様は!?」

 

 カーターたちが言い合っていると、ウミウシらしいその妖魔は慌てた様子でカーターの肩に飛び乗り告げた。

 

「おいおまえ、CIAのエージェントだろう! 正倉院に宝物を取りに来た!」

「え!?」

「なぜ知っている!」

 

 そこまでバレているのはさすがに想定外だったらしい。

 カーターが息をのみ、やっぱ殺すかと簪が構える中妖魔は言った。

 

「俺の名前は不死。昔はもっとかわいい名前があったんだけど今はこの名前だ。そして――俺はお前たちに協力しに来た! 正倉院内部の詳細も、お前たちが求めるお宝もどこにあるか知っているぞ!」

「「――――」」

 

 瞬間、カーターと簪の脳内でそろばんが弾かれ始める。

 果たしてこの妖魔を信じていいのか、信じるとしてその情報にどこまで価値があるかを。

 

「……頼む。お前たちに力を貸したいんだ。俺と一緒に、正倉院にきてくれ!」

「……はぁ」

「ちっ」

 

 そして敵意など一切ない不死の態度に、二人はため息をつくのだった。

 どうやら計算は終わったらしい。

 

 

 




■ジョン・カーター 推奨:男 CIA(国外流派 比良坂流派ブックP30にて作成)
・使命:【正倉院内部にあるプライズを奪取し合衆国へ持ち帰る】
・導入:
合衆国の諜報機関――中央情報局(CIA)より派遣された工作員。

今回は日本の正倉院に眠る正体不明のプライズを奪取することを指令され来日した。

土地勘のある簪を雇い入れ、奈良へと向かうが……。

ジョン・カーターの使命は『正倉院内部にあるプライズを奪取し合衆国へ持ち帰る』ことだ。

■不死 推奨:NPC
・使命:【ジョン・カーターの使命を手助けする】
・設定:
毛の生えたウミウシといった珍妙な姿をした妖魔らしき何か。
人語を解し愛くるしい動作でコロコロ転がる。

戦闘能力もなさそうだが、裏の事情には精通しているらしくジョン・カーターが日本に来ると同時に接触しこのように話しかけた。

「お願いだ。お前の手伝いをさせてくれ!」

不死の使命は『ジョン・カーターの使命を手助けする』ことだ。

秘密:〇 感情:〇 居所:×
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