筍暗闘   作:過労死志願

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●パーソナリティ
名前:厳島 朱鷺 年齢:18
性別:女 信念:忠 表の顔:巫女
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
階級:中忍
流派:醜女衆(比良坂機関)
背景:後援者、国家の犠牲者


●特技
体術:砲術、飛術
謀術:詐術、九ノ一の術
妖術:召喚術、瞳術


●忍法
接近戦攻撃、黄泉軍、姑獲鳥、慢心、揺らし


厳島 朱鷺

 奈良県某所。

 比良坂古神道が管理するある神社にて――。

 

「まったく、祈ったところで結果が変わるわけではないというのに」

 

 何人かの老人が、敗戦の事実を認められず本殿に向かって五体投地している。

 

 米国に敗北した痛みはいまだ深く、なかには現実逃避気味に祈りをささげているものがいるのだ。

 

「辛辣ですね」

「忍が現実を見れなくなったらもう誰も大日本帝国を守れませんよ。まぁ、帝国という国体をいつまで守れるかはわかりませんが」

 

 此度の任務の指令を出した、桃色髪をなびかせる比良坂古神道上忍ーー比良坂ナキメはそう呟き、赤いベールで顔を隠した巫女――厳島 朱鷺を振り返った。

 

「玄龍會の面々はすでに集まっています。奥の宮へ」

「はい」

 

 しばらく歩くと、神社の周りをまわっていた回廊を抜け、本殿奥にある奥の宮へ入る。

 

「おう、ナキメ殿。来たか」

「お久しぶりです、玄老斎殿」

「よせよせ、かしこまるな。わしゃ引退していたのを戦で若いのがいなくなったから呼び出された隠居爺よ」

 

 紺の和装に身を包んだ深いしわが刻まれた老人--玄老斎がカラカラ笑いながら、手を振った。

 背後にはカーキ色の軍服に身を包んだ、伸びた黒髪を後ろでまとめる青年――山口平次郎がいる。

 

「ほれ、山口も挨拶せんか」

「お初にお目にかかります、ナキメ様。山口平次郎と申します。朱鷺は久しぶりだな」

「そういえば、お二人は幼馴染でしたね」

 

 いつの間にか幼少期の交友関係まで知っていたナキメに、朱鷺が驚くのをしり目に平次郎は嬉しそうに語りだしていた。

 

「左様でございます。幼少のみぎりは遊び相手などを務めておりました」

「やめてください平次郎さん。あの時は忍の才を見せない自分の遊び相手を家中から押し付けられただけだったでしょう。ご迷惑だったはずです」

「何をおっしゃられる。自分実はあのとき以外は女性とお近づきになる機会にとんと恵まれず……あの時の思い出を糧に今日まで生きてきた次第」

「雑談はそのくらいにせーよ、平次郎。どうせともに任務にあたる身。この後時間はたんまりあるんじゃ」

「はっ! さようですな」

 

 玄老斎の言葉に忍らしくぴたりと口を閉じた平次郎。

 先ほどまでの気やすい態度とは打って変わって、抜き身の刀に近い気配をまといだし彼の隣に朱鷺はおずおずとした様子で座る。

 

 

「さて、では依頼の概要を説明いたします」

 

 ナキメがそういうと、巻物を一つ取り出し床に広げる。

 

「現在GHQの実効支配下にある我が国には、多くのCIA職員が入り込んでいます。その職員の一人が『正倉院に米国が求めるプライズがある』という情報を合衆国本国へ連絡したのが始まりです」

「正倉院。密蔵番が管理している密蔵の中でも最古のものですな。あそこに収蔵されている異界遺産は密蔵番でもすべては管理しきれておりません。合衆国が望む異界遺産があってもおかしくはないかと」

 

 平次郎の言葉に「でしょうね……」とあきれたようにつぶやきながら、ナキメは問う。

 

「狙われている品まではこちらではつかみきれませんでした。平次郎さんは密蔵番のかたでしたね。目星はつきますか」

「密蔵番の密蔵にはそもそも部外者を入れないのが基本となります。狙われているのが何であろうと関係ありませんぞ」

「つまりわからないと……」

「何でも正直に言うのが美徳ではありますまい」

 

 目をそらし口笛を吹く平次郎に、朱鷺とナキメは頭を抱えた。

 

「じゃが平次郎の言うことにも一理あろう。攻め込んできたやからが本丸まで入ってきている時点でほぼ負けじゃ。正倉院にたどり着かれる前に叩くのがよかろうて」

「そうですね……。というわけでお二人への依頼は『正倉院のプライズを狙いやってくるCIA勢力を撃退する』というものになります」

「目標の顔などは」

 

 朱鷺が聞くと、

 

「東京にいる古神道の構成員から写真が送られてきています」

 

 ナキメはすぐに懐から写真を取り出し、二人に見えるよう床に置いた。

 

「金髪メガネと……もう一人は日本人じゃな?」

「黒髪と赤い瞳……彼女は」

「朱鷺は知っていますね。えぇ、あの『簪』です」

「おぉ、簪殿か。噂は聴いておりますぞ。レイテ戦役では獅子奮迅の活躍を見せられたと」

「えぇ、そうして同時に金で動く傭兵でもあります」

 

 唾棄すべき相手だと言いたげに吐き捨てるナキメに、平次郎が少し驚く中、朱鷺は尋ねる。

 

「どうやら彼女は今回CIAに雇われたようですね」

「なにぃ! 仮にも日本の忍が、鬼畜米に金でしっぽを振ったと!」

「所詮相手はハグレモノ。忠誠心を期待するだけ無駄でしょう」

 

 許せん! と震える平次郎を横目に、朱鷺は玄老斎とナキメに尋ねた。

 

「もう上陸はしているのですね。今の居場所は」

「昨日東京に現れたのち、主要な街道や町では見つかっていません。おそらく簪の案内でハグレモノの隠れ里を渡り歩いているのでしょう」

「とはいえずっとハグレの異界を渡り歩くわけにもいきますまい」

「あぁ、ナキメ殿と儂の予想ではおそらく今日明日にはどこかの街に顔を出すはずじゃ」

 

 玄龍斎とナキメはそういうと、朱鷺と平次郎に頭を下げた。

 

「わしらも手伝ってやりたいところだが、知っての通りGHQの忍者リストの提出に対応するために各流派はてんやわんやじゃ。無論、素直に提出するためでなく、何とかしてごまかすための対応にな」

「そのほかにもCIAの圧力が強まっている現状、我々上忍衆は要所の守りから抜けるわけにもいきません。とはいえ此度の事態、静観もできない」

「プライズが何かわからんというのもあるが、そもそも国家の国宝を何もできずに奪われたとあっては、いずれ来る独立の際に大きな瑕疵になる。何としてでもそれは阻止せねばならん」

「なので、お二人とも……日本の未来のために、この任務達成してください」

「わかりました」

「心得ております」

 

 三指をつき一礼するときと対照的に、胸を張りどんと叩く平次郎たちの回答に、安堵したようにナキメは頷いた。

 

「では、私たちはおのおのの守りに戻ります」

「あとは若い二人でというところじゃな。かかかかかか!」

 

 その言葉を最後にふっと消える上忍二人に、朱鷺と平次郎は深く息をついた。

 

「ふー。やはり上忍衆との対面はやや圧を感じますな」

「本土防衛のために本国に縛り付けられた彼らは、大戦時に活躍の機会を得られませんでした。むしろここからがあの方たちの本土決戦なのでしょう。そのためやや神経がとがっておられるようです」

 

 そういいながら、朱鷺はしばらくの間金髪のメガネ――ジョン・カーターの写真へ視線を向けていた。

 

「どうされました朱鷺殿? 何か気になることでも」

「……いいえ」

 

 思うところがあるような沈黙の後、朱鷺は写真を破り捨て細切れにする。

 

「では参りましょう。平次郎さん」

「おうよ。日ノ本にいまだ忍は健在。それを鬼畜米に示してやらねばな」

 

 不敵に笑う平次郎と、ベールで表情を隠したくノ一が、奈良よりCIAの迎撃に移る。

 

 




■厳島朱鷺 推奨:女 比良古神道(比良坂機関)
・使命:【正倉院内部のプライズを死守する】
・導入:
比良坂古神道より指令を受けた忍。

厳島朱鷺は以下の指令を比良坂古神道より受けている。

「CIAが正倉院内部にあるプライズの奪取を狙って動いている。だが、ここで無抵抗に奪われてしまえば、いずれ来る日本再建の時に日本は合衆国に対し大きなわだかまりを残すことになる。それは何としてでも避けねばならん」

「日本はまだ負けただけだ。忍界はいまだ健在であると、諸外国に知らせるためにもこの戦いは何としてでも制さねばならん」

厳島朱鷺の使命は『正倉院内部のプライズを死守する』ことだ。

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■正倉院内のプライズ 推奨:プライズ
・設定:
正倉院内部に封印されているプライズ。

筍に類似した形状をしているが外殻は固い謎の金属でおおわれている。
外殻に大きなひびが入っているらしいが……。

秘密:〇 感情:× 居所:×
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