筍暗闘   作:過労死志願

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●パーソナリティ
名前:簪 年齢:18
性別:女 信念:情 表の顔:なし
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階級:中忍
流派:上位(ハグレモノ)
背景:切り札、灰者


●特技
器術:掘削術
忍術:分身の術、潜伏術、腹話術
妖術:言霊術、呪術

●忍法
接近戦攻撃、蛮歌、影分身、慢心、揺音





 夜――空襲によって焼かれた隠れ里に並んだいくつかの襤褸小屋。

 そこから立ち上る炊事の煙を眺めながら簪は一人、自身の分身を迎え入れていた。

 自らにうり二つの分身の姿に、簪はため息をつきながら報告を聞く。

 

「比良坂古神道が動きだしたみたいだ。現在ハグレの隠れ里付近の出口と思われる個所に式神を放ち監視をしている」

「どこから出ようと察知はされると。奇襲も警戒しないといけないか」

 

 忌々しげに現状に舌打ちを漏らしながら、分身を消し今後の活動を探る。

 

「まったく、金払いがいいとはいえ面倒な依頼を受けたものだ。おかげでいらぬ苦労をする羽目になった……。だが千載一遇の好機であるのも違いない」

 

 そう呟きながら、忌々しげに自身の右胸を抑える。

 

「……また痛み出したか。せっかちな話だ」

 

 そんな呟きを漏らしていると、今度は違う方向から分身がやってくる。

 

「意外と早い帰りだな。比良坂古神道の忍の秘密は拾ってこれたか?」

「もちろん」

 

 そう答えた分身が消え、簪に獲得した情報を共有する。

 

「……ほう? 思ったよりも面白い情報を持っていたか」

 

 そう呟きながら、今はカーターとともに食事をとっている、得体のしれないウミウシがいる襤褸小屋を振り返る。

 

「いったい奴は何者なんだ……」

 

 簪の呟きが、夜の闇へ溶けて消えた。

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

「ようやく普通の日本に出てこれましたね……」

「いいものではないがな。特に今は」

 

 異界や山中の小さな集落を渡り歩いてきたジョンの安堵したような言葉に、簪が鼻を鳴らす。

 

 米国製のジープに乗った米兵が踏み固められただけの道を駆け抜けていく。

 背後には子供たちが駆けており「ギブミーチョコレート」と叫んでいた。

 

「今はどこもかしこもあんな感じだ。あの子たちは走れるだけまだいい。食うに困った子供があちこちで倒れている。まさに地獄絵図だよ」

「……我々に対し恨み言があるのですか?」

「合衆国に? まさか。まさか無差別爆撃をかましてくるとは思っていなかったが、非道な行いは戦の常だろう。どちらが悪など無駄なことだ。日本も合衆国も、多くの相手国民を殺したという現実において罪は同等だ」

 苛立たしげにつぶやきながら、

 

「怒りを覚えたとするのならば、負けが決まったときに少しでも有利な条件をと粘ったのではなく――玉砕覚悟で挑めばまだ勝てる。などとイカれた判断を行った上層部だ」

「それは……」

「噂くらいは聞いたことがあるだろう。特攻隊。爆弾を抱えた兵隊や戦闘機を使って、確実に爆弾を当てようなどというイカれた部隊。私の兄はそこに所属していた」

「…………」

 

 忍……だったのだろうと、内心ジョンは確信する。

 CIAの前身となった諜報員組織。そこに残ったいくつかの伝説に、基地内部に潜入した忍による自爆攻撃が記録されている。

 おそらくその中の一人が簪の兄だったのだと。

 

「激戦区だったらしい兄の遺言書は戦火の中焼かれて帰ってこなかった。帰ってきたのは、かろうじて生きて帰ってきた忍が届けてくれた布切れ一つだ。兄の軍服だったのだと。はっ……それが一体何の慰めになる」

 

 ジョンは気づいた。

 簪が憎悪を向けているのは、合衆国ではなく日本の方であると。

 

「あなたは、故国が憎いのですね」

「非国民と……お前も言うか」

「いえ、それで助かっている私が言うことは何もないです。ですが……」

 ジョンはそこで言葉を斬り、一瞬言っていいものかと迷うが……。

 

「生まれた場所が憎くてしょうがないというのは、辛いものですね」

「……わかったようなこと言うな」

 

 そういって、簪は前を向いて歩き始めた。

 一瞬見えた赤い瞳がうるんでいるのを、ジョンは見た気がする。

 

「……あぁ言うやつが、今の日本には一杯いるよ」

「フシさん?」

 

 その時、黙って話を聞いていた不死がジョンの耳元に囁いた。

 

「勝ち負けなんか関係ない。ただ、自分から大事な人を奪った戦争が憎くてしょうがない。そんな奴らがさ……。俺はあいつらになんて声をかけてやるべきなのかな」

「かける言葉などありませんよ」

 

 万の慰めを囁いたところで、失った人間が返ってこないことをジョンは知っているのだから。

 だが、

 

「それでも、一人にならないようにそばにいてあげることはできます。案外それで救える人もいますよ」

「それで大体何とかなるとは言わないんだな」

「個人差があるので」

「ドライだなぁお前!」

「スパイに感情論は不要ですよ。とはいえ、ここまで荒れた国を見ると、さすがに思うところはありますね」

 

 日本軍が襲撃したパールハーバーもひどいものだったが、日本空襲にあった街はそれ以上だ。

 建物の形をしたものは全て壊れ、いまだに煙が上がっている場所もある。

 生き延びた人たちはぼろぼろの材料を使った襤褸小屋をつくって、何とか雨風をしのいでいた。

 

「私が行おうとしていることは、この国を一体どうしてしまうのでしょうか……」

「悪いほうに転がらないことを祈るよ。この国は、もう災害を受け止める余裕はない」

 

 不死の言葉に深く頷きながら、少しでも簪に寄り添えないかと、ジョンは思う。

 ならば……

 

「まずは知るところから、ですね」

 

 そういって、掛けていたメガネを外し別のものへ切り替える。

 ジョンはルーティーンの一環として、いくつかの用途別のメガネを所持している。

 今回のは集中力を上げるメガネ。

 それによって観察力を上げたジョンは、怒りに震える簪の呼吸心拍から、その胸の内に秘められた心の内を暴いた。

 

「……これはっ!」

 

 

──────────────────────────────

・簪の秘密:

実は簪の実家は『酒寄家』という名を消された忍界の元名家である。

 

だが太平洋戦争の折「明らかに日本軍は暴走しており、倒すべきは合衆国ではなく日本軍である」と声高に唱えてしまったため非国民の烙印を押され、家ごと忍界につぶされた。

ほかの一族は記憶処理を受けたうえで忍者としての力を封じられ離散。

 

簪は事情を知る者の見せしめとして、罪人の呪印をうなじに刻まれており、厳島 朱鷺の指令を受けてジョン・カーターの動向をスパイしている。

だが内心ははらわたが煮えくり返っており、何とかして呪印を解除し日本から逃げ出そうと画策している。

 

貴方の本当の使命は【呪印を解除し、ED時にジョン・カーターに頼んで日本から逃げ出す】ことだ。

 

また呪印がある間、あなたが獲得した秘密は厳島 朱鷺へと自動的に共有される。

このことはこの秘密が公開されるまで、他人物には通知されない。

──────────────────────────────

 

 

「日本という国は……」

「戦争は人を狂わせるな……」

 

 不死にもこの秘密を見せ、互いに非道な試練を受けている簪のほうを見つめる。

 

「何とかしてあげたいですね」

「なら次は、俺の番だな……」

 

 覚悟を秘めたような表情で、不死がそう呟くのをジョンは確かに聞いた。

 




■簪 推奨:女 ハグレモノ
・使命:【ジョン・カーターの依頼を達成し、ジョン・カーターを無事合衆国へ送る】
・導入:
ジョン・カーターにやとわれた日本の忍。
かつての太平洋戦争にも参加していたが、金払いがいいほうへついただけだ。

今回はCIAがいい報酬を用意してくれたためPC1に従っている。

簪の使命は『ジョン・カーターの依頼を達成し、PC1を無事合衆国へ送る』ことだ。
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