禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第12話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十章

 

《艦内は地獄と化していた》

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》。

 

ネヴァーモーンの家。

 

銀河を渡る巨大墓標艦。

 

その内部は今――

 

 

地獄と化していた。

 

 

赤色警報。

 

隔壁閉鎖。

 

火災警報。

 

減圧区域。

 

鳴り響く警告音。

 

 

【第七甲板制圧不能】

 

【敵侵入確認】

 

【医療区画交戦中】

 

【動力炉周辺戦闘発生】

 

 

血。

 

炎。

 

煙。

 

悲鳴。

 

砲声。

 

そして。

 

笑い声。

 

 

スラーネッシュの狂信兵達は、

艦内を侵食していた。

 

肉体は異様に細長く。

 

腕は刃物。

 

皮膚は裂け。

 

狂気に満ちた笑みを浮かべる。

 

 

『痛みを愛して』

 

『苦しみは幸福よ』

 

『叫んで』

 

 

人間兵が切り裂かれる。

 

オークが殴り飛ばされる。

 

デーモンが焼かれる。

 

艦内各所が、

戦場となっていた。

 

 

だが。

 

彼らは間違えた。

 

 

ここは。

 

ネヴァーモーンの家だった。

 

 

第一節

 

食堂防衛戦

 

艦内最大の食堂。

 

いつも宴会が開かれる場所。

 

オーク達の縄張り。

 

そこへ。

 

数百の狂信兵が雪崩れ込んだ。

 

 

『愛してあげる』

 

『踊りましょう』

 

 

すると。

 

静かに椅子から立ち上がる巨体。

 

 

グラッグ・ドッカ。

 

 

巨大なジョッキを置く。

 

ゆっくり振り返る。

 

 

「……オイ」

 

 

周囲のオーク達も立つ。

 

誰も笑っていない。

 

 

「食堂汚スナ」

 

 

次の瞬間。

 

 

ドガァァァァァン!!

 

 

巨大ハンマーが振り下ろされる。

 

テーブル。

 

床。

 

敵兵。

 

まとめて吹き飛んだ。

 

 

「家壊スナァァァ!!」

 

 

オーク達が突撃する。

 

食器が飛ぶ。

 

酒樽が爆発する。

 

椅子が武器になる。

 

 

そこはもはや。

 

戦場ではなかった。

 

乱闘だった。

 

 

第二節

 

医療区画

 

医療区画。

 

そこには。

 

戦えない負傷兵。

 

避難民。

 

子供達がいた。

 

 

そして。

 

敵もそこを狙っていた。

 

 

『弱い者は美しい』

 

『壊してあげる』

 

 

通信兵の少女が震える。

 

子供達が泣く。

 

看護兵が銃を構える。

 

だが。

 

敵は多すぎた。

 

 

その時。

 

通路の奥から。

 

ゆっくり金属音が響く。

 

 

カン。

 

カン。

 

カン。

 

 

セトラ=ヴェインだった。

 

 

緑色の瞳。

 

古代ネクロンの王族。

 

静かに杖を構える。

 

 

「この区画は」

 

数秒の沈黙。

 

 

「我が家族の領域だ」

 

 

次の瞬間。

 

緑色の光が走る。

 

敵兵が一瞬で蒸発。

 

空間そのものが切断される。

 

 

避難民達は呆然とする。

 

セトラは振り返らない。

 

 

「安心しろ」

 

 

「ここには誰も入れない」

 

 

第三節

 

第十二甲板

 

最も激しい戦場。

 

動力炉区画。

 

 

そこでは。

 

マルケウスが戦っていた。

 

 

周囲は死体。

 

床は血。

 

チェインソードは既に半壊。

 

全身傷だらけ。

 

 

だが。

 

笑っていた。

 

 

「来いよ」

 

 

『苦痛を――』

 

 

「うるせぇ」

 

 

敵の顔面を踏み砕く。

 

さらに敵が押し寄せる。

 

数。

 

数。

 

数。

 

 

その時。

 

通信が入る。

 

 

『マルケウス!!』

 

レオンの声だった。

 

 

『そっちヤバいです!!』

 

 

マルケウスは笑う。

 

 

「知ってる」

 

 

『援軍送ります!!』

 

 

数秒沈黙。

 

 

「いらねぇ」

 

 

敵を切り裂く。

 

 

「ガキ共守れ」

 

 

その言葉を聞き。

 

レオンは黙った。

 

 

第四節

 

艦橋

 

艦橋。

 

そこだけが静かだった。

 

 

ヴォルグラムが、

敵旗艦を見つめている。

 

艦内は燃えている。

 

家族達が戦っている。

 

負傷者もいる。

 

死者もいる。

 

 

ゆっくり立ち上がる。

 

巨大斧を担ぐ。

 

 

「団長」

 

レオンが震える声で聞く。

 

 

「……怒ってます?」

 

 

数秒。

 

沈黙。

 

 

そして。

 

ヴォルグラムは笑った。

 

だが。

 

その目だけは笑っていない。

 

 

「当たり前だろ」

 

 

義眼が赤く光る。

 

 

「俺ん家を汚しやがった」

 

 

艦橋全員が黙る。

 

誰も喋らない。

 

なぜなら。

 

皆知っている。

 

 

ヴォルグラムが本気で怒る時。

 

それは。

 

ネヴァーモーン最大の災厄が、

始まる時だからだ。

 

 

巨大斧を肩に担ぐ。

 

通信回線全開。

 

 

全艦へ。

 

全兵士へ。

 

その声が響く。

 

 

「テメェら」

 

 

静かな声。

 

 

「掃除の時間だ」

 

 

その瞬間。

 

ネヴァーモーン全軍が笑った。

 

 

オークが吼える。

 

マリーンが装甲を叩く。

 

デーモンが狂笑する。

 

人間兵が銃を握る。

 

ネクロンの瞳が点灯する。

 

 

家を守る戦争が。

 

今。

 

始まった。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十章 完

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