《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第十章
《艦内は地獄と化していた》
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《レクイエム・オブ・アッシュ》。
ネヴァーモーンの家。
銀河を渡る巨大墓標艦。
その内部は今――
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地獄と化していた。
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赤色警報。
隔壁閉鎖。
火災警報。
減圧区域。
鳴り響く警告音。
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【第七甲板制圧不能】
【敵侵入確認】
【医療区画交戦中】
【動力炉周辺戦闘発生】
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血。
炎。
煙。
悲鳴。
砲声。
そして。
笑い声。
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スラーネッシュの狂信兵達は、
艦内を侵食していた。
肉体は異様に細長く。
腕は刃物。
皮膚は裂け。
狂気に満ちた笑みを浮かべる。
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『痛みを愛して』
『苦しみは幸福よ』
『叫んで』
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人間兵が切り裂かれる。
オークが殴り飛ばされる。
デーモンが焼かれる。
艦内各所が、
戦場となっていた。
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だが。
彼らは間違えた。
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ここは。
ネヴァーモーンの家だった。
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第一節
食堂防衛戦
艦内最大の食堂。
いつも宴会が開かれる場所。
オーク達の縄張り。
そこへ。
数百の狂信兵が雪崩れ込んだ。
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『愛してあげる』
『踊りましょう』
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すると。
静かに椅子から立ち上がる巨体。
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グラッグ・ドッカ。
巨大なジョッキを置く。
ゆっくり振り返る。
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「……オイ」
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周囲のオーク達も立つ。
誰も笑っていない。
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「食堂汚スナ」
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次の瞬間。
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ドガァァァァァン!!
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巨大ハンマーが振り下ろされる。
テーブル。
床。
敵兵。
まとめて吹き飛んだ。
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「家壊スナァァァ!!」
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オーク達が突撃する。
食器が飛ぶ。
酒樽が爆発する。
椅子が武器になる。
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そこはもはや。
戦場ではなかった。
乱闘だった。
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第二節
医療区画
医療区画。
そこには。
戦えない負傷兵。
避難民。
子供達がいた。
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そして。
敵もそこを狙っていた。
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『弱い者は美しい』
『壊してあげる』
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通信兵の少女が震える。
子供達が泣く。
看護兵が銃を構える。
だが。
敵は多すぎた。
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その時。
通路の奥から。
ゆっくり金属音が響く。
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カン。
カン。
カン。
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セトラ=ヴェインだった。
緑色の瞳。
古代ネクロンの王族。
静かに杖を構える。
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「この区画は」
数秒の沈黙。
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「我が家族の領域だ」
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次の瞬間。
緑色の光が走る。
敵兵が一瞬で蒸発。
空間そのものが切断される。
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避難民達は呆然とする。
セトラは振り返らない。
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「安心しろ」
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「ここには誰も入れない」
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第三節
第十二甲板
最も激しい戦場。
動力炉区画。
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そこでは。
マルケウスが戦っていた。
周囲は死体。
床は血。
チェインソードは既に半壊。
全身傷だらけ。
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だが。
笑っていた。
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「来いよ」
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『苦痛を――』
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「うるせぇ」
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敵の顔面を踏み砕く。
さらに敵が押し寄せる。
数。
数。
数。
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その時。
通信が入る。
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『マルケウス!!』
レオンの声だった。
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『そっちヤバいです!!』
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マルケウスは笑う。
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「知ってる」
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『援軍送ります!!』
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数秒沈黙。
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「いらねぇ」
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敵を切り裂く。
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「ガキ共守れ」
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その言葉を聞き。
レオンは黙った。
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第四節
艦橋
艦橋。
そこだけが静かだった。
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ヴォルグラムが、
敵旗艦を見つめている。
艦内は燃えている。
家族達が戦っている。
負傷者もいる。
死者もいる。
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ゆっくり立ち上がる。
巨大斧を担ぐ。
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「団長」
レオンが震える声で聞く。
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「……怒ってます?」
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数秒。
沈黙。
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そして。
ヴォルグラムは笑った。
だが。
その目だけは笑っていない。
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「当たり前だろ」
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義眼が赤く光る。
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「俺ん家を汚しやがった」
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艦橋全員が黙る。
誰も喋らない。
なぜなら。
皆知っている。
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ヴォルグラムが本気で怒る時。
それは。
ネヴァーモーン最大の災厄が、
始まる時だからだ。
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巨大斧を肩に担ぐ。
通信回線全開。
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全艦へ。
全兵士へ。
その声が響く。
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「テメェら」
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静かな声。
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「掃除の時間だ」
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その瞬間。
ネヴァーモーン全軍が笑った。
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オークが吼える。
マリーンが装甲を叩く。
デーモンが狂笑する。
人間兵が銃を握る。
ネクロンの瞳が点灯する。
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家を守る戦争が。
今。
始まった。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第十章 完