禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第13話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十一章

 

《掃除の時間》

 

 

赤色警報。

 

火災警報。

 

減圧警報。

 

船内各区画から響く絶叫。

 

 

巨大墓標艦

《レクイエム・オブ・アッシュ》は、

今や完全な戦場となっていた。

 

廊下は血で濡れ。

 

壁は裂け。

 

配管から火花が飛び散り。

 

機関部からは黒煙が立ち昇る。

 

 

ここはもう艦ではない。

 

巨大な迷宮。

 

巨大な墓場。

 

巨大な戦場。

 

 

そして。

 

その戦場で最も怒っている男が、

ゆっくりと歩き始めた。

 

 

ヴォルグラム・ケイン。

 

 

巨大な黒斧。

 

血塗れの装甲。

 

赤く燃える義眼。

 

その姿はもはや人間ではない。

 

 

「団長」

 

レオンが声を掛ける。

 

 

「俺も行きます」

 

 

ヴォルグラムは振り向いた。

 

しばらく黙る。

 

そして。

 

 

「怖ぇか?」

 

 

レオンは少しだけ震えた。

 

だが。

 

頷かなかった。

 

 

「……怖いです」

 

 

数秒。

 

静寂。

 

 

ヴォルグラムは笑った。

 

 

「そうか」

 

 

巨大な手が、

レオンの頭を乱暴に撫でる。

 

 

「なら正常だ」

 

 

そして。

 

斧を担ぐ。

 

 

「怖くても進め」

 

 

「家族が後ろにいる」

 

 

その言葉に。

 

レオンはゆっくり頷いた。

 

 

第一節

 

第七甲板崩壊

 

第七甲板。

 

居住区。

 

そこは既に陥落寸前だった。

 

 

スラーネッシュの狂信兵。

 

異形デーモン。

 

融合した混沌生物。

 

数百。

 

数千。

 

 

『痛みを』

 

『愛を』

 

『快楽を』

 

 

狂った歌声が響く。

 

負傷兵達は避難中。

 

避難民は泣き叫び。

 

看護兵達は最後の防衛線を築いていた。

 

 

「弾切れだ!!」

 

「左通路突破された!!」

 

「駄目です!!」

 

 

絶望。

 

その時だった。

 

 

ズガァァァァァン!!!

 

 

隔壁が吹き飛ぶ。

 

煙。

 

火花。

 

瓦礫。

 

その中から。

 

巨大な影が歩いてきた。

 

 

ヴォルグラム。

 

その後ろには。

 

レオン。

 

数十名の人間兵。

 

そして。

 

オーク達。

 

 

「……遅ぇぞ団長!!」

 

負傷兵達が叫ぶ。

 

 

ヴォルグラムは肩を竦める。

 

 

「飯食ってた」

 

 

「嘘つけ!!」

 

 

その瞬間。

 

敵軍が襲い掛かる。

 

数百。

 

狂気の波。

 

だが。

 

ヴォルグラムは斧を構えない。

 

 

代わりに。

 

静かに言った。

 

 

「レオン」

 

 

「はい」

 

 

「やれ」

 

 

若い兵士は驚いた。

 

 

「え?」

 

 

ヴォルグラムは笑う。

 

 

「家族守りたいんだろ?」

 

 

レオンの手が震える。

 

銃を握る。

 

怖い。

 

足が動かない。

 

だが。

 

背後を見る。

 

 

避難民。

 

負傷兵。

 

泣いている子供。

 

仲間達。

 

 

レオンは。

 

ゆっくり前へ出た。

 

 

「……ネヴァーモーン」

 

 

銃を構える。

 

 

「前進!!」

 

 

発砲。

 

敵が倒れる。

 

そして。

 

人間兵達が続いた。

 

 

「突撃!!」

 

「押し返せ!!」

 

「ここは家だ!!」

 

 

その瞬間。

 

ヴォルグラムは笑った。

 

 

第二節

 

鉄と酒と骸骨

 

食堂。

 

そこはもはや戦場ではない。

 

戦争そのものだった。

 

 

オーク達が暴れ。

 

酒樽が飛び。

 

机が武器になり。

 

敵兵が壁に叩き付けられる。

 

 

グラッグは。

 

巨大な敵デーモンを片手で持ち上げていた。

 

 

「酒飲ムカ?」

 

 

『グァァァァ!!』

 

 

「飲マネェノカ」

 

 

ドガァァァァン!!

 

 

敵が床へめり込む。

 

 

その時。

 

壁を突き破り。

 

新たな怪物が現れる。

 

 

全高四メートル。

 

六本腕。

 

快楽神の上級悪魔。

 

 

空気が変わる。

 

オーク達が武器を握る。

 

だが。

 

その前に。

 

緑色の光。

 

 

セトラだった。

 

 

「下がれ」

 

 

「骸骨?」

 

グラッグが首を傾げる。

 

 

セトラは静かに杖を向けた。

 

 

「この程度」

 

 

空間が歪む。

 

敵悪魔の身体が崩壊。

 

一瞬で消滅。

 

 

食堂が静まる。

 

グラッグが数秒見つめ。

 

 

「スゲェ」

 

 

セトラが振り返る。

 

 

「……そうか」

 

 

その瞬間。

 

グラッグが酒樽を押し付けた。

 

 

「飲メ」

 

 

「私は機械だ」

 

 

「細ケェ」

 

 

周囲が爆笑する。

 

 

第三節

 

医療区画の子供達

 

医療区画。

 

子供達は怯えていた。

 

泣き声。

 

震える肩。

 

 

その中に。

 

以前救出された少女がいた。

 

ヴァル=シグマの生存者。

 

名前はエルナ。

 

 

「お姉ちゃん」

 

幼い少年が泣く。

 

 

「また怪物来る?」

 

 

エルナは窓を見る。

 

外では。

 

砲撃。

 

火災。

 

戦争。

 

 

だが。

 

彼女は笑った。

 

 

「大丈夫」

 

 

「なんで?」

 

 

少女は答える。

 

 

「だって」

 

 

遠くから。

 

オークの笑い声。

 

人間兵の怒鳴り声。

 

マリーンの銃声。

 

ヴォルグラムの怒号。

 

 

「家族がいるから」

 

 

子供達は黙った。

 

そして。

 

少しだけ笑った。

 

 

第四節

 

敵旗艦

 

その頃。

 

敵旗艦《歓喜の聖堂》。

 

 

玉座の上で。

 

敵指揮官が笑っていた。

 

 

両性具有。

 

白い肌。

 

長い髪。

 

紫色の瞳。

 

 

混沌の王子。

 

快楽神の寵愛を受けた怪物。

 

 

『面白い』

 

 

『あの男は欲しい』

 

 

『苦しませたい』

 

 

『壊したい』

 

 

その瞬間。

 

艦橋が揺れる。

 

 

ドゴォォォォォン!!!

 

 

警報。

 

絶叫。

 

 

『なに?』

 

 

通信兵が叫ぶ。

 

 

「敵艦接舷!!」

 

 

混沌兵達が驚く。

 

 

「どこから!?」

 

 

モニターに映る。

 

 

巨大な黒い艦。

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》。

 

 

そして。

 

艦首が。

 

敵旗艦へ。

 

真正面から突っ込んでいた。

 

 

「正面衝突だァァァ!!」

 

 

艦橋が揺れる。

 

敵兵が転倒する。

 

瓦礫。

 

煙。

 

炎。

 

 

そして。

 

裂けた船体の向こう。

 

 

黒い巨人が立っていた。

 

 

ヴォルグラム。

 

その後ろには。

 

グラッグ。

 

セトラ。

 

マルケウス。

 

レオン。

 

ネヴァーモーン。

 

 

全員。

 

血塗れ。

 

ボロボロ。

 

だが。

 

笑っていた。

 

 

ヴォルグラムは巨大斧を担ぐ。

 

そして。

 

敵指揮官を見上げた。

 

 

数秒の沈黙。

 

 

そして。

 

いつものように。

 

少し面倒臭そうに。

 

こう言った。

 

 

「……テメェ」

 

 

義眼が赤く光る。

 

 

「ウチの家、汚したな?」

 

 

艦橋の空気が凍った。

 

混沌兵達が後退する。

 

快楽の王子が。

 

初めて笑みを消した。

 

 

ネヴァーモーン。

 

最悪の家族達。

 

その逆襲が。

 

今。

 

始まる。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十一章 完

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