《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第十三章
《遅れてきた怪物達》
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敵旗艦《歓喜の聖堂》。
艦橋。
そこは既に戦場ではなかった。
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砕けた床。
燃える隔壁。
転がる死体。
紫色の炎。
血煙。
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ネヴァーモーンの猛攻によって、
混沌軍は崩壊寸前に陥っていた。
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オーク達は笑いながら敵を殴り飛ばし。
人間兵は負傷者を運び。
マルケウスは血塗れのまま敵を斬り伏せる。
セトラは静かに敵将校を消滅させ。
ヴォルグラムは、
快楽の王子を見据えていた。
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その時だった。
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ゴォォォォォ……
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遠方の隔壁が開く。
重装歩兵達の足音。
金属音。
悪魔の笑い声。
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レオンが振り返る。
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「……誰だ?」
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次の瞬間。
紫色の炎が吹き荒れた。
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その炎の中から。
一人の女が歩いてくる。
長い黒髪。
妖艶な笑み。
血のような赤い瞳。
悪魔の角。
漆黒の戦装束。
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リリス=ヴァール。
その背後には。
角を持つデーモン兵達。
数百。
全員が返り血を浴びている。
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リリスは軽く手を振った。
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「団長、ごめんなさいねぇ」
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煙草を咥え。
肩を竦める。
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「掃討完了したわ」
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その瞬間。
別の通路から。
重い足音が響く。
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ガシャン。
ガシャン。
ガシャン。
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蒼黒の装甲。
巨大なパワーソード。
全身傷だらけの巨人。
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カイウス・リクソン。
元スペースマリーン。
ネヴァーモーン随一の重戦士。
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その背後には。
精鋭マリーン部隊。
誰一人として無傷ではない。
しかし。
誰一人倒れていない。
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カイウスはヘルメットを外し。
苦笑した。
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「右舷。」
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「敵艦六隻撃沈。」
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「乗り込んできた連中は全滅だ。」
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数秒。
沈黙。
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グラッグが目を丸くする。
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「全部カ?」
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カイウスは頷く。
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「全部だ。」
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オーク達が爆笑した。
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「遅ェンダヨ!!」
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「飲ミ会始マッテルゾ!!」
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カイウスが肩を竦める。
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「途中で機関室が爆発してな。」
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「少し手間取った。」
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その瞬間。
デーモン兵達が周囲を見回す。
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「あれ?」
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「敵もうほとんどいないぞ?」
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リリスが呆れたように笑う。
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「団長達、また暴れ過ぎたわねぇ」
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ヴォルグラムは巨大斧を肩に担ぐ。
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「遅かったな」
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リリスが微笑む。
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「ごめんなさい。」
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「でもちゃんと家を守ってきたわよ。」
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その言葉に。
ヴォルグラムは数秒黙った。
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そして。
少しだけ笑った。
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「上出来だ」
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リリスの表情が僅かに柔らかくなる。
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カイウスは周囲の死体を見る。
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「残敵は?」
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マルケウスが指を差す。
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玉座の前。
そこに立つ。
快楽の王子。
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紫の瞳。
歪んだ笑み。
しかし。
その顔には初めて焦りが浮かんでいた。
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目の前にいるのは。
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ヴォルグラム。
グラッグ。
マルケウス。
セトラ。
リリス。
カイウス。
レオン。
オーク。
人間。
ネクロン。
デーモン。
マリーン。
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ネヴァーモーン全戦力。
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カイウスが静かにパワーソードを起動する。
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「団長。」
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「遅刻の埋め合わせをしたい。」
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リリスも妖しく笑う。
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「最後くらい参加させて?」
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ヴォルグラムは周囲を見渡す。
血塗れの家族達。
全員が笑っている。
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そして。
巨大斧を握り直した。
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「よし。」
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義眼が赤く燃える。
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「全員でやるぞ。」
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グラッグが吼える。
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「家族会議ダァァァ!!」
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マルケウスが笑う。
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「議題は一つだ。」
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セトラが静かに武器を構える。
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「処刑開始。」
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快楽の王子が。
初めて。
本当の恐怖を知った。
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銀河には多くの怪物がいる。
混沌。
デーモン。
異形。
神々。
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だが。
彼らの前にいる怪物達は違う。
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彼らは。
互いを家族と呼ぶ。
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そして。
その家族を傷付けた者へ。
決して容赦しない。
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ヴォルグラムが静かに言った。
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「――テメェに地獄を教えてやる。」
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その瞬間。
ネヴァーモーン全軍が。
一斉に前へ踏み出した。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第十三章 完 ――続く――