禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第15話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十三章

 

《遅れてきた怪物達》

 

 

敵旗艦《歓喜の聖堂》。

 

艦橋。

 

そこは既に戦場ではなかった。

 

 

砕けた床。

 

燃える隔壁。

 

転がる死体。

 

紫色の炎。

 

血煙。

 

 

ネヴァーモーンの猛攻によって、

混沌軍は崩壊寸前に陥っていた。

 

 

オーク達は笑いながら敵を殴り飛ばし。

 

人間兵は負傷者を運び。

 

マルケウスは血塗れのまま敵を斬り伏せる。

 

セトラは静かに敵将校を消滅させ。

 

ヴォルグラムは、

快楽の王子を見据えていた。

 

 

その時だった。

 

 

ゴォォォォォ……

 

 

遠方の隔壁が開く。

 

重装歩兵達の足音。

 

金属音。

 

悪魔の笑い声。

 

 

レオンが振り返る。

 

 

「……誰だ?」

 

 

次の瞬間。

 

紫色の炎が吹き荒れた。

 

 

その炎の中から。

 

一人の女が歩いてくる。

 

長い黒髪。

 

妖艶な笑み。

 

血のような赤い瞳。

 

悪魔の角。

 

漆黒の戦装束。

 

 

リリス=ヴァール。

 

 

その背後には。

 

角を持つデーモン兵達。

 

数百。

 

全員が返り血を浴びている。

 

 

リリスは軽く手を振った。

 

 

「団長、ごめんなさいねぇ」

 

 

煙草を咥え。

 

肩を竦める。

 

 

「掃討完了したわ」

 

 

その瞬間。

 

別の通路から。

 

重い足音が響く。

 

 

ガシャン。

 

ガシャン。

 

ガシャン。

 

 

蒼黒の装甲。

 

巨大なパワーソード。

 

全身傷だらけの巨人。

 

 

カイウス・リクソン。

 

 

元スペースマリーン。

 

ネヴァーモーン随一の重戦士。

 

 

その背後には。

 

精鋭マリーン部隊。

 

誰一人として無傷ではない。

 

しかし。

 

誰一人倒れていない。

 

 

カイウスはヘルメットを外し。

 

苦笑した。

 

 

「右舷。」

 

 

「敵艦六隻撃沈。」

 

 

「乗り込んできた連中は全滅だ。」

 

 

数秒。

 

沈黙。

 

 

グラッグが目を丸くする。

 

 

「全部カ?」

 

 

カイウスは頷く。

 

 

「全部だ。」

 

 

オーク達が爆笑した。

 

 

「遅ェンダヨ!!」

 

 

「飲ミ会始マッテルゾ!!」

 

 

カイウスが肩を竦める。

 

 

「途中で機関室が爆発してな。」

 

 

「少し手間取った。」

 

 

その瞬間。

 

デーモン兵達が周囲を見回す。

 

 

「あれ?」

 

 

「敵もうほとんどいないぞ?」

 

 

リリスが呆れたように笑う。

 

 

「団長達、また暴れ過ぎたわねぇ」

 

 

ヴォルグラムは巨大斧を肩に担ぐ。

 

 

「遅かったな」

 

 

リリスが微笑む。

 

 

「ごめんなさい。」

 

 

「でもちゃんと家を守ってきたわよ。」

 

 

その言葉に。

 

ヴォルグラムは数秒黙った。

 

 

そして。

 

少しだけ笑った。

 

 

「上出来だ」

 

 

リリスの表情が僅かに柔らかくなる。

 

 

カイウスは周囲の死体を見る。

 

 

「残敵は?」

 

 

マルケウスが指を差す。

 

 

玉座の前。

 

そこに立つ。

 

快楽の王子。

 

 

紫の瞳。

 

歪んだ笑み。

 

しかし。

 

その顔には初めて焦りが浮かんでいた。

 

 

目の前にいるのは。

 

 

ヴォルグラム。

 

グラッグ。

 

マルケウス。

 

セトラ。

 

リリス。

 

カイウス。

 

レオン。

 

オーク。

 

人間。

 

ネクロン。

 

デーモン。

 

マリーン。

 

 

ネヴァーモーン全戦力。

 

 

カイウスが静かにパワーソードを起動する。

 

 

「団長。」

 

 

「遅刻の埋め合わせをしたい。」

 

 

リリスも妖しく笑う。

 

 

「最後くらい参加させて?」

 

 

ヴォルグラムは周囲を見渡す。

 

血塗れの家族達。

 

全員が笑っている。

 

 

そして。

 

巨大斧を握り直した。

 

 

「よし。」

 

 

義眼が赤く燃える。

 

 

「全員でやるぞ。」

 

 

グラッグが吼える。

 

 

「家族会議ダァァァ!!」

 

 

マルケウスが笑う。

 

 

「議題は一つだ。」

 

 

セトラが静かに武器を構える。

 

 

「処刑開始。」

 

 

快楽の王子が。

 

初めて。

 

本当の恐怖を知った。

 

 

銀河には多くの怪物がいる。

 

混沌。

 

デーモン。

 

異形。

 

神々。

 

 

だが。

 

彼らの前にいる怪物達は違う。

 

 

彼らは。

 

互いを家族と呼ぶ。

 

 

そして。

 

その家族を傷付けた者へ。

 

決して容赦しない。

 

 

ヴォルグラムが静かに言った。

 

 

「――テメェに地獄を教えてやる。」

 

 

その瞬間。

 

ネヴァーモーン全軍が。

 

一斉に前へ踏み出した。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十三章 完 ――続く――

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