禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第16話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十四章

 

《最後の一人》

 

 

敵旗艦《歓喜の聖堂》。

 

艦橋。

 

そこはもはや戦場ではなかった。

 

 

砕けた玉座。

 

燃える壁。

 

紫の炎。

 

死体の山。

 

血の海。

 

 

その中央で。

 

快楽の王子は後退していた。

 

 

目の前には。

 

ヴォルグラム。

 

グラッグ。

 

マルケウス。

 

セトラ。

 

リリス。

 

カイウス。

 

ネヴァーモーン。

 

 

銀河でも最悪の家族達。

 

 

そして。

 

その時だった。

 

 

遠方の通路から。

 

ゆっくりと足音が響く。

 

 

カツ。

 

カツ。

 

カツ。

 

 

重い。

 

疲れ切った。

 

そんな足音。

 

 

全員が振り向く。

 

煙の向こう。

 

血塗れの兵士達。

 

人間傭兵達。

 

ボロボロの装備。

 

傷だらけの顔。

 

 

その先頭にいた男が。

 

帽子を押し上げ。

 

深いため息をついた。

 

 

「ふぅ……疲れた……」

 

 

銃を肩へ担ぐ。

 

全身血まみれ。

 

コートは裂け。

 

顔には切り傷。

 

 

ドッグ・ハント。

 

 

ネヴァーモーン所属。

 

歴戦の人間傭兵隊長。

 

純粋な生身の人間でありながら、

数百の戦場を生き残った男。

 

 

彼の後ろには。

 

同じく満身創痍の人間傭兵達。

 

ネヴァーモーンの一般兵。

 

誰一人として無傷ではない。

 

 

ドッグは首を鳴らした。

 

 

「まったく……」

 

 

「生身の人間には堪えるぜ」

 

 

誰かが吹き出した。

 

グラッグだった。

 

 

「遅ェンダヨ!!」

 

 

ドッグは睨む。

 

 

「うるせぇ」

 

 

「そっちは化物だろうが」

 

 

カイウスが笑う。

 

 

「まだ生きていたか。」

 

 

「簡単には死なねぇよ」

 

 

リリスが煙草を咥える。

 

 

「何人殺したの?」

 

 

ドッグは少し考えた。

 

 

「覚えてねぇな。」

 

 

後ろの傭兵が言う。

 

 

「隊長、一人で百以上倒しました。」

 

 

「黙れ。」

 

 

レオンが呆然としている。

 

 

彼は知っている。

 

ドッグには特殊な力がない。

 

遺伝子改造もない。

 

デーモンでもない。

 

ネクロンでもない。

 

オークでもない。

 

 

ただの人間。

 

 

それなのに。

 

最後まで戦い抜いてきた。

 

 

ヴォルグラムがニヤリと笑う。

 

 

「よう。」

 

 

ドッグが煙草を咥える。

 

 

「まだやってるか?」

 

 

数秒。

 

静寂。

 

 

そして。

 

全員が笑った。

 

 

「今からだ。」

 

 

快楽の王子が。

 

初めて後退した。

 

 

目の前には。

 

怪物。

 

悪魔。

 

オーク。

 

ネクロン。

 

マリーン。

 

 

そして。

 

その中に。

 

たった一人。

 

普通の人間が立っていた。

 

 

ドッグは拳銃を回す。

 

薬室確認。

 

弾数三発。

 

ナイフ一本。

 

それだけ。

 

 

「弾がねぇ。」

 

 

部下が言う。

 

 

「隊長、どうします?」

 

 

ドッグは笑う。

 

 

「殴ればいい。」

 

 

傭兵達が笑った。

 

 

「ですよね。」

 

 

その時。

 

ヴォルグラムが斧を担ぐ。

 

 

「全員揃ったな。」

 

 

グラッグがハンマーを構える。

 

 

「家族全員ダ。」

 

 

セトラが静かに頷く。

 

 

「欠員なし。」

 

 

マルケウスが笑う。

 

 

「珍しいな。」

 

 

リリスが指を鳴らす。

 

 

「じゃあ終わらせましょうか。」

 

 

カイウスが剣を起動する。

 

 

「帰ったら酒だ。」

 

 

そして。

 

ドッグ・ハントが帽子を深く被った。

 

 

「早く終わらせようぜ。」

 

 

「腹減った。」

 

 

快楽の王子は理解した。

 

 

目の前にいるのは。

 

銀河最強の戦士達ではない。

 

 

銀河最強の家族だった。

 

 

ヴォルグラムの義眼が赤く燃える。

 

 

「よし。」

 

 

巨大斧を構える。

 

 

「ネヴァーモーン。」

 

 

全員が武器を構えた。

 

 

「――宴会前の最後の仕事だ。」

 

 

その瞬間。

 

家族達の最後の突撃が始まった。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十四章 完 ――続く――

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