《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第十四章
《最後の一人》
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敵旗艦《歓喜の聖堂》。
艦橋。
そこはもはや戦場ではなかった。
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砕けた玉座。
燃える壁。
紫の炎。
死体の山。
血の海。
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その中央で。
快楽の王子は後退していた。
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目の前には。
ヴォルグラム。
グラッグ。
マルケウス。
セトラ。
リリス。
カイウス。
ネヴァーモーン。
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銀河でも最悪の家族達。
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そして。
その時だった。
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遠方の通路から。
ゆっくりと足音が響く。
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カツ。
カツ。
カツ。
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重い。
疲れ切った。
そんな足音。
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全員が振り向く。
煙の向こう。
血塗れの兵士達。
人間傭兵達。
ボロボロの装備。
傷だらけの顔。
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その先頭にいた男が。
帽子を押し上げ。
深いため息をついた。
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「ふぅ……疲れた……」
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銃を肩へ担ぐ。
全身血まみれ。
コートは裂け。
顔には切り傷。
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ドッグ・ハント。
ネヴァーモーン所属。
歴戦の人間傭兵隊長。
純粋な生身の人間でありながら、
数百の戦場を生き残った男。
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彼の後ろには。
同じく満身創痍の人間傭兵達。
ネヴァーモーンの一般兵。
誰一人として無傷ではない。
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ドッグは首を鳴らした。
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「まったく……」
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「生身の人間には堪えるぜ」
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誰かが吹き出した。
グラッグだった。
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「遅ェンダヨ!!」
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ドッグは睨む。
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「うるせぇ」
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「そっちは化物だろうが」
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カイウスが笑う。
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「まだ生きていたか。」
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「簡単には死なねぇよ」
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リリスが煙草を咥える。
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「何人殺したの?」
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ドッグは少し考えた。
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「覚えてねぇな。」
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後ろの傭兵が言う。
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「隊長、一人で百以上倒しました。」
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「黙れ。」
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レオンが呆然としている。
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彼は知っている。
ドッグには特殊な力がない。
遺伝子改造もない。
デーモンでもない。
ネクロンでもない。
オークでもない。
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ただの人間。
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それなのに。
最後まで戦い抜いてきた。
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ヴォルグラムがニヤリと笑う。
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「よう。」
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ドッグが煙草を咥える。
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「まだやってるか?」
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数秒。
静寂。
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そして。
全員が笑った。
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「今からだ。」
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快楽の王子が。
初めて後退した。
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目の前には。
怪物。
悪魔。
オーク。
ネクロン。
マリーン。
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そして。
その中に。
たった一人。
普通の人間が立っていた。
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ドッグは拳銃を回す。
薬室確認。
弾数三発。
ナイフ一本。
それだけ。
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「弾がねぇ。」
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部下が言う。
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「隊長、どうします?」
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ドッグは笑う。
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「殴ればいい。」
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傭兵達が笑った。
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「ですよね。」
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その時。
ヴォルグラムが斧を担ぐ。
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「全員揃ったな。」
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グラッグがハンマーを構える。
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「家族全員ダ。」
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セトラが静かに頷く。
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「欠員なし。」
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マルケウスが笑う。
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「珍しいな。」
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リリスが指を鳴らす。
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「じゃあ終わらせましょうか。」
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カイウスが剣を起動する。
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「帰ったら酒だ。」
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そして。
ドッグ・ハントが帽子を深く被った。
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「早く終わらせようぜ。」
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「腹減った。」
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快楽の王子は理解した。
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目の前にいるのは。
銀河最強の戦士達ではない。
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銀河最強の家族だった。
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ヴォルグラムの義眼が赤く燃える。
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「よし。」
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巨大斧を構える。
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「ネヴァーモーン。」
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全員が武器を構えた。
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「――宴会前の最後の仕事だ。」
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その瞬間。
家族達の最後の突撃が始まった。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第十四章 完 ――続く――