《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第十五章
《家族の地獄》
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敵旗艦《歓喜の聖堂》。
艦橋。
数時間前まで快楽神の信徒達が歌い、
狂気の宴を開いていたその場所は、
今や血と炎に満ちた墓場へ変わっていた。
紫色の炎が燃える。
崩壊した天井。
転がる死体。
割れた玉座。
悲鳴。
蒸気。
そして。
その中央で。
快楽の王子は、
初めて恐怖という感情を知っていた。
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目の前には。
ヴォルグラム。
グラッグ。
マルケウス。
セトラ。
リリス。
カイウス。
ドッグ・ハント。
レオン。
そしてネヴァーモーン。
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オーク。
人間。
ネクロン。
マリーン。
デーモン。
混沌種。
本来なら決して共存しない者達。
だが。
彼らは笑っていた。
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「……化物共め……」
快楽の王子が呟く。
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ドッグ・ハントが帽子を押し上げた。
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「違うな。」
煙草を噛み潰す。
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「ただの家族だ。」
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第一節
人間の戦場
快楽の王子が腕を振る。
その瞬間。
数百の狂信兵が現れる。
肉。
刃。
絶叫。
香。
快楽。
狂気。
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「来るぞ!!」
レオンが叫ぶ。
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だが。
ドッグは前へ出た。
拳銃三発。
ナイフ一本。
それだけ。
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「隊長!!」
部下が叫ぶ。
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「生身の人間は下がれ!!」
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ドッグは笑った。
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「馬鹿言え。」
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「人間だから戦うんだろ。」
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敵が突撃する。
ドッグは撃つ。
一発。
二発。
三発。
全弾命中。
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弾切れ。
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その瞬間。
ナイフを抜く。
肉を裂く。
首を切る。
敵の武器を奪う。
殴る。
蹴る。
撃つ。
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周囲の傭兵達も続く。
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「隊長について行け!!」
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「ネヴァーモーン前進!!」
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ただの人間達が。
怪物の群れへ突撃した。
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レオンは気付く。
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オークも。
ネクロンも。
デーモンも。
確かに強い。
だが。
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最も諦めないのは。
この生身の人間達なのだと。
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第二節
骸骨と悪魔
その頃。
左翼戦線。
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巨大悪魔が現れる。
高さ八メートル。
六本腕。
紫色の翼。
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リリスが笑う。
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「あら。」
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「少し大きいわね。」
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セトラが隣へ立つ。
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「排除する。」
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リリスが笑う。
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「一緒に?」
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「……仕方ない。」
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悪魔と骸骨。
本来なら敵。
永遠の仇。
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しかし。
今は違う。
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悪魔の炎。
ネクロンの光。
二つの力が重なる。
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巨大悪魔が咆哮する。
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その瞬間。
セトラの光線が脚部を切断。
リリスの炎が胸を焼く。
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爆発。
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オーク達が歓声を上げる。
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「骸骨ト悪魔ガ仲良シダ!!」
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セトラが少しだけ黙る。
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「……仲良くはない。」
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リリスが笑う。
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「そういう事にしておきましょう。」
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第三節
鋼鉄の兄弟達
右翼。
カイウスとマリーン達。
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重装歩兵。
パワーアーマー。
ボルトライフル。
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敵は快楽神の精鋭兵。
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だが。
カイウスは止まらない。
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「押し返せ。」
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「ここは家だ。」
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その言葉だけで。
マリーン達が前進する。
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ボルト弾。
爆発。
血。
肉片。
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ある若いマリーンが倒れる。
敵が迫る。
その時。
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グラッグが飛び込む。
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「死ヌナ。」
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巨大ハンマー。
敵を粉砕。
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若いマリーンが呆然とする。
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「……スマン」
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グラッグが首を傾げる。
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「家族ダロ?」
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その一言に。
若い戦士は笑った。
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第四節
王子の恐怖
艦橋中央。
快楽の王子は後退していた。
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『何故だ。』
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『何故壊れない。』
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『何故笑う。』
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その前へ。
ヴォルグラム。
ドッグ。
マルケウス。
三人が並ぶ。
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怪物。
狂人。
人間。
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奇妙な三人。
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ドッグが煙草を投げ捨てる。
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「団長。」
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「俺が先に行く。」
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ヴォルグラムが眉を上げる。
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「死ぬぞ。」
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ドッグは笑う。
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「人間だからな。」
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「いつか死ぬ。」
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少しだけ静かになる。
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そして。
ドッグは前へ出た。
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「だがよ。」
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帽子を深く被る。
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「家族の前では格好つけたい。」
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快楽の王子が咆哮する。
精神攻撃。
幻覚。
絶望。
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だが。
ドッグは止まらない。
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恐怖で足が震える。
汗が流れる。
呼吸が苦しい。
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それでも。
前へ。
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レオンが震えながら呟く。
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「……すげぇ……」
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ヴォルグラムが笑った。
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「ウチの人間共は頑丈だろ。」
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第五節
家族
快楽の王子が叫ぶ。
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『理解出来ない!!』
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『何故そこまで!!』
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『何故そこまで他人のために!!』
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静寂。
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ヴォルグラムが答える。
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「他人じゃねぇ。」
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グラッグが言う。
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「家族ダ。」
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リリスが笑う。
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「帰る場所よ。」
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セトラが静かに言う。
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「私の居場所だ。」
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カイウスが剣を握る。
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「兄弟達だ。」
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ドッグが笑う。
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「飲み仲間だ。」
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レオンが涙を拭う。
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「俺の家です。」
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快楽の王子は。
理解出来なかった。
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何万年生きても。
何百万の魂を味わっても。
決して得られなかったもの。
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それが。
目の前にあった。
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ヴォルグラムが巨大斧を構える。
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「行くぞ。」
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ネヴァーモーン全員が武器を握る。
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銀河最悪。
銀河最狂。
銀河で最も狂った家族。
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その全員が。
最後の一歩を踏み出した。
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そして。
快楽の王子へ向かって。
地獄そのものが動き始めた。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第十五章 完
――続く――