禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第19話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十七章

 

《外道ではない》

 

 

敵旗艦《歓喜の聖堂》。

 

艦橋。

 

崩壊した玉座。

 

燃え続ける紫炎。

 

砕けた柱。

 

血に濡れた床。

 

 

快楽の王子は、

初めて理解していた。

 

 

自分は追い詰められている。

 

 

周囲を見渡す。

 

逃げ道はない。

 

親衛隊はいない。

 

艦隊は壊滅。

 

悪魔達も死んだ。

 

 

残ったのは。

 

自分一人。

 

 

そして。

 

目の前には。

 

銀河最悪の傭兵部隊。

 

ネヴァーモーン。

 

 

オーク。

 

ネクロン。

 

マリーン。

 

デーモン。

 

混沌種。

 

人間。

 

 

本来なら決して共存しない怪物達。

 

だが。

 

その全員が。

 

静かに武器を構えていた。

 

 

その時。

 

ドッグ・ハントが、

ゆっくり前へ出る。

 

帽子を深く被る。

 

血塗れのコート。

 

弾切れの拳銃。

 

傷だらけの顔。

 

 

静かな声だった。

 

 

「安心しな。」

 

 

誰も喋らない。

 

艦橋全体が静まり返る。

 

 

ドッグは煙草を噛み潰した。

 

 

「化け物ども。」

 

 

快楽の王子が睨む。

 

 

「俺達はイカれてる。」

 

 

背後を振り返る。

 

 

グラッグがいる。

 

マルケウスがいる。

 

セトラがいる。

 

リリスがいる。

 

カイウスがいる。

 

ヴォルグラムがいる。

 

 

そして。

 

血塗れの家族達。

 

 

「だが。」

 

 

静かな声。

 

 

「外道じゃねぇ。」

 

 

その一言に。

 

ネヴァーモーン全員が黙った。

 

 

ドッグはゆっくり歩く。

 

 

「楽に終わらせてやる。」

 

 

「死んだうちの家族の仇だ。」

 

 

帽子を上げる。

 

その瞳に宿るのは。

 

怒りだった。

 

 

「容赦しないがな。」

 

 

数秒。

 

沈黙。

 

 

快楽の王子は、

初めてその言葉を理解できなかった。

 

 

何故。

 

ここまで怒る。

 

何故。

 

そこまで死者を想う。

 

 

セトラが静かに言う。

 

 

「彼らは忘れない。」

 

 

グラッグがハンマーを担ぐ。

 

 

「仲間ハ家族ダ。」

 

 

カイウスが剣を握る。

 

 

「死んでも兄弟だ。」

 

 

リリスが微笑む。

 

 

「だから怒っているのよ。」

 

 

マルケウスが笑う。

 

 

「ウチは執念深い。」

 

 

そして。

 

ヴォルグラムが前へ出る。

 

巨大斧。

 

血塗れの装甲。

 

赤く燃える義眼。

 

 

快楽の王子が震える。

 

 

『何故だ……』

 

 

『何故そこまで……』

 

 

ヴォルグラムは少しだけ考えた。

 

 

そして。

 

静かに答える。

 

 

「簡単だ。」

 

 

後ろを見る。

 

 

傷付いた家族達。

 

生き残った者。

 

死んでいった者。

 

全員の顔を思い出す。

 

 

「俺達は。」

 

 

「あいつらの分まで生きてる。」

 

 

その瞬間。

 

レオンが前へ出た。

 

 

若い人間兵。

 

恐怖に震えていた少年。

 

 

だが。

 

今は違う。

 

 

「……俺も。」

 

 

銃を握る。

 

 

「俺も撃ちます。」

 

 

ドッグが笑う。

 

 

「一人前だな。」

 

 

その時。

 

ヴォルグラムが斧を肩へ担いだ。

 

 

そして。

 

全員へ向けて。

 

ゆっくりと言う。

 

 

「やれ。」

 

 

その瞬間。

 

ネヴァーモーンが動いた。

 

 

グラッグが吼える。

 

マルケウスが突撃する。

 

リリスの炎が舞う。

 

セトラの光が走る。

 

カイウスが剣を振るう。

 

混沌種達が咆哮する。

 

人間達が前進する。

 

 

そして。

 

その先頭を歩くのは。

 

ただの人間。

 

ドッグ・ハント。

 

 

銀河は怪物で溢れている。

 

 

だが。

 

怪物と外道は違う。

 

 

ネヴァーモーンは狂っている。

 

イカれている。

 

戦争を愛している。

 

酒を愛している。

 

戦場を笑う。

 

 

それでも。

 

家族を傷付ける者だけは。

 

決して許さない。

 

 

その日。

 

《歓喜の聖堂》の艦橋で。

 

快楽の王子が見た最後の光景は。

 

 

笑いながら進む。

 

血塗れの家族達だった。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第十七章 完

 

――続く――

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