禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第25話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二十三章

 

《鋼の王国からの救難信号》

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》。

 

銀河辺境宙域。

 

帝国航路からも外れた暗黒の空間。

 

星は少なく。

 

光は遠い。

 

ただ巨大な墓標艦だけが、

静かに宇宙を進んでいた。

 

 

戦いから数日。

 

艦内には再び日常が戻り始めていた。

 

 

負傷者達は治療を受け。

 

難民達は落ち着きを取り戻し。

 

食堂には笑い声が戻り。

 

オーク達は喧嘩し。

 

人間達は酒を飲み。

 

子供達は走り回っている。

 

 

だが。

 

死者達の名前は忘れられていない。

 

礼拝堂の炎は今も燃え続けていた。

 

 

艦橋。

 

ヴォルグラムは黙って星を見ていた。

 

ドッグはコーヒーを飲み。

 

カイウスは報告書を読んでいる。

 

リリスは煙草を吸い。

 

グラッグは機関士達と口論していた。

 

 

その時だった。

 

 

ビーッ!!

 

ビーッ!!

 

 

艦橋に警報音が響く。

 

 

オペレーターが振り返る。

 

 

「救難信号です!」

 

 

全員が顔を上げる。

 

 

「発信元不明!」

 

 

「……いや。」

 

 

「解析完了。」

 

 

モニターへ奇妙な紋章が映る。

 

双頭の鷲ではない。

 

混沌の印でもない。

 

オークの戦旗でもない。

 

 

金色の紋章。

 

中央には剣。

 

そして王冠。

 

 

レオンが首を傾げる。

 

 

「どこの国家だ……?」

 

 

セトラが情報を読み取る。

 

 

「未登録文明。」

 

 

「名称。」

 

 

少し沈黙。

 

 

「アメストリア。」

 

 

その名を聞き。

 

艦橋が静まり返る。

 

 

「人類国家か?」

 

カイウスが問う。

 

 

セトラが頷く。

 

 

「人口約五千万。」

 

 

「構成種族。」

 

 

「人間のみ。」

 

 

グラッグが驚く。

 

 

「オークイナイノカ?」

 

 

「いない。」

 

 

「デーモンモ?」

 

 

「いない。」

 

 

「ネクロンモ?」

 

 

「いない。」

 

 

グラッグが頭を掻く。

 

 

「変ナ国ダナ。」

 

 

さらに情報が表示される。

 

 

軍事国家。

 

中央集権。

 

近代兵器。

 

機甲戦力。

 

人類軍。

 

 

だが。

 

その中でも。

 

ある地域だけが異質だった。

 

 

「辺境軍事国家。」

 

 

「惑星内でも異端。」

 

 

「生身の人間のみで構成。」

 

 

「代表者。」

 

 

モニターに一人の男が映る。

 

 

黒髪。

 

鋭い眼。

 

軍服。

 

口髭。

 

左右の眼が異様な輝きを放つ。

 

 

キング・ブラッドレイ。

 

 

 

ドッグが眉を上げる。

 

 

「ただの人間か?」

 

 

セトラ。

 

 

「肉体改造なし。」

 

 

「遺伝子強化なし。」

 

 

「サイカー反応なし。」

 

 

「純粋な人間。」

 

 

グラッグが笑う。

 

 

「弱ソウダ。」

 

 

その瞬間。

 

モニターに映像が流れる。

 

 

戦場。

 

 

戦車。

 

砲火。

 

巨大な異形。

 

そして。

 

一人の男。

 

 

剣を抜く。

 

走る。

 

斬る。

 

避ける。

 

撃つ。

 

 

巨大な怪物が一瞬で倒れる。

 

 

艦橋が静まり返る。

 

 

ドッグが口を開く。

 

 

「……おい。」

 

 

カイウスが目を細める。

 

 

「ただの人間ではない。」

 

 

ヴォルグラムは黙って映像を見ていた。

 

 

その男の目。

 

その剣。

 

その立ち姿。

 

 

どこか。

 

ドッグに似ている。

 

 

怪物ではない。

 

超人ではない。

 

 

それでも最前線へ立つ。

 

 

その時。

 

救難通信が再生される。

 

 

ザー……

 

 

ノイズ。

 

砲声。

 

悲鳴。

 

 

そして。

 

低い男の声。

 

 

『こちらアメストリア軍。』

 

 

『指揮官キング・ブラッドレイ。』

 

 

背後で銃声が響く。

 

 

『敵性勢力による侵攻を受けている。』

 

 

『民間人避難中。』

 

 

『軍は最後まで抵抗する。』

 

 

少し沈黙。

 

 

『もしこの通信を受信した者がいるなら。』

 

 

『民間人だけでも助けてほしい。』

 

 

『以上だ。』

 

 

通信が切れる。

 

 

艦橋。

 

静寂。

 

 

難民。

 

民間人。

 

最後まで戦う人間達。

 

 

誰かに似ている。

 

 

ドッグが帽子を被り直す。

 

 

「気に入った。」

 

 

グラッグが笑う。

 

 

「強イ人間カ?」

 

 

カイウス。

 

 

「恐らく。」

 

 

リリスが煙草を消す。

 

 

「団長。」

 

 

全員がヴォルグラムを見る。

 

 

彼はしばらく黙っていた。

 

 

窓の向こう。

 

遠い星。

 

アメストリア。

 

 

そこでは今。

 

人間達だけが戦っている。

 

 

怪物も。

 

超人も。

 

デーモンもいない。

 

 

ただ。

 

人間だけ。

 

 

ヴォルグラムが立ち上がる。

 

 

巨大斧を肩へ担ぐ。

 

 

「準備しろ。」

 

 

グラッグが笑う。

 

 

「救助カ?」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「違う。」

 

 

赤い義眼が光る。

 

 

「家族を迎えに行く。」

 

 

誰も反対しない。

 

 

なぜなら。

 

それがネヴァーモーンだからだ。

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》はゆっくり進路を変える。

 

暗黒宇宙。

 

辺境宙域。

 

未知の人類国家。

 

 

その星の名は。

 

アメストリア。

 

 

そして。

 

そこで待つ男。

 

 

キング・ブラッドレイ。

 

 

銀河最狂の家族達と。

 

異端の人間王。

 

 

二つの運命が。

 

今。

 

交わろうとしていた。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二十三章 完

 

――次章《異端の王》へ続く――

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