禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第27話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二十五章

 

《2人の怪物》

 

 

アメストリア。

 

辺境惑星。

 

黒煙に覆われた空。

 

燃える都市。

 

崩壊した城壁。

 

瓦礫。

 

死体。

 

砲火。

 

血。

 

 

そこは既に戦場ではなかった。

 

地獄だった。

 

 

オークの咆哮。

 

混沌兵の絶叫。

 

デーモンの笑い。

 

砲撃。

 

爆発。

 

 

そして。

 

その最前線。

 

黒い軍服を血に染めた男。

 

キング・ブラッドレイ。

 

二本のサーベル。

 

傷だらけの身体。

 

折れない眼。

 

 

その頭上。

 

巨大な影が空を覆う。

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》。

 

 

銀河を漂う墓標艦。

 

怪物達の家。

 

狂人達の故郷。

 

 

アメストリア兵達が空を見上げる。

 

 

「何だ……?」

 

 

「敵か……?」

 

 

「新しい異形か……?」

 

 

すると。

 

全戦線。

 

全通信。

 

全拡声器。

 

全車両。

 

全司令部。

 

 

巨大な声が響いた。

 

 

ヴォルグラムだった。

 

 

『傭兵団ネヴァーモーン。』

 

 

『団長。』

 

 

『ヴォルグラム・ケインだ。』

 

 

砲撃の音すら。

 

一瞬消えた気がした。

 

 

『助けに来た。』

 

 

その短い言葉。

 

 

最前線。

 

疲弊した兵士達。

 

負傷者。

 

医療兵。

 

避難民。

 

 

誰も言葉が出ない。

 

 

キング・ブラッドレイだけが静かに空を見上げていた。

 

 

その時。

 

ヴォルグラムは艦内通信へ切り替える。

 

 

「レクイエム・オブ・アッシュ。」

 

 

艦橋。

 

オペレーター。

 

砲術士。

 

艦長補佐。

 

全員が耳を傾ける。

 

 

「数が多い。」

 

 

ホロマップ。

 

無数の赤い光。

 

 

数十万。

 

数百万。

 

 

オーク。

 

混沌。

 

異形。

 

デーモン。

 

 

都市の外周を埋め尽くしている。

 

 

ヴォルグラムが言う。

 

 

「惑星に影響ない程度で砲撃しろ。」

 

 

砲術長が笑う。

 

 

「了解。」

 

 

「優しくやります。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「俺達に当てるなよ?」

 

 

艦橋。

 

オーク砲術士が笑う。

 

 

「当タッタラ謝ル。」

 

 

「殺す。」

 

 

「了解。」

 

 

その瞬間。

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》の巨大砲塔が動く。

 

 

数百門。

 

数千門。

 

 

砲口が赤く染まる。

 

 

そして。

 

宇宙が光った。

 

 

轟音。

 

 

巨大な火柱。

 

 

敵後方。

 

オーク軍が消し飛ぶ。

 

 

混沌戦車が蒸発する。

 

 

異形の群れが吹き飛ぶ。

 

 

空そのものが燃える。

 

 

アメストリア兵達が息を呑む。

 

 

「なんだ……あれは……」

 

 

「戦艦だ……」

 

 

「あんな艦……」

 

 

ブラッドレイだけが動じない。

 

 

彼は静かに剣を構える。

 

 

その時。

 

巨大降下艇の扉が開いた。

 

 

グラッグ。

 

カイウス。

 

リリス。

 

ドッグ。

 

マルケウス。

 

セトラ。

 

 

ネヴァーモーン。

 

 

その全軍。

 

 

ヴォルグラムが地面へ降り立つ。

 

 

着地。

 

 

大地が揺れる。

 

 

赤い義眼。

 

巨大斧。

 

黒い装甲。

 

 

周囲の敵が本能的に後退した。

 

 

ヴォルグラムがアメストリア軍を見る。

 

 

負傷者。

 

若い兵士。

 

血だらけの医療兵。

 

老人兵。

 

 

その姿は。

 

数日前のネヴァーモーンと同じだった。

 

 

彼はゆっくり言う。

 

 

「負傷者は下がれ。」

 

 

静かな声。

 

 

「手を貸してやれ。」

 

 

ネヴァーモーンの医療班が動く。

 

人間兵。

 

混沌種。

 

デーモン。

 

 

負傷兵を運び始める。

 

 

アメストリア兵は驚く。

 

 

デーモンが担架を持っている。

 

オークが負傷者を運んでいる。

 

ネクロンが止血している。

 

 

信じられない光景。

 

 

しかし。

 

彼らの目は優しかった。

 

 

ヴォルグラムが巨大斧を肩へ担ぐ。

 

 

敵軍を見る。

 

 

数十万。

 

 

まだ終わらない。

 

 

彼は振り返る。

 

 

そこには。

 

ネヴァーモーン。

 

 

家族達。

 

 

そして。

 

アメストリア軍。

 

 

キング・ブラッドレイ。

 

 

その男もまた。

 

剣を構えていた。

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「死んでもいい奴だけ来い。」

 

 

グラッグが笑う。

 

 

「全員ダナ!!」

 

 

マルケウスが剣を抜く。

 

 

「馬鹿しかいねぇ。」

 

 

ドッグが帽子を深く被る。

 

 

「いつも通りだ。」

 

 

リリスが微笑む。

 

 

「楽しい戦争になりそう。」

 

 

カイウスが剣を抜く。

 

 

「前進する。」

 

 

セトラ。

 

 

「生存確率は低い。」

 

 

グラッグ。

 

 

「最高ダ。」

 

 

その時。

 

キング・ブラッドレイが前へ出る。

 

 

黒い軍服。

 

血塗れのサーベル。

 

 

アメストリア兵達が立ち上がる。

 

 

負傷者すら剣を握る。

 

 

ブラッドレイが言う。

 

 

「諸君。」

 

 

「援軍だ。」

 

 

「だが。」

 

 

サーベルを掲げる。

 

 

「我々はまだ負けていない。」

 

 

兵士達の眼が戻る。

 

 

恐怖が消える。

 

 

ヴォルグラムが巨大斧を掲げる。

 

 

「ネヴァーモーン。」

 

 

数千の声。

 

 

「オオオオオオ!!」

 

 

ブラッドレイが剣を振る。

 

 

「アメストリア軍。」

 

 

「前進!!」

 

 

二つの軍。

 

二人の指揮官。

 

 

一人は。

 

怪物達を家族にした男。

 

 

一人は。

 

人間だけで怪物を超えた王。

 

 

そして。

 

二人は同時に叫ぶ。

 

 

「前進!!」

 

 

その瞬間。

 

ネヴァーモーンとアメストリア軍は。

 

炎の中へ。

 

怪物達の軍勢へ。

 

地獄そのものへ。

 

一斉に突撃した。

 

 

銀河最強の人間。

 

銀河最狂の家族。

 

 

その共闘は。

 

後に辺境宇宙において、

 

「二人の怪物が進軍した日」

 

として語り継がれることになる。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二十五章 完

 

――ネヴァーモーン、前進。――

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