《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第二十五章
《2人の怪物》
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アメストリア。
辺境惑星。
黒煙に覆われた空。
燃える都市。
崩壊した城壁。
瓦礫。
死体。
砲火。
血。
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そこは既に戦場ではなかった。
地獄だった。
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オークの咆哮。
混沌兵の絶叫。
デーモンの笑い。
砲撃。
爆発。
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そして。
その最前線。
黒い軍服を血に染めた男。
キング・ブラッドレイ。
二本のサーベル。
傷だらけの身体。
折れない眼。
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その頭上。
巨大な影が空を覆う。
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《レクイエム・オブ・アッシュ》。
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銀河を漂う墓標艦。
怪物達の家。
狂人達の故郷。
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アメストリア兵達が空を見上げる。
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「何だ……?」
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「敵か……?」
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「新しい異形か……?」
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すると。
全戦線。
全通信。
全拡声器。
全車両。
全司令部。
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巨大な声が響いた。
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ヴォルグラムだった。
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『傭兵団ネヴァーモーン。』
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『団長。』
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『ヴォルグラム・ケインだ。』
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砲撃の音すら。
一瞬消えた気がした。
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『助けに来た。』
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その短い言葉。
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最前線。
疲弊した兵士達。
負傷者。
医療兵。
避難民。
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誰も言葉が出ない。
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キング・ブラッドレイだけが静かに空を見上げていた。
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その時。
ヴォルグラムは艦内通信へ切り替える。
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「レクイエム・オブ・アッシュ。」
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艦橋。
オペレーター。
砲術士。
艦長補佐。
全員が耳を傾ける。
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「数が多い。」
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ホロマップ。
無数の赤い光。
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数十万。
数百万。
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オーク。
混沌。
異形。
デーモン。
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都市の外周を埋め尽くしている。
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ヴォルグラムが言う。
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「惑星に影響ない程度で砲撃しろ。」
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砲術長が笑う。
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「了解。」
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「優しくやります。」
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ヴォルグラム。
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「俺達に当てるなよ?」
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艦橋。
オーク砲術士が笑う。
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「当タッタラ謝ル。」
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「殺す。」
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「了解。」
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その瞬間。
《レクイエム・オブ・アッシュ》の巨大砲塔が動く。
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数百門。
数千門。
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砲口が赤く染まる。
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そして。
宇宙が光った。
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轟音。
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巨大な火柱。
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敵後方。
オーク軍が消し飛ぶ。
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混沌戦車が蒸発する。
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異形の群れが吹き飛ぶ。
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空そのものが燃える。
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アメストリア兵達が息を呑む。
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「なんだ……あれは……」
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「戦艦だ……」
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「あんな艦……」
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ブラッドレイだけが動じない。
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彼は静かに剣を構える。
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その時。
巨大降下艇の扉が開いた。
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グラッグ。
カイウス。
リリス。
ドッグ。
マルケウス。
セトラ。
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ネヴァーモーン。
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その全軍。
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ヴォルグラムが地面へ降り立つ。
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着地。
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大地が揺れる。
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赤い義眼。
巨大斧。
黒い装甲。
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周囲の敵が本能的に後退した。
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ヴォルグラムがアメストリア軍を見る。
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負傷者。
若い兵士。
血だらけの医療兵。
老人兵。
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その姿は。
数日前のネヴァーモーンと同じだった。
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彼はゆっくり言う。
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「負傷者は下がれ。」
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静かな声。
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「手を貸してやれ。」
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ネヴァーモーンの医療班が動く。
人間兵。
混沌種。
デーモン。
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負傷兵を運び始める。
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アメストリア兵は驚く。
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デーモンが担架を持っている。
オークが負傷者を運んでいる。
ネクロンが止血している。
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信じられない光景。
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しかし。
彼らの目は優しかった。
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ヴォルグラムが巨大斧を肩へ担ぐ。
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敵軍を見る。
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数十万。
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まだ終わらない。
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彼は振り返る。
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そこには。
ネヴァーモーン。
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家族達。
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そして。
アメストリア軍。
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キング・ブラッドレイ。
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その男もまた。
剣を構えていた。
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ヴォルグラムが笑う。
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「死んでもいい奴だけ来い。」
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グラッグが笑う。
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「全員ダナ!!」
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マルケウスが剣を抜く。
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「馬鹿しかいねぇ。」
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ドッグが帽子を深く被る。
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「いつも通りだ。」
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リリスが微笑む。
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「楽しい戦争になりそう。」
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カイウスが剣を抜く。
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「前進する。」
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セトラ。
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「生存確率は低い。」
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グラッグ。
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「最高ダ。」
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その時。
キング・ブラッドレイが前へ出る。
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黒い軍服。
血塗れのサーベル。
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アメストリア兵達が立ち上がる。
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負傷者すら剣を握る。
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ブラッドレイが言う。
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「諸君。」
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「援軍だ。」
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「だが。」
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サーベルを掲げる。
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「我々はまだ負けていない。」
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兵士達の眼が戻る。
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恐怖が消える。
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ヴォルグラムが巨大斧を掲げる。
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「ネヴァーモーン。」
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数千の声。
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「オオオオオオ!!」
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ブラッドレイが剣を振る。
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「アメストリア軍。」
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「前進!!」
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二つの軍。
二人の指揮官。
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一人は。
怪物達を家族にした男。
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一人は。
人間だけで怪物を超えた王。
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そして。
二人は同時に叫ぶ。
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「前進!!」
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その瞬間。
ネヴァーモーンとアメストリア軍は。
炎の中へ。
怪物達の軍勢へ。
地獄そのものへ。
一斉に突撃した。
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銀河最強の人間。
銀河最狂の家族。
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その共闘は。
後に辺境宇宙において、
「二人の怪物が進軍した日」
として語り継がれることになる。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第二十五章 完
――ネヴァーモーン、前進。――