禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

27 / 62
第27話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二十五章

 

《2人の怪物》

 

⸻

 

アメストリア。

 

辺境惑星。

 

黒煙に覆われた空。

 

燃える都市。

 

崩壊した城壁。

 

瓦礫。

 

死体。

 

砲火。

 

血。

 

⸻

 

そこは既に戦場ではなかった。

 

地獄だった。

 

⸻

 

オークの咆哮。

 

混沌兵の絶叫。

 

デーモンの笑い。

 

砲撃。

 

爆発。

 

⸻

 

そして。

 

その最前線。

 

黒い軍服を血に染めた男。

 

キング・ブラッドレイ。

 

二本のサーベル。

 

傷だらけの身体。

 

折れない眼。

 

⸻

 

その頭上。

 

巨大な影が空を覆う。

 

⸻

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》。

 

⸻

 

銀河を漂う墓標艦。

 

怪物達の家。

 

狂人達の故郷。

 

⸻

 

アメストリア兵達が空を見上げる。

 

⸻

 

「何だ……?」

 

⸻

 

「敵か……?」

 

⸻

 

「新しい異形か……?」

 

⸻

 

すると。

 

全戦線。

 

全通信。

 

全拡声器。

 

全車両。

 

全司令部。

 

⸻

 

巨大な声が響いた。

 

⸻

 

ヴォルグラムだった。

 

⸻

 

『傭兵団ネヴァーモーン。』

 

⸻

 

『団長。』

 

⸻

 

『ヴォルグラム・ケインだ。』

 

⸻

 

砲撃の音すら。

 

一瞬消えた気がした。

 

⸻

 

『助けに来た。』

 

⸻

 

その短い言葉。

 

⸻

 

最前線。

 

疲弊した兵士達。

 

負傷者。

 

医療兵。

 

避難民。

 

⸻

 

誰も言葉が出ない。

 

⸻

 

キング・ブラッドレイだけが静かに空を見上げていた。

 

⸻

 

その時。

 

ヴォルグラムは艦内通信へ切り替える。

 

⸻

 

「レクイエム・オブ・アッシュ。」

 

⸻

 

艦橋。

 

オペレーター。

 

砲術士。

 

艦長補佐。

 

全員が耳を傾ける。

 

⸻

 

「数が多い。」

 

⸻

 

ホロマップ。

 

無数の赤い光。

 

⸻

 

数十万。

 

数百万。

 

⸻

 

オーク。

 

混沌。

 

異形。

 

デーモン。

 

⸻

 

都市の外周を埋め尽くしている。

 

⸻

 

ヴォルグラムが言う。

 

⸻

 

「惑星に影響ない程度で砲撃しろ。」

 

⸻

 

砲術長が笑う。

 

⸻

 

「了解。」

 

⸻

 

「優しくやります。」

 

⸻

 

ヴォルグラム。

 

⸻

 

「俺達に当てるなよ?」

 

⸻

 

艦橋。

 

オーク砲術士が笑う。

 

⸻

 

「当タッタラ謝ル。」

 

⸻

 

「殺す。」

 

⸻

 

「了解。」

 

⸻

 

その瞬間。

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》の巨大砲塔が動く。

 

⸻

 

数百門。

 

数千門。

 

⸻

 

砲口が赤く染まる。

 

⸻

 

そして。

 

宇宙が光った。

 

⸻

 

轟音。

 

⸻

 

巨大な火柱。

 

⸻

 

敵後方。

 

オーク軍が消し飛ぶ。

 

⸻

 

混沌戦車が蒸発する。

 

⸻

 

異形の群れが吹き飛ぶ。

 

⸻

 

空そのものが燃える。

 

⸻

 

アメストリア兵達が息を呑む。

 

⸻

 

「なんだ……あれは……」

 

⸻

 

「戦艦だ……」

 

⸻

 

「あんな艦……」

 

⸻

 

ブラッドレイだけが動じない。

 

⸻

 

彼は静かに剣を構える。

 

⸻

 

その時。

 

巨大降下艇の扉が開いた。

 

⸻

 

グラッグ。

 

カイウス。

 

リリス。

 

ドッグ。

 

マルケウス。

 

セトラ。

 

⸻

 

ネヴァーモーン。

 

⸻

 

その全軍。

 

⸻

 

ヴォルグラムが地面へ降り立つ。

 

⸻

 

着地。

 

⸻

 

大地が揺れる。

 

⸻

 

赤い義眼。

 

巨大斧。

 

黒い装甲。

 

⸻

 

周囲の敵が本能的に後退した。

 

⸻

 

ヴォルグラムがアメストリア軍を見る。

 

⸻

 

負傷者。

 

若い兵士。

 

血だらけの医療兵。

 

老人兵。

 

⸻

 

その姿は。

 

数日前のネヴァーモーンと同じだった。

 

⸻

 

彼はゆっくり言う。

 

⸻

 

「負傷者は下がれ。」

 

⸻

 

静かな声。

 

⸻

 

「手を貸してやれ。」

 

⸻

 

ネヴァーモーンの医療班が動く。

 

人間兵。

 

混沌種。

 

デーモン。

 

⸻

 

負傷兵を運び始める。

 

⸻

 

アメストリア兵は驚く。

 

⸻

 

デーモンが担架を持っている。

 

オークが負傷者を運んでいる。

 

ネクロンが止血している。

 

⸻

 

信じられない光景。

 

⸻

 

しかし。

 

彼らの目は優しかった。

 

⸻

 

ヴォルグラムが巨大斧を肩へ担ぐ。

 

⸻

 

敵軍を見る。

 

⸻

 

数十万。

 

⸻

 

まだ終わらない。

 

⸻

 

彼は振り返る。

 

⸻

 

そこには。

 

ネヴァーモーン。

 

⸻

 

家族達。

 

⸻

 

そして。

 

アメストリア軍。

 

⸻

 

キング・ブラッドレイ。

 

⸻

 

その男もまた。

 

剣を構えていた。

 

⸻

 

ヴォルグラムが笑う。

 

⸻

 

「死んでもいい奴だけ来い。」

 

⸻

 

グラッグが笑う。

 

⸻

 

「全員ダナ!!」

 

⸻

 

マルケウスが剣を抜く。

 

⸻

 

「馬鹿しかいねぇ。」

 

⸻

 

ドッグが帽子を深く被る。

 

⸻

 

「いつも通りだ。」

 

⸻

 

リリスが微笑む。

 

⸻

 

「楽しい戦争になりそう。」

 

⸻

 

カイウスが剣を抜く。

 

⸻

 

「前進する。」

 

⸻

 

セトラ。

 

⸻

 

「生存確率は低い。」

 

⸻

 

グラッグ。

 

⸻

 

「最高ダ。」

 

⸻

 

その時。

 

キング・ブラッドレイが前へ出る。

 

⸻

 

黒い軍服。

 

血塗れのサーベル。

 

⸻

 

アメストリア兵達が立ち上がる。

 

⸻

 

負傷者すら剣を握る。

 

⸻

 

ブラッドレイが言う。

 

⸻

 

「諸君。」

 

⸻

 

「援軍だ。」

 

⸻

 

「だが。」

 

⸻

 

サーベルを掲げる。

 

⸻

 

「我々はまだ負けていない。」

 

⸻

 

兵士達の眼が戻る。

 

⸻

 

恐怖が消える。

 

⸻

 

ヴォルグラムが巨大斧を掲げる。

 

⸻

 

「ネヴァーモーン。」

 

⸻

 

数千の声。

 

⸻

 

「オオオオオオ!!」

 

⸻

 

ブラッドレイが剣を振る。

 

⸻

 

「アメストリア軍。」

 

⸻

 

「前進!!」

 

⸻

 

二つの軍。

 

二人の指揮官。

 

⸻

 

一人は。

 

怪物達を家族にした男。

 

⸻

 

一人は。

 

人間だけで怪物を超えた王。

 

⸻

 

そして。

 

二人は同時に叫ぶ。

 

⸻

 

「前進!!」

 

⸻

 

その瞬間。

 

ネヴァーモーンとアメストリア軍は。

 

炎の中へ。

 

怪物達の軍勢へ。

 

地獄そのものへ。

 

一斉に突撃した。

 

⸻

 

銀河最強の人間。

 

銀河最狂の家族。

 

⸻

 

その共闘は。

 

後に辺境宇宙において、

 

「二人の怪物が進軍した日」

 

として語り継がれることになる。

 

⸻

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二十五章 完

 

――ネヴァーモーン、前進。――

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。