禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第28話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二十六章

 

《人類の王と怪物達》

 

 

アメストリア首都圏。

 

セントラル防衛線。

 

 

空は燃えていた。

 

黒煙。

 

砲炎。

 

降り注ぐ残骸。

 

燃える降下艇。

 

崩れた高層要塞。

 

倒壊した城壁。

 

 

その全ての中心で。

 

二人の男が並び立っていた。

 

 

キング・ブラッドレイ。

 

 

ヴォルグラム・ケイン。

 

 

片方は。

 

怪物も悪魔も存在しない世界で。

 

人間だけを鍛え上げた王。

 

 

もう片方は。

 

怪物も人間も関係なく。

 

全てを家族として受け入れた男。

 

 

考え方は真逆。

 

生き方も違う。

 

 

だが。

 

その瞳だけは同じだった。

 

 

「守る。」

 

 

ただそれだけ。

 

 

ブラッドレイがサーベルを握る。

 

 

「数は?」

 

 

セトラの瞳が緑に輝く。

 

 

「敵推定三十万。」

 

 

「オーク二十万。」

 

 

「混沌兵五万。」

 

 

「デーモン四万。」

 

 

「大型異形一万。」

 

 

ドッグが笑う。

 

 

「相変わらず馬鹿みてぇな数だ。」

 

 

グラッグがハンマーを担ぐ。

 

 

「丁度イイ。」

 

 

その時。

 

アメストリア軍の若い士官が叫ぶ。

 

 

「総統!!」

 

 

「撤退を!!」

 

 

「敵の数が多すぎます!!」

 

 

周囲の兵士達も沈黙する。

 

 

彼らは既に三日戦っている。

 

眠っていない。

 

食べていない。

 

仲間も失った。

 

 

だが。

 

ブラッドレイは振り返らない。

 

 

「逃げれば民間人が死ぬ。」

 

 

短い。

 

 

「なら。」

 

 

「前に進む。」

 

 

アメストリア兵達が剣を握る。

 

 

その横で。

 

ヴォルグラムが笑った。

 

 

「気に入った。」

 

 

その瞬間。

 

敵軍が動く。

 

 

オークの大軍。

 

 

地平線を埋め尽くす。

 

 

咆哮。

 

戦旗。

 

巨大戦車。

 

スクラップ兵器。

 

 

その後方。

 

混沌軍。

 

 

黒い装甲。

 

悪魔の旗。

 

歪んだ怪物。

 

 

さらに。

 

デーモン。

 

 

紫。

 

赤。

 

黒。

 

無数の異形。

 

 

その数。

 

まるで海。

 

 

レオンが息を呑む。

 

 

「……多すぎる。」

 

 

すると。

 

ブラッドレイが前へ出る。

 

 

二本のサーベル。

 

 

黒い軍服。

 

 

風が吹く。

 

 

彼は静かに言う。

 

 

「アメストリア軍。」

 

 

兵士達が顔を上げる。

 

 

「敵の数を見るな。」

 

 

「敵の強さを見るな。」

 

 

「お前達の後ろを見ろ。」

 

 

後ろ。

 

 

避難民。

 

子供達。

 

老人達。

 

病院。

 

家。

 

 

ブラッドレイが言う。

 

 

「守るものがあるなら。」

 

 

「十分だ。」

 

 

その言葉に。

 

兵士達の眼に光が戻る。

 

 

そして。

 

ヴォルグラムが巨大斧を持ち上げる。

 

 

「ネヴァーモーン。」

 

 

怪物達が笑う。

 

 

オーク。

 

デーモン。

 

ネクロン。

 

マリーン。

 

混沌種。

 

人間。

 

 

全員が武器を握る。

 

 

「死ぬな。」

 

 

静かな声。

 

 

「家に帰るぞ。」

 

 

グラッグが笑う。

 

 

「酒モ残ッテル。」

 

 

ドッグ。

 

 

「借金も残ってる。」

 

 

リリス。

 

 

「帰ったらお風呂入りたいわ。」

 

 

マルケウス。

 

 

「終わったら飲むぞ。」

 

 

その時だった。

 

 

空が割れる。

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》の主砲。

 

 

轟音。

 

 

天が燃える。

 

 

敵後方。

 

数万の敵が消える。

 

 

大地が揺れる。

 

 

オーク達が吹き飛ぶ。

 

 

混沌戦車が砕ける。

 

 

しかし。

 

敵は止まらない。

 

 

まだ来る。

 

 

まだ来る。

 

 

まだ来る。

 

 

ブラッドレイが笑う。

 

 

「いい敵だ。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「そうだな。」

 

 

そして。

 

二人が同時に前へ出る。

 

 

ブラッドレイ。

 

 

サーベル。

 

 

一閃。

 

 

オークの首が飛ぶ。

 

 

二閃。

 

 

混沌兵が両断される。

 

 

三閃。

 

 

巨大異形が崩れる。

 

 

兵士達が息を呑む。

 

 

人間。

 

 

それも。

 

生身。

 

 

それなのに。

 

怪物を斬る。

 

 

その隣。

 

 

ヴォルグラム。

 

 

巨大斧。

 

 

振るう。

 

 

十体。

 

二十体。

 

三十体。

 

 

敵が吹き飛ぶ。

 

 

二人の前に。

 

誰も立てない。

 

 

グラッグが笑いながら突撃する。

 

 

「ドケェェ!!」

 

 

オーク同士の激突。

 

 

カイウス率いるマリーン。

 

 

ボルト弾。

 

剣。

 

白兵戦。

 

 

リリスの黒炎。

 

 

デーモンが燃える。

 

 

ドッグの銃声。

 

 

混沌兵が倒れる。

 

 

セトラの緑光。

 

 

敵が消滅する。

 

 

アメストリア軍も続く。

 

 

若い兵士達。

 

 

血まみれ。

 

傷だらけ。

 

 

それでも。

 

立ち止まらない。

 

 

その時。

 

アメストリア兵の一人が見る。

 

 

前を走るオーク。

 

 

その隣を走るデーモン。

 

 

さらに隣にはネクロン。

 

 

そして。

 

その中心に人間。

 

 

彼は理解する。

 

 

ネヴァーモーンは。

 

怪物の軍隊ではない。

 

 

家族なのだ。

 

 

ブラッドレイもまた。

 

その光景を見ていた。

 

 

人間。

 

オーク。

 

悪魔。

 

ネクロン。

 

 

本来なら。

 

絶対に共存しない者達。

 

 

だが。

 

彼らは互いを信じている。

 

 

背中を預けている。

 

 

その時。

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「どうした?」

 

 

ブラッドレイ。

 

 

「……面白い連中だ。」

 

 

「だろ?」

 

 

二人は再び敵を見る。

 

 

まだ敵は多い。

 

 

戦いは終わらない。

 

 

しかし。

 

今。

 

アメストリア軍の誰もが思っていた。

 

 

負けない。

 

 

この男達がいる。

 

 

この家族達がいる。

 

 

銀河最狂の傭兵団。

 

 

そして。

 

銀河最強の人間。

 

 

その二つの軍勢が。

 

燃える戦場を。

 

死の軍勢を。

 

地獄そのものを。

 

真正面から切り裂いていく。

 

 

遠くで。

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》の主砲が再び火を吹く。

 

 

ブラッドレイが静かに笑った。

 

 

「なるほど。」

 

 

「確かにお前達は怪物だ。」

 

 

ヴォルグラムが答える。

 

 

「お前も十分化け物だ。」

 

 

二人は武器を構える。

 

 

その先。

 

敵軍中央。

 

 

巨大な混沌の旗。

 

 

悪魔の軍勢。

 

 

まだ終わらない。

 

 

だが。

 

誰も恐れていなかった。

 

 

ネヴァーモーンは前に進む。

 

 

アメストリア軍も前に進む。

 

 

守るために。

 

家族のために。

 

人間のために。

 

 

その日。

 

辺境宇宙で。

 

怪物達と。

 

人類最強の王が共に進軍した。

 

 

後に。

 

その戦いはこう呼ばれる。

 

 

《黒き二人の進軍》

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二十六章 完

 

――前へ。家へ帰るために。――

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