禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第34話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第三十二章

 

《墓標艦の槍》

 

 

アメストリア中央戦線。

 

鋼鉄の道。

 

 

ネヴァーモーンの戦車群は敵陣を押し潰し続けていた。

 

重戦車の主砲。

 

強襲艦の爆撃。

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》の砲撃。

 

 

だが。

 

敵はまだ止まらない。

 

 

混沌兵。

 

オーク。

 

異形。

 

悪魔。

 

 

まるで惑星そのものから湧き出しているかのようだった。

 

 

ブラッドレイが軍刀を振るいながら言う。

 

 

「異常だな。」

 

 

ヴォルグラムも敵軍を見つめる。

 

 

「ああ。」

 

 

「数もおかしい。」

 

 

「統率もおかしい。」

 

 

「これだけの戦力が地下にいるなら、ただの司令部じゃない。」

 

 

その時。

 

セトラの通信が入る。

 

 

『敵指揮反応は依然地下だ。』

 

 

『地下構造物は極めて巨大。』

 

 

『恐らく古代施設。』

 

 

ヴォルグラムはゆっくり空を見上げた。

 

 

黒い墓標艦。

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》。

 

 

そして。

 

彼は何かを思い出したように笑った。

 

 

「待てよ……」

 

 

ブラッドレイが見る。

 

 

「どうした?」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「あれがあったな。」

 

 

艦橋。

 

 

セトラが眉を上げる。

 

 

『ほう。』

 

 

『ようやく思い出したか。』

 

 

ドッグが嫌な顔をする。

 

 

「団長。」

 

 

「まさか。」

 

 

ヴォルグラムが通信機を取る。

 

 

「セトラ。」

 

 

「この惑星の核までの距離を正確に測れ。」

 

 

艦橋が静まり返る。

 

 

砲術士官。

 

操舵士。

 

通信士。

 

 

全員が動きを止める。

 

 

ブラッドレイがゆっくり振り返る。

 

 

「何をする気だ。」

 

 

セトラの緑の瞳が輝く。

 

 

『なるほど。』

 

 

『確かに使える。』

 

 

『だが少々乱暴だぞ。』

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「俺達らしいだろ。」

 

 

セトラは戦術図を展開する。

 

 

地殻。

 

マントル。

 

地下施設。

 

惑星核。

 

 

無数の計算。

 

重力。

 

密度。

 

地質。

 

 

数分後。

 

 

『計測完了。』

 

 

『惑星核まで約四千七百キロ。』

 

 

『地下司令部直下に亀裂帯を確認。』

 

 

『貫通可能性あり。』

 

 

ブラッドレイが目を細める。

 

 

「バンカーか。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「ああ。」

 

 

ドッグが帽子を深く被る。

 

 

「久々だな。」

 

 

リリスが苦笑する。

 

 

「本当にやるの?」

 

 

「やる。」

 

 

ヴォルグラムの声は静かだった。

 

 

「敵が地下に籠もるなら。」

 

 

「地面ごと叩き割る。」

 

 

セトラが笑う。

 

 

『昔の王達はこういう発想をする。』

 

 

『嫌いではない。』

 

 

ヴォルグラムが全軍回線を開く。

 

 

ネヴァーモーン。

 

アメストリア。

 

全戦車部隊。

 

全航空隊。

 

 

数万人が聞いていた。

 

 

「全軍撤退だ。」

 

 

戦場が静まる。

 

 

アメストリア兵が驚く。

 

 

オーク達が顔を見合わせる。

 

 

ブラッドレイは黙っている。

 

 

「全兵力を後退させろ。」

 

 

「負傷者を優先。」

 

 

「歩兵を先に下げる。」

 

 

「兵器部隊は殿だ。」

 

 

その瞬間。

 

重戦車部隊が動く。

 

 

巨大な鋼鉄の壁。

 

 

彼らが最後尾へ回る。

 

 

強襲艦が低空支援へ。

 

 

自走砲部隊が展開。

 

 

グラッグが笑う。

 

 

「俺達ガ最後カ。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「悪いな。」

 

 

「盾役だ。」

 

 

「任セロ。」

 

 

ブラッドレイも振り返る。

 

 

「アメストリア軍。」

 

 

「撤退を開始。」

 

 

若い兵士が叫ぶ。

 

 

「総統!」

 

 

「まだ戦えます!」

 

 

ブラッドレイは静かに言う。

 

 

「生き残れ。」

 

 

「それが命令だ。」

 

 

兵士達が動き始める。

 

 

負傷者。

 

避難民。

 

補給部隊。

 

 

全てが後方へ。

 

 

その間。

 

戦車部隊が敵を抑え込む。

 

 

主砲。

 

 

発射。

 

 

敵軍が吹き飛ぶ。

 

 

強襲艦が爆撃する。

 

 

空が炎に染まる。

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》艦橋。

 

 

セトラ。

 

 

『バンカー・ランス起動。』

 

 

巨大な墓標艦内部。

 

 

封印されていた兵器。

 

 

巨大な貫通槍。

 

 

惑星貫通用兵装。

 

 

数千年使用されなかった武器。

 

 

砲術士官が震える。

 

 

「本当に撃つんですか……」

 

 

セトラは静かに答える。

 

 

『王は必要な時に決断する。』

 

 

『それだけだ。』

 

 

エネルギーが収束する。

 

 

艦体が震える。

 

 

空そのものが唸る。

 

 

地上。

 

 

アメストリア兵達が空を見る。

 

 

巨大な墓標艦。

 

 

その艦首。

 

 

ゆっくりと開く巨大砲門。

 

 

ブラッドレイが静かに言う。

 

 

「なるほど。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「敵の王様に墓を掘ってやる。」

 

 

リリスが黒炎を消す。

 

 

「派手なお葬式ね。」

 

 

セトラの最後の通信。

 

 

『全軍退避を急げ。』

 

 

『撃てば地下は崩壊する。』

 

 

『敵も味方も巻き込む。』

 

 

『死にたい者だけ残れ。』

 

 

重戦車部隊が最後まで前進する。

 

 

砲撃。

 

爆発。

 

炎。

 

 

ネヴァーモーンの兵器達が最後の壁となる。

 

 

その後ろ。

 

数万人の命が撤退していく。

 

 

そして。

 

宇宙。

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》の艦首に。

 

巨大な光が集まり始めた。

 

 

まるで。

 

銀河そのものを貫く槍のように。

 

 

敵の王。

 

地下深くの司令部。

 

惑星の傷。

 

 

その全てへ向けて。

 

墓標艦は静かに狙いを定める。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第三十二章 完

 

――王が地下に逃げるなら、地面ごと砕けばいい。――

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