禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

36 / 63
第36話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第三十四章

 

《王の演算、その果て》

 

 

アメストリア中央大陸。

 

かつて戦場だった場所。

 

 

その瞬間。

 

世界が白く染まった。

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》から放たれたバンカー・ランス。

 

それは砲撃ではなかった。

 

爆撃でもない。

 

 

まるで。

 

天そのものが地上へ槍を突き立てたかのようだった。

 

 

青白い光が雲を貫く。

 

大気が裂ける。

 

衝撃波が空を押し潰す。

 

 

轟音。

 

 

数秒遅れて。

 

惑星全体が震えた。

 

 

大地が波打つ。

 

建物が揺れる。

 

山が崩れる。

 

 

地下深く。

 

敵司令部へ。

 

巨大な槍が突き刺さる。

 

 

地表に一本の巨大な亀裂が走った。

 

 

数十キロ。

 

いや。

 

百キロ以上。

 

 

その裂け目から青白い光が吹き上がる。

 

 

アメストリア兵達は立ち尽くした。

 

 

オーク達ですら口を閉じる。

 

 

ブラッドレイは静かに空を見上げる。

 

 

ヴォルグラムは笑った。

 

 

「ハハハ!」

 

 

煙を吐きながら。

 

 

「いつ見ても凄い迫力だな。」

 

 

巨大な光。

 

崩れる地面。

 

吹き荒れる衝撃波。

 

 

まさに神話だった。

 

 

通信機を取る。

 

 

「セトラ。」

 

 

艦橋。

 

 

まだ警報が鳴っている。

 

 

砲術士官達は汗を流している。

 

 

エネルギー計器。

 

地殻振動。

 

重力偏差。

 

 

その中央。

 

ネクロンの王。

 

セトラ。

 

 

彼は椅子に腰掛けたまま静かに目を閉じていた。

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「よくやった。」

 

 

少し間。

 

 

セトラは小さく息を吐いた。

 

 

「やれやれ。」

 

 

「歳を取るとこんな計算は疲れる。」

 

 

艦橋に笑いが漏れる。

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「反応はまだあるか?」

 

 

セトラの緑の瞳が再び輝く。

 

 

戦術画面。

 

熱源。

 

魔力反応。

 

地下構造。

 

 

崩壊した地下施設。

 

落盤。

 

巨大な空洞。

 

 

そして。

 

 

沈黙。

 

 

艦橋が静まり返る。

 

 

セトラがゆっくり言う。

 

 

「……ほとんど消えた。」

 

 

ブラッドレイが振り向く。

 

 

「ほとんど?」

 

 

「ああ。」

 

 

「司令部は崩壊した。」

 

 

「地下構造も半壊。」

 

 

「敵の大半は死んだ。」

 

 

リリスが黒炎を揺らす。

 

 

「でも。」

 

 

セトラ。

 

 

「一つだけ残ってる。」

 

 

戦術図。

 

 

巨大な赤い光。

 

 

まだ消えていない。

 

 

それどころか。

 

少しずつ。

 

 

動いている。

 

 

ドッグが帽子を深く被る。

 

 

「生きてやがるか。」

 

 

グラッグが牙を見せる。

 

 

「強イナ。」

 

 

セトラは少し笑う。

 

 

「ようやく会えそうだ。」

 

 

「地下二千メートル。」

 

 

「上がってきてる。」

 

 

その時。

 

崩壊した大地が揺れた。

 

 

亀裂。

 

 

煙。

 

 

青白い光。

 

 

そして。

 

 

巨大な何かが。

 

 

地下から現れようとしていた。

 

 

ブラッドレイが軍刀を抜く。

 

 

「敵の王か。」

 

 

リリスの黒炎が燃える。

 

 

「すごい気配。」

 

 

ドッグが弾を装填する。

 

 

「ようやく親玉だ。」

 

 

グラッグが笑う。

 

 

「殴レル!!」

 

 

ヴォルグラムは巨大斧を肩に担ぐ。

 

 

空。

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》。

 

 

大地。

 

 

割れた戦場。

 

 

そして。

 

地下から現れる最後の敵。

 

 

ヴォルグラムは笑う。

 

 

「セトラ。」

 

 

「なんだ。」

 

 

「お前の勝ちだ。」

 

 

セトラは静かに答える。

 

 

「まだ早い。」

 

 

「王ってのは最後まで生き残った奴が名乗るものだ。」

 

 

地面が再び震える。

 

 

亀裂が広がる。

 

 

崩れた地下施設。

 

 

その奥から。

 

 

赤黒い光がゆっくりと昇ってくる。

 

 

ネヴァーモーン。

 

アメストリア。

 

全軍がその光景を見つめていた。

 

 

バンカー・ランス。

 

それでも殺しきれなかった何か。

 

 

最後の敵。

 

 

最後の王。

 

 

それが。

 

今。

 

地獄の底から姿を現そうとしていた。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第三十四章 完

 

――王は死んだ。だが、怪物はまだ生きている。――

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。