禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

38 / 62
第38話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第三十六章

 

《鋼鉄の葬送曲》

 

 

アメストリア中央戦線。

 

巨大な亀裂。

 

その深淵。

 

 

地獄の底から。

 

何かが這い上がってくる。

 

 

赤黒い装甲。

 

無数の触腕。

 

黒い炎。

 

崩れた岩盤を押し潰しながら、巨大な影がゆっくりと姿を現し始める。

 

 

その巨体は山のようだった。

 

 

オークですら沈黙する。

 

デーモンすら震える。

 

混沌兵が後退する。

 

 

まるで。

 

地下そのものが怪物になったかのようだった。

 

 

ブラッドレイが軍刀を握る。

 

 

「……なるほど。」

 

 

「確かに怪物だ。」

 

 

リリスの黒炎が揺れる。

 

 

「嫌な気配。」

 

 

「何千年分の怨念かしら。」

 

 

セトラの戦術画面が赤く染まる。

 

 

『目標、地表到達。』

 

 

『熱源増大。』

 

 

『敵エネルギー上昇。』

 

 

『脅威度、最大。』

 

 

その時。

 

ヴォルグラム・ケインが笑った。

 

 

巨大斧を肩に担ぐ。

 

 

血に濡れた鎧。

 

傷だらけの体。

 

 

しかし。

 

その顔には笑みがあった。

 

 

「よし。」

 

 

通信を開く。

 

 

ネヴァーモーン。

 

アメストリア。

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》。

 

 

全軍へ。

 

 

「お前ら。」

 

 

「兵器に隠れろ。」

 

 

重戦車。

 

超重装甲車。

 

自走砲。

 

大型輸送車。

 

 

鋼鉄の壁。

 

 

アメストリア兵達が避難する。

 

負傷者が運ばれる。

 

子供達が抱えられる。

 

 

ネヴァーモーンの兵達が笑う。

 

 

「またか。」

 

 

「いつものだな。」

 

 

グラッグがオーク達を怒鳴る。

 

 

「戦車ノ後ロダ!!」

 

 

マリーン達が装甲車を盾にする。

 

 

デーモン達すら避難民を守る。

 

 

そして。

 

ヴォルグラムは空を見上げた。

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》。

 

 

数十門の重粒子砲。

 

数百基のミサイル発射管。

 

無数の砲塔。

 

 

まるで。

 

空そのものが武器になっている。

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「セトラ。」

 

 

艦橋。

 

 

老王は静かに座っている。

 

 

「聞いてる。」

 

 

「打て。」

 

 

少し笑う。

 

 

「通常弾頭に。」

 

 

「対艦ミサイルも全門斉射だ。」

 

 

艦橋が静まり返る。

 

 

砲術士官。

 

 

「全門……ですか?」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「塵にしろ。」

 

 

数秒。

 

 

セトラは静かに目を閉じた。

 

 

戦術図。

 

敵。

 

風向。

 

重力。

 

誤差。

 

味方位置。

 

 

全てを確認する。

 

 

そして。

 

老王は静かに言った。

 

 

「……いいだろう。」

 

 

「たまには派手にやるか。」

 

 

砲術士官。

 

 

「重粒子砲全門。」

 

 

「通常砲全門。」

 

 

「対艦ミサイル発射管全開放。」

 

 

警報。

 

 

艦内に赤い光が灯る。

 

 

「砲撃準備。」

 

 

「照準固定。」

 

 

「目標捕捉。」

 

 

巨大な怪物が裂け目から姿を現す。

 

 

咆哮。

 

 

その声だけで大地が震える。

 

 

黒い炎。

 

赤い雷。

 

膨大な魔力。

 

 

ブラッドレイが静かに言う。

 

 

「怪物らしい怪物だ。」

 

 

リリス。

 

 

「死んでくれるかしら。」

 

 

セトラ。

 

 

「さあな。」

 

 

「だが痛いのは確かだ。」

 

 

そして。

 

老王が命じる。

 

 

「重粒子砲。」

 

 

「発射。」

 

 

空が消えた。

 

 

数十本の青白い光。

 

 

それは槍だった。

 

 

巨大な光の奔流。

 

 

怪物へ。

 

 

一直線。

 

 

直撃。

 

 

轟音。

 

 

装甲が砕ける。

 

肉が吹き飛ぶ。

 

炎が消し飛ぶ。

 

 

しかし。

 

怪物はまだ動く。

 

 

その瞬間。

 

 

「通常砲撃。」

 

 

無数の主砲。

 

 

発射。

 

 

数百発。

 

 

爆発。

 

炎。

 

衝撃。

 

 

地表そのものが揺れる。

 

 

怪物の身体が砕かれる。

 

 

そして。

 

最後。

 

 

「対艦ミサイル。」

 

 

数百。

 

いや。

 

数千。

 

 

空が黒くなる。

 

 

ミサイルの群れ。

 

 

巨大な鋼鉄の津波。

 

 

アメストリア兵達は戦車の陰に伏せる。

 

 

ネヴァーモーンの兵達が笑う。

 

 

「来るぞ!!」

 

 

ブラッドレイが軍刀を下ろす。

 

 

「伏せろ。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「耳塞げ!!」

 

 

その瞬間。

 

 

数千発のミサイルが怪物へ殺到した。

 

 

爆発。

 

 

爆発。

 

 

さらに爆発。

 

 

空が炎になる。

 

 

衝撃波。

 

 

熱風。

 

 

黒煙。

 

 

巨大な火球が戦場を包み込む。

 

 

その中心。

 

 

怪物の姿は見えない。

 

 

ただ。

 

燃える炎。

 

 

崩れる大地。

 

 

轟音だけが響いていた。

 

 

煙の向こう。

 

 

果たして。

 

敵はまだ生きているのか。

 

 

ヴォルグラムは煙草を咥えながら笑った。

 

 

「さて。」

 

 

「これで死んでなきゃ。」

 

 

巨大斧を担ぐ。

 

 

「俺達の出番だ。」

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第三十六章 完

 

――怪物には怪物の戦い方がある。だが、ネヴァーモーンには艦隊がある。――

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。