《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第三十七章
《煙の向こう》
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アメストリア中央戦線。
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そこにはもう戦場はなかった。
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あったのは。
炎。
黒煙。
崩れた大地。
そして。
巨大な爆発によって生まれた地獄だけだった。
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重粒子砲。
通常砲撃。
対艦ミサイル。
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《レクイエム・オブ・アッシュ》の火力が一つの地点に集中した結果。
そこには巨大なクレーターが生まれていた。
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岩盤は溶け。
鋼鉄は蒸発し。
空気そのものが焼かれている。
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アメストリア兵達は兵器の陰からゆっくり顔を上げる。
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ネヴァーモーンの兵達も立ち上がる。
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誰も喋らない。
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あまりにも凄まじい光景だった。
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ブラッドレイが静かに煙を見つめる。
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「……終わったか。」
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リリスは目を細める。
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「見えないわね。」
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ドッグが帽子を被り直す。
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「流石に死んだだろ。」
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グラッグが笑う。
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「粉々ダ!!」
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しかし。
ヴォルグラムだけはまだ前を見ていた。
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巨大斧を肩に担ぎ。
血に濡れた鎧を軋ませる。
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そして通信を開いた。
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「セトラ。」
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艦橋。
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《レクイエム・オブ・アッシュ》。
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警報は止まり。
砲門は冷却中。
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砲術士官達が汗を流している。
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戦術画面。
熱源。
振動。
生命反応。
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その中心。
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老王セトラは静かに目を閉じていた。
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緑色の瞳がゆっくり開く。
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誰も喋らない。
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ヴォルグラム。
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「反応はあるか?」
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艦橋の空気が止まる。
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セトラは何秒も答えない。
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戦術画面が変化する。
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熱源。
ゼロ。
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魔力。
消失。
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敵部隊。
壊滅。
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崩壊した地下施設。
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落盤。
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沈黙。
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セトラが静かに言う。
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「……ほとんどない。」
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ドッグが笑う。
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「勝ったか?」
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「慌てるな。」
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セトラは演算を続ける。
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地下。
崩壊。
マグマ。
空洞。
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その全てを見つめる。
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そして。
緑の瞳がわずかに細くなった。
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「……いや。」
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ブラッドレイが振り向く。
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「どうした。」
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セトラ。
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「微弱反応。」
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「一つだけ。」
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戦術図。
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巨大なクレーター。
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その中心。
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赤い光。
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小さい。
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だが。
確かに存在している。
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リリスの黒炎が揺らぐ。
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「生きてるの?」
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「まだ分からん。」
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「だが完全には消えていない。」
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グラッグ。
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「殴ルカ?」
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セトラが少し笑う。
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「気が早い。」
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「反応が弱すぎる。」
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「瀕死だな。」
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ヴォルグラム。
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「どれくらいだ。」
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「今にも消えそうだ。」
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ブラッドレイが軍刀を鞘に収める。
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「なら確認が必要か。」
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セトラはゆっくり立ち上がった。
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「長く生きてると分かる。」
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「怪物ってのはな。」
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「死ぬ時ほど静かなんだ。」
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艦橋が静まる。
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セトラはさらに続ける。
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「だが。」
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「本当に死んだ奴は二度と動かない。」
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「まだ反応がある以上。」
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「首を確認するまで終わりじゃない。」
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ヴォルグラムが笑う。
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「そういうと思った。」
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リリス。
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「見に行く?」
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ブラッドレイ。
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「行くしかないな。」
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ドッグが銃を確認する。
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「最後の仕事だ。」
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グラッグが巨大な斧を握る。
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「トドメダ。」
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遠く。
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炎の向こう。
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黒煙の中心。
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巨大なクレーター。
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その奥。
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まだ何かが動いている。
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セトラは最後に静かに言った。
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「完全に消えるまでは安心するな。」
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「怪物も戦争も。」
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「終わる時はいつも静かだ。」
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その言葉を聞きながら。
ヴォルグラムは巨大斧を肩に担いだ。
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「よし。」
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「家族共。」
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「最後の挨拶に行くぞ。」
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燃え続ける地獄へ。
ネヴァーモーン。
アメストリア。
二つの軍はゆっくりと歩き始めた。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第三十七章 完
――怪物が死ぬ時、最後に残るのは静寂だけだった。――