禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第4話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二章

 

《死者の星》

 

 

ヴァル=シグマ解放から三日後。

 

巨大移動要塞艦

《レクイエム・オブ・アッシュ》は、

静かにワープ航行を続けていた。

 

艦内には、

珍しく穏やかな空気が流れている。

 

食堂では。

 

オーク達が大声で喧嘩し。

 

人間兵が酒を飲み。

 

デーモンが料理を運び。

 

ネクロンが無言で壁際に立っていた。

 

普通なら、

悪夢のような光景。

 

だがネヴァーモーンでは日常だった。

 

 

「オイ、チビ助」

 

グラッグ・ドッカが、

避難民の少女へ巨大な金属マグを差し出す。

 

グラッグ・ドッカ

 

「飲メ!!」

 

少女は恐る恐る匂いを嗅ぐ。

 

「……これ何?」

 

「燃料ダ!!」

 

周囲の人間兵が吹き出した。

 

「それ酒じゃなくて本当に燃料ですよ隊長!?」

 

「細ケェ!!」

 

食堂は笑いに包まれる。

 

その時だった。

 

 

艦内警報。

 

赤い警告灯。

 

空気が一変する。

 

 

【緊急観測】

 

【死者反応確認】

 

【宙域:ネクロス深淵域】

 

 

ネクロン達の瞳が光った。

 

特に。

 

古代貴族、

セトラ=ヴェインだけは、

静かに立ち上がる。

 

セトラ=ヴェイン

 

その金属の声は、

わずかに低かった。

 

 

「……あり得ぬ」

 

ヴォルグラムが振り向く。

 

「知ってる場所か?」

 

数秒の沈黙。

 

そしてセトラは言った。

 

 

「我が王墓世界だ」

 

 

空気が凍った。

 

ネクロンの王墓世界。

 

つまり。

 

数千万のネクロンが眠る、

銀河最悪級の死の惑星。

 

 

「滅んだはずだ」

 

セトラは続ける。

 

「数万年前、混沌侵食により封印した」

 

「だが反応がある」

 

「嫌な予感しかしねぇな」

 

人間兵が青ざめる。

 

だが。

 

ヴォルグラムだけは笑った。

 

「面白ぇ」

 

その瞬間。

 

全員が笑った。

 

オークが武器を掴む。

 

デーモンが舌舐めずりする。

 

マリーンが立ち上がる。

 

ネヴァーモーンにとって。

 

危険とは、

進軍命令と同義だった。

 

 

第二節

 

ネクロス深淵域

 

ワープ嵐の中心。

 

星々の墓場。

 

そこに。

 

惑星ネクロス=カーインは存在した。

 

 

巨大。

 

黒い。

 

死んでいる。

 

惑星全体が金属で覆われ、

無数の巨大墓標が空へ突き刺さっている。

 

まるで。

 

銀河そのものの墓だった。

 

 

「……嫌な星だな」

 

人間兵が呟く。

 

その瞬間。

 

艦全体が揺れた。

 

 

ゴゴゴゴゴゴ――!!

 

 

警報。

 

絶叫。

 

オペレーターが叫ぶ。

 

「艦下部に反応!!」

 

直後。

 

宇宙空間が裂けた。

 

そこから現れたのは。

 

 

巨大な黒い艦隊。

 

混沌軍。

 

しかも。

 

通常の混沌軍ではない。

 

船体全体が肉塊と化し、

脈動している。

 

まるで生きた戦艦。

 

 

「……ナーグルか」

 

デーモン女王リリスが顔をしかめる。

 

リリス=ヴァール

 

「腐敗臭が酷いわ」

 

次の瞬間。

 

敵艦隊から、

無数の生体魚雷が放たれた。

 

 

「総員戦闘配置!!」

 

艦橋が怒号で埋まる。

 

マリーン達が武器装填。

 

ネクロン転移門展開。

 

オーク達が歓声を上げる。

 

 

「戦争ダァァァ!!」

 

グラッグが笑う。

 

その直後。

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》全砲門が開いた。

 

 

ドゴォォォォン!!

 

 

宇宙が白く染まる。

 

超巨大砲撃。

 

敵艦隊が爆散。

 

だが。

 

混沌艦隊は止まらない。

 

肉塊を撒き散らしながら突撃してくる。

 

 

「接舷されるぞ!」

 

そして。

 

最悪が起きた。

 

敵艦が、

強引に船体へ激突。

 

艦内へ、

無数の腐敗デーモンが雪崩れ込んできた。

 

 

第三節

 

家族の戦争

 

艦内は地獄と化した。

 

腐敗。

 

膿。

 

狂笑。

 

ナーグルの悪魔達が、

通路を埋め尽くす。

 

人間兵が喰われる。

 

オークが引き裂かれる。

 

デーモン同士が殺し合う。

 

その中を。

 

黒い巨人が歩く。

 

 

ヴォルグラムだった。

 

巨大斧を引き摺り。

 

義眼を赤く光らせ。

 

笑っていた。

 

 

「派手に来やがったなァ」

 

直後。

 

斧が振るわれる。

 

腐敗デーモン十数体が、

まとめて消し飛ぶ。

 

血と臓物が壁に叩き付けられる。

 

 

「押し返せェ!!」

 

ネヴァーモーン全軍が突撃。

 

オークが肉壁を破壊。

 

マリーンがボルト弾を乱射。

 

ネクロンが空間切断。

 

デーモンがワープ炎を撒く。

 

混成。

 

狂気。

 

だが。

 

完璧な連携だった。

 

 

その時。

 

若い人間兵が、

腐敗獣に押し倒された。

 

牙が迫る。

 

死。

 

誰もがそう思った瞬間。

 

 

ドガァァァン!!

 

 

巨大ハンマーが、

怪物ごと床を粉砕した。

 

グラッグだった。

 

 

「家族ニ手ェ出スナ」

 

低い声。

 

怒っていた。

 

オークが。

 

本気で。

 

 

若い兵士は震えながら言う。

 

「……なんで助けるんだ」

 

グラッグは鼻を鳴らした。

 

 

「当タリ前ダ」

 

「オ前、仲間ダロ」

 

 

その瞬間。

 

若い兵士は、

泣きながら笑った。

 

第四節

 

死者の目覚め

 

戦闘が激化する中。

 

惑星ネクロス=カーインが、

ゆっくりと光り始める。

 

セトラの瞳が揺れた。

 

 

「……まさか」

 

惑星全土の墓標が、

一斉に起動。

 

緑色の光が銀河を染める。

 

そして。

 

数千万。

 

数億。

 

無数のネクロン軍団が、

惑星表面から起き上がった。

 

 

沈黙の軍勢。

 

死の王国。

 

銀河最悪の古代兵器群。

 

その中心で。

 

巨大な王座が動く。

 

 

「王が……目覚めた……」

 

セトラの声に、

初めて恐怖が混じった。

 

 

ヴォルグラムは笑う。

 

 

「最高じゃねぇか」

 

 

宇宙が震える。

 

死者の星が目覚める。

 

そして。

 

ネヴァーモーンは、

その地獄へ降下を開始した。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第二章 完

 

 

 

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