《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第三十八章
《王達の降下》
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アメストリア中央戦線。
巨大なクレーター。
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重粒子砲。
通常砲撃。
対艦ミサイル。
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その全てを受けた大地は、もはや戦場ではなかった。
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溶岩のように赤く光る岩盤。
崩壊した地下施設。
数百メートルに及ぶ巨大な裂け目。
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そして。
その中心に。
まだ微弱な反応が残っている。
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風が吹く。
灰が舞う。
炎が揺れる。
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ヴォルグラム・ケインは巨大斧を肩に担いだ。
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「俺と隊長達だけ行くぞ。」
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周囲が静まり返る。
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ドッグが煙草を捨てる。
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「いつもの少人数か。」
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リリスが黒炎を消す。
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「まあ、その方が早いわね。」
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グラッグが大斧を担ぐ。
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「最後ノ喧嘩ダ。」
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カイウスは静かに剣を抜く。
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「敵の王に敬意を払おう。」
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その時。
ヴォルグラムが振り返る。
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キング・ブラッドレイ。
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血に濡れた軍服。
二本の軍刀。
傷だらけの身体。
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それでも。
その瞳は全く揺らいでいない。
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ヴォルグラムは笑う。
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「ブラッドレイ。」
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「お前も来るだろ?」
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アメストリア兵達が振り向く。
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若い兵士。
古参兵。
将校。
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全員が総統を見る。
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ブラッドレイは静かに軍刀を納めた。
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「聞く必要があるか?」
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少しだけ笑う。
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「敵の指揮官なら私が斬る。」
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アメストリア兵達が笑う。
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「総統らしい。」
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「やっぱり行くんですね。」
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ブラッドレイは振り返らない。
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「王は最後まで前にいる。」
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ヴォルグラムが笑った。
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「気が合うな。」
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その時。
通信が開く。
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「強襲艦をこっちに回せ。」
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《レクイエム・オブ・アッシュ》。
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艦橋。
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セトラが静かに聞いている。
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「全員乗れ。」
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艦橋の士官達が顔を見合わせる。
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セトラ。
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「また無茶をする。」
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ヴォルグラム。
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「心配するな。」
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「死ぬ時は派手に死ぬ。」
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「それが傭兵だ。」
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セトラがため息をつく。
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「若い連中は本当に困る。」
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「分かった。」
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「強襲艦三隻を送る。」
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「ただし。」
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「生きて帰れ。」
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「帰って酒を飲むんだろう?」
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ヴォルグラム。
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「もちろんだ。」
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その頃。
滑走路。
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黒い強襲艦がゆっくり降下してくる。
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巨大な推進音。
熱風。
砂塵。
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兵士達が道を開く。
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アメストリア兵。
ネヴァーモーン。
避難民。
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全員が見送る。
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グラッグ。
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ドッグ。
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リリス。
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カイウス。
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ブラッドレイ。
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そして。
ヴォルグラム。
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ネヴァーモーンの隊長達。
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最強の傭兵達。
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彼らが強襲艦へ歩いていく。
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若いアメストリア兵が叫ぶ。
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「総統!!」
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ブラッドレイが振り返る。
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「必ず帰ってきてください!」
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ブラッドレイは静かに答える。
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「努力しよう。」
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ヴォルグラムが笑う。
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「心配するな。」
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「家族を置いて死ぬほど格好悪いことはねぇ。」
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リリス。
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「宴会が残ってるし。」
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ドッグ。
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「酒代払ってもらうぞ。」
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グラッグ。
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「肉モ食ウ!!」
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兵士達から笑いが起きる。
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しかし。
全員分かっていた。
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この先にいるものは。
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バンカー・ランスを耐え。
重粒子砲を耐え。
艦隊砲撃を生き延びた怪物。
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生半可な敵ではない。
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強襲艦の後部ハッチが開く。
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赤い警告灯。
鋼鉄の床。
兵装ラック。
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隊長達が乗り込む。
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ブラッドレイも静かに座る。
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ヴォルグラムが最後に乗り込む。
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通信。
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「セトラ。」
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「聞いてる。」
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「反応を見失うな。」
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「任せろ。」
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「お前達が暴れてる間くらい、年寄りが目をやってやる。」
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ヴォルグラムは笑った。
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「頼りにしてる。」
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強襲艦のハッチが閉じる。
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推進器が唸る。
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そして。
三隻の黒い強襲艦は。
巨大なクレーターの中心へ向かって飛び立った。
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燃える大地。
崩れた都市。
死んだ怪物達。
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その先。
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まだ生きている最後の敵。
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そこへ。
ネヴァーモーンの家族達。
アメストリアの王。
そして老王セトラの眼が向けられる。
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最後の戦いが。
静かに始まろうとしていた。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第三十八章 完
――王は前に立つ。家族は共に行く。そして最後の怪物を迎えに行く。――