《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第四十一章
《家族の盃》
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巨大クレーター中心部。
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空は赤く燃えていた。
大地は裂け。
地下施設は崩壊し。
熱風が灰を巻き上げている。
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十メートルの怪物。
傷だらけの肉体。
砕けた装甲。
失われた腕。
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それでもなお。
怪物は王達を見下ろしていた。
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その前に立つ六人。
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ヴォルグラム。
ブラッドレイ。
リリス。
ドッグ。
カイウス。
グラッグ。
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そして。
遠く上空。
《レクイエム・オブ・アッシュ》からはセトラが見守っている。
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誰も急がない。
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誰も焦らない。
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最後の敵は逃げない。
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ならば。
最後の言葉を交わす時間くらいはある。
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ヴォルグラムは巨大斧を肩に担いだ。
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そして。
隣に立つブラッドレイを見る。
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新たなサーベル。
家族の剣。
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その刃は燃える地獄の光を静かに反射していた。
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ヴォルグラムは少し笑う。
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「ブラッドレイ。」
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ブラッドレイ。
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「なんだ。」
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「俺は。」
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少し間を置く。
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「いや。」
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ヴォルグラムはゆっくり仲間達を見る。
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ドッグ。
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リリス。
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グラッグ。
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カイウス。
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そして。
空の彼方にいるセトラ。
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「俺達ネヴァーモーンは。」
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「お前らが気に入った。」
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熱風だけが吹く。
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ブラッドレイは静かに聞いている。
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ヴォルグラムは続ける。
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「オークもいる。」
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「ネクロンもいる。」
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「デーモンもいる。」
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「マリーンもいる。」
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「人間もいる。」
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「狂った奴もいる。」
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「化け物もいる。」
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少し笑う。
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「だがな。」
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「家族だ。」
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「全員。」
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ドッグが帽子を深く被る。
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リリスが静かに微笑む。
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グラッグが胸を叩く。
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「家族ダ。」
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ヴォルグラム。
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「お前らも同じだ。」
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「生身の人間だけで化け物と戦う。」
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「死ぬのを恐れない。」
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「仲間を見捨てない。」
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「誰よりも人間らしい。」
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「そんな馬鹿共を嫌いになれるかよ。」
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ブラッドレイは黙っている。
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その横顔はいつものように冷静だった。
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しかし。
その目だけは少し違っていた。
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ヴォルグラムが笑う。
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「終わったら。」
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「家族の盃交わさないか?」
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静かな風。
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燃える戦場。
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遠く。
アメストリア軍の灯。
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ネヴァーモーンの艦。
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全てが静かだった。
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ブラッドレイは手にしたサーベルを見る。
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家族の剣。
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贈り物。
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彼の人生。
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戦場。
国家。
任務。
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その全てを振り返る。
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王として生きた。
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兵士として生きた。
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怪物として生きた。
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だが。
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家族として迎えられたことは。
ほとんどなかった。
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しばらくの沈黙。
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そして。
キング・ブラッドレイは静かに言った。
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「……酒は強い方だ。」
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ドッグが笑う。
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「そりゃいい。」
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リリス。
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「負けないわよ。」
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グラッグ。
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「俺モ飲ム!!」
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ヴォルグラムは大笑いした。
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「決まりだ。」
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その時。
通信が入る。
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セトラ。
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『余を忘れるな。』
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ドッグ。
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「じいさんも飲むのか?」
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『少しならな。』
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リリス。
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「本当に少しかしら?」
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セトラ。
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『王の秘密だ。』
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ヴォルグラムは空を見上げる。
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「聞いたか、ブラッドレイ。」
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「酒代は全部俺だ。」
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「お前らは客だ。」
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ブラッドレイは少しだけ笑った。
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「では遠慮なく飲ませてもらおう。」
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その瞬間。
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後方。
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アメストリア軍。
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遠くから兵士達が見ていた。
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若い兵士が呟く。
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「総統が……笑った。」
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老兵が静かに答える。
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「珍しいものを見たな。」
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炎。
灰。
崩れた地獄。
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その中心。
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王と傭兵。
怪物達。
人間達。
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彼らは敵ではなくなっていた。
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家族。
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その言葉は。
銀河のどこよりも過酷な戦場で。
最も温かく響いていた。
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そして。
十メートルの怪物がゆっくり動く。
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最後の敵。
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最後の戦い。
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しかしその前に。
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ヴォルグラムは巨大斧を握りながら笑う。
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「だから死ぬなよ。」
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「酒がまずくなる。」
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ブラッドレイは家族の剣を構える。
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「そのつもりはない。」
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二人の王。
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その隣に立つ家族達。
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そして。
怪物。
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最後の戦いの前。
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彼らは確かに。
同じ盃を交わす約束をしたのだった。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第四十一章 完
――家族とは血ではない。同じ地獄を生き抜いた者達のことを言う。――