禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第43話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十一章

 

《家族の盃》

 

 

巨大クレーター中心部。

 

 

空は赤く燃えていた。

 

大地は裂け。

 

地下施設は崩壊し。

 

熱風が灰を巻き上げている。

 

 

十メートルの怪物。

 

傷だらけの肉体。

 

砕けた装甲。

 

失われた腕。

 

 

それでもなお。

 

怪物は王達を見下ろしていた。

 

 

その前に立つ六人。

 

 

ヴォルグラム。

 

ブラッドレイ。

 

リリス。

 

ドッグ。

 

カイウス。

 

グラッグ。

 

 

そして。

 

遠く上空。

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》からはセトラが見守っている。

 

 

誰も急がない。

 

 

誰も焦らない。

 

 

最後の敵は逃げない。

 

 

ならば。

 

最後の言葉を交わす時間くらいはある。

 

 

ヴォルグラムは巨大斧を肩に担いだ。

 

 

そして。

 

隣に立つブラッドレイを見る。

 

 

新たなサーベル。

 

家族の剣。

 

 

その刃は燃える地獄の光を静かに反射していた。

 

 

ヴォルグラムは少し笑う。

 

 

「ブラッドレイ。」

 

 

ブラッドレイ。

 

 

「なんだ。」

 

 

「俺は。」

 

 

少し間を置く。

 

 

「いや。」

 

 

ヴォルグラムはゆっくり仲間達を見る。

 

 

ドッグ。

 

 

リリス。

 

 

グラッグ。

 

 

カイウス。

 

 

そして。

 

空の彼方にいるセトラ。

 

 

「俺達ネヴァーモーンは。」

 

 

「お前らが気に入った。」

 

 

熱風だけが吹く。

 

 

ブラッドレイは静かに聞いている。

 

 

ヴォルグラムは続ける。

 

 

「オークもいる。」

 

 

「ネクロンもいる。」

 

 

「デーモンもいる。」

 

 

「マリーンもいる。」

 

 

「人間もいる。」

 

 

「狂った奴もいる。」

 

 

「化け物もいる。」

 

 

少し笑う。

 

 

「だがな。」

 

 

「家族だ。」

 

 

「全員。」

 

 

ドッグが帽子を深く被る。

 

 

リリスが静かに微笑む。

 

 

グラッグが胸を叩く。

 

 

「家族ダ。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「お前らも同じだ。」

 

 

「生身の人間だけで化け物と戦う。」

 

 

「死ぬのを恐れない。」

 

 

「仲間を見捨てない。」

 

 

「誰よりも人間らしい。」

 

 

「そんな馬鹿共を嫌いになれるかよ。」

 

 

ブラッドレイは黙っている。

 

 

その横顔はいつものように冷静だった。

 

 

しかし。

 

その目だけは少し違っていた。

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「終わったら。」

 

 

「家族の盃交わさないか?」

 

 

静かな風。

 

 

燃える戦場。

 

 

遠く。

 

アメストリア軍の灯。

 

 

ネヴァーモーンの艦。

 

 

全てが静かだった。

 

 

ブラッドレイは手にしたサーベルを見る。

 

 

家族の剣。

 

 

贈り物。

 

 

彼の人生。

 

 

戦場。

 

国家。

 

任務。

 

 

その全てを振り返る。

 

 

王として生きた。

 

 

兵士として生きた。

 

 

怪物として生きた。

 

 

だが。

 

 

家族として迎えられたことは。

 

ほとんどなかった。

 

 

しばらくの沈黙。

 

 

そして。

 

キング・ブラッドレイは静かに言った。

 

 

「……酒は強い方だ。」

 

 

ドッグが笑う。

 

 

「そりゃいい。」

 

 

リリス。

 

 

「負けないわよ。」

 

 

グラッグ。

 

 

「俺モ飲ム!!」

 

 

ヴォルグラムは大笑いした。

 

 

「決まりだ。」

 

 

その時。

 

通信が入る。

 

 

セトラ。

 

 

『余を忘れるな。』

 

 

ドッグ。

 

 

「じいさんも飲むのか?」

 

 

『少しならな。』

 

 

リリス。

 

 

「本当に少しかしら?」

 

 

セトラ。

 

 

『王の秘密だ。』

 

 

ヴォルグラムは空を見上げる。

 

 

「聞いたか、ブラッドレイ。」

 

 

「酒代は全部俺だ。」

 

 

「お前らは客だ。」

 

 

ブラッドレイは少しだけ笑った。

 

 

「では遠慮なく飲ませてもらおう。」

 

 

その瞬間。

 

 

後方。

 

 

アメストリア軍。

 

 

遠くから兵士達が見ていた。

 

 

若い兵士が呟く。

 

 

「総統が……笑った。」

 

 

老兵が静かに答える。

 

 

「珍しいものを見たな。」

 

 

炎。

 

灰。

 

崩れた地獄。

 

 

その中心。

 

 

王と傭兵。

 

怪物達。

 

人間達。

 

 

彼らは敵ではなくなっていた。

 

 

家族。

 

 

その言葉は。

 

銀河のどこよりも過酷な戦場で。

 

最も温かく響いていた。

 

 

そして。

 

十メートルの怪物がゆっくり動く。

 

 

最後の敵。

 

 

最後の戦い。

 

 

しかしその前に。

 

 

ヴォルグラムは巨大斧を握りながら笑う。

 

 

「だから死ぬなよ。」

 

 

「酒がまずくなる。」

 

 

ブラッドレイは家族の剣を構える。

 

 

「そのつもりはない。」

 

 

二人の王。

 

 

その隣に立つ家族達。

 

 

そして。

 

怪物。

 

 

最後の戦いの前。

 

 

彼らは確かに。

 

同じ盃を交わす約束をしたのだった。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十一章 完

 

――家族とは血ではない。同じ地獄を生き抜いた者達のことを言う。――

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