《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第四十二章
《前に立つ者達》
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巨大クレーター中央部。
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赤黒い空。
吹き荒れる熱風。
砕けた地下都市。
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そして。
十メートルの怪物。
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欠損した身体。
砕けた装甲。
失われた腕。
胸を貫いた重粒子砲の傷。
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それでもなお。
その怪物は立っていた。
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赤い眼。
ゆっくりと上がる息。
地面を砕く足。
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生きている。
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いや。
意地だけで立っていると言った方が正しかった。
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ヴォルグラムは巨大斧を地面へ突き立てる。
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ガンッ。
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その音が静かな戦場に響いた。
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彼はゆっくり振り返る。
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グラッグ。
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カイウス。
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巨大なオーク。
古参の戦士。
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二人を見つめる。
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「グラッグ。」
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「オウ。」
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「カイウス。」
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「聞いている。」
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ヴォルグラムは笑う。
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「お前らは俺と盾役だ。」
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グラッグの牙が見える。
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「前カ!!」
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「そうだ。」
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カイウスが静かに頷く。
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「敵を止める。」
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ヴォルグラム。
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「残りは削れ。」
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リリス。
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「了解。」
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ドッグ。
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「任せろ。」
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ブラッドレイは新しいサーベルを握る。
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ヴォルグラムが笑う。
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「俺達を上手く使えよ?」
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その言葉は。
命令ではなかった。
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信頼だった。
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ネヴァーモーン。
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家族。
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誰が強い。
誰が偉い。
そんなものはない。
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前に立つ者。
支える者。
仕留める者。
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全員が役目を知っている。
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ブラッドレイが静かに言う。
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「理解した。」
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「盾が道を作る。」
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「その隙を私達が斬る。」
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ヴォルグラム。
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「そういうことだ。」
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その時。
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怪物が動いた。
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ゴォォォォォ……
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地面が震える。
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十メートルの巨体がゆっくりと立ち上がる。
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砕けた下半身。
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それでも。
黒い肉が再生していく。
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リリスの顔が険しくなる。
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「再生してる。」
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セトラの通信。
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『再生速度は遅い。』
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『だが完全には止まっていない。』
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ドッグ。
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「やっぱり化け物だ。」
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怪物の目。
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赤い瞳。
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ゆっくりと。
六人を見る。
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圧力。
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まるで山が見下ろしているような威圧感。
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アメストリア兵ですら数キロ後方で息を呑んでいた。
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ブラッドレイが静かに構える。
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新しいサーベル。
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古い軍刀。
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二つの刃。
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その隣。
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ヴォルグラム。
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巨大斧。
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グラッグ。
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戦斧。
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カイウス。
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長剣。
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四人。
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前衛。
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その後ろ。
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リリス。
黒炎。
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ドッグ。
大型拳銃。
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そして。
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ブラッドレイ。
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最速の剣。
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ヴォルグラムが笑う。
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「いい布陣だ。」
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ドッグ。
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「いつものだ。」
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リリス。
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「死なないでよ?」
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グラッグ。
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「死ナン!!」
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カイウス。
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「帰って酒を飲む。」
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セトラの声。
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『若い者達よ。』
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『生きて帰れ。』
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ヴォルグラム。
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「聞いたか?」
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「王様の命令だ。」
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ブラッドレイが少しだけ笑う。
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「従うしかないな。」
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その瞬間。
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怪物が咆哮した。
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ゴオオオオオオオオオオ!!
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衝撃波。
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岩盤が砕ける。
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熱風。
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赤い雷。
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黒い炎。
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クレーター全体が震える。
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アメストリア兵達が後方で身構える。
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《レクイエム・オブ・アッシュ》のセンサーが警報を鳴らす。
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セトラ。
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『来るぞ。』
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ヴォルグラムは巨大斧を構える。
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「グラッグ!!」
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「オウ!!」
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「カイウス!!」
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「任せろ。」
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三人が前へ出る。
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まるで壁。
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鋼鉄。
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砦。
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ブラッドレイが低く構える。
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ドッグが弾を込める。
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リリスの黒炎が燃え上がる。
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その瞬間。
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ヴォルグラムが笑った。
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血に濡れた顔。
傷だらけの鎧。
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それでも。
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いつものように。
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家族を率いる団長の顔で。
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大きく叫んだ。
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「行くぜ!!」
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三人の盾が前へ。
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王の剣が走る。
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黒炎が燃える。
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銃声が響く。
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そして。
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地獄の中心で。
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最後の戦いが始まった。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第四十二章 完
――前に立つ者が倒れなければ、後ろの家族は死なない。――