禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第46話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十四章

 

《気合いを入れろ、家族共》

 

 

ゴォォォォォォォォォォ――――!!

 

 

怪物の咆哮。

 

大気が震える。

 

崩壊した地下施設の瓦礫が宙へ浮き、赤い稲妻が十メートルの肉体を這い回る。

 

 

折れた角。

 

潰れた眼。

 

胸を貫いた巨大な穴。

 

砕けた下半身。

 

 

普通なら百回は死んでいる。

 

だが。

 

その怪物はまだ立っていた。

 

 

その圧力だけで岩盤が砕ける。

 

魔力が空気を歪ませる。

 

熱風が六人の髪を揺らした。

 

 

ヴォルグラムはゆっくり巨大斧を肩から下ろした。

 

 

傷だらけの身体。

 

血に染まった鎧。

 

折れた肋骨。

 

裂けた肩。

 

 

それでも。

 

ネヴァーモーン団長は笑っていた。

 

 

「お前ら。」

 

 

誰も返事をしない。

 

 

全員。

 

怪物を見ている。

 

 

グラッグ。

 

 

カイウス。

 

 

リリス。

 

 

ドッグ。

 

 

ブラッドレイ。

 

 

そして空の彼方から見守るセトラ。

 

 

ヴォルグラムは斧を構える。

 

 

「気合い入れろ!!」

 

 

その声が戦場に響いた。

 

 

「帰ったら宴だ!!」

 

 

「酒だ!!」

 

 

「飯だ!!」

 

 

「家族だ!!」

 

 

「だから―――」

 

 

巨大斧を怪物へ向ける。

 

 

「死ぬな!!」

 

 

グラッグが胸を叩く。

 

 

「オオオオオオ!!」

 

 

カイウスが剣を構える。

 

 

「了解。」

 

 

ドッグが最後の弾倉を装填する。

 

 

「酒代は払わせる。」

 

 

リリスが黒炎を燃やす。

 

 

「こんなところで終わるつもりないわ。」

 

 

ブラッドレイが新しいサーベルを握る。

 

 

「私もまだ死ぬ予定はない。」

 

 

その瞬間。

 

 

怪物が突進した。

 

 

ドォォォォォォォン!!

 

 

十メートルの巨体。

 

百トンを超える質量。

 

 

地面が割れる。

 

岩が吹き飛ぶ。

 

 

まるで山が走ってくるようだった。

 

 

「来るぞ!!」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「グラッグ!!」

 

 

「オオオ!!」

 

 

オークが前へ飛び出す。

 

 

巨大戦斧を両手で構える。

 

 

怪物の拳。

 

 

グラッグの斧。

 

 

激突。

 

 

ズドォォォォォン!!

 

 

衝撃波。

 

 

周囲の岩盤が粉々になる。

 

 

グラッグの両足が地面へ沈む。

 

 

筋肉が裂ける。

 

骨が軋む。

 

 

それでも。

 

 

止める。

 

 

「止メタァァァァ!!」

 

 

ヴォルグラムが飛ぶ。

 

 

巨大斧。

 

 

全身全霊。

 

 

ドガァァァァ!!

 

 

怪物の肩へ叩き込む。

 

 

装甲が砕ける。

 

 

黒い血。

 

 

怪物が咆哮する。

 

 

その瞬間。

 

 

カイウス。

 

 

低く走る。

 

 

銀の剣。

 

 

膝。

 

脇腹。

 

肋骨。

 

 

三連撃。

 

 

ザシュ!!

 

ザシュ!!

 

ザシュ!!

 

 

怪物の足が崩れる。

 

 

リリス。

 

 

「燃えなさい!!」

 

 

黒炎。

 

 

巨大な魔法陣。

 

 

怪物の身体を黒い炎が包む。

 

 

再生組織が焼ける。

 

 

肉が炭化する。

 

 

セトラの声。

 

 

『再生停止。』

 

 

『今だ。』

 

 

ブラッドレイ。

 

 

究極の眼。

 

 

時間が遅くなる。

 

 

筋肉。

 

傷。

 

心臓。

 

血流。

 

 

全てが見える。

 

 

サーベル。

 

 

家族の剣。

 

 

一閃。

 

 

キィィィィィン!!

 

 

怪物の左肩。

 

 

腕が吹き飛ぶ。

 

 

怪物が怒り狂う。

 

 

赤い魔力。

 

 

爆発。

 

 

衝撃波。

 

 

ヴォルグラムが吹き飛ぶ。

 

 

カイウスが転がる。

 

 

グラッグが岩壁へ叩きつけられる。

 

 

ドッグが伏せる。

 

 

リリスの結界が砕ける。

 

 

ブラッドレイだけが立っていた。

 

 

怪物。

 

 

ブラッドレイ。

 

 

静寂。

 

 

怪物が巨大な口を開く。

 

 

赤い光。

 

 

「危ない!!」

 

 

リリス。

 

 

次の瞬間。

 

 

ヴォルグラムが割り込んだ。

 

 

巨大斧を盾にする。

 

 

光。

 

 

爆発。

 

 

ズドォォォォォォォン!!

 

 

地面が消し飛ぶ。

 

 

熱風。

 

 

煙。

 

 

しばらく誰も見えない。

 

 

そして。

 

 

煙の中。

 

 

ヴォルグラムが立っていた。

 

 

鎧は砕け。

 

肩は焼け。

 

血が流れている。

 

 

それでも。

 

 

笑っていた。

 

 

「おい。」

 

 

「家族を守るのが団長の仕事だろ?」

 

 

ブラッドレイの目がわずかに細くなる。

 

 

「……無茶をする。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「今さらだ。」

 

 

その時。

 

 

グラッグが立つ。

 

 

全身血まみれ。

 

 

それでも笑う。

 

 

「モウ一回ダ!!」

 

 

カイウスが剣を構える。

 

 

「まだ終わらん。」

 

 

ドッグ。

 

 

「全員しぶといな。」

 

 

リリス。

 

 

「だから家族なのよ。」

 

 

セトラ。

 

 

『心臓反応露出。』

 

 

『胸部中央だ。』

 

 

全員が怪物を見る。

 

 

胸。

 

 

砕けた装甲。

 

 

その奥。

 

 

赤黒い巨大な核。

 

 

脈打つ心臓。

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「見えたな。」

 

 

ブラッドレイ。

 

 

「ああ。」

 

 

グラッグ。

 

 

「壊ス!!」

 

 

カイウス。

 

 

「終わらせる。」

 

 

リリス。

 

 

「全部燃やす。」

 

 

ドッグ。

 

 

「酒が待ってる。」

 

 

ヴォルグラムは巨大斧を握り直した。

 

 

血。

 

汗。

 

炎。

 

 

家族。

 

 

戦友。

 

 

故郷。

 

 

その全てを背負って。

 

 

ネヴァーモーンの団長は叫んだ。

 

 

「行くぞォォォ!!」

 

 

六人が走る。

 

 

赤い空。

 

燃える大地。

 

崩壊した世界。

 

 

そして。

 

 

最後の怪物へ。

 

 

全員が。

 

 

最後の一撃のために。

 

 

突撃した。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十四章 完

 

――気合いとは恐怖がないことではない。家族のために前へ進むことだ。――

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