禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

47 / 62
第47話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十五章

 

《盾となる者達》

 

⸻

 

ゴォォォォォォォォォォ―――――!!

 

⸻

 

怪物の咆哮。

 

その音だけで大地が震えた。

 

⸻

 

胸部中央。

 

露出した赤黒い心臓。

 

⸻

 

最後の急所。

 

⸻

 

だが。

 

そこへ辿り着くには。

 

⸻

 

なおも暴れ続ける十メートルの怪物を止めなければならない。

 

⸻

 

巨大な腕。

 

黒い炎。

 

膨大な魔力。

 

⸻

 

その一撃一撃が戦車を破壊し、建物を消し飛ばすほどの力を持っている。

 

⸻

 

ブラッドレイは静かに構える。

 

⸻

 

リリスの黒炎が揺れる。

 

⸻

 

ドッグが最後の弾を装填する。

 

⸻

 

しかし。

 

ヴォルグラムは巨大斧をゆっくり地面へ突き立てた。

 

⸻

 

ガン。

 

⸻

 

鈍い音。

 

⸻

 

彼は振り返る。

 

⸻

 

グラッグ。

 

⸻

 

カイウス。

 

⸻

 

二人を見る。

 

⸻

 

傷だらけ。

 

血まみれ。

 

⸻

 

それでも。

 

誰一人引かない。

 

⸻

 

ヴォルグラムが笑う。

 

⸻

 

「グラッグ。」

 

⸻

 

「オウ。」

 

⸻

 

「カイウス。」

 

⸻

 

「聞いている。」

 

⸻

 

ヴォルグラムはゆっくり怪物を見る。

 

⸻

 

「俺達で奴を止めるぞ。」

 

⸻

 

グラッグの牙が覗く。

 

⸻

 

「止メル!!」

 

⸻

 

カイウスが剣を地面へ突き立てる。

 

⸻

 

「了解。」

 

⸻

 

ヴォルグラム。

 

⸻

 

「身体はれ。」

 

⸻

 

その言葉。

 

⸻

 

ネヴァーモーンでは特別な意味を持つ。

 

⸻

 

逃げるな。

 

⸻

 

守れ。

 

⸻

 

家族を生かせ。

 

⸻

 

前へ立て。

 

⸻

 

三人は頷いた。

 

⸻

 

ブラッドレイが静かに言う。

 

⸻

 

「無茶だ。」

 

⸻

 

ヴォルグラムが笑う。

 

⸻

 

「今さらだろ?」

 

⸻

 

リリス。

 

⸻

 

「死なないでよ。」

 

⸻

 

ドッグ。

 

⸻

 

「酒代まだ払ってないぞ。」

 

⸻

 

グラッグが胸を叩く。

 

⸻

 

「帰ル!!」

 

⸻

 

カイウス。

 

⸻

 

「必ず。」

 

⸻

 

その瞬間。

 

⸻

 

怪物が咆哮した。

 

⸻

 

ゴォォォォォ!!

 

⸻

 

赤い魔力。

 

⸻

 

巨大な右腕。

 

⸻

 

地面を砕きながら振り下ろされる。

 

⸻

 

だが。

 

⸻

 

ヴォルグラムが前へ。

 

⸻

 

グラッグが左へ。

 

⸻

 

カイウスが右へ。

 

⸻

 

三人。

 

⸻

 

回避を捨てる。

 

⸻

 

ブラッドレイが目を見開く。

 

⸻

 

「何を――」

 

⸻

 

ヴォルグラム。

 

⸻

 

「今だ!!」

 

⸻

 

ズドォォォォォン!!

 

⸻

 

怪物の拳。

 

⸻

 

ヴォルグラムの身体。

 

⸻

 

骨が軋む。

 

⸻

 

鎧が砕ける。

 

⸻

 

血が噴き出す。

 

⸻

 

それでも。

 

⸻

 

止まらない。

 

⸻

 

グラッグが怪物の左脚へ飛びつく。

 

⸻

 

巨大な腕。

 

筋肉。

 

⸻

 

そのまま抱きつく。

 

⸻

 

「逃ガサナイ!!」

 

⸻

 

カイウスが反対側から突っ込む。

 

⸻

 

折れた装甲。

 

肋骨。

 

⸻

 

剣を突き刺し。

 

そのまま怪物の身体へ自らを固定する。

 

⸻

 

ヴォルグラムは胸元へ飛び込んだ。

 

⸻

 

巨大な腕で怪物の身体を抱き締める。

 

⸻

 

十メートル。

 

百数十トン。

 

⸻

 

到底止められる相手ではない。

 

⸻

 

しかし。

 

⸻

 

三人は。

 

⸻

 

筋力だけで。

 

⸻

 

無理やり押さえ込んだ。

 

⸻

 

怪物が暴れる。

 

⸻

 

ゴォォォォ!!

 

⸻

 

腕を振る。

 

⸻

 

身体を捻る。

 

⸻

 

地面が砕ける。

 

⸻

 

岩盤が飛ぶ。

 

⸻

 

グラッグの肩が外れる。

 

⸻

 

カイウスの鎧が砕ける。

 

⸻

 

ヴォルグラムの肋骨が折れる。

 

⸻

 

それでも。

 

⸻

 

離さない。

 

⸻

 

セトラの声。

 

⸻

 

『馬鹿者共!!』

 

⸻

 

艦橋。

 

⸻

 

老王が珍しく声を荒げる。

 

⸻

 

『離れろ!!』

 

⸻

 

『そのままでは死ぬぞ!!』

 

⸻

 

ヴォルグラムが笑う。

 

⸻

 

「年寄り。」

 

⸻

 

血を吐く。

 

⸻

 

「盾役ってのはな。」

 

⸻

 

「こういうもんだ。」

 

⸻

 

グラッグ。

 

⸻

 

「重イ!!」

 

⸻

 

カイウス。

 

⸻

 

「まだ押さえられる。」

 

⸻

 

怪物が暴れる。

 

⸻

 

赤い魔力。

 

⸻

 

爆発。

 

⸻

 

三人の身体が裂ける。

 

⸻

 

それでも。

 

⸻

 

怪物は動けない。

 

⸻

 

完全に。

 

⸻

 

止まった。

 

⸻

 

ブラッドレイの究極の眼が開く。

 

⸻

 

見える。

 

⸻

 

心臓。

 

⸻

 

急所。

 

⸻

 

筋肉。

 

⸻

 

動き。

 

⸻

 

全て。

 

⸻

 

リリスの目に涙が浮かぶ。

 

⸻

 

「馬鹿……」

 

⸻

 

ドッグが帽子を深く被る。

 

⸻

 

「本当に馬鹿だ。」

 

⸻

 

ヴォルグラムが叫ぶ。

 

⸻

 

「ブラッドレイ!!」

 

⸻

 

グラッグ。

 

⸻

 

「斬レェ!!」

 

⸻

 

カイウス。

 

⸻

 

「今だ!!」

 

⸻

 

怪物。

 

⸻

 

完全拘束。

 

⸻

 

三人。

 

⸻

 

血だらけ。

 

⸻

 

骨折。

 

⸻

 

内臓破裂。

 

⸻

 

それでも。

 

⸻

 

離さない。

 

⸻

 

ヴォルグラムの腕から血が流れる。

 

⸻

 

それでも笑う。

 

⸻

 

「家族を守るのが。」

 

⸻

 

「俺達前衛の仕事だ。」

 

⸻

 

ブラッドレイは新しいサーベルを握る。

 

⸻

 

家族の剣。

 

⸻

 

ネヴァーモーンが贈った刃。

 

⸻

 

そして。

 

⸻

 

彼は静かに前へ出た。

 

⸻

 

赤い空。

 

⸻

 

燃える地獄。

 

⸻

 

十メートルの怪物。

 

⸻

 

その身体を。

 

⸻

 

三人の戦士が。

 

⸻

 

命を賭けて押さえ込んでいた。

 

⸻

 

最後の一撃。

 

⸻

 

その時が。

 

⸻

 

ついに訪れようとしていた。

 

⸻

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十五章 完

 

――盾とは鋼ではない。家族のために前へ立つ者のことを言う。――

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。