禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第47話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十五章

 

《盾となる者達》

 

 

ゴォォォォォォォォォォ―――――!!

 

 

怪物の咆哮。

 

その音だけで大地が震えた。

 

 

胸部中央。

 

露出した赤黒い心臓。

 

 

最後の急所。

 

 

だが。

 

そこへ辿り着くには。

 

 

なおも暴れ続ける十メートルの怪物を止めなければならない。

 

 

巨大な腕。

 

黒い炎。

 

膨大な魔力。

 

 

その一撃一撃が戦車を破壊し、建物を消し飛ばすほどの力を持っている。

 

 

ブラッドレイは静かに構える。

 

 

リリスの黒炎が揺れる。

 

 

ドッグが最後の弾を装填する。

 

 

しかし。

 

ヴォルグラムは巨大斧をゆっくり地面へ突き立てた。

 

 

ガン。

 

 

鈍い音。

 

 

彼は振り返る。

 

 

グラッグ。

 

 

カイウス。

 

 

二人を見る。

 

 

傷だらけ。

 

血まみれ。

 

 

それでも。

 

誰一人引かない。

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「グラッグ。」

 

 

「オウ。」

 

 

「カイウス。」

 

 

「聞いている。」

 

 

ヴォルグラムはゆっくり怪物を見る。

 

 

「俺達で奴を止めるぞ。」

 

 

グラッグの牙が覗く。

 

 

「止メル!!」

 

 

カイウスが剣を地面へ突き立てる。

 

 

「了解。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「身体はれ。」

 

 

その言葉。

 

 

ネヴァーモーンでは特別な意味を持つ。

 

 

逃げるな。

 

 

守れ。

 

 

家族を生かせ。

 

 

前へ立て。

 

 

三人は頷いた。

 

 

ブラッドレイが静かに言う。

 

 

「無茶だ。」

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「今さらだろ?」

 

 

リリス。

 

 

「死なないでよ。」

 

 

ドッグ。

 

 

「酒代まだ払ってないぞ。」

 

 

グラッグが胸を叩く。

 

 

「帰ル!!」

 

 

カイウス。

 

 

「必ず。」

 

 

その瞬間。

 

 

怪物が咆哮した。

 

 

ゴォォォォォ!!

 

 

赤い魔力。

 

 

巨大な右腕。

 

 

地面を砕きながら振り下ろされる。

 

 

だが。

 

 

ヴォルグラムが前へ。

 

 

グラッグが左へ。

 

 

カイウスが右へ。

 

 

三人。

 

 

回避を捨てる。

 

 

ブラッドレイが目を見開く。

 

 

「何を――」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「今だ!!」

 

 

ズドォォォォォン!!

 

 

怪物の拳。

 

 

ヴォルグラムの身体。

 

 

骨が軋む。

 

 

鎧が砕ける。

 

 

血が噴き出す。

 

 

それでも。

 

 

止まらない。

 

 

グラッグが怪物の左脚へ飛びつく。

 

 

巨大な腕。

 

筋肉。

 

 

そのまま抱きつく。

 

 

「逃ガサナイ!!」

 

 

カイウスが反対側から突っ込む。

 

 

折れた装甲。

 

肋骨。

 

 

剣を突き刺し。

 

そのまま怪物の身体へ自らを固定する。

 

 

ヴォルグラムは胸元へ飛び込んだ。

 

 

巨大な腕で怪物の身体を抱き締める。

 

 

十メートル。

 

百数十トン。

 

 

到底止められる相手ではない。

 

 

しかし。

 

 

三人は。

 

 

筋力だけで。

 

 

無理やり押さえ込んだ。

 

 

怪物が暴れる。

 

 

ゴォォォォ!!

 

 

腕を振る。

 

 

身体を捻る。

 

 

地面が砕ける。

 

 

岩盤が飛ぶ。

 

 

グラッグの肩が外れる。

 

 

カイウスの鎧が砕ける。

 

 

ヴォルグラムの肋骨が折れる。

 

 

それでも。

 

 

離さない。

 

 

セトラの声。

 

 

『馬鹿者共!!』

 

 

艦橋。

 

 

老王が珍しく声を荒げる。

 

 

『離れろ!!』

 

 

『そのままでは死ぬぞ!!』

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「年寄り。」

 

 

血を吐く。

 

 

「盾役ってのはな。」

 

 

「こういうもんだ。」

 

 

グラッグ。

 

 

「重イ!!」

 

 

カイウス。

 

 

「まだ押さえられる。」

 

 

怪物が暴れる。

 

 

赤い魔力。

 

 

爆発。

 

 

三人の身体が裂ける。

 

 

それでも。

 

 

怪物は動けない。

 

 

完全に。

 

 

止まった。

 

 

ブラッドレイの究極の眼が開く。

 

 

見える。

 

 

心臓。

 

 

急所。

 

 

筋肉。

 

 

動き。

 

 

全て。

 

 

リリスの目に涙が浮かぶ。

 

 

「馬鹿……」

 

 

ドッグが帽子を深く被る。

 

 

「本当に馬鹿だ。」

 

 

ヴォルグラムが叫ぶ。

 

 

「ブラッドレイ!!」

 

 

グラッグ。

 

 

「斬レェ!!」

 

 

カイウス。

 

 

「今だ!!」

 

 

怪物。

 

 

完全拘束。

 

 

三人。

 

 

血だらけ。

 

 

骨折。

 

 

内臓破裂。

 

 

それでも。

 

 

離さない。

 

 

ヴォルグラムの腕から血が流れる。

 

 

それでも笑う。

 

 

「家族を守るのが。」

 

 

「俺達前衛の仕事だ。」

 

 

ブラッドレイは新しいサーベルを握る。

 

 

家族の剣。

 

 

ネヴァーモーンが贈った刃。

 

 

そして。

 

 

彼は静かに前へ出た。

 

 

赤い空。

 

 

燃える地獄。

 

 

十メートルの怪物。

 

 

その身体を。

 

 

三人の戦士が。

 

 

命を賭けて押さえ込んでいた。

 

 

最後の一撃。

 

 

その時が。

 

 

ついに訪れようとしていた。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十五章 完

 

――盾とは鋼ではない。家族のために前へ立つ者のことを言う。――

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