禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第48話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十六章

 

《焼き尽くせ、家族共》

 

 

ゴォォォォォォォォォォォォ――――!!

 

 

怪物が暴れる。

 

 

十メートルの巨体。

 

百数十トンを超える質量。

 

 

赤い魔力。

 

黒い炎。

 

砕けた肉体。

 

 

その全てが最後の力を振り絞っていた。

 

 

ヴォルグラムの腕が軋む。

 

 

筋肉が裂ける。

 

 

折れた肋骨が肺を傷つける。

 

 

口から血が流れる。

 

 

それでも。

 

 

離さない。

 

 

グラッグの右肩は完全に外れていた。

 

 

腕の骨が皮膚を突き破る。

 

 

それでも。

 

 

巨大な腕で怪物の脚を抱き締めている。

 

 

「逃ガサナイ!!」

 

 

カイウスの鎧は砕けていた。

 

 

胸甲は割れ。

 

肋骨は何本も折れている。

 

 

剣を怪物の身体へ突き刺し、自らを固定していた。

 

 

「まだ……動ける……」

 

 

怪物が咆哮する。

 

 

ゴォォォォォ!!

 

 

赤い雷。

 

 

爆発。

 

 

三人の身体が再び地面へ叩きつけられる。

 

 

だが。

 

 

それでも。

 

 

離さない。

 

 

後方。

 

 

リリスの顔が青ざめる。

 

 

「駄目よ!!」

 

 

「これ以上は死ぬ!!」

 

 

ヴォルグラムは血を吐きながら笑った。

 

 

「長くは持たねぇ。」

 

 

怪物の筋肉が膨張する。

 

 

拘束が軋む。

 

 

あと数秒。

 

 

それだけで三人は吹き飛ばされる。

 

 

ヴォルグラムが叫ぶ。

 

 

「リリス!!」

 

 

黒炎の魔女が顔を上げる。

 

 

「俺達ごと焼け!!」

 

 

リリス。

 

 

「何言ってるのよ!!」

 

 

「死ぬわよ!!」

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「気にするな!!」

 

 

「化け物より頑丈だ!!」

 

 

グラッグが大笑いする。

 

 

「焼ケ!!」

 

 

カイウスも静かに言う。

 

 

「構わない。」

 

 

リリスの目が揺れる。

 

 

家族。

 

 

仲間。

 

 

共に酒を飲み。

 

共に笑い。

 

共に戦った者達。

 

 

その三人を自分の炎で焼く。

 

 

その命令。

 

 

だが。

 

 

ネヴァーモーンでは。

 

 

盾役が作った機会は無駄にしない。

 

 

それが家族の掟。

 

 

リリスは目を閉じる。

 

 

黒炎が周囲に渦巻く。

 

 

「……怒るから。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「生きて帰るさ。」

 

 

その時。

 

 

ドッグが弾倉を叩き込む。

 

 

ガシャン。

 

 

最後の弾。

 

 

最後の援護。

 

 

ヴォルグラムが叫ぶ。

 

 

「ドッグ!!」

 

 

「聞いてる!!」

 

 

「ブラッドレイを援護だ!!」

 

 

ドッグは帽子を深く被る。

 

 

血まみれの顔。

 

 

傷だらけの身体。

 

 

それでも笑う。

 

 

「任せろ。」

 

 

拳銃を構える。

 

 

「王様。」

 

 

ブラッドレイが視線を向ける。

 

 

「道は作る。」

 

 

「あんたは斬れ。」

 

 

ブラッドレイは静かに頷いた。

 

 

「了解した。」

 

 

その瞬間。

 

 

リリスの黒炎が解き放たれる。

 

 

巨大な魔法陣。

 

 

幾重もの黒い円。

 

 

大地を覆う炎。

 

 

「燃えなさい!!」

 

 

ゴォォォォォ!!

 

 

黒炎が怪物を包む。

 

 

ヴォルグラム。

 

 

グラッグ。

 

 

カイウス。

 

 

三人ごと。

 

 

怪物の肉が焼ける。

 

 

再生組織が消える。

 

 

黒い肉が崩れる。

 

 

怪物が絶叫する。

 

 

グラッグも叫ぶ。

 

 

「熱イ!!」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「文句言うな!!」

 

 

カイウス。

 

 

「確かに熱いな……」

 

 

ドッグが走る。

 

 

ドォン!!

 

 

一発。

 

 

右眼。

 

 

ドォン!!

 

 

二発。

 

 

首。

 

 

ドォン!!

 

 

三発。

 

 

露出した心臓の周囲。

 

 

怪物の身体がわずかに動きを止める。

 

 

「今だ!!」

 

 

ブラッドレイ。

 

 

究極の眼。

 

 

時間が止まる。

 

 

心臓。

 

 

動脈。

 

 

骨。

 

 

筋肉。

 

 

全てが見える。

 

 

新しいサーベル。

 

 

ネヴァーモーンの家族達が打った剣。

 

 

その刃を握る。

 

 

目の前。

 

 

血だらけの三人。

 

 

命を賭ける盾。

 

 

後方。

 

 

炎を放つ魔女。

 

 

援護する傭兵。

 

 

上空。

 

 

見守る老王。

 

 

そして。

 

 

自分を家族と呼んだ者達。

 

 

ブラッドレイの目が細くなる。

 

 

「……見事だ。」

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「褒めるのは後だ。」

 

 

「やれ。」

 

 

怪物が最後の力で暴れる。

 

 

拘束が限界を迎える。

 

 

ヴォルグラムの腕が裂ける。

 

 

グラッグの脚が砕ける。

 

 

カイウスの剣が折れる。

 

 

それでも。

 

 

離さない。

 

 

三人が同時に叫ぶ。

 

 

「今だァァァァァ!!」

 

 

ブラッドレイが走る。

 

 

炎。

 

 

灰。

 

 

血。

 

 

黒炎。

 

 

そして。

 

 

家族が作った一本道。

 

 

その先に。

 

 

最後の一撃が待っていた。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十六章 完

 

――盾が命を賭けた時、剣は必ず届く。――

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