禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第49話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十七章

 

《王の一閃》

 

 

ゴォォォォォォォォォォォ―――――!!

 

 

怪物が最後の咆哮を上げる。

 

 

十メートルの巨体。

 

全身を覆う黒炎。

 

砕けた装甲。

 

欠損した四肢。

 

露出した巨大な核。

 

 

その身体を。

 

 

ヴォルグラム。

 

グラッグ。

 

カイウス。

 

 

三人が文字通り命を削って押さえ込んでいた。

 

 

ヴォルグラムの腕からは血が滝のように流れている。

 

 

筋肉は裂け。

 

肋骨は砕け。

 

肺には血が溜まっている。

 

 

それでも。

 

 

離さない。

 

 

グラッグの右腕は半ば潰れ。

 

肩は外れ。

 

牙の間から血が溢れていた。

 

 

それでも。

 

 

怪物の脚へ食らいつく。

 

 

カイウスの胸甲は完全に割れ。

 

折れた剣が身体を貫いていた。

 

 

それでも。

 

 

怪物へ自らを固定し続ける。

 

 

三人。

 

 

まるで鎖だった。

 

 

いや。

 

 

家族を守るための楔だった。

 

 

後方。

 

 

ドッグの最後の弾丸が放たれる。

 

 

ドォン!!

 

 

左眼。

 

 

ドォン!!

 

 

首。

 

 

ドォン!!

 

 

露出した核周辺。

 

 

怪物の動きが止まる。

 

 

黒炎が燃え上がる。

 

 

リリスの魔力が限界まで高まる。

 

 

「止まれぇぇぇぇ!!」

 

 

ゴォォォォォ!!

 

 

黒い炎が核を焼く。

 

 

再生。

 

 

魔力。

 

 

肉体。

 

 

全てが崩壊を始める。

 

 

そして。

 

 

その中央。

 

 

ブラッドレイだけが静かに立っていた。

 

 

熱風。

 

 

血。

 

 

灰。

 

 

燃える空。

 

 

その全てが。

 

 

まるで止まっているかのようだった。

 

 

究極の眼。

 

 

筋肉。

 

 

血流。

 

 

骨。

 

 

魔力。

 

 

核。

 

 

怪物の全てが見える。

 

 

そして。

 

 

三人が命を賭けて作った。

 

 

たった一筋の道。

 

 

ブラッドレイはゆっくり家族のサーベルを握る。

 

 

ネヴァーモーンの剣。

 

 

家族の剣。

 

 

彼の人生。

 

 

無数の戦場。

 

 

無数の敵。

 

 

無数の死。

 

 

だが。

 

 

この剣だけは違う。

 

 

誰かのために。

 

 

家族が打った剣。

 

 

その時。

 

 

ヴォルグラムが血を吐きながら笑う。

 

 

「王様……」

 

 

「見せてみろ。」

 

 

グラッグ。

 

 

「斬レェ!!」

 

 

カイウス。

 

 

「終わらせろ。」

 

 

ドッグ。

 

 

「酒が待ってる。」

 

 

リリス。

 

 

「帰るわよ。」

 

 

上空。

 

 

セトラが静かに呟く。

 

 

『行け。』

 

 

その瞬間。

 

 

ブラッドレイが動いた。

 

 

誰も見えない。

 

 

音もない。

 

 

ただ。

 

 

赤い閃光だけが走った。

 

 

キィィィィィィィィィン――――

 

 

静かな剣音。

 

 

怪物の胸。

 

 

露出した核。

 

 

その中心を。

 

 

家族のサーベルが貫く。

 

 

核。

 

 

骨。

 

 

肉。

 

 

魔力。

 

 

その全てを。

 

 

斬る。

 

 

そして。

 

 

ブラッドレイは怪物の背後へ立っていた。

 

 

静寂。

 

 

誰も動かない。

 

 

数秒。

 

 

その後。

 

 

ピシッ。

 

 

怪物の胸に一本の線が走る。

 

 

赤い光。

 

 

黒い炎。

 

 

巨大な核。

 

 

その全てが。

 

 

ゆっくりと裂けていく。

 

 

ゴゴゴゴゴ……

 

 

怪物の目が開く。

 

 

赤い瞳。

 

 

その視線は。

 

 

目の前の王へ向けられていた。

 

 

ブラッドレイは静かにサーベルを振る。

 

 

血が払われる。

 

 

「終わりだ。」

 

 

次の瞬間。

 

 

ズガァァァァァァァァァン!!

 

 

怪物が。

 

 

核ごと。

 

 

完全に。

 

 

両断された。

 

 

十メートルの肉体。

 

 

頭。

 

胸。

 

核。

 

背骨。

 

下半身。

 

 

その全てが左右へ分かれる。

 

 

赤い光が空へ吹き上がる。

 

 

魔力が爆発する。

 

 

巨大な衝撃波。

 

 

黒い炎。

 

 

灰。

 

 

崩壊。

 

 

しかし。

 

 

核は既に斬られていた。

 

 

爆発は起こらない。

 

 

怪物の身体は。

 

 

ゆっくり。

 

 

ゆっくりと。

 

 

崩れ落ちる。

 

 

ドォォォォォン……

 

 

地面が揺れる。

 

 

十メートルの巨体。

 

 

最後の怪物。

 

 

数千の兵を殺し。

 

 

惑星を滅ぼしかけた存在。

 

 

それが。

 

 

ついに。

 

 

死んだ。

 

 

静寂。

 

 

誰も喋らない。

 

 

熱風だけが吹く。

 

 

そして。

 

 

ヴォルグラムが笑った。

 

 

「……やるじゃねぇか。」

 

 

グラッグが倒れながら笑う。

 

 

「王様ダ!!」

 

 

カイウスが膝をつく。

 

 

「見事だ。」

 

 

ドッグが帽子を脱ぐ。

 

 

「酒代確定だな。」

 

 

リリスの目から涙がこぼれる。

 

 

「終わった……」

 

 

上空。

 

 

セトラの声。

 

 

『生命反応消失。』

 

 

『脅威完全消滅。』

 

 

『……勝利だ。』

 

 

ブラッドレイは静かに怪物を見る。

 

 

そして。

 

 

家族のサーベルを鞘へ納める。

 

 

「いい剣だ。」

 

 

ヴォルグラムは血だらけのまま笑う。

 

 

「だろ?」

 

 

「うちの家族の自慢だ。」

 

 

赤い空。

 

 

燃える地獄。

 

 

その中心。

 

 

六人の戦士達だけが立っていた。

 

 

傷だらけ。

 

 

血まみれ。

 

 

満身創痍。

 

 

それでも。

 

 

誰一人。

 

 

死ななかった。

 

 

そして。

 

 

ヴォルグラムがゆっくり空を見上げる。

 

 

「迎えを呼べ。」

 

 

「帰るぞ。」

 

 

「家族が待ってる。」

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第四十七章 完

 

――王の剣は怪物を斬った。だが家族の想いが、その刃を最後まで支えていた。――

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