禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第52話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第五十章

 

《家族の帰還》

 

 

ゴォォォォォォォ……

 

 

《レクイエム・オブ・アッシュ》の巨大な船影が、アメストリア防衛陣地の上空へゆっくりと姿を現した。

 

 

戦いは終わった。

 

 

地底深くに潜んでいた怪物は討たれ。

 

惑星を脅かしていた脅威は完全に消滅した。

 

 

しかし。

 

 

帰還する者達の姿は。

 

決して英雄らしいものではなかった。

 

 

強襲艦のハッチが開く。

 

 

まず降りてきたのは、傷だらけの兵士達だった。

 

 

包帯。

 

義手。

 

松葉杖。

 

血に染まった鎧。

 

 

その後ろ。

 

 

グラッグ。

 

 

巨大なオークは二人の兵士に肩を貸されている。

 

 

「重イ……」

 

 

「お前がな!!」

 

 

続いてカイウス。

 

 

鎧はほぼ砕け。

 

胸部には応急処置の包帯。

 

 

それでも歩こうとしている。

 

 

「隊長、無理です。」

 

 

「まだ歩ける。」

 

 

「三回倒れてます。」

 

 

「……そうか。」

 

 

ドッグは煙草を咥えていた。

 

 

片目は腫れ。

 

左腕は固定され。

 

足を引きずっている。

 

 

それでも。

 

 

「酒は残ってるよな?」

 

 

「まず治療です。」

 

 

「酒が先だ。」

 

 

リリスは魔力枯渇で顔色が真っ白だった。

 

 

それでも兵士達を手伝っている。

 

 

そして。

 

 

最後に。

 

 

ヴォルグラム。

 

 

ネヴァーモーン団長。

 

 

二人の兵士に肩を借り。

 

ほとんど引きずられるように歩いていた。

 

 

「団長。」

 

 

「ん?」

 

 

「死んでません?」

 

 

「生きてる。」

 

 

「顔色灰色ですよ。」

 

 

「元からだ。」

 

 

そんな光景を。

 

 

防衛陣地の中央。

 

 

一人の巨漢が見ていた。

 

 

マルケウス。

 

 

混沌種部隊隊長。

 

 

巨大な戦斧を肩に担ぎ。

 

 

しばらく無言。

 

 

そして。

 

 

数秒後。

 

 

腹を抱えて爆笑した。

 

 

「ハハハハハハハハハハ!!」

 

 

周囲の兵士達もつられて笑う。

 

 

「おい見ろ!!」

 

 

「団長が死にかけてるぞ!!」

 

 

「隊長全滅じゃねぇか!!」

 

 

「グラッグが折れてる!!」

 

 

「カイウスが幽霊みたいだ!!」

 

 

マルケウスは涙を流しながら笑う。

 

 

「ヴォルグラム!!」

 

 

「お前、ほぼ死体じゃねぇか!!」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「うるせぇ……」

 

 

「笑うな……」

 

 

マルケウス。

 

 

「何十年ぶりだ!!」

 

 

「お前ら三人がここまでボロボロなの!!」

 

 

グラッグ。

 

 

「痛イ。」

 

 

カイウス。

 

 

「笑うな。」

 

 

マルケウス。

 

 

「笑う!!」

 

 

「笑わせろ!!」

 

 

「お前ら悪魔かよ!!」

 

 

周囲のネヴァーモーン兵達も笑っていた。

 

 

だが。

 

 

その笑いの奥には。

 

 

安心があった。

 

 

帰ってきた。

 

 

死んでいない。

 

 

家族が帰ってきた。

 

 

それが何より嬉しかった。

 

 

マルケウスが近づく。

 

 

傷だらけのヴォルグラムを見る。

 

 

しばらく。

 

 

何も言わない。

 

 

そして。

 

 

静かに笑う。

 

 

「よく帰ってきた。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「当然だ。」

 

 

「酒の約束したからな。」

 

 

マルケウス。

 

 

「馬鹿野郎。」

 

 

その大きな手で。

 

 

ヴォルグラムの肩を叩く。

 

 

「無事で良かった。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「痛ぇ!!」

 

 

「加減しろ!!」

 

 

周囲が再び笑う。

 

 

その時。

 

 

マルケウスの視線がブラッドレイへ向く。

 

 

黒い軍服。

 

 

二本の軍刀。

 

 

そして。

 

 

ネヴァーモーンのサーベル。

 

 

マルケウスは笑った。

 

 

「お前がブラッドレイか。」

 

 

ブラッドレイ。

 

 

「ああ。」

 

 

「話は聞いてる。」

 

 

「団長が気に入るなんて珍しい。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「うるせぇ。」

 

 

マルケウス。

 

 

「つまり家族候補だな。」

 

 

アメストリア兵達が驚く。

 

 

ブラッドレイも少しだけ目を細める。

 

 

ネヴァーモーン。

 

 

彼らにとって。

 

 

家族とは。

 

 

最上級の信頼。

 

 

命を預ける相手。

 

 

共に酒を飲み。

 

共に泣き。

 

共に戦う者。

 

 

マルケウスが大声で叫ぶ。

 

 

「おい!!」

 

 

「宴の準備だ!!」

 

 

「酒を持ってこい!!」

 

 

「医者も呼べ!!」

 

 

「この馬鹿共が死ぬ前に治療しろ!!」

 

 

兵士達。

 

 

「了解!!」

 

 

「酒だ!!」

 

 

「飯だ!!」

 

 

「包帯足りねぇ!!」

 

 

「団長が歩けない!!」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「肩貸せ……」

 

 

マルケウス。

 

 

「ほら来い。」

 

 

「昔みたいに担いでやる。」

 

 

巨大な混沌種が。

 

 

ネヴァーモーン団長を肩へ担ぐ。

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「屈辱だ……」

 

 

マルケウス。

 

 

「ハハハ!!」

 

 

「昔もこうだったぞ!!」

 

 

グラッグ。

 

 

「団長弱イ!!」

 

 

ドッグ。

 

 

「記録しとけ。」

 

 

リリス。

 

 

「後で本人に見せましょう。」

 

 

カイウス。

 

 

「永久保存だな。」

 

 

そして。

 

 

数百人の家族達の笑い声が。

 

 

アメストリアの防衛陣地に響き渡った。

 

 

戦争。

 

 

死。

 

 

怪物。

 

 

地獄。

 

 

その全てを越えて。

 

 

彼らは帰ってきた。

 

 

血まみれで。

 

傷だらけで。

 

ボロボロで。

 

 

それでも。

 

 

笑いながら。

 

 

家族の元へ。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第五十章 完

 

――帰りを笑って迎えてくれる者がいる。それこそが家族である。――

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