禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第55話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第五十三章

 

《誰が一番化け物なんだ?》

 

 

宴は最高潮を迎えていた。

 

 

焚き火は何十も焚かれ。

 

酒樽は次々と空になる。

 

 

アメストリア兵達とネヴァーモーンの兵士達は肩を組み。

 

歌い。

 

笑い。

 

泣き。

 

死んだ家族達の話をしていた。

 

 

その一角。

 

 

負傷者用の席。

 

 

ヴォルグラム。

 

カイウス。

 

ドッグ。

 

グラッグ。

 

 

重傷組である。

 

 

……はずだった。

 

 

ヴォルグラムは全身包帯。

 

 

カイウスも包帯だらけ。

 

 

ドッグも左腕を吊っている。

 

 

だが。

 

 

グラッグだけ。

 

 

肉を食っていた。

 

 

しかも。

 

 

元気だった。

 

 

ヴォルグラムが酒を飲む。

 

 

ゴクリ。

 

 

数秒。

 

 

包帯から酒が漏れる。

 

 

ぽた。

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「痛ぇ……」

 

 

その横。

 

 

グラッグ。

 

 

肉。

 

 

酒。

 

 

笑顔。

 

 

ヴォルグラムがじっと見る。

 

 

数秒。

 

 

そして。

 

 

「まったく……」

 

 

酒を飲む。

 

 

「あの化け物より。」

 

 

グラッグを見る。

 

 

「グラッグ、お前の身体の方が怖ぇよ。」

 

 

周囲。

 

 

「ハハハハハ!!」

 

 

グラッグ。

 

 

「強イ。」

 

 

「いやお前。」

 

 

「肩砕けてたろ。」

 

 

「腕折れてたろ。」

 

 

「内臓潰れてたろ。」

 

 

グラッグ。

 

 

「治ッタ。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「意味が分からん。」

 

 

カイウスが静かに酒を飲む。

 

 

「同感だ。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「なあカイウス。」

 

 

カイウス。

 

 

「なんだ。」

 

 

「お前らおかしくねぇか?」

 

 

カイウスは少し考える。

 

 

「否定できない。」

 

 

ドッグが煙草に火を付ける。

 

 

「今さらだな。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「ドッグ、お前もだ。」

 

 

「ん?」

 

 

「お前、生身だろ?」

 

 

「そうだ。」

 

 

「なんであの爆発食らって生きてんだ?」

 

 

ドッグ。

 

 

「気合い。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「嘘つけ。」

 

 

周囲が笑う。

 

 

ドッグが煙を吐く。

 

 

「昔はもっと酷かった。」

 

 

「頭吹き飛ばされかけた。」

 

 

「心臓止まった。」

 

 

「宇宙空間に放り出された。」

 

 

「全部生きてる。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「怖ぇよ。」

 

 

カイウスが頷く。

 

 

「ドッグは異常だ。」

 

 

ドッグ。

 

 

「お前に言われたくない。」

 

 

ヴォルグラムが笑う。

 

 

「俺やカイウスはよ。」

 

 

自分の胸を叩く。

 

 

金属音。

 

 

「全身改造してる。」

 

 

カイウスも静かに頷く。

 

 

機械化された神経。

 

 

人工筋肉。

 

 

補助骨格。

 

 

生命維持装置。

 

 

二人とも。

 

 

もはや普通の人間ではない。

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「だからタフなのは分かる。」

 

 

「だがよ。」

 

 

ドッグを見る。

 

 

「お前、生身。」

 

 

グラッグを見る。

 

 

「お前、オーク。」

 

 

「なんで俺達より元気なんだ?」

 

 

グラッグ。

 

 

「飯。」

 

 

ドッグ。

 

 

「酒。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「参考にならねぇ!!」

 

 

再び爆笑。

 

 

その時。

 

 

ブラッドレイが静かに近づいてくる。

 

 

酒杯を持ち。

 

 

少し笑っていた。

 

 

「なるほど。」

 

 

「ネヴァーモーンで最も脆いのは団長か。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「王様まで言うか。」

 

 

グラッグ。

 

 

「団長弱イ。」

 

 

カイウス。

 

 

「最近は特に。」

 

 

ドッグ。

 

 

「歳だな。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「お前ら後で覚えてろ。」

 

 

しかし。

 

 

彼自身も笑っていた。

 

 

数十年前。

 

 

初めて出会った頃。

 

 

グラッグは暴れ回るオークだった。

 

 

カイウスは冷たい殺人兵器だった。

 

 

ドッグは金のためだけに戦う傭兵だった。

 

 

だが。

 

 

今。

 

 

皆が笑っている。

 

 

酒を飲み。

 

 

傷を見せ合い。

 

 

死にかけたことを笑い話にしている。

 

 

カイウスが静かに言う。

 

 

「しかし。」

 

 

「団長。」

 

 

「ん?」

 

 

「お前も十分化け物だ。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「俺が?」

 

 

ドッグ。

 

 

「肋骨十本折れて前に出る。」

 

 

グラッグ。

 

 

「腕モ折レテル。」

 

 

カイウス。

 

 

「肺も潰れていた。」

 

 

ブラッドレイ。

 

 

「普通なら死んでいる。」

 

 

リリスも笑う。

 

 

「何回も死にかけてるわよ。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「……そうか?」

 

 

全員。

 

 

「そうだ。」

 

 

しばらく静寂。

 

 

そして。

 

 

ドッグが酒を掲げる。

 

 

「結論。」

 

 

グラッグ。

 

 

「全員化ケ物。」

 

 

カイウス。

 

 

「異論なし。」

 

 

ブラッドレイ。

 

 

「納得した。」

 

 

リリス。

 

 

「今さらね。」

 

 

ヴォルグラムは酒を飲む。

 

 

また傷から漏れる。

 

 

ぽた。

 

 

グラッグ。

 

 

「漏レテル。」

 

 

ヴォルグラム。

 

 

「うるせぇ!!」

 

 

焚き火の向こう。

 

 

数百人の笑い声。

 

 

夜空。

 

 

灰。

 

 

酒。

 

 

家族。

 

 

死地を生き抜いた戦士達は。

 

 

今夜だけは。

 

 

ただの家族として笑っていた。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第五十三章 完

 

――誰が一番化け物か。それは誰にも分からない。ただ一つ分かるのは、全員が家族だということだった。――

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