《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第五十五章
《長生きしろ》
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夜は深かった。
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宴はまだ続いている。
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焚き火の火は少し小さくなり。
酒樽はいくつも空になり。
歌声も笑い声も少しずつ静かになっていた。
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重傷者達はその場で眠り。
包帯を巻かれた兵士達は互いに寄りかかりながら酒を飲んでいる。
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アメストリア兵達も。
ネヴァーモーンの兵達も。
今は区別なく同じ席に座っていた。
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その中心。
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ヴォルグラム。
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カイウス。
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ドッグ。
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グラッグ。
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ブラッドレイ。
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焚き火の前。
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誰も大声を出していない。
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戦いの後の静かな時間だった。
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ヴォルグラムは酒を飲む。
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傷が痛む。
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肋骨が軋む。
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肺が痛い。
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それでも。
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酒はうまかった。
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しばらく黙って火を見る。
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パチパチ。
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薪の爆ぜる音。
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遠くの笑い声。
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そして。
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ヴォルグラムはぽつりと言った。
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「ドッグ。」
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「ん?」
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「ブラッドレイ。」
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ブラッドレイが静かに視線を向ける。
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「なんだ。」
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ヴォルグラムは少し笑う。
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「お前らは生身の人間だ。」
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ドッグは煙草を咥える。
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ブラッドレイは黙って聞いている。
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「俺やカイウスみたいに身体を弄ってない。」
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胸を軽く叩く。
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金属音。
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人工骨格。
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補助器官。
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再生装置。
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何度も繰り返した改造。
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戦場を生き残るための代償。
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カイウスも静かに頷く。
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「我々は半分機械だ。」
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ヴォルグラム。
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「グラッグはそもそもオークだ。」
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グラッグ。
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「オークダ。」
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「マルケウスは化け物。」
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「化ケ物ダ。」
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「リリスも人間やめてる。」
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遠くから。
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「聞こえてるわよ!!」
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周囲が笑う。
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ヴォルグラムは少しだけ空を見上げる。
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「でもよ。」
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「お前らは違う。」
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ドッグ。
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「俺も十分おかしいぞ。」
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「お前は論外だ。」
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笑いが起きる。
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だが。
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ヴォルグラムの目は真面目だった。
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「お前らは寿命が短い。」
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「俺達より脆い。」
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「簡単に死ぬ。」
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焚き火が揺れる。
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ブラッドレイは黙って聞く。
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「でもな。」
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少し笑う。
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「たまに眩しく映るんだ。」
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誰も喋らない。
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「羨ましくなる時がある。」
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ドッグの煙草が止まる。
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ブラッドレイも静かに目を細める。
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ヴォルグラムはゆっくり話し始める。
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「何百年も生きてるとよ。」
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「家族が死ぬ。」
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「仲間が死ぬ。」
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「愛した奴も死ぬ。」
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「弟みたいな奴も。」
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「娘みたいな奴も。」
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「全部見送る。」
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焚き火。
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静かな夜。
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アメストリア兵達もいつの間にか聞いていた。
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「長生きってのはな。」
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「案外いいことばかりじゃねぇ。」
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「取り残される。」
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「覚えてるのは自分だけになる。」
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カイウスが静かに酒を飲む。
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彼も同じだった。
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数百年。
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無数の死。
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無数の別れ。
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ヴォルグラム。
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「だからたまに思う。」
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「羨ましいってな。」
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ブラッドレイ。
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自然な人間。
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老いる。
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死ぬ。
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短い人生。
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だが。
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その短さが。
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眩しく見える。
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「命に限りがあるから。」
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「お前らは強い。」
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ドッグが笑う。
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「買い被りだ。」
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ヴォルグラム。
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「違う。」
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「俺達は死ねない。」
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「でもお前らは死ぬ。」
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「それでも前に出る。」
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「それが眩しい。」
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ブラッドレイは酒杯を見る。
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彼が望むもの。
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普通の人間としての死。
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自然な最期。
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ヴォルグラムは笑う。
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「だからな。」
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「無茶は俺達がやる。」
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胸を叩く。
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「改造組。」
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カイウス。
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「同意する。」
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グラッグ。
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「オークモ。」
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遠くからマルケウス。
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「俺もだ。」
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リリス。
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「私もよ。」
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ヴォルグラム。
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「人外組がやる。」
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「壁になる。」
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「盾になる。」
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「化け物は俺達で十分だ。」
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ドッグが苦笑する。
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「俺は人間なんだが。」
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「お前は例外。」
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周囲が笑う。
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そして。
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ヴォルグラムはブラッドレイを見る。
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「だからよ。」
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少し間。
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「長生きしろ。」
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「頼むぜ。」
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静かな声だった。
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戦場の英雄でも。
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団長でもない。
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ただ。
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長く生きてきた男の言葉。
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「お前らが先に死ぬのは仕方ねぇ。」
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「でも。」
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「なるべく遅くしろ。」
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「出来るだけ笑え。」
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「飯を食え。」
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「酒を飲め。」
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「家族を作れ。」
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「仲間を増やせ。」
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「そして。」
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「出来るだけ生きろ。」
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ドッグは煙草を消す。
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「難しい注文だ。」
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ヴォルグラム。
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「俺達よりは簡単だ。」
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ブラッドレイはしばらく黙る。
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アメストリア。
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兵達。
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人間。
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寿命。
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その全てを考える。
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そして。
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静かに酒杯を上げた。
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「約束はできん。」
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ヴォルグラム。
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「知ってる。」
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「だが努力はしよう。」
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その言葉。
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ヴォルグラムは笑った。
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「それで十分だ。」
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ドッグも酒を持つ。
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「俺も簡単には死なん。」
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グラッグ。
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「死ンダラ殴ル。」
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「死んでるだろ。」
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「殴ル。」
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カイウスが珍しく笑う。
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「それは怖いな。」
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焚き火の炎。
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星空。
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灰。
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そして。
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傷だらけの家族達。
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ヴォルグラムは最後の酒を飲む。
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傷から少し漏れる。
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ぽた。
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グラッグ。
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「漏レテル。」
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ヴォルグラム。
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「うるせぇ。」
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皆が笑う。
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何百年も生きた化け物達。
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だが。
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彼らが羨ましいと思うのは。
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限られた命を燃やしながら。
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それでも笑って生きる人間達だった。
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その夜。
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ネヴァーモーンとアメストリア。
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二つの家族は。
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静かな焚き火の前で。
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未来の話をしていた。
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まだ見ぬ戦い。
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まだ見ぬ宴。
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そして。
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いつか訪れる別れのその日まで。
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出来るだけ長く。
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共に生きることを願いながら。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第五十五章 完
――長く生きる者は死を知る。短く生きる者は命の輝きを知る。だから彼らは互いを羨み、そして家族になる。――