《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第五十六章
《王への敬礼》
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宴は続いていた。
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焚き火の炎は静かに揺れ。
酒の匂いが夜風に乗って流れる。
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負傷兵は笑い。
生き残った者達は肩を組み。
死んだ家族達の名があちこちで語られていた。
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アメストリア軍も。
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ネヴァーモーンも。
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今は同じ火を囲み。
同じ酒を飲んでいる。
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その中で。
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ヴォルグラム達の周囲だけは少し静かだった。
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団長。
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副長。
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隊長達。
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今回の戦いで最も前に立った者達。
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皆傷だらけだった。
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ヴォルグラムは椅子に沈み込み。
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カイウスは静かに酒を飲み。
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グラッグは肉を食べ。
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ドッグは煙草を吸っている。
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ブラッドレイもまた静かに杯を持っていた。
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その時だった。
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人々のざわめきが少しずつ静まる。
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アメストリア兵達が道を開く。
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ネヴァーモーンの兵達も立ち上がる。
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ゆっくり。
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本当にゆっくり。
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一人の王が歩いてきた。
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セトラ。
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古き王。
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何千もの戦場を見てきた王。
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レクイエム・オブ・アッシュの頭脳。
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演算王。
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誰よりも冷静で。
誰よりも正確で。
そして。
誰よりも長く家族達を見守ってきた存在。
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彼は王衣を纏い。
杖を手に。
静かに歩いてくる。
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兵士達は自然と道を空ける。
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誰も騒がない。
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誰も冗談を言わない。
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それほどまでに。
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セトラという存在は。
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ネヴァーモーンにとって特別だった。
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ヴォルグラムがゆっくり顔を上げる。
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そして。
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笑った。
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「遅ぇぞ、セトラ。」
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周囲が少し笑う。
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セトラは静かに答える。
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「王は遅れて来るものだ。」
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ドッグ。
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「本当に来たな。」
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リリス。
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「奇跡ね。」
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グラッグ。
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「酒飲ム。」
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セトラはゆっくり焚き火の前へ来る。
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その目。
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何千年も生きた王の瞳。
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その奥には。
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安堵があった。
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ヴォルグラム達が生きている。
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家族が帰ってきた。
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それを見ている。
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その瞬間。
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ヴォルグラムがゆっくり立とうとする。
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「団長!!」
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「無理するな!!」
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兵士達が慌てる。
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だが。
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彼は立った。
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身体が軋む。
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肋骨。
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肺。
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腕。
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脚。
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全てが悲鳴を上げる。
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それでも。
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立つ。
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ブラッドレイが肩を支える。
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ドッグも反対側を支える。
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カイウスが静かに見守る。
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そして。
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ヴォルグラムはセトラを見る。
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珍しく。
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本当に珍しく。
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笑顔を消した。
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「セトラ。」
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老王が静かに目を向ける。
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「お前が一番の功労者だ。」
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誰も喋らない。
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焚き火の音だけが響く。
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「お前の正確な演算があったから。」
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「惑星を傷付けず。」
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「あの化け物だけに損傷を与えられた。」
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あの地下深くへのバンカー弾。
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核までの距離。
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爆発範囲。
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重粒子砲。
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艦砲射撃。
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通常弾頭。
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全て。
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一つでも狂えば。
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惑星は消えていた。
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アメストリアは滅びていた。
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数百万人が死んでいた。
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だが。
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セトラは成功させた。
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王の演算。
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千年の知識。
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膨大な経験。
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それが全てを救った。
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ヴォルグラムが笑う。
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「改めて。」
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「助かったぜ。」
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「セトラ。」
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その言葉。
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長い付き合いの家族達が静かになる。
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数百年。
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何百回もの戦場。
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何百回もの宴。
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その中で。
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ヴォルグラムが。
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公の場で。
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誰かへ礼を言うことは少ない。
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そして。
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次の瞬間。
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ヴォルグラムが頭を下げた。
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深く。
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ゆっくり。
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ネヴァーモーン団長。
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何百年も戦場に立ち続けた男。
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誰よりも頑固な男。
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その男が。
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頭を下げた。
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「全軍を代表して。」
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「礼を言う。」
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静寂。
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誰も声を出せない。
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ドッグの煙草が止まる。
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カイウスも目を細める。
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グラッグですら肉を置く。
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ブラッドレイも静かに見る。
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そして。
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一人。
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また一人。
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ネヴァーモーンの兵士達が立ち上がる。
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人間。
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オーク。
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混沌種。
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マリーン。
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デーモン。
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全員。
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立ち上がる。
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そして。
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頭を下げた。
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「ありがとう。」
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「助かった。」
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「王。」
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「家族を救ってくれた。」
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アメストリア兵達も続く。
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ブラッドレイもゆっくり頭を下げる。
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「感謝する。」
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「貴殿がいなければ。」
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「我々は滅んでいた。」
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セトラは黙っている。
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長い時間。
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何千年もの時間。
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王だった。
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神だった。
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支配者だった。
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だが。
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今。
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目の前にいるのは。
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臣下ではない。
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兵士でもない。
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家族達だった。
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老王は静かに目を閉じる。
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そして。
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少しだけ笑った。
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「余一人の力ではない。」
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静かな声。
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「お前達が戦った。」
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「お前達が命を賭けた。」
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「余は少し道を示しただけだ。」
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ヴォルグラム。
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「それでもだ。」
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セトラ。
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「……そうか。」
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少し沈黙。
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そして。
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老王はゆっくり酒杯を持ち上げる。
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「ならば。」
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「この勝利を。」
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「死んだ家族達へ。」
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「生き残った家族達へ。」
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「そして。」
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ブラッドレイを見る。
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「新たな家族へ。」
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静かな夜。
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焚き火。
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星。
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傷だらけの兵士達。
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その中心。
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王がいた。
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そして。
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ネヴァーモーンの全員が。
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もう一度杯を掲げた。
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「乾杯!!」
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数千人の声が。
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アメストリアの夜空へ響き渡った。
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そしてその時。
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ヴォルグラムは少しだけ笑った。
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「……珍しく真面目な宴になっちまったな。」
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グラッグ。
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「酒飲ム。」
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ドッグ。
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「いつもの流れだ。」
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カイウス。
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「安心した。」
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周囲から笑い声が上がる。
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老王セトラも。
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ほんの少しだけ。
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静かに笑っていた。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第五十六章 完
――最も偉大な王とは、家族が無事に帰る道を示す者である。――