《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第五十九章
《頼むから、俺より先に行くな》
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宴は静かになっていた。
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夜明け。
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赤い朝日がアメストリアの大地を照らしている。
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燃え尽きた焚き火。
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空になった酒樽。
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眠る兵士達。
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死んだ家族達の棺。
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笑い疲れた者。
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泣き疲れた者。
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誰もが戦いの終わりを感じていた。
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ヴォルグラムは静かに座っていた。
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酒瓶は空。
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包帯は血で染まっている。
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身体中が痛い。
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肋骨。
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肺。
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腕。
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脚。
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古い機械。
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傷。
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何百年も使い続けた身体。
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その全てが悲鳴を上げていた。
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しかし。
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それ以上に。
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胸が痛かった。
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目の前。
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マルケウス。
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カイウス。
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リリス。
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グラッグ。
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ドッグ。
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セトラ。
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ブラッドレイ。
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そして。
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周囲には無数の家族達。
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若い兵士。
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古参兵。
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アメストリア兵。
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負傷者。
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難民。
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死んだ家族達の棺。
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ヴォルグラムは静かに彼らを見る。
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数百年。
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どれだけ見送ってきただろう。
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最初の仲間。
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初代ネヴァーモーン。
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兄弟のような男。
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娘のように育った兵士。
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笑い合った家族。
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全員。
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先に逝った。
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そして。
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また新しい家族ができた。
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また失った。
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また増えた。
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それを何度も繰り返してきた。
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その時だった。
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ヴォルグラムがゆっくり立ち上がる。
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周囲が驚く。
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「団長!!」
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「座ってろ!!」
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「傷が開くぞ!!」
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ドッグが肩を支える。
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ブラッドレイも腕を貸す。
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だが。
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ヴォルグラムは首を振る。
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「少しだけ。」
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「立たせろ。」
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皆が黙る。
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彼の顔。
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そこにはいつもの笑みがなかった。
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いつもの豪快さも。
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いつもの冗談も。
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なかった。
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彼は家族達を見る。
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一人一人。
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長い時間を共にした者達。
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新しく加わった者達。
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その全員を見る。
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そして。
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静かに言った。
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「なぁ……」
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誰も喋らない。
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風の音だけ。
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「柄でもねぇがな……」
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少し笑う。
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しかし。
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声が震えている。
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「お前ら家族を守る為なら……」
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「いくらでも無茶してやる。」
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「何回でも死んでやる。」
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ドッグの煙草が止まる。
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カイウスも顔を上げる。
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マルケウスも笑わない。
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セトラだけが静かに聞いている。
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ヴォルグラム。
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「何百回でも前に出る。」
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「盾になる。」
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「壁になる。」
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「怪物なら俺が相手してやる。」
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「地獄なら俺が行く。」
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「だから……」
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言葉が止まる。
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少しだけ。
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沈黙。
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そして。
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震えた声。
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「頼む。」
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「死ぬな。」
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誰も動かない。
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ヴォルグラムの目から涙が落ちた。
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ぽたり。
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何百年も生きた男。
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数え切れない死を見た男。
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怪物達を殺し。
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惑星を救い。
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家族を率いた男。
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その男が。
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泣いていた。
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「こんな世界で。」
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「馬鹿な望みだけどよ。」
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「頼むから……」
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「俺より先に行くな……」
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涙が止まらない。
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「お前達は……」
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「何より大切な家族なんだ……」
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「ちくしょう……」
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「頼むから……」
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「死ぬな……」
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男泣きだった。
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子供のように。
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何百年も我慢してきたものが。
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一気に溢れ出した。
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その時。
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少し離れた場所。
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セトラ。
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老王。
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彼は静かに通信端末を操作していた。
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誰にも気付かれないように。
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こっそりと。
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ネヴァーモーン全軍。
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アメストリア全軍。
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レクイエム・オブ・アッシュ全艦。
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全てへ回線を開く。
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誰も止めない。
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誰も気付かない。
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ただ。
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団長の声だけが。
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全軍へ流れていく。
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何千人もの兵士達。
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医務室。
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艦橋。
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機関室。
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格納庫。
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墓所。
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休憩室。
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治療中の負傷兵。
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全員が聞いていた。
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ヴォルグラムの泣き声を。
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「俺より先に行くな……」
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「頼むから……」
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その言葉。
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誰も笑わなかった。
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ドッグがゆっくり立つ。
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煙草を捨てる。
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そして。
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ヴォルグラムの肩を掴む。
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「無理だ。」
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ヴォルグラム。
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「……あ?」
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ドッグ。
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「誰かは先に死ぬ。」
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「俺かもしれん。」
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「団長かもしれん。」
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「王様かもしれん。」
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「誰にも分からん。」
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そして。
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少し笑う。
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「でも。」
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「簡単には死なん。」
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ブラッドレイも立ち上がる。
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「私も約束しよう。」
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「可能な限り生きる。」
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カイウス。
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「同意する。」
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マルケウス。
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「簡単にはくたばらん。」
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リリス。
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「まだ飲み足りないもの。」
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グラッグ。
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「団長ヨリ先ニ死ナナイ。」
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その時だった。
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周囲の兵士達。
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一人。
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また一人。
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立ち上がる。
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「生きます。」
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「帰ります。」
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「死にません。」
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「また飲みましょう。」
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アメストリア兵達も。
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難民達も。
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負傷者達も。
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全員が立ち上がる。
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数千人。
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その全員が。
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酒杯を持ち。
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ヴォルグラムを見る。
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そして。
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「約束します!!」
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「生きます!!」
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「帰ります!!」
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「また宴をしましょう!!」
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その声が。
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朝焼けの空へ響いた。
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ヴォルグラムは泣いていた。
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声を上げて。
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肩を震わせ。
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泣いていた。
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セトラは少し離れた場所でそれを見る。
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ブラッドレイが静かに尋ねる。
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「通信を繋いだのか。」
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セトラ。
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「うむ。」
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「たまにはよい。」
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王は静かに目を閉じる。
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何千年も生きてきた。
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王だった。
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支配者だった。
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だが。
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今。
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彼が見ているのは。
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泣きながら家族を守ろうとする一人の男だった。
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セトラは静かに呟く。
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「良き団長だ。」
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朝日が昇る。
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新しい一日。
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家族達は笑い。
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泣き。
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生きることを誓う。
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その中心。
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ヴォルグラム・ケインは。
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涙を流しながら。
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家族達に囲まれていた。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第五十九章 完
――最も強い男とは、泣かない男ではない。大切な家族を失うことを恐れ、涙を流せる男こそ、本当に強い。――