《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第六十章
《眠れ、団長》
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朝日が昇っていた。
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灰色だった空は少しずつ青みを帯び。
アメストリアの大地に暖かな光が降り注ぐ。
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戦いは終わった。
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怪物は滅びた。
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惑星は守られた。
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家族は生き残った。
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そして今。
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何千人もの兵士達が。
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たった一人の男を見ていた。
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ヴォルグラム・ケイン。
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ネヴァーモーン団長。
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何百年も戦い続け。
何百年も家族を守り。
何百年も死地へ先頭で飛び込んできた男。
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その男は。
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まだ泣いていた。
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「頼むから……」
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「死ぬな……」
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「俺より先に行くな……」
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涙でぐしゃぐしゃになった顔。
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震える声。
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肩を震わせる身体。
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誰も笑わなかった。
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誰も茶化さなかった。
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何百年も見たことのない姿だった。
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いつも笑う男。
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いつも前に出る男。
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いつも「死ぬな」と叫ぶ男。
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その男が。
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初めて弱音を吐いた。
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初めて泣いた。
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そして。
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ようやく。
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全てを吐き出した。
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家族を失う恐怖。
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仲間を失う悲しみ。
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長く生きた者だけが抱える孤独。
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何百年も心の奥へ押し込めていたもの。
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それを全て吐き出した。
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そして。
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数千人の「生きる」という返事を聞いた。
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皆が帰ると言った。
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また宴をすると言った。
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家族だと言った。
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それを聞いて。
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ようやく。
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ヴォルグラムは笑った。
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本当に。
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安心したように。
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小さく。
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「……そうか。」
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静かな声。
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涙を拭く。
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そして。
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力が抜けた。
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ドッグが気付く。
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「おい?」
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ヴォルグラム。
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「なんか……」
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「急に……」
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視界が揺れる。
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耳鳴り。
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身体が重い。
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肋骨。
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肺。
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内臓。
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人工筋肉。
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神経。
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全てが悲鳴を上げている。
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何時間戦った。
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どれだけ出血した。
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何度死にかけた。
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どれだけ無茶をした。
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限界など。
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とっくに超えていた。
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気力。
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責任。
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家族を守るという意思だけで立っていた。
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それが今。
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切れた。
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ヴォルグラムがぼんやり呟く。
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「……眠い。」
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ドッグ。
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「おい。」
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カイウス。
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「団長?」
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ブラッドレイが眉をひそめる。
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セトラが静かに立ち上がる。
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そして。
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ヴォルグラムは笑った。
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「まぁ……」
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「今回は……」
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「頑張った……」
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その言葉を最後に。
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身体から力が抜ける。
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ぐらり。
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前へ倒れる。
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ドッグ。
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「おっと!!」
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ブラッドレイが支える。
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カイウスも腕を掴む。
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しかし。
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反応がない。
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「団長?」
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「おい。」
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「ヴォルグラム。」
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返事はない。
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目を閉じ。
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完全に意識を失っていた。
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医療班が慌てる。
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「運べ!!」
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「血圧低下!!」
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「出血量が多すぎる!!」
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「今まで立ってたのが異常だ!!」
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アメストリアの衛生兵も駆け寄る。
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ドッグが呆れる。
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「ようやく倒れたか。」
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カイウス。
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「遅すぎる。」
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リリス。
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「本当に馬鹿。」
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グラッグ。
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「団長寝タ。」
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マルケウスは大笑いする。
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「ガハハハハ!!」
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「ようやく限界か!!」
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ドッグ。
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「普通はもっと前に倒れる。」
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ブラッドレイは静かにヴォルグラムを見る。
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眠っている。
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子供のように。
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苦しそうだった顔。
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泣いていた顔。
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その全てが消えている。
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ただ。
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疲れ果てて眠る男だった。
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セトラが静かに近づく。
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老王はその顔を見る。
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何百年も共に歩いた男。
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無数の戦場。
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無数の死。
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無数の宴。
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その全てを共にした家族。
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セトラは小さく呟く。
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「よく頑張った。」
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その言葉。
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マルケウスも笑わない。
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カイウスも黙る。
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リリスも目を伏せる。
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グラッグも静かだった。
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周囲の兵士達。
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数千人。
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誰も騒がない。
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誰も笑わない。
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そこにあったのは。
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呆れ。
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心配。
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そして。
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暖かな視線。
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「無茶しすぎだ。」
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「いつものことだ。」
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「団長だからな。」
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「帰ってきたんだ。」
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「ゆっくり寝ろ。」
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若い兵士が毛布を持ってくる。
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アメストリア兵が担架を用意する。
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ネヴァーモーンの兵達が道を開く。
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誰かが酒を供える。
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誰かが笑う。
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「起きたらまた説教だな。」
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「三日は寝るぞ。」
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「いや一週間だ。」
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ドッグが煙草を咥える。
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「起きたら酒飲むんだろうな。」
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ブラッドレイが珍しく笑う。
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「間違いない。」
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グラッグ。
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「肉モ食ウ。」
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周囲が少し笑う。
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そして。
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担架に乗せられたヴォルグラムが運ばれていく。
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朝日がその顔を照らす。
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戦い続けた男。
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家族を守り続けた男。
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泣いて。
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笑って。
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ようやく眠った。
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セトラはその背中を見送る。
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そして。
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静かに言う。
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「眠れ。」
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「今だけは。」
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「団長ではなく。」
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「一人の家族として。」
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アメストリアの朝。
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静かな風。
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そして。
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ネヴァーモーンの家族達は。
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暖かな目で。
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眠る団長を見送るのだった。
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《WARHAMMER 40,000》
NEVERMOURN
第六十章 完
――最も安心した時、人は初めて眠ることができる。家族が無事だと知った時、ようやく英雄は目を閉じるのだ。――