禁忌混成傭兵団   作:甘めのコーヒー

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第9話

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第七章

 

《帰還》

 

 

惑星ネクロス=カーイン。

 

死者の王国。

 

その終焉が始まっていた。

 

 

《星喰らい》主機関暴走。

 

惑星全域で、

超臨界反応発生。

 

大地が裂ける。

 

空が燃える。

 

無数の王墓施設が崩壊し、

数億のネクロン軍団が、

緑色の炎に呑まれていく。

 

 

警報。

 

爆発。

 

絶叫。

 

地獄。

 

だが。

 

ネヴァーモーン全軍は、

笑いながら走っていた。

 

 

「急ゲェェェ!!」

 

グラッグが、

人間兵を肩に担いで疾走する。

 

グラッグ・ドッカ。

 

「飲ミ会ニ遅レルゾォ!!」

 

 

「アンタが一番遅いですよ!!」

 

レオンが叫ぶ。

 

すると周囲が爆笑した。

 

死にかけなのに。

 

全員血塗れなのに。

 

笑っていた。

 

 

第一節

 

崩れる世界

 

《星喰らい》内部通路。

 

天井が落ちる。

 

床が裂ける。

 

超高熱蒸気が吹き荒れる。

 

後方では。

 

王墓執行者の残骸が、

なお動いていた。

 

 

「しつけぇんだよォ!!」

 

マルケウスが振り返る。

 

チェインソード全力回転。

 

巨大残骸を叩き切る。

 

その瞬間。

 

瓦礫崩落。

 

マルケウスが飲み込まれた。

 

 

「マルケウス!!」

 

人間兵が叫ぶ。

 

だが次の瞬間。

 

 

ドガァァァァン!!

 

 

瓦礫が内側から吹き飛ぶ。

 

血塗れのマルケウスが、

笑いながら出てきた。

 

 

「誰が死ぬかボケ」

 

 

全員がまた笑う。

 

狂っていた。

 

本当に。

 

 

第二節

 

沈黙王

 

その頃。

 

崩壊する戦場中央。

 

沈黙王は、

静かに立っていた。

 

 

周囲では。

 

王墓世界が崩れている。

 

数千万年築いた帝国。

 

永遠の王国。

 

その全てが、

終わろうとしていた。

 

 

その前に。

 

ヴォルグラムが立つ。

 

全身崩壊寸前。

 

片腕消失。

 

装甲全壊。

 

だが。

 

まだ笑っていた。

 

 

沈黙王が問う。

 

 

「……何故だ」

 

「何故そこまでして生きる」

 

 

ヴォルグラムは、

少しだけ考えた。

 

そして。

 

肩を竦める。

 

 

「帰る場所があるからだ」

 

 

沈黙。

 

王は初めて、

遠くを見るような目をした。

 

 

「……羨ましいな」

 

 

その言葉に。

 

ヴォルグラムは、

少し驚いた顔をした。

 

 

沈黙王は、

ゆっくり武器を下ろす。

 

 

「行け」

 

 

周囲のネクロン軍勢が、

一斉に停止した。

 

 

「貴様らは」

 

「滅びるには惜しい」

 

 

ヴォルグラムは数秒黙り。

 

そして。

 

ニヤリと笑った。

 

 

「今度酒飲むか?」

 

 

数千万年生きた王が。

 

初めて。

 

ほんの僅かに笑った。

 

 

第三節

 

全員で帰る

 

脱出地点。

 

ネヴァーモーン輸送艇が、

次々着陸していた。

 

 

「急げ急げ!!」

 

「負傷者優先!!」

 

「置いてくぞ馬鹿共!!」

 

怒号。

 

笑い声。

 

爆発。

 

その中で。

 

レオンが気付く。

 

 

「……団長は?」

 

空気が止まった。

 

全員が振り向く。

 

その瞬間。

 

遠方で。

 

 

ドゴォォォォォォン!!!

 

 

超巨大爆発。

 

崩壊する王墓都市。

 

そこから。

 

一つの影が飛び出した。

 

 

ヴォルグラムだった。

 

 

「遅ェぞ団長ォォォ!!」

 

グラッグが大笑いする。

 

ヴォルグラムは着地すると、

血塗れのまま怒鳴った。

 

 

「誰だ置いてこうとした馬鹿はァ!!」

 

 

「アンタです!!」

 

全員が爆笑した。

 

 

その直後。

 

輸送艇離陸。

 

惑星表面から離脱。

 

そして。

 

 

惑星ネクロス=カーインが、

崩壊した。

 

 

白色閃光。

 

超新星級爆発。

 

数千万年の王墓世界が、

宇宙の塵へ変わっていく。

 

艦内は静かだった。

 

誰も喋らない。

 

ただ。

 

その光景を見ていた。

 

 

すると。

 

セトラが静かに呟く。

 

 

「……終わったか」

 

 

ヴォルグラムは、

酒瓶を投げ渡した。

 

 

「落ち込むな骸骨」

 

 

セトラが受け取る。

 

数秒見つめ。

 

そして。

 

静かに飲んだ。

 

 

周囲が騒然となる。

 

 

「骸骨が酒飲んだァァァ!!」

 

 

爆笑。

 

怒号。

 

歓声。

 

艦内が揺れるほどの大騒ぎ。

 

その中心で。

 

ヴォルグラムは笑った。

 

 

「よし」

 

酒瓶を掲げる。

 

 

「宴会だァァァ!!」

 

 

歓声。

 

歌声。

 

笑い声。

 

血塗れの怪物達は、

肩を組みながら騒ぎ始める。

 

 

銀河は今日も狂っている。

 

戦争は終わらない。

 

明日も誰かが死ぬ。

 

それでも。

 

この宇宙のどこかで。

 

禁忌の家族達は、

笑いながら生きていた。

 

 

《WARHAMMER 40,000》

 

NEVERMOURN

 

第七章 完

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