ToLoveる×超宇宙刑事ギャバンインフィニティ 〜零度の蒸着者〜 作:アキ1113
この小説は、ToLoveると超宇宙刑事ギャバンインフィニティのクロスオーバー作品となっています。ラブコメ作品と特撮作品のクロスオーバーを書くのは初めてなのに加え、ラブコメ描写は得意な方ではないので、投稿頻度はゆっくりになると思います。
それでも良い方は、どうぞご覧ください。
ここは地球――――宇宙の片隅にある、生命の生きる星の一つ。
その星の近くで突如、蒼いワームホールが開いた。そしてそこから、先端からは長い砲台が伸び、両側にウイングが展開した銀と黒の宇宙船が出現したのだ。
その宇宙船のコックピット内部――――そこにいる一人の少年が、静かに目を開いた……。
「……」
氷のように青みがかった黒髪、中性的な顔立ち、冷たい印象を与える瞳……だがその奥には、深い孤独が宿っていた。すると……
『地球圏へ到達しました。加えてネガエモルギー反応、彩南町周辺にて複数確認』
船に内蔵されたAIの音声が響いた。それを聞いた少年――冷弩永久は、静かに窓の外を見る。そこには、遠くに見える青い星――――永久の故郷でもある地球があったのだ。
「地球……ここのは久し振りだな」
そう小さく呟く声は、どこか寂しげだった。
『間もなく、本部への入港体制に入ります』
永久は少しだけ沈黙し、そして目を閉じる。脳裏に浮かぶのは――炎、崩壊、誰かの叫び声、そして……血に染まった手。
その光景を浮かべた永久の手が、僅かに震える……。
「……分かった」
その声は、凍るように静かだった。
◇
その翌朝、彩南町にある彩南高校では……
「うわぁぁぁぁぁっ!?」
校舎中に悲鳴が響き渡っていた。その声の主は、この学校に通う結城リトのものだった。そして、廊下を爆走するリトの後ろからは⋯⋯
「リトー!!それ止めてー!!」
「無理無理無理ぃぃぃ!!」
ララの発明品らしき謎メカが暴走しており、リトの方へと向かって来ていたのだ。
「なんで朝からこんなことになるんだよぉぉ!?」
「えへへ、ごめんね!」
ララは謝ってはいたものの、全然反省してない様子だった……その時、
「危ないっ!!」
「えっ?」
暴走メカが、曲がり角の女子生徒へと突っ込もうとしていた。
「きゃっ――!」
避けられない――――そう思った瞬間……
――ガギィン!!
突然、鋭い金属音が響いた。気付けば、暴走していたメカは真っ二つに斬られていたのだ。
その光景を見た生徒たちは黙り込み、廊下は静まり返った。そして斬られたメカの前に立っていたのは、一人の少年だった。少年はこの高校の制服を着ており、長めの髪を後ろでまとめた、中性的な転入生らしき少年だった。
「……危ないよ」
少年は静かな声でそう言うと、女子生徒はぽかんとしたまま頷く。
「え……あ、ありがとう……」
助けられた女子生徒だけでなく、リトも思わず固まっていた……速すぎた。何をしたのか、全く見えなかった。メカを斬ったのだろうというのは分かるが、一体あの一瞬でどうやって斬ったのか……すると、女子生徒に謝ったララが、興味津々な顔でその少年に近寄る。
「ねぇねぇ!今どうやったの!?」
少年は少し困ったように目を逸らした。
「あー……癖、だよ」
「癖でメカ切るの!?」
そう言った少年に、リトのツッコミが響いたのだった。
◇
「初めまして、冷弩永久です」
朝に出会った少年は転入生だったらしく、リトのクラスの担任に促されて自己紹介をしていた。それから、午前中の授業も終わり……
「冷弩くんって、前どこの学校だったの?」
「好きな食べ物は?」
「彼女いるの!?」
「えっと……」
昼休みにクラスメイト達に囲まれ、永久は困惑しながら質問攻めにあっていた。しかも……
「やっぱめっちゃ顔綺麗だよな」
「女子かと思った……」
「髪さらさらだ……」
何故か妙に女子人気が高い。永久はその状況に思わず視線を逸らした……どうやら慣れていないのか、どうやって対応すればいいのか分からない様子だった。その時……
「おーい、ちょっと勘弁してやれよ」
リトが割って入ってくれたのだ。
「気持ちは分かるけど、冷弩も困ってるだろ?」
「あ、ご、ごめん!」
「また後でな!」
リトの言葉に、クラスメイト達は少しずつ離れていく。リトの方に目を向けた永久は、少しだけ驚いた表情をしていた。
「えっと……ありがとう」
「別にいいよ。冷弩、ああいうの苦手そうだったし」
「苦手というか慣れてないだけで……いや、とにかく助かったよ」
◇
その日の放課後、学校の屋上で永久は一人、空を見ていた。そんな背中へ、ある声がかかった。
「おっ!ここにいたのか」
声をかけてきたのはリトだったようで、永久は少しだけ振り返る。
「結城君……何か用?」
「いや、なんとなく。あと、リトでいいよ」
「そっか……」
そう言いながら、リトは隣へ座る。それから少し沈黙が流れるも、不思議と気まずくはなかった。
「お前さ……なんか、ずっと気張ってるよな」
「……」
リトは空を見ながらそう言った。それを聞いた永久の目が、僅かに揺れた。
「……そう見える?」
「うん」
即答だった。
「なんつーか……休み方知らない感じ」
「っ……」
永久は思わず言葉を失った……どうやらリトが言ったことは図星だったようだ。
「もっとさ、気楽でいいんじゃね?」
「……簡単に言うね?」
「まぁな」
リトは笑う。
「でも、俺もお前もまだ高校生だろ?」
その言葉に、永久は少しだけ俯いた。
「高校生、ね……」
その言葉は、永久にとってどこか遠いもののように聞こえた……その時、
――ピピピッ!ピピピッ!
突然、永久の制服のポケットの中から音が響いた。
「冷弩、誰かから電話か?」
それを聞いたリトは、永久のスマホに電話がきたのかと思ったようだが……
「……ごめん。急用ができた」
永久は静かに立ち上がると、昼間までと全く違った冷たく、鋭い声色でそう言い、そのまま屋上を去っていった。
◇
その日の夜、彩南町にある人気のない倉庫街。そこにいたのは……
「これだ……この力さえあれば……!」
黒い服装をした男で、その手には黒い小さなボトルのようなものが握られていた。男はそれを見て、嬉しそうな表情を浮かべていたが……
「そこまでだ」
「!?」
その場所に今までなかった静かな声が響き、その表情が曇った。男が後ろを振り向くと……
「……」
そこには灰色のパーカーに黒いズボン⋯⋯そして、どこか軍服のような黒い上着を着た永久が立っていた。そこには昼間の柔らかさは無く、氷のような瞳に加え、完全な戦士の顔をしていた。
「だ、誰だお前!?」
「銀河連邦警察特捜課所属……捜査官、冷弩永久」
永久は自身の銀河連邦警察の手帳を開き、男にそう名乗った……実は、放課後にリトといた時に鳴ったのはこの銀河連邦警察手帳で、この手帳には通信機能やネガエモルギー反応を検知する機能などが備わっている……今回はネガエモルギーの反応を検知したため、永久はこうして反応のあった場所に向かったというわけだ。
「こ、こんなガキが警察だと……?」
「ネガエモルギア所持の容疑でお前を逮捕する……抵抗しないでくれると嬉しいんだけど」
「くっ……!」
「……」
永久はゆっくりと、氷のような瞳で男を見据えながら近づいていく。すると……
「俺は……俺は……
必ずあいつに復讐してやるんだぁああああああああ!!」
男がそう叫ぶと、ネガエモルギアが共鳴して黒く光り始めた………するとネガエモルギアから、黒と灰色の靄状のエネルギーが放出され、それが形を成した怪物――――エモンズが出現したのだ。
「やっぱりこうなったか……」
それを見た永久はゆっくりと、右手でギャバリオンライフルMKⅡを、左手でレイドーエモルギアを構える。
「……行くぞ」
『エモエモ……!』
そして、永久はライフルにエモルギアを装填すると……
「レイドー!チャージ!」
「……蒸着」
ライフルを自身の右下へと向け、トリガーを引いた。すると……
「レイドー!アクティベート!」
その姿は文字通り一瞬にして変わり、そこには緋色の武士の陣羽織のようなコンバットスーツを纏い、腕や足を氷のような青色で染めた戦士がいたのだ。
『蒸着!それは、ギャバンシステム発動のコマンドだ。では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!』
『蒸着コマンドを受けて、臨海点を超えたエモルギーは、ライフル内に凝縮されたギャバリオン粒子と融合。僅か1ミリ秒でコンバットスーツへと投射形成され、蒸着を完了するのだ!』
「お、お前は……!?」
この一瞬で何が起きたのかが分からない男が、困惑した様子でいると……
「宇宙刑事――――ギャバン・ゼロ」
永久――――ギャバン・ゼロは静かにそう名乗った。
◇
その頃――――
「冷弩のやつ、急にどうしたんだ……?」
リトは帰宅途中、偶然倉庫街近くを通っていた……その時、
―――ガギィィィン!!
「!?」
突然、何かが斬れたような――――リトが今日の朝に聞いた音と、同じような音が聞こえてきたのだ。その音が聞こえた方に向かうと……
『GyAAAAAAAAA!?』
「……」
人間の負の感情によって生まれた怪物――――エモンズが、緋色の戦士――――ギャバン・ゼロに吹き飛ばされ、追い詰められている光景が目に飛び込んできたのだ。
「な、なんだよ……これ……?」
困惑するリトを余所に……
「……ギャバリオンブレード」
『!?』
ゼロは片刃剣型のデバイス――――ギャバリオンブレードを抜刀術の動作をするように構えた。すると、ゼロの身体のラインや目やマスクの部分が光り出し、まるで静かに怒っているような模様が頭に浮かび上がった。
『GyAAAAAAA!!』
「っ!!」
『GyA……!?』
ゼロは向かってきたエモンズをすれ違いざまに斬って仕留め、その後でまるで鞘に納めるような動きをした。そして……
「……終わりだ」
『GyAAAAAA――――』
一刀両断されたエモンズは、黒い塵となって消えていったのだ。
「そ、そんな……!」
ネガエモルギアを持っている男は、ショックなのか膝から崩れ落ちていた。そんな男にゼロは近づいていき……
「ネガエモルギア所持の容疑で連行する……これをどこで手に入れたのか、洗いざらい吐いてもらうよ」
「っ……」
その手に手錠をかけ、ネガエモルギアを回収したのだ。その後ゼロは、容疑者の男をその場に来た銀河連邦警察らしき人物たちに引き渡し……
「――――そこの人」
「っ!?」
「少し話が――――」
隠れていたリトのところに歩いて来たのだ。すると……
「……冷弩……?」
「!?」
リトは思わずそう呟いたのだ。それを聞いたゼロは、思わずリトを見て固まった……どうやら、まさか今日会ったばかりのリトに、正体を見破られるとは思いもしなかったようだ……。
「……」
「あっ!いや、えっと……」
リトは自分でも無意識に出た言葉に、思わず慌ててしまっていたが……
「はぁ……」
ゼロは静かに息を吐くと、レイドーエモルギアをライフルから外し……
「!……冷弩……」
「……」
リトの目の前で蒸着を解除したのだった……。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
永久は、絶対零度の怒りの感情を宿したレイドーエモルギアをギャバリオンライフルMKⅡという、ギャバリオンライフルをギャバリオントリガーの色にしたアイテムを使い、宇宙刑事ギャバン・ゼロへと蒸着しています。
見た目はギャバンブシドーをベースに、口元や頭はギャバンインフィニティと同じようになっており、全身を緋色に染めて腕や脚が白いに近い蒼色へとグラデーションがかかったスーツを装着しているというイメージです。
ちなみに序盤に出てきた宇宙船は、アークギャバリオンをコスモギャバリオンの色にしたものとなっています。
今回の話で、原作主人公であるリトと出会い、永久の秘密もバレてしまいましたが、ここからどうなっていくのでしょうか……。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いします。