ToLoveる×超宇宙刑事ギャバンインフィニティ 〜零度の蒸着者〜 作:アキ1113
それでは、どうぞご覧ください。
ある日の放課後の教室で、永久は静かに鞄を肩へ掛けた。
「それじゃあ」
そして、誰に向けるでもなくそう言って席を立った……その時、
「待ったー!」
元気な声が教室に響いた。永久は嫌な予感がしたが、その声の主は振り返るまでもなくララだった。
「今日はどこ行くの?」
「いや普通に家に帰るだけ――――」
「嘘だ!」
「なんでそうなるんだ……」
即座に否定されてしまった。その隣ではリトが苦笑していた……ここ数日、ララは永久の秘密を知ってからというもの、以前にも増して彼に興味を示していた。
それは無理もないのかもしれない……宇宙人の王女であるララから見ても銀河連邦警察は兎も角、宇宙刑事というものは全くもって未知の存在なのだ。
「絶対何かある!」
「ないよ」
「ある!」
「ない」
「ある!」
「ない」
「ある!」
「……」
永久は小さくため息を吐いた……その時、鞄のポケットに入れた永久の銀河連邦警察手帳が微かに振動した。それによって、永久の表情が僅かに変わった……そして、それを見逃すララではなかった。
「今、何か来たよね!?」
「気のせいだよ」
「来たよね!?」
「気のせい」
「絶対来た!」
そんな様子を見ていたリトが、横から口を挟む。
「永久、もう諦めろ」
「リトまで……」
その言葉に、珍しく困ったような顔をする永久だった。
◇
その夜、人気のない倉庫街に来ていた永久は、誰もいないことを確認すると……
『こんばんは、永久』
「こんばんは、アルマ」
手帳からアルマを呼び出したのだ。
『本部より定時連絡です』
するとアルマは、周囲へ複数のウィンドウを展開した。そこにはこの宇宙の地図にそこで起きた詳細な犯罪発生記録など、どれも地球では得ることができない情報だった。
『加えて、付近にネガエモルギー反応を確認』
「!……情報のあったネガエモルギアの売人か……」
そう、永久はこの近くでネガエモルギアの取引が行われるという情報を得ており、任務で証拠を押さえて逮捕するために夜にこの場所へと来ていたのだ。
『可能性は高いです。引き続き警戒してください』
「分かった」
『それと――――』
報告を終えたアルマが、何故か一瞬だけ沈黙する。
『後方を確認してください』
「……?」
永久が振り返るとそこには……
「「あ」」
「……」
ララとリトがいたのだ。
「やっほー!見つかっちゃった!」
「だから言っただろ……」
そんな2人を見た永久は、ため息をつきながら静かに額を押さえると……
「……なんでいるの?」
呆れたように2人にそう訊いた。
「え、えっと――――」
「もちろん気になちゃって!」
「だと思ったよ……」
永久は呆れたような様子でそう言うと……
「このままいてもいいから、静かにしていてよ?」
「分かった!」
「……」
2人――――特にララの方を向いてそう言ったが、笑顔でそう返事してきたため、永久はさらに内心不安になっていた……。
「ねぇねぇ!その娘は誰?」
『こんばんは、ララさん、リトさん。私は、永久のサポートAIとして行動を共にしているアルマです』
「よろしくね!私のことはララでいいよ!」
「俺もリトでいいよ」
『はい、よろしくおねがいしますね』
そうして、アルマがララとリトと挨拶を交わすと……
「ところでさ、さっき静かにって言ってけど……何かあるのか?」
リトが永久にそんなことを訊いてきたのだ。
「何かって――――っ!静かに」
「「!」」
すると、何かを感じた永久が2人に息を潜めるように合図した。それから数秒後……
「……時間通りだな?」
「あぁ……早速本題に入らせてもらっても?」
「もちろんだ」
永久たちの目線の先には、数人のヤクザのような格好をした男たちと、黒いロングコートを着てフードで顔を隠した何かのケースを持った男がいたのだ……このフードを被った男こそ、銀河連邦警察からの情報にあったネガエモルギアの売人で、今はその取引の真っ最中というわけだ。
「……金は?」
「おい」
「は、はい!」
そして、ヤクザ側にの1人が黒いケースの中身を見せた。その中には札束が大量に入っており、ネガエモルギアが高額で取引されていることが分かる……。
「ふむ……確かに」
そうして、売人が金を受け取った直後……
「そこまでだよ」
『!?』
永久はその男たちの前に姿を現したのだ。
「だ、誰だお前!?」
「銀河連邦警察特捜課……冷弩永久」
『!?』
「け、警察だと!?」
「ま、まさか最初から見られて……!?」
「その通り……取引現場は最初から見させてもらった。お前たちをネガエモルギア所持及び違法取引の現行犯で逮捕させてもらう」
永久はそう言うと、ヤクザたちと売人に向かって迫っていく。
「ど、どうすりゃいいんだ!?」
「ちっ!警察だといっても相手はガキ1人だ!やれ!!」
ヤクザたちは、永久を所詮子供だと侮って一斉に襲いかかるが……
「っ!」
「うおっ!?」
永久は若くして銀河連邦警察特捜課に所属し、さらには宇宙にただ1人しかいない『宇宙刑事ギャバン』の称号を持つ者。そんな永久に、ただの地球のヤクザ連中が敵うはずもなく……
「うっ!?」
「ぐおっ!?」
「ぐぇ!?」
永久は今まで独学で習得してきた様々な格闘術により、僅か数秒でヤクザたちを制圧してしまったのだ。
「つ、強い……!」
「わぁ……!」
隠れてその様子を見ていたリトとララも、思わず驚いた反応をしていた。
「さて……」
「ひ、ひぃ!?」
「っ……」
永久は冷たい視線をヤクザのボスと売人に向けており、ヤクザのボスは思わず腰を抜かしていた。すると……
「……やむを得ないか」
売人は取引したネガエモルギアを1つ取ると……
「来い!」
ネガエモルギアを拳銃型のデバイスにセットして引き金を引くと、そこからエモンズを生み出したのだ……本来、エモンズは所有者の感情に共鳴して現れるものだが、この売人の持つデバイスはそれを強制的に引き起こすことができるようだ。それに対し……
「……行くよ」
『エモ……!』
「レイドー!チャージ!」
「……蒸着」
「レイドー!アクティベート!」
永久はギャバリオンライフルとレイドーエモルギアと取り出すと、冷静にギャバンゼロへと蒸着を果たしたのだ。
『蒸着!それは、ギャバンシステム発動のコマンドだ。では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!』
『蒸着コマンドを受けて、臨海点を超えたエモルギーは、ライフル内に凝縮されたギャバリオン粒子と融合。僅か1ミリ秒でコンバットスーツへと投射形成され、蒸着を完了するのだ!』
「ぎ、ギャバンだと……!?」
『GyAAAAAAA!!』
ゼロを見た売人は、子供だと侮っていた相手がまさかギャバンだと予想だにしていなかったのか驚愕しており、エモンズは本能的にまずいと判断したのか、すぐさま襲いかかってきたが……
「っ!」
『GyA!?』
ゼロのライフルによる精密射撃により、圧倒されていたのだ。さらに……
「しっ!」
『GyA!?』
「はぁっ!!」
『GyAAAAAAAAAA!?』
ゼロはギャバリオンブレードによる剣技で、エモンズを倒す寸前まで追い詰めていく。そんな圧倒的に振りな状況を見た売人は……
「こうなったら……開け!!」
自身の後ろに向けて引き金を引くと、そこに黒い怪物のような顔をしたゲートを開いたのだ。
「な、なんじゃありゃ!?」
「……魔空空間」
「魔空空間……?」
その先に広がっているのは魔空空間と呼ばれるもので、無数の次元が複雑に絡み合い、時間や空間さえも乱れている世界で、その中には上下に廃墟のビルが無数に立ち並んでいるという混沌とした光景が広がっていた。加えて、その空間内には瘴気が満ちており、普通の人間が足を踏み入れたり吸い込まれてしまったが最後……身体を引き裂かれ、消滅してしまうのだ……。
「さらばだ!」
すると、売人は腕時計型のデバイスを起動させて自身の周りに障壁を展開すると、エモンズと共に空間内に逃げてしまったのだ。
「お、おい逃げていくぞ!?」
「どうするの?」
リトとララがそう訊くと……
「アルマ」
『了解です、永久たちのいる座標に送ります』
「送る……?」
ゼロはアルマに何かを指示した。アルマはその意図が分かっているのか、何かをゼロたちのいるところに送ってくれるようだ。それから数秒も経たないうちに……
『コスモギャバリオンMKⅡテイクオフ!』
空に蒼いワームホールが開き、そこから永久の宇宙船である『コスモギャバリオンMKⅡ』が出現したのだ。
「すごいすごい!」
「嘘だろ……」
それを見たララは目を輝かせており、リトは驚愕した様子でいた。それから、ゼロがコスモギャバリオンMKⅡに乗り込もうとすると……
『2人も乗ってください』
「え?」
何とアルマは、2人も乗るように提案してきたのだ。
「……分かった。このまま魔空空間に突入するから、2人も一緒に来て」
「いいの!?」
「はぁ!?だ、大丈夫なのか……?」
アルマの考えを察したゼロも、2人に船へ乗るように言った。
「船の中なら危険はない。あと、近くじゃないと2人を守れないから」
「な、なるほど……」
どうやら2人をここに残して行くより、近くにいてもらった方が安全だと考えたらしい。
「じゃあ2人とも僕に掴まって」
「はーい!」
「お、おう―――って、まさかお前このまま――――」
「こっちの方が早い」
「早いって――――うわぁあああああああ!?」
2人を自身に掴まらせ、そのまま船へと飛び乗ったゼロは、魔空空間へと突入していった。
◇
「な、何だこれ……」
「不思議だね〜?」
魔空空間内の光景を見た2人は、思い思いの反応をしていた。
「絶対に外には出ないでよ」
「で、出たら……?」
「引き裂かれて消滅する」
「……」
「じゃあ、何で逃げた人たちは大丈夫なの?」
「この空間で活動するためのデバイスを使ってるのが見えたから、それで入っても大丈夫なんだろうね……ちなみにこのコンバットスーツを装着していれば、魔空空間内でも活動は可能だよ」
「へぇ……!」
「す、すごいな……」
その説明にララは興味津々と言った様子でおり、リトは戸惑い半分驚き半分といった様子でいた。
『永久、容疑者とエモンズを捕捉しました。さらに、空間内に正体不明の物体を確認』
「物体……?」
「ねぇ!あれ!」
ララが指差した先には、黒い要塞とも言える物体が浮いていた……どうやらあそこが、売人がネガエモルギアをばら撒くために作った拠点のようだ。尤も、こんなものを1人の売人だけで作れるはずがないのだが……。
「アルマ、2人を頼んだ」
『了解です!私の方であの物体は破壊しても?』
「任せたよ」
『はい!』
そう言い残して永久は、逃げていく売人とエモンズのところへ向かっていった。
◇
「ちっ!まさかあのガキがギャバンだとはな……!」
売人は悪態をつきながら、エモンズと共に魔空空間内を逃げていたが……
「いた」
「なっ!?」
『!?』
すぐに後を追ってきたゼロに行く手を塞がれてしまったのだ。
「俺の邪魔をするな!!」
売人はネガエモルギアの力なのか、周りの瓦礫を浮かせてそれらを飛ばすことで攻撃してきたが……
「っ!」
「!?」
それをゼロは得意の剣技で全て斬ることで、攻撃を防いでいく。そして……
「……終わりだ」
ゼロはギャバリオンブレードを構え、すぐさま得意のスピードで駆け出すと……
「ふっ!」
「ぐあっ!?」
「はぁっ!!」
『GyAAAAAAAAAA!?』
売人のデバイスを破壊し、その流れでエモンズにとどめを刺したのだった。
◇
永久が売人たちを追いかけていった後、船の中では……
『さて……少し手荒になりますので、ララとリトは掴まっていてください』
「「え?」」
『いきます……
強襲フォーム、変形開始!』
アルマがそう言うと、船の後ろに巨大エモルギアユニットの1つであるジマンゲータGC-Rがドッキングし、その直後から何かに変形し始めたのだ。それは段々と人型へとなっていき……
『ジマンゲーターGC-R!』
『コスモギャバリオンMKⅡ GC-R』という左腕にライフル砲を装備した巨大ロボへと変形を遂げた。この強襲フォームこそがコスモギャバリオンMKⅡのもう1つの姿であり、他にも右腕にユニットを換装することで様々な状況に対応可能となる……ちなみにこの形態は本来、ゼロが操縦するのが基本だが、今回のようにアルマが操縦することも可能となっている。
「永久もアルマもすごいよ!!」
「何でもありかよ……」
ララは相変わらずと言った感じの反応だったが、リトはもう驚き疲れたという様子でそう呟いていた。
『いきます!』
コスモギャバリオンMKⅡを操縦しているアルマは、ライフル砲にエネルギーをチャージしながら要塞に狙いを定め……
『発射!』
『エモーショナルバースト!』
「「!?」」
ビームで要塞の中枢機関を撃ち抜き、一撃で売人の拠点を破壊した。すると……
『アルマ、こっちは終わった』
『了解です、すぐに回収します』
売人を捕らえたゼロから通信が入ったため、アルマはコスモギャバリオンMKⅡでゼロたちを回収し、魔空空間から脱出するのだった。
◇
ゼロは全員で魔空空間を脱出した後……
「これで……!」
『エモーショナルバースト!』
魔空空間のゲートに向かってコスモギャバリオンMKⅡのビームを放ち、強制的に空間を閉じさせた。その後、売人は駆けつけた銀河連邦警察の捜査官たちに連行されていった……。
『お疲れ様です、永久』
「アルマもね」
その様子を見て、永久とアルマが互いを労っていると……
「永久ー!アルマー!」
「2人ともすごかったよ!」
リトとララが2人のところに駆け寄ってきた。そして、ララの純粋な称賛に対し……
『ありがとうございます』
「……」
永久は『このくらい普通だよ』と言うかとアルマは思っていた……が、
「あ……ありがとう……」
『!』
永久は小さい声ながらもそう言ったのだ。それが予想外だったのか、アルマは少し驚いた様子でいたが……
『……少し変わりましたね、永久』
微笑みながら、そう呟くのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます!
今回はコスモギャバリオンMKⅡやアルマが活躍する回でした。ちなみにこの宇宙の銀河連邦警察では、強襲フォームへの変形などの全権は永久に一任されており、現場判断で変形することが可能となっています。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いします。