転生したらミュトスの身体でテイワットにいた件 作:dark9486
正直かなり前のストーリーは忘れてる部分が多く頑張って見返しております…
第15話 閉ざされた『永遠』へ
「……長かったな」
あの後クライヴは璃月七星に任意同行(半ば一方的)を求められ自身の力のことについて質問攻めに会っていたのだ…
長くなるためか一時の休憩を挟む間…
「私の膝枕はどうかしら…?痛くはない?」
何故か休憩室で刻晴に膝枕をされているクライヴなのであった
「いや…痛くはないが……この状況は色々と不味い気が…」
「…嫌なの?(ウルッ」
「うっ…!い、嫌ではないさ!ただ君は辛くはないかと思ってな…」
「あら、辛くはないわよ?こんなこと貴方にしかしないし…/////」
「そうか…だと…してもあまり…こういう…こと…は…」
度重なる戦い、そして召喚獣の顕現による疲れていたのか…そう言い終わる前にクライヴの意識は離れていった。刻晴はクライヴの髪を優しく撫でながら微笑む
「ふふ…寝ちゃったのね、まだ時間はあるしゆっくり休むと良いわ……い、今ならキスしても…バレない…わよね?」
刻晴がそっとクライヴの無防備な顔に口を近付ける…
「あら?無理やり唇を奪うのは乙女としてどうなのかしらね?」
ふと後ろの戸から声をかけられ刻晴が慌てて振り向くとそこには蒼と黒の混じった髪色をした女性がもたれかかっている
「い、『夜蘭』!?いつからいたの!?」
「たった今よ?凝光から彼を呼んできて欲しいと言われたのだけど…お邪魔だったかしらね?それに彼の様子を見るに疲れが溜まっているみたいだし、彼女にはもう少しだけ休ませてあげてと伝えておくわ…ごゆっくり?」
『夜蘭』は刻晴を見てクスっと笑い部屋を出ていった…
「うう…////絶対に後で凝光にも揶揄られるわ…////」
その後数十分程で目覚めたクライヴはまた凝光からの質問に答え、璃月にとって危険はないと判断され解放された
そしてクライヴは冒険者協会へとすっかり忘れていた報酬の受け取りに向かう。受付のキャサリンから何故かもう色々とボロボロなことに少し心配そうな顔をされたが適当に誤魔化して報酬金を貰い、璃月港から海の向こうを眺める
「次は…稲妻か……」
ポツリとクライヴは言葉をこぼす
《永遠の国 稲妻》
文化形式としてはクライヴの前世にいた国『日本』…それも『江戸時代』に近く建築も藁や瓦といった古風な見た目のものが目立ち、その食文化も独特な発展を遂げている国である
だが今現在の稲妻はその国の七神である『雷電将軍』により鎖国が敷かれ、その影響で稲妻の周囲は常に嵐に覆われ並の船では近づく前に沈没してしまう状況である…
さらに将軍は自身の掲げる『永遠』の妨げになるとして神の目を持つ者からそれを奪う『目狩り令』という行為も横行しており…それに目をつけたファデュイが『天領奉行』と癒着して『邪眼』の工房を設置するなどかなり情勢は悪いといえる…
「なにがなんでも行かなければな……」
だがそれでもクライヴには行きたいと思う理由があったのだ
「だって…和食食べたいんだもん…!!!」
ここテイワットの食事は国ごとに様々な文化があるため目新しく新鮮ではある
だがクライヴの『中身』は生粋の日本人…いかに他国の料理が美味かろうが故郷の味は忘れられないのである。だからこそ文化が似ている稲妻にはなんとしてでも行きたいと固く誓っているのだ……要はホームシックである
「さて…問題はどう行くかだな……旅人は恐らく『死兆星号』で行くだろう…俺も一緒に乗せてもらうよう頼んでみるか?……またもみくちゃにされそうだな…」
クライヴは腕を組みう~ん…と唸りながら考えているとふと閃いた様子で
「そうだ!『イフリート・リズン』になって飛ぼう!少々目立つかもしれないが召喚獣なら雷撃にも耐えられるし手っ取り早いな!よし…!そうと決まれば早速…!」
クライヴは意気揚々と璃月を見下ろせる場所まで移動し、イフリートに顕現すると猛スピードで海の向こうへと飛び立つ…その光景を璃月の民達は呆気にとられながら眺めていた
「うおっ!?クライヴのやつ何してんだあっ!?」
それを見ていた一人であるパイモンは口元に食べカスを付けながらクライヴが行く先を目で追う
「あの方向…多分彼も私たちと同じで稲妻に行くつもりなんだと思う」
「だとしても目立ちすぎだろ!?あんなことしてまで行きたいのかよ!」
「もしかしたら彼にも何か大事な使命があるのかも……」
パイモンに対して旅人はそう答えるが実際はただどうしても和食が食べたいだけなのであることは知る由もなかった…
─────稲妻近海にて
バチバチッ…!
ズドオオオオオオンッッ!!!
稲妻に近づくにつれて激しい雷撃がクライヴの体にぶつかるがクライヴは動じずに飛び続ける
『凄まじい威力だ…が、思った通り耐えれる…!このまま突っ切る!』
ゴオオオオオオオッ!
地面を確認したクライヴは周りに人がいないか見回した後爆音とともに着々し、元に戻る
「ここは、『名椎の浜』か…なら『鳴神島』は向こうだな…急いでここを離れないと『幕府軍』が来てしまう」
クライヴは手荷物を確認し歩きだす…それから道中の魔物や追い剥ぎ狙いの浪人を片手間に片付けながら建物の見える場所に着く
「(『九条陣屋』には着いたが…今の俺は不法入国者だから止められるだろうし避けていくか)」
そうクライヴは街道を外れようと踵を返すが…背後から気配を感じる…
「そこで止まれ、貴殿『海祓島』の方角から来ていたな?まさか反乱軍か?」
そう呼び掛けられ振り向けば既にクライヴの眼前に弓を構え、片方の翼を生やした黒髪の女性が立っている
「……離島に向かうはずの商船が途中で沈没してしまってな…行く当てなく歩いていた所だったんだ、助かったよ…(『九条沙羅』か…今この場所でやり合うのは不味い…)」
『九条家』の一人であり天領奉行を担う大将である『九条沙羅』
彼女は稲妻において『天狗』の一族でもあり幼き頃より九条家に養子として迎えられ、以来将軍に最も忠実な臣として遣えている。
「ほう…?であれば何故街道を避けようとした?それはつまり『幕府に見られると不味い』という意図を持った行動に見えるが、答えてもらおうか」
彼女の鋭い眼光がクライヴに向けられる…
「船も乗組員も、俺以外は全て海の底に沈んでしまって何も証拠がない以上、あんたにとって俺は『不法入国をした不届き者』に映るだろう?それはあんたの部下も他の幕府軍も同じだ。だから声をかけられる前まではあんたの言う通り『見られると不味い』状況だったから人目を避けようとした…」
だがクライヴはそんな彼女に臆すことなくまっすぐ向き直り
「それに…あんたは眼を見た限りきっと『真面目』な性格だ。さっきだって撃とう思えば何時でも撃てたのにしなかったろ?だから今も逃げずにあんたの話を聞いてるしあんたも俺の言葉に耳を傾けてくれているだろう?」
「…………」
その答えを聞いた沙羅は少し考えたような顔をした後、弓をゆっくりと下ろす
「……なら私の後について来い。貴殿の処遇については天領奉行が対処する」
「話を聞いてくれて感謝する」
そこから二人は稲妻城へと向けて歩みだす。その間クライヴは将軍とはどういった人物像なのかを沙羅に聞けば途端に早口になり饒舌に語り始め、少しばかり空気が和ませているとクライヴはふと足を止める…
「…ん?どうした?」
「……囲まれてる」
「……この私に気配を悟らせないとは、不覚だ」
「いるのはわかっているぞ、隠れてないで出てきたらどうだ?」
ガサガサッ…
ガバッ!
クライヴが茂みに呼び掛けると4人ほどの浪人集団が飛び出してくる…
「ちっ!バレたならば仕方ない……!天領奉行の大将『九条沙羅』!その命貰い受けるぞ!いやあああああっっっ!」
バチバチ…!
「『ラムウ』!!!」
『パイルドライブ』
ビシャアアアアアアアアンッ…!
「ぎにゃああああああああっっっ!!!」
浪人達は一斉に斬りかかろうとするがその刃は彼女に届くことなくクライヴの手から迸る豪雷によって吹き飛ばされる…
突如として起きた事に沙羅は目を丸くする
「貴殿…!神の目もないのに元素を扱うのか!?」
「黙っていてすまない、だがあんたを守るにはこれしかなかった。こういう『体質』でな」
「悪いが、『それ』についても調べさせて貰う……だが助けられたのは事実だ。ありがとう」
「礼はいいさ、あんたが無事ならよかった」
「さて、こいつらも稲妻城に連行する。手伝ってくれるか?」
そのやり取りの後二人は襲ってきた浪人達を縛りあげ、計六人の大所帯で稲妻城に向かって歩き始める。
2時間ほど経ち人の往来も増え始め、クライヴの眼前に大きな城下町が見える
「着いたか…鎖国している割には活気があるな」
「『稲妻』へようこそ、冒険者。観光したいのは山々だろうがとりあえず我らの本拠地へ行くぞ」
─────『稲妻城 天領奉行所』
「着いたな、ここが我らが奉行所だ。こいつらは檻へ連れていくが貴殿に関しては私が将軍に報告をしてくるから処罰を待っていてくれ…貴殿の人柄を疑るわけではないがくれぐれも逃げようとは思わないことだ。私も恩人を撃ちたくはない。」
「ああ、わかった。」
「それと、ここまで何も口にしていないだろう?食事を用意してある。もうすぐ給仕が客間まで案内してくれるはずだ。まずは英気を養うといい」
それを聞いたクライヴはおもむろに立ち上がる。何せ待望の和食を食べれるという機会に加え璃月からここまで腹に何も入れていないため空腹であった。
「つまり…稲妻の食事が食べられるのか!?」
「あ、ああ…では私はこれで」
そのキラキラした瞳で見つめられた沙羅は少し面食らった反応をするが、気をとり直して部屋を後にする…
クライヴはこれから処遇を受けるというのにわくわくした表情で待っていると襖が静かに開く
「お客人、お食事の御用意が出来ましたのでこちらへ」
給仕の女性に声をかけられクライヴは待ってました!と言わんばかりに立ち上がり浮き足立つ様子で客間へ通される…そして部屋に入ったクライヴの眼前には見るも鮮やかな料理が並び、思わず感嘆の声をもらす
「おおおおお……!」
天麩羅、刺身、といった豪華な品に加え季節の野菜の入った御浸しや漬物、そして何より豆腐とワカメの入った味噌汁…どれも彼にとって馴染みのあるご馳走がずらりと所狭しに揃っていた…
「御代わりも御座いますので必要あらばお声かけ下さい、ではごゆるりと…」
そう言い給仕の女性は部屋を後にする…クライヴはドカッと敷かれた座布団に座り稲妻式の会釈をした後、天麩羅ではなく味噌汁に手を伸ばし一口啜る…
ズズッ…
途端に鼻から抜ける味噌の香り、味の基本は白味噌なためか後から優しい風味が口内に残る…そしてワカメのシャキシャキともグニグニとも言えない絶妙な歯ごたえに絹ごし豆腐のツルッとした舌触り……久しく味わう故郷《日本》の味に気付けばクライヴの目からひとすじの涙が零れ落ちる…
「ああ……美味い……」
ポリッ…ポリッ…
「この浅漬けもいい漬け具合だな……久しぶりに食べるとこんなにも染みるものなのか……和食万歳っ!!!」
そこからはもうひたすら我武者羅に箸を料理に伸ばし続け、時々御代わりをしながら後悔の無いよう食いに食いまくるクライヴであった……
─────『稲妻城 天守閣』
「報告は以上です将軍様……して、彼の処遇は以下ほどに致しますか?」
「神の目を持たずに元素を扱える者…ですか」
「はい、命を助けられた身とはいえ彼の力は未知数…将軍様の求める『永遠』の妨げになるやもしれません」
沙羅が跪く先、物見台から城下町を見下ろす厳格な女性…『雷電将軍』は沙羅の報告を受け、思案の後静かに言葉を紡ぐ
「ならば彼が『永遠』の敵であるかどうか見定める必要があります……沙羅、貴女に彼の監視を命じます。必要とあらば貴女自らが処することも許可します。」
「承知致しました。必ずや将軍様のご期待に添えるよう務めます」
将軍からの御達しを受けた沙羅は天守閣を後にする…そして門を出た彼女はホッと胸を撫で下ろした
「一先ず彼が裁かれないのはよかった……だが油断は出来ないな」
「うっぷ……調子に乗って食べすぎた……これじゃパイモンと変わらないじゃないか…」
そんな彼女の心配を他所にクライヴは腹をパンパンに膨らませ客室の布団で横になっているのであった……
ガラッ…
ふと襖が開き、クライヴが慌てて起き上がると沙羅が部屋に入ってきた
「貴殿の処遇が決まったぞ」
「そうか…で、俺はどうなる?」
「将軍様は貴殿を監視せよとのことだ。その為に貴殿には我ら天領奉行の一員として暫く働いてもらうことになる」
その言葉を聞きクライヴは檻に入らないだけマシかと安堵すると沙羅に質問する
「それは構わないが…いいのか?」
「我々の所に置いた方が監視が行き届きやすい、それに貴殿の実力は先ほど見たばかりだ。無論、相応の報酬は出すつもりだが」
沙羅の言葉にクライヴは待ったをかける
「報酬はいい……変わりに…」
「変わりに?」
沙羅は怪訝な顔をするが次にクライヴの口から出た言葉は…
「ここでの衣食住を許しても構わないか?いや、最悪『食』だけでいい…ホントに美味かった…」
沙羅が思ったよりも小さなことであった…沙羅は無欲な御仁だと少し笑みを浮かべ
「なんだそんなことか?我々が監視する以上ここで生活してもらうのだから気にしなくてもいい。それにここの食事を気に入ってくれたのなら家の者達も鼻が高いだろう」
そう返事を返す…それを聞いたクライヴは立ち上がり…
ギュッ…!
沙羅の両手を強く握りしめた
「なっ…!?////」
いきなり手を握られた沙羅は思わず赤面する…が、そんなことを露知らずクライヴはさらに力強く握る
「ありがとう…!ホントにありがとう…!俺に出来ることなら何でも言ってくれ!」
そう言い先程のように目を輝かせる彼に沙羅は顔を逸らす
「わ、わかった…だから…手を離してくれ////」
「ああ…すまない、稲妻の食事を堪能出来ると思うとついな…これから宜しくな、沙羅」
「ああ、こちらこそ宜しく頼む」
初めはどうなるかと不安であったクライヴだが、久しぶりの和食を食べ満足しながらその晩は床に着くのであった……
さて、また新しく現地妻を生産しそうなクライヴ君…そのうち本当に刺されそうですな(笑)
次回は天領奉行でのお仕事がメインになります