幻想からの帰還者   作:兼永一真

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尋問もしくは拷問

「あれはなんだ」

 

管狐(くだぎつね)外道(げどう)飯綱(いづな)ともいう使い魔、式神の一種だ。そんなことよりもだ、克人。司甲はどこにいる」

 

「まだ意識が混濁しているらしい。」

 

「ほかのやつらは回復してるのにか?やっぱおかしいな」

 

こうなるのは俺が知っている限りよっぽど精神が弱い場合だけだ。だが剣道部の主将をやっている奴がたかが幻術の回復にここまで時間をかけるほど精神が弱いとも考えずらい。

 

「なんか変な物でも食ったのか?」

 

一旦、容態を見るために保健室に行く。

 

「失礼します」

 

「雨夜君。ちょうどいいところに」

 

保健室に入るとほのかの治療をしている女性に声をかけられる。彼女はたしか小野遥だったか。

 

ーーちなみに家の調査によって公安庁の人間であることが分かった。基本的には利害が一致するだろうし今のところはどうこうする気はない

 

「どうかしましたか」

 

「あの狐?の爪が頬に掠ってたみたいで、消毒はしたんだけど感染症とか大丈夫なのかなって。病院とか行かせるべきかな」

 

「多分、大丈夫です。あれは別世界の妖怪なんで」

 

影狼たちから感染症なんてかかったことがないから多分大丈夫だとは思うが、心配ならば病院に行っておいた方がいいだろう。

 

「まぁ心配なら病院行った方が良いとは思いますよ」

 

「それなら一応、手配しておきましょうか。」

 

病は気から。とも言うし不安ならば行くべきとは思う。今見る感じは変な物はついてないし大丈夫だろうが

 

「ーー司甲の容態は?」

 

「今はまだ混乱してるみたいだけど、しばらくしたらおうちの方が迎えに来るって」

 

「そうですか」

 

責任を感じないわけではないが、それよりも竹筒の事を聞く方が先決だ。だが、俺のサードアイはこういう状態の相手には使い物にならない。

結局のところ、待つしかない

 

今日のところはどうしようもないので風紀委員の報告書を書こうと風紀委員会室に向かう。

 

「来たか。そこに座れ」

 

部屋の中には達也と菫子、そして向かい合うように座っている摩利がいた。

 

促されるままに菫子の隣に座る。

 

「単刀直入に聞く。あれはなんだ」

 

「管狐。別世界の妖怪で、式神とか使い魔の一種だ。普段は竹筒の中に入れられてる」

 

「でも、前見たときはあんなに大きくなかった気がするんだけど」

 

「それは分からん。」

菫子の質問にそう答える。俺だって管狐と言えばイタチぐらいの大きさのやつしか知らないもん

「その竹筒を、多分司甲が持ってた。でもあいつは意識混濁で尋問できそうにない」

 

「それに変なんだよ。」

 

一拍おいて切り出す。

 

「管狐は本来喚起魔法の中でも最高レベルの難易度を誇る妖怪だ。はっきり言って二科生が使えるような魔法じゃない」

 

正確には口寄せで喚起魔法とは違うのだが、まぁ大体似たようなものだ。

 

「ーーつまりはその竹筒を司先輩に持たせた何者かがいると」

 

「そういうことだ、達也。そういう訳で摩利、司甲が復帰次第伝えてくれ。ここでごu...尋問するから」

 

「今拷問って言いかけなかった?」

 

「必要ならやらざるを得ないな。とはいえ今日できることは何もなさそうだし終わりにするか。あ、報告書は後日でいいか?」

 

「好きにしろ。どうせ詳細な報告書などお前にしか書けないんだからな」

 

「そ。じゃ、帰るわ」

 

荷物をまとめて帰ろうとするが達也に呼び止められる。

 

「あの飛行魔法はなんだ?」

 

「私のは超能力で浮いてるだけ」

「俺のは古式魔法だ。汎用的じゃないからお前の要望には応えられんぞ」

 

加重系魔法の難問のことを言ってるんだと思うが、俺たちの飛行に汎用的の3文字はない。

 

「菫子の方は分かるがお前の方はどうやって飛んでるんだ」

 

「それは簡単だ。まず箒に乗るだろ、箒に魔力を込めて落ちることを忘れて飛び上がる。それだけ」

 

そうしてもう一度飛んでみせる。

 

「な、参考にならんだろ」

 

「あぁ、参考にならないな」

 

 

 

 

「それでどうするの」

 

「どうしようもないだろ。一旦は調査待ち」

 

缶ビールを2本、冷蔵庫から取り出し1本を菫子に渡す

 

シュワシュワとした炭酸の感触と独特の苦み。やっぱり酒は良い

 

「おつまみは~?」

 

「今日のは鶏皮ポン酢だ。あとちょっとしたら夕飯もできるから待ってろ」

 

「美味しい。やっぱチグサッチ料理うまいね」

 

「当然だ」

 

そもそも忍びの訓練の一つで料理ぐらい習わされるからな。そのうえ紅魔館やらでだいぶ作ってたおかげで腕も結構上がった。

 

「ーーよく分からないのは何で管狐なんて持ってたかってことなんだよな。本来あいつは警戒とかの拠点防衛に使うもんだし」

 

「じゃあ、攻撃用にあのサイズにしたとか?」

 

「ーー可能性はあるな。ただそれができるってどんな実力者だよって話ではあるが」

 

少なくとも俺はできない。正確に言えば酔夢想を使えば俺が巨大化するくらいはできなくもないが、ただでさえ高難易度な口寄せにさらなる強化を施すなど俺には真似できない芸当だ

 

「ーーあぁ....どうなんだこれ。」

 

「見せて」

 

家の情報によればブランシュの日本支部のリーダー、司一。こいつが司甲の義理の兄らしい

 

「ブランシュには大亜連合が一枚嚙んでる。それならあんなこともできなくはないのか」

 

「大亜連合って確か古式魔法が大半だったじゃなかったけ。ならあんなことも出来るんじゃないの?」

 

「俺も呼べはするし可能性はある。そもそもこの考察はあんま意味ないからな、どうせ来るもんは来るんだし。来るときに備えておけばいい」

 

「ーー目下の課題はどっちかと言えばブランシュのほうでしょ。政治思想をとがめることはできないし」

 

「まぁ、だから問題が起こるのを待つしかないよね」

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