「昨日のアレ、なんなの?」
「管狐っていう妖怪の一種だ。封印したから問題ない」
エリカからの問いかけにそう答える。真実は違うのだが別にそれを教える義理はないし下手なことなど知らない方が幸せだろう。
「それじゃあ、あの飛行魔法はなんなんですか?」
「私のは超能力だし、そもそも飛行魔法は汎用的な物がないだけで古式魔法だと飛べるものもあるから」
俺は飛べるし、父さんとかも短時間なら多少の飛行もできる。ただCADで行うとかの汎用的な処理ができないだけで
「ーー聞きたいことがあるんだけどいいかな」
一人の男子生徒から声をかけられた。
どこかで見たような顔をしているが同じクラスだから当たり前か
「あれ?ミキ」
「僕の名前は幹比古だ」
幹比古?どっかで聞いたことのある名前だ。
「ーーあぁ、吉田家の。それでなんのようだ」
「あの狐のことを君は知っているのかい?」
「知ってるさ。管狐、お前なら一度や二度耳にしたことのある名前だろ?」
「それはもちろんある、けど聞きたいのはそれじゃない。あの魔法なんだい」
飛行魔法、の事じゃなさそうだな。こいつも古式魔法師なら飛べるやつが数人いることぐらいは知っているだろうし
「あれなら忍術だから教えろと言われても教えられないぞ」
「ーー僕の見てきた忍術とは規模も威力も桁違いだった、それに展開が速すぎる。あれはSB魔法なのかい?」
「うちの秘術は基本的にSB魔法と言われてる、まぁおおむねあってるよ。うちのは精霊じゃなくて自分自身の体で発動してるんだけどね。改造してね」
それを言ったとき、聞いていた幹比古たちの顔から血の気が引く。大丈夫なのは知っていた菫子ぐらいだ。
「ーーどこを改造したんだ」
「臓物と食道、あと四肢。改造してかられこれ十年は経つからまぁ、慣れたもんよ」
あ、多分ドン引きされてるな、これ。ただ雨夜家の秘術とはこれだからな。
自身の体を差し出し、それをもとにSB魔法を発動する。その在り方は曰く神下ろしに近いらしい。
「お前、結構苦労してきたんだな」
「苦労ってほどのものじゃないけどね」
正直改造は別につらくない。その後の修行に比べれば100倍は楽だ
「平気そうですけど、菫子さんは知ってたんですか」
「知ってたし、知った時もそれよりもっとヤバいものを見てきたから驚かなかったわよ。」
「なんだもっとヤバいものって」
「鬼とか天狗とか河童とか」
正直あいつらが怖いという感情はあんまり理解できない。菫子は襲われたらしいが、俺は戦ったことはあれど本気で敵対したことはなかったからな
「それで司くんの尋問結果はどうだったかしら」
「サードアイの結果から言うならまともなことは分かってないな。本人も知らないの一点張りだし」
「ただ、面白い事実を見つけた」
そういって七草に司一の資料を見せる
「ーー読んでもらえばわかる通り、昨日の事件にはブランシュがかかわっている可能性が高い。最低限摩利と克人には伝えるべきだ。学校側には俺が伝えておいた」
正直、十師族がどれだけ本気を出してくるのかは分からない。校長の反応も芳しくなかった
「お前の方からは十師族に伝えてくれ」
「分かったけど、もし応じなかったらどうするの」
「それはその時だ。」
「はーい、強引な勧誘はダメですよ」
先日に引き続きまだまだ勧誘期間である。ちらっと剣道部の方を見に行ったが避けられているように感じた。問題ごとを起こしたくないだけかもしれないが
「達也、そっちは?」
「今のところは何もない」
「そりゃいいことだ。昨日みたいなのはごめ....」
言いかけた瞬間に背後から隆起した地面が襲ってくる。土遁か
「雷遁 雷獣追牙」
雷獣を模った雷の本流が隆起した地面を突き破りながら襲い掛かるが突風によって相殺される。
敵は二人、
「おそらく右が土遁、左が風遁だ。俺が土遁の方をやる」
「分かった」
手裏剣を飛ばすが土の防壁に防がれる。
「雷遁 雷絶波」
接近戦に移行しながら、足元へと雷遁を放ち足元への土遁を牽制する。
こぶしを受け流し、掌底を打ち込むが感触がおかしい。まるで鉄でも殴っているかのような、それこそ感触的には勇儀とかに匹敵する。
「土遁使っての硬化か」
土遁であるのなら相性有利をとれる雷遁を使えば確実にいける。だがここまで雷遁を連打するのも脳がない話だ。久しぶりにアレを使うか
先ほどの土壁へとむけて相手を蹴り飛ばす。
中距離の間合いになったのを見た相手は即座に印を結び術を発動しようとする。
「いい判断だ。でも甘い」
流体金属が相手の腕を土壁へとめり込ませ、印を封じる。さっき土壁に防がれた手裏剣、その中にCADの一部を変形させて紛れ込ませておいた。こういう時のためにな
「一応聞いておく、降伏する気は....ないな」
それだけは分かった。
魔力を乱回転させて球状に圧縮、それを腹へと打ち込む。
「螺旋丸!」
土壁を突き破り、5mほどのクレーターを作りながら地面へと叩きつける。
達也の方はかなり拮抗していた。相手の方は雷遁で身体能力を強化しているが、達也はそれと互角の戦闘を展開できている。
だが、雷遁を纏っている以上このままいけば達也は負ける。
「ーー強いな」
ピッと風輪が頬を裂き、血が滴る。相手がこっちを僅かに見た
「あれは、瞬身か」
数的不利を悟ったか、退却していく。
追ってもいいがあの速度だ。普通に追いつかんだろう
「ーー追うか?」
「それよりあいつの尋問を優先しろ」
さっき叩きつけた土遁の男、螺旋丸を打ち込んだが硬化もあるし死んじゃいないだろ。
ーーそう思って近づいた瞬間だった。土遁の男の体を急速に呪印が包んでいき、黒く染まっていく
「裏八卦!?どんな術者がいやがんだよ」
「ーーエイドスが黒く改変されていっている?」
「それが裏八卦の呪印だ。死体に一切の情報を残さないためにエイドスそのものを塗りつぶす。」
最早、解呪も不可能だ
「やられた」
ただ、収穫はあった。ブランシュの介入とブランシュの背後に大亜連合がいることはほぼ確定したってことだが
「ーーつまりはブランシュの介入はもう確定ってことですか」
「確定でいいと思う。裏八卦を使える使えない以前に情報抹消用の呪印を使うなんて発想はまともな組織じゃ出てこない発想だからな」
「剣術部の方は進展ないわ。あんな派手なことになったんだからそうそう動かないと思うけど」
「とりあえず今週は監視しといて。来週には式が編み終わる」
「りょーかい了解。それで今日のご飯なに?」
「タラの西京焼き。それと冷奴ときゅうりの浅漬け。」
きゅうりはあいつらから送られてきたものである。土壌の改良などそこそこ手伝ったものだ
「じゃ、食べよっか」
「「いただきます」」