幻想からの帰還者   作:兼永一真

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幻想編
箒とキノコ


幻想郷に来て、しばらくたった。

 

生活には慣れたし、弾幕ごっこも何とか身になった。ただ、

 

「どうにもうまくいかないな」

 

空が飛べない。人里までそこそこ距離のあるここ、博麗神社から走って往復というのはなかなかに骨が折れる。

 

魔理沙に習って箒で飛ぼうとしているのだが、なかなか上達しない。

 

「浮くだけならいけるんだけどな」

 

だが、本当に2,3ミリ浮くだけなど使い物にならなすぎる。

 

「借りてきた本じゃダメだったのか?」

 

「盗んだの間違いだろ。」

 

「死ぬまで借りてるだけなのぜ」

 

「同じだろ」

どうやら紅魔館というところの図書館からパクったらしい。飛べるようになったら返しに行こうと決意し、再度修行に励む。

 

 

 

「ダメだ」

 

多少は高度が上がったが、飛行とはお世辞にも言い難い。

 

「少し休憩にしようぜ」

 

そう言って魔理沙はキノコを取り出す。ぱっと見では食えそうだが、

 

「食えるのか?それ」

 

「安心しろ。これは大丈夫なのぜ」

 

以前痛い目見たから聞いてみたが、大丈夫らしい。不安はあるが、厚意を無下にするというのも忍びないため頂くことにする。

 

キノコを七輪で焼く。匂い的には大丈夫そうだ。

 

「じゃあ、いただきます」

 

外ではそれなりの家だったため、マツタケやらも食ったこともあるが、これは絶品だ

 

「美味いな」

 

「そうだろ?」

 

今までもいろんなキノコを持ってきてくれたが、その中でもこれは一番だ。一部やばいキノコがあったりして評価対象として適切なのかは分かんないけど

 

 

 

でも、その評価は間違っていたらしい

 

「ーーねぇ、これ大丈夫なやつだった?」

 

頭がふわふわして視界が揺らめいている。まるで幻惑剤でも摂ったみたいだ

 

「そんなことないんだぜ」

 

いや、この感覚。まるで干渉されているような........

 

「もしかしてこれ、魔力もってたりする?」

 

「魔法の森のキノコだからな。当たり前だぜ」

 

多分、ほかの魔力が体の中に入って変な感じになってるんだな。気分が悪すぎるため、一旦縁側に横になる。

 

「なんだこの感覚」

 

まるでレントゲン写真を眺めているような、体の中が分かる。

 

「魔力が体をめぐってる?」

 

血管、じゃないな。神経?それに近いものが体の中にある。その中を魔力が駆け巡っている。

 

「あぁ、なるほど。これか」

 

本に書かれていたがよく分からなかった体に流れる魔力。それはこれのことか

 

「今ならいける気がする」

 

箒にまたがり、空を飛ぶ。今までと違い、体内の魔力の流れが分かる。手から魔力を箒へと伝達し、魔法を発動する

 

「飛べた!!」

 

箒が浮かび上がり、飛ぶことに成功する。テンションが上がり、宙返りやら箒に立ってのアクロバット飛行やらを試してみる

 

ーーここで思い出してほしい。俺はキノコを食って倒れこむほど気分が悪かったのだ

 

テンション上がって、トリップしているとはいえそれは無視できない。つまりは

 

「ーー吐きそう」

 

全速力で着地する。丸薬を飲み込むと、少しおさまった

 

 

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