二色の魔眼と錬鉄の呪術師   作:lambdazero

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エンジョイ系ラスボス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして迎えた当日。

「初日の種目が決まったよ。呪霊の討伐レース」

 学生寮のロビーにて、朝っぱらから準備する面々に五条が来て告げた。

 ルールは、指定された区画に放たれた二級呪霊を先に討伐した方が勝ち。

 有象無象も得点に入る。

 夕方になるまで終わらない場合は総合得点で高い方が勝ち。

 死なない程度の妨害もあり。

「僕らは冥さんと一緒に見てるから。日下部さんも見るって」

 ……やはり、ある程度は流れが変わるか。

 原作に居なかった二年の担任、日下部も見ている。

 本来担任が見るなら当たり前だったのだが。

「あ、憂太。今回はリカ無しね」

「分かってます」

 去年大暴れした乙骨に釘を刺す五条。

 更に雪にも何か言う前に、こっちは先んじて言う。

 必要ならば悪いが本気を出す。

「いや、タダでさえバランス悪いのに雪正気? これ、交流戦だよ?」

「……見えた不穏のため、申し訳ないのですが」

 とだけ、フラグを立てておく。

 向ける矛先は相手じゃない。

 だから良い。何を見たのか、不確定だから言えないとも追加しておく。

 これで良い。全体的に不吉の兆しを与えれば、警戒もするだろう。

「……どうなるかはさておき。開始時間はもう少しあるから、準備運動はしといて」

 緊迫する空気の中、去って行く五条。

 残った面々は、雪の予言に神経を使う。

「何かあるのか……?」

「可能性の未来が見えた。私だって全能じゃない。確定では無いから来ない事も、普通にある」

 真希の不安を煽るように言っておいた。

 でも、有り得るんだろう。何かが。

 この時点で主導権は雪が握っている。

 普通に連中が仕掛けてこない事もある。

 昨晩の細工は、こうだ。

 メカ丸個人に、差出人不明で揺さぶりの置き手紙を残した。

 個人的に企みは全て知っている。

 不意打ちの強襲をするなら、反撃を覚悟しておけ。

 そちらの想定以上に戦力がいる。その事を忘れるな。

 お前の存在を明かされたくないなら、指定の場所に指定の時間に来い。

 明日、この差出人が誰か教えてやる。

 炙り出す。この揺さぶりが、羂索に届くなら一興。

 縛りで動揺が伝われば、向こうは更に焦る。

 何せ雪のイレギュラーは、羂索の計画を破綻させている爆弾。

 既に最大の切り札を一個失い、内通者まで知られている。

 一番の目的すら、見破っているとすれば?

 そう思わせておけば上々。

 雪は思わず笑う。

「何が面白い、空折」

 横目で伏黒に言われて、気付く。

 雪は、いつの間にか羂索に嫌がらせをしている事に。

 あいつの封印と宿儺の殺害が気に入らないから邪魔をした。

 結局、あいつは嫌いなんだと。

 その嫌がらせを、楽しんでいる自分がいた。

「こういう駆け引きの想定外は、誰でも嫌だよねってね」

 そう答えた。

 意味のわからない彼には、もう救いは要らない。

 向こうの工夫を、真っ向から潰すのが雪の目的だ。

「それじゃ、行こうぜ。不安も余裕があるが勝つぞ、お前ら!」

 真希が号令をかけて、一斉に返事をする。

 団体戦の、開幕だ。

 一同は時間になったら、外に出て区画に行く。

 それぞれ固まって、移動する。

 待機して、開始のブザーが鳴った。

 森の中を皆で走り出す。

 雪は歪曲を使わない。

 指定の時間までは余裕がある。

「おい空折、お前の眼で索敵!」

「魔眼は封印中。射程外から、私がやったら全滅して一分で勝ちだよ?」

「規格外の使い方、お前ら知らねえか! こいつどう扱えば良い!?」

 走りながら各々の感知で探す。

 まぁ、使うんだが。

「悠仁君」

「どうした?」

「お迎えだよ」

 必要な人物の特定だけして皆より先に行く先を示す。

 そこに東堂が今、別れて動いている。

 行ってこい。トレーニングの時間だ。

「サンキュー! じゃ、俺行ってくる! 皆、ファイト!」

 一人で森の中を別れる虎杖。

 道筋は大方教えた。そのまま道なりに行けば遭遇するだろう。

 こっちは道中の有象無象を祓って、得点をちまちま稼ぐ。

 ……不意にカラスが近くを飛んでいるのに気付いた。

 冥冥の術式か。カラスに手を振っておく。

「余裕だなおい。一切祓ってないのに……」

「シャケ」

 パンダがぼやく。狗巻も同感。やる気が無い。

 善戦するのは主に真希で、薙刀で片っ端から切り払う。

 一応様子見。透視で、スパーリングを始めている二人を見た。

 全力で導いているのか、あれこれ言いながら殴り合っている。

 ……虎杖の一撃で、東堂が矢鱈大袈裟にダメージ受けているのは武器のせいか。

 底上げは正解だったようだ。

「順調」

 ボソッと伏黒や釘崎に言う。

 意味を理解した二人は、京都校に同情する。

 トレーニングで最大の戦力を持っていかれた。

 挙げ句には此方には特級と未知の化け物が居る。

 有利を通り越して交流戦と名乗った暴行では無いか。

 …………動いた。

「禪院先輩」

「その呼び方止めろ」

「じゃあ先輩」

 真希に、適当に見ていたら向こうの生徒が偵察を出している。

 西宮だ。制空権を取って、探そうとしている。

 主にメインの二級呪霊を。つまり。

「あいつら、勝てないからって本命狙いやがった!」

「普通に考えて加茂さんとかそういう判断するよね」

 真希の拍子抜けに当然という乙骨。

 つまり、妨害よりも本命の呪霊を先に祓いたい。

 だって勝ち目が無いから。

「じゃあ身構えてた私らは何なんだよ!?」

「弱腰じゃね? まあ、憂太と空折居りゃ嫌がるか」

 馬鹿を見るこっちの面々。雪も退屈になった。

 いや戦術的に理に適った方法だが、物語として退屈である。

 仕方ない。妨害するのはこっちからにしよう。

「先輩、誘導する。こっちから邪魔してやろう」

 気が変わった雪が先導し案内するように走って行く。

 見える範囲では、西宮が制空から探しており、皆は追随するように動く。

 だったら横っ腹から奇襲してやる。

 走って行くこと数分後。

 複数の足音が聞こえ、声も微かに届いた。

「やば……!」

 上の西宮が気付いて、通話状態のスマホで通達。

 向こうが攻めてきた。

 慌てて向こうは迎撃する。

 かち合うように、移動中の横合いからぶつかった。

「よぉ、憲紀。私ら無視して本命狙いか? 寂しいこと言うなよ」

 遭遇する一同。

 向こうの面々は、露骨に嫌そうにする。

 挑発する真希が、威勢が無いと笑う。

「悪いが、此方としても特級の乙骨君がいる状態で妨害するほどバカでは無いよ」

 加茂が糸目でこっちを見ながら言う。

 イヤホンをしているので、通話状態と見る。

 微妙に違う原作との状況。雪が笑って加茂に言う。

「……一番怖いのは、私でしょ。宿儺を殺した以外の全く情報の無い呪術師。未知すぎてリスキーだから逃げてた。おかしいなぁ、東堂さんが居ないと向こうの呪術師ってこんなに弱いの?」

「……君か、例のもう一人の特級候補生。随分と嫌味だが、悪いが挑発に乗るつもりはない」

 加茂達は逃げようとしている。

 三輪、加茂、西宮、真依、そして……。

「……済まない、加茂。俺は少し単独で動く」

 メカ丸。やっぱり案の定、焦って単独で動いた。

 理由を聞くも、野暮用とだけ言って直ぐに離脱する。

「メカ丸! 行っちゃった……」

 三輪が止めるも無視して。

 一名減って尚更余裕のない京都校。

「調子に乗っているわね、真希。あんたの実力じゃないでしょ」

 吐き捨てるように銃口を向ける真依。

 それを見て、真希は言っていた。

 こっちに編入する気はないか? と。

「はっ?」

 予想外の言葉に呆ける真依。

「説得って言うか、そっちは好きにして。このメンツじゃあまりにも向こうが不利対面だから私抜ける」

 雪が単独で、不公平だから抜けるというと。

「有り難い。君は異例すぎて、私達も対応に困っていた。交流戦が去年よりも荒れる事を危惧しているから、抜けてくれるならそうしてくれるかい? 除け者で、申し訳ないとは思うが」

 加茂が天然で、公平にやり合うのを希望するんで、雪には退席願いたいと申し出る。

「はいはい。でも乙骨先輩残るよ?」

「君ほど異例では無いから、大丈夫。済まないね、空折さん」

 天然だがバカ丁寧だった。

 呪術師云々より、礼儀作法は確りしていた。

 じゃ、後は任せると言って雪も離脱する。

 走って行くのも馬鹿馬鹿しいが、急ぎ足で指定の場所……原作でパンダと彼がやり合った建物の一画に向かった。

 物陰に潜んでいたメカ丸……与幸吉を見つけた。

「チャオ、内通者君? ちゃんと約束通り来たね?」

 初手で裏切り者と呼んでお見通しとアピールして合流する。

 振り返ったメカ丸は、予期していたのか呟く。

「空折……雪。やはり、お前か」

 正体不明の呪術師の時点でバレバレだっただろうが、ニヤニヤ笑って言う。

「あ、内通の縛りのことも知ってるから言わなくて良いよ? 動機もバッチリお見通し。ただ、話し合いをしようかなって。別に責める事はしないから」

「……」

 黙り込むメカ丸。

 内通の縛りは言えないので、そこは彼が言えない範囲から避けて話題に入る。

「先輩、ちょっと甘いんじゃないかな。その縛り、抜け穴あるって気付いてる?」

「……なに?」

 教えてやるから手を貸せ。

 それに。

「どうせこの会話もお得意の仕込みで聞いてるんだろ、夏油の出来損ない。ほら、介入して良いよ。会話に混じれ。大体知ってるから、恨み声ぐらいは聞いてあげる」

 挑発して、黒幕を呼び出した。

 すると……。

 

『君が宿儺を殺した呪術師か。よくもまあ、やってくれたね。おかげで先の計画がご破算だよ。しかも私のことも知っている。ぽっと出の怪物に、めちゃくちゃにされた私の気分が分かるかい?』

 

 メカ丸から違う声がした。

 本人も知らないのかギョッとしていたが、想定内。

 傀儡に仕込みぐらいしてるだろうとは思ってた。

 やっぱり、釣り上げた。

「お前が五条先生を狙うからでしょ。言っとくけど、この人使っても無駄だよ。もうお前が打った手は知ってるから。これからお前と敵対する呪術師が、私だ」

 宣戦布告。黒幕に、容赦なく突きつける理不尽。 

『もう一人、怪物が増えたのが本当に誤算だよ。君は何者かな。調べても戸籍すらない、完全に虚空から出て来たように現れた』

「……お前の千年の知識でも、分からない事象だよ。興味があるとしても、寄生虫のお前に言うセリフは生憎と無いんだよね」

 呆れたように肩を竦める彼女にメカ丸本人が困惑する。

「千年……? どういう意味だ。こいつは……奴と違うのか?」

「違うよ。夏油の見た目してるけど。百鬼夜行で夏油は死んでる。こいつはただの寄生虫」

 そう言うと笑い声で答える黒幕、羂索。

『本当に何もかも知っているのか。驚いたな、魔眼ってのは。過去から未来まで見通す千里眼。国内の呪術師では持てない海外の原始的な体質だろう? 宿儺ももう少しゲームやってたら、理解できただろう。彼は最強だけど、食以外に探究心が無いからね。後は、私の失敗と本人の油断かな』

 冷静だと思う。

 引っ掻き回した本人と対面している割りに、落ち着いている。

 貫禄はあるのは認める。

 だが、表面上か。或いは、まだ画策できるのか。

「ねえ、出来損ない。そろそろお前のこと先生にチクるよ」

『それは困るな。タダでさえ崩れた私の楽しみが減っていく』

「お前の遊びに先生巻き込むな。獄門疆で封印しても無駄。天元が対抗策持ってるしお前自身が仕込んだ受肉体に居るのも知ってるハズだよ」

『……やれやれ。本当に何もかもお見通しと来たね。何処まで知り得ているのか逆に興味が出て来たよ』

 溜め息をつく羂索。

 未来が知りたいか? 敢えて問う。

『私は自分の手で、一歩ずつ進んでいきたい人間でね。そういうインチキはチートだと思うインテリなんだ』

「ふーん……。でもどうするわけ? 五条先生、もう私が居るから封印できないよ」

 雪は言う。五条を狙うな。自由にさせろ。

 それさえしなければ、見逃しても良い。

 だってこいつはどうせ五条の逆鱗に触れて消し飛ぶから。

『君のせいで計算が狂ったを通り越して、爆散したよ。獄門疆手に入れるのに苦労したのに、条件を潰される、宿儺は死ぬ、内通者までバレる。挙げ句には脅しときた。はぁ……。無理ゲー過ぎて笑えない。私の血の滲む努力と時間を返してくれ』

「渋谷事変は起こせても死滅回游は、詰みだよ。そこまで先生が進めると思う? 五条先生が健在なら、成り立たないガバチャートでやるからこうなる」

『いや、その為の獄門疆だよ?』

 倒せないから封印する。

 それは良いけど、だけども。

「あのさ、そもそも裏門あるじゃん」

『あの老害、マジで何処で手に入れたんだろうね!!』

 裏門の存在と、受肉体の天使はお前の失態だろうと言っておく。

 本人もミスったのは分かってたのか。

 触れ合うとよくもまあ、こんな博打みたいな趣味に走ったもんである。

「天逆鉾が無いと思う? 悪いね、複製作れる私が来た!」

『君って奴は、オールマ○トもビックリのチートだよ!』

 メカ丸置いてけぼりで進める会話。

 メカ丸は何も言えないので、黙っていることにした。

 迂闊に言えば、縛りの罰を受けるから。

「んで、マジでどうするの? 私はあくまで推し活してるだけで、お前の悪巧みとかどうでも良いんだけど」

『彼が推しで無ければ仲間に誘ってたよ! 君ほどの超越者、一緒に居れば楽しいからね! でも今回はダメなんだろ!』

「アウトだよ」

『良いツッコミありがとう! 本当にさ、興味ないなら邪魔するの止めてくれない? 君の対処法、正直言えばもう無いんだよね。そもそも前倒しは出来たけども、君のおかげで全部台無しだ。直死とか歪曲とかの魔眼だけで聞いたこと無いし効果が想定だけでもヤバいのに、術式がまたよくわからない複製とか言ってるし。これ以上関わらないで欲しい訳よ。分かるお嬢さん』

 ……情けない。白旗上げやがった。

 原作知識で宿儺殺して、壊しに壊したらこれで詰み?

 張り合いの無い羂索に言う。

「今から半世紀ぐらい過ぎると、もっとお前の想像を超える想定外来るのに勿体ない。何でこんな事企んでるのか、私には理解できない」

『引っ張るなぁ! 私の興味をそそること言わないでくれる!? 見たいよその想定外! ネタバレ抜きで!』

 興味はあるんだとも思う。

 この状態で半世紀以降、待てば突然宇宙人来ましたって言ったら信じるだろうか?

「お前は結局、人の可能性が見たいんでしょう? 好奇心旺盛なのは結構。でもさぁ、天元狙うのはどうかと思うよ? あの引きこもり、抵抗すると思うし」

『あの老害なら昔から事なかれ主義でね。知っていても放置するのが悪癖だよ』

「ん? じゃあ私が入れ知恵してハードモードにしてあげようか?」

 茶化すと止めろと切実に言う。

 遊んでないで、頃合いなので折り合いをつけるとするか。

「私の要求は一つだけ。恒常的な五条先生のフリーダム。それだけ」

『飲み込めたら何れだけ良かったか……! 自由って事は彼が私の邪魔をするのも乗り越えろって言ってるよね!?』

「千年もガチャ引いてここまでリトライ繰り返してきたんだから、今回も退けば? お前にとって、今やる理由って特にないよね? 伏黒甚爾が因果ぶっ壊した、夏油の肉体手に入れた、真人も誕生した。ここまでUR引いといて、五条先生っていう理不尽に無理して挑む事無いでしょ。ついでに私も居る。お前さ、いい加減諦めなよ。次の世代でもっと良いこと起こることは私が保証する。それとも……私って言うイレギュラーに興味がある?」

 どう出る。こいつはカオスが大好きな人間だ。

 千年間も続けた道のり、この詰みでどう乗り越える……。

 

『――ま、この状況から見て私がこれ以上やっても無駄だって事はよく分かったよ。君の言うとおり、次に時代に行こうかな。言うじゃない、医者の石でさ。そそるじゃねえか、まさにそれだよ。次世代に私の知らない事象が起きるってイレギュラーの君が言うんだ。これだけ見抜かれた以上、魔眼の未来予知は完璧だ。信用は出来ると思う。今は少し遊ばせて貰うけど……うーん、死滅回游は延期かな。一からやり直すのは慣れてるからね。期待しながら将来を待つとするよ』

 

 ……あっさりと、退いた!?

「えっ? 良いの? 五条先生フリーダム、飲み込むわけ?」

『イヤね、ここまでぶっ壊した君が言う? 何? この状況で死滅回游やりたいの?』

 逆に呆れたように指摘された。

 このまま行っても、死滅回游は五条の殺戮で終わるだけだが? と。

『五条悟も人間だ。一世紀もすれば死ぬだろうし。ちなみにだけども、その面白いことっていつ頃起きる?』

「……今から68年後」

『うわ、微妙な時期……。彼生きてる可能性もあるし、仕込み間に合うかな。ってか、君がいないなら未来の方が可能性あるね。有益な情報ありがとう。今回は君の完勝だ。おめでとう』

 ……実に、あっさりと鞍替えしやがった。

 切り替え速い。

 現状というこの好条件を、ばっさり捨てた。

「マジで? 良いの? 未来の悠仁君、五条先生並みに化け物だよ? まあ勝てなくは無いけど」

『あの子、そんなに成長するのかい!? いいこと聞いたよ! 益々今やってる事よりその混沌の準備をしないと! 嗚呼、気になるなぁ……!! 分かった、君の条件を呑もう。五条悟はもうどうでも良い。私には無限の時間があるんだ。何度でもトライアンドエラー!』

「こんなポジティブだったのお前!?」

 ヤバい。こいつのキャラを見誤っていた。

 あっさり未来にエンジョイして逃げようとしてる。

 ……でも。利害は、一致したわけだ。

「いいよ。今の五条先生が生きている、封印をしないなら。見逃してやる」

『未来で封印するのは良いんだよね?』

「私が居ない時に封印するのは良いよ、イヤだけど譲る。私はあくまで、今の五条先生と共に居たい。それだけ。あ、後ね」

 これは縛りをつけると言った。

 一応、未来の彼のために。

『何かな。次のチャンスの為なら多少の無理も聞こう』

「人間を呪物にする作り方を、未来で悠仁君に伝授しろ。それでこれ以上の介入は止めてやる」

 原作で最後、必要になる知識だ。

 これなら、彼も……。

『そんなことで良いの? 全然良いよ。じゃあ縛りの合意と言うことで。相違は無いね? 私はこれから先、とりあえずこの肉体を捨てて仕込みに入り、五条悟に君の居る限りは手を出さないし、未来で息子に呪物の作り方を教え、君は私の計画をもう邪魔しない。オッケー?』

「うん。これでいい」

 ……流石は努力と時間を惜しまないエンジョイ勢。

 詰みなら次にもう行く、切り替えの早さ。

 イレギュラーをも認めて、未来に賭ける潔さ。

「羂索」

 敢えてそう呼ぶと、もうバレてるからか彼は聞いた。

「私はお前を見くびっていた。お前のそう言うの、強いと思う。素直にそこはお前の勝ち」

『あのヤベえ人格を推し活している君に言われると自信もつくよ。あ、幸吉君。長々と悪かったね。明日にでも、例の場所に来てくれるかい? もう情報は要らないから、真人に縛りを実行させるよ』

「で、何の話だったんだ……?」

 結局終始理解の出来ないまま、メカ丸は救われた。

『あ、そういえばもう行っちゃったけど花御と漏瑚、大丈夫かな。君らで最悪祓ってもいいよ。こっちは早速新しいプランニングしたいから』

 興味が無いならこれである。

 にしても、漏瑚も来ていたか。

「オッケー。じゃ、迎撃の準備しようかメカ丸先輩」

「……俺は、結局どうなるんだ?」

 羂索が引っ込み、ぼやくメカ丸に告げる事実。

「夢が叶うって事」

 まさかのラスボス未来へ逃亡。

 これで良かったのか。

 雪は、とりあえず特級達と戦うメカ丸と準備をするのだった。

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