救われたかったセリカ 作:気弱
これは、ハルカと便利屋68の面々が自らの因縁に完全な決着を付け、あの醜悪な野望を抱くカイザー理事を空の彼方に吹き飛ばす、ほんの少し前の時間軸に遡る──
天井の細かな隙間や通気口の奥から、防衛セクターの遙か階下で巻き起こっている激しい銃撃戦の残響が、くぐもった、重苦しい地鳴りのような振動となって断続的に伝わってくる
ここ、管理棟の最上階に位置する広大な戦術スペース。ひび割れた高窓から頼りなく差し込むアビドスの太陽の光だけが、互いに相容れぬ宿命を背負って対峙する二人の少女の影を、歪に、そして不気味にリノリウムの床へと長く伸ばしていた
「あはははは! ねぇ、下の方で随分と激しくやってるわねー? まるで私達の死闘を祝う、お祭りの打ち上げ花火みたいじゃない!」
セリカテラーが、まるで他人事の娯楽でも眺めるかのような気軽さで、楽しそうに愛用の突撃銃の銃身を指先でクルクルと滑らかに回しながら言った。その双眸の奥底には、世界のすべてを底知れない怨嗟で呪うような、昏く濁った『色彩』の不気味な輝きが常にギラギラと宿っている
「……私を目の前にして、随分と余裕そうだね」
クロコはアサルトライフルのレシーバーを両手で硬く握りしめ、腰だめに構えたまま、低く、低く、地を這うような冷徹な声を絞り出す。自らの身体の重心をわずかに片足へと置き、いついかなる鋭い突撃、あるいは奇襲が飛んできたとしても瞬時に対応できるよう、全身の全神経を限界を超えて極限まで研ぎ澄ませていた
「あら? もしかして……もっとお行儀よく、真面目に戦って欲しかったのかし……ら!」
「──っ、ぐっ!?」
セリカテラーが指先で回していた銃を不意に背中のスリングへと戻した、そうクロコの戦術脳が認識したコンマ数秒後のことだった。網膜から彼女の姿が完全に掻き消え、次の瞬間には、セリカテラーの歪んだ狂気の笑顔が、物理的な距離を無視して文字通り目の前にまで迫っていた
肉眼では捉えきれない、信じがたいほどのゼロ距離。しかし、これほど完璧な必殺の間合いに入りながらも、セリカテラーは突撃銃の引き金を引こうとはしない。先ほどからの戦闘において彼女は、銃を撃ちさえすれば確実にクロコのヘイローに致命傷を与えられる距離まで幾度となく肉薄しているにもかかわらず、あえてそれを頑なに拒むように、剥き出しの拳や鋭い蹴りといった、生身の肉体による苛烈なインファイトの打撃ばかりを仕掛けてくるのだ
(くっ……、本当に……戦いにくい……!)
顔面へと容赦なく襲い来る、空気を爆縮させるような暴風の拳。クロコはその一撃一撃を、アサルトライフルの堅牢なスチールフレームを巧みに滑り込ませて受け流しながら、胸の内で激しく歯噛みした
色彩の不条理な力によって、見る影もなく変わり果ててしまったかつての大切な「仲間」が目の前にいるという、そのあまりにも残酷な現実だけでも、引き金を引く指先はわずかに鈍りそうになる。だが、それ以上にクロコを翻弄し、戦術的な計算を狂わせていたのは、セリカテラーという存在が持つ、精神的な『緩急』の異常な激しさだった
つい先ほどまでは、こちらの静止の言葉など一切耳に届かないほど、獣のような狂気的な怒りを露わにしていた。かと思えば、今のように周囲の戦況に勝手に意識を分散させ、まるで大人に怒られても反省のポーズすら取らない、反抗期の子供のような、不遜で、どこか投げやりな態度に一瞬で切り替わる
その精神的な不安定さに呼応するかのように、繰り出される攻撃のリズムや歩法が毎回ランダムに、そして不規則に崩されるため、クロコが長年の戦場で培ってきた「合理的な戦術の先読み」が、彼女の戦闘本能の前には全く通用しないのだ
「ほらほらほら! どうしたのよ、私をここで力ずくで倒して、連れ戻すつもりなんでしょう!? だったら、もっと私を楽しませてみなさいよっ!!」
「っ……!」
嘲笑とともに容赦なく振り下ろされる、華奢なはずの細い腕。だが、その打撃がまとう風圧と破壊力は、大型の重装甲オートマタがフルパワーで振るう鉄拳のそれと完全に同等、いやそれ以上だった。セリカテラーのこの素手での攻撃は、まともに両腕を交差させて真っ正面から防御していては、こちらの骨がその凶悪な衝撃に耐えかねて、一撃で粉砕されてしまう
寸分のミスも、コンマ一秒の遅れも許されない。針の穴を通すような極限の精密さをもって、相手の攻撃の軌道を最低限の力とフットワークで外側へと受け流す以外に、今のクロコが自らの肉体を五体満足に守るために取れる防衛の選択肢は、どこにも存在しなかった
ガツン!!!
「っ、しま──!」
背中に、唐突に冷たくて硬いコンクリートの感触が当たる
セリカテラーの変則的かつ苛烈な連撃を受け流すこと、そしてフットワークで致命の間合いを維持することだけに意識を集中させすぎた結果、知らず知らずのうちに部屋の隅の、一切の退路がない壁際へと完全に追い込まれてしまっていた。左右も瓦礫で塞がれ、もう後ろへ下がるステップは踏めない
「死ね……!!」
セリカテラーの口元が、獲物を完全に追い詰めた猛獣のように大きく歪に裂けた。確実なトドメとばかりに、クロコの顔面を肉片へと変えるための大ぶりの右拳が、背後の空間へと限界まで大きく振りかぶられる。色彩の闇が、その拳にドス黒いオーラとなって集束していく
しかし、これまでの予測不可能な変則連撃とは違い、勝負を決めにきたその一撃だけは──あまりにも直線的で、大ぶりな、教科書通りの一撃だった
(──ここ。)
「なっ……消え……っ!?」
クロコが静かに精神を集中させた瞬間、彼女の背後の空間に、バリバリと空間を引き裂く漆黒の亀裂が走った。そして、その身体を内側へと吸い込むようにして、彼女の輪郭が完全にその場から掻き消える。それは、クロコがこの『テラー』としての肉体になったことで得た、空間跳躍による超常の緊急回避だった
ドッゴォォォォォン!!!!
的を失ったセリカテラーの渾身の拳は、肉がまともに潰れる音と共に、コンクリートの強固な障壁が跡形もなく爆散する凄まじい破壊音をセクター内に轟かせた。衝撃波が部屋全体を揺らし、壁には巨大な蜘蛛の巣状の深い亀裂が走り、二人の間に大量の白い土煙が目隠しのように舞い上がるのだった
「……ふーん。なるほど、ただすばしっこいだけじゃなくて、そんな小賢しい空間跳躍の能力まで隠し持っていたわけね。やっぱり、最初から間合いの優位性を潰して、こうやって有無を言わせない超至近距離の接近戦を仕掛けたのは、私の戦術的な正解だったかしら……?」
部屋の隅に立ち込める、幾重にも重なった重い砂煙の向こう側から、セリカテラーの歪んだ、しかしどこかくぐもった声音が静かに響く
ゆっくりと風に吹かれて灰色の霧が晴れていく中、そこにぽつんと現れた彼女のあまりにも痛々しい姿を目にした瞬間、クロコはそれまで崩さなかった冷徹な仮面の奥で、わずかに眉根をひそめた
セリカテラーの細い右腕は、先ほど自らが壁へと叩き込んだ常軌を逸した破壊力の反動に耐えきれなかったのだろう。肘から先の骨がグズグズに砕け、あり得ない不自然な方向へとぐにゃりと折れ曲がってしまっていた。さらに、過剰な負荷によって裂けた黒いタイツの隙間からは、色彩に汚染されたどす黒い血液が、まるで重油のように粘り気を持って床へとポタポタと絶え間なく滴り落ちている。
完全に戦闘機能を失い、ただの肉の塊として力なくぶら下がっている右腕。しかし、彼女は顔をしかめることも、痛がる素振りすら一切見せることもなく、まるで他人の手足でも眺めるかのように、自身の壊れた腕をただ冷淡な双眸で見つめていた
「…………今の一撃で、貴方の右腕は完全に壊れたはず。もうまともな銃撃戦も、拳を振るうこともできない。これ以上戦いを続ければ、貴方は自分の力で自滅するだけ。なら……大人しく武器を捨てて、諦めたらどう?」
クロコは自らのアサルトライフルの銃口を、あえて冷徹にリノリウムの床へと向けたまま、静かに語りかけた。その聲音の底には、冷酷な戦術計算だけではなく、どこか目の前の少女にこれ以上の無意味な傷を負わせたくないという、深い懇願の色が隠しきれずに混ざり合っていた
「なによ、それ? あはは、笑わせないでよ! もしかしてアンタ、この期に及んで私のことを『心配』してくれてるわけ? 反吐が出るほどおめでたい頭をしてるのね!」
「……私は、無意味な戦いはしたくない。これ以上、貴方に傷ついてほしくない、ただそれだけ」
「はっ、本当にお優しい事ね! でもね、そんな安っぽい同情や綺麗事なら、あの乾いた砂漠の真ん中にでも一人で捨ててきなさいよ! 心配しなくても、全部すぐに終わらせてあげるわ。──アンタのその、忌々しい生への執着を、この手で完全に摘み取ってね!」
「!」
次の瞬間、クロコの切れ長の瞳が、今日一番の戦慄と驚愕とともに大きく見開かれた
セリカテラーの力なく垂れ下がっていたはずの、完全に砕けた右腕の周囲から、パチパチと空間を焦がすような紫黒い不気味な光の粒子が猛烈に迸った。直後、衣服の奥で肉がグロテスクに蠢き、折れた骨がバキバキと耳障りな音を立てて強引に噛み合っていく。ほんの数秒、いや瞬きをするほどの僅かな時間の間に、裂けていた皮膚の傷口すらも何事もなかったかのように綺麗に塞がり、再び命を刈り取るための右手の指先が、ギチリと力強く握り込まれたのだ
臨戦過程における、常識を完全に逸脱した超高速の自己再生──
戦いの前、アビドス病院でホシノから「色彩に侵されたセリカテラーとの戦闘」における異常な特異性については、知識として確かに話を聞いていた。だが、まさかこれほどまでの速度で、肉体の致命的な損壊を無かったことにして完治させてしまうとは、クロコの想定を遥かに超えていた
しかし、クロコはそのあまりにも異常な再生の光景を凝視する中で、ある決定的な『違和感』の正体に、そして先ほどから自らの脳裏を占めていた「謎」の答えに、ついに完全に辿り着いていた
(……いや、違う。今ので、はっきりと分かった。セリカが、まるで空間跳躍でもしたかのように、突然目の前に現れたあの不自然な制動と、異常な踏み込みの理由が。)
いくらキヴォトスの神秘をその身に宿した生徒といえど、一人一人の身体能力や筋力のキャパシティには明確な個人差が存在する。今のセリカテラーのように、特別な重火器や格闘の訓練もなしに、素手の拳一つで強固なコンクリートの防壁を跡形もなく粉砕できるパワーを持つ生徒など、この広いキヴォトスを見渡してもほんの一握りの怪物だけだ
そして、クロコがよく知っている、あの少し意地張りで、だけど毎日真面目にアルバイトに励んでいたセリカ本来のスペックであれば、間違いなく後者の「拳で壁を壊せない」普通の女の子の側に位置するはずなのだ
それは、いくら色彩の狂気的なエネルギーを得て限界値が強化されているとはいえ、根本的な骨格の耐久度や筋肉の絶対的な限界がある以上、そう簡単に書き換わるはずがない
つまり、先ほどから彼女がこちらに見せつけている、あの常軌を逸した高速移動と、防壁をも穿つ超怪力の真実は──
「さっきから何をごちゃごちゃと、その薄汚れた頭で考えてるのか知らないけれど……そんな無駄な暇があるなら、さっさと黙って私に殺されなさいよっ!!」
「っ……!!」
今度は、クロコの狼の目が、その決定的な瞬間の内幕をハッキリと捉える
セリカテラーは小さく深く膝を曲げると、自身の肉体がその後どうなるかなど微塵も考慮していない、まるで限界まで巻き上げられた鋼鉄のバネを強引に解き放つような、あまりにも無軌道な跳躍で、こちらへと弾丸のような速度で飛んでくる
その跳躍の刹那、彼女の細い両足の太ももの肉が、出力に耐えかねてピキリと生々しく裂け、一瞬だけ赤い鮮血が空に飛び散るのが見えた
(やっぱり……! 自身の意志で動いているんじゃない。色彩の力で無理やり身体の安全リミッターを強制的に解除して、肉体がどれほど崩壊しようともお構いなしに、無理に酷使して駆動させているんだ……!)
それは決して、彼女自身の純粋な意味での「強さ」などではなかった。神秘の防壁であるヘイローの出力すらも異常な形で燃料に変え、自らの華奢な肉体を内側から激しく燃やし尽くしながら戦う、あまりにも痛々しく、哀しい暴走。どんなに筋肉が断裂しようとも、どんなに骨が砕けようとも、色彩の濁った灯火がそれを後ろから強引に接合し、修復してしまうがゆえに成立している、終わりのない死の螺旋に他ならない
直後、弾かれたように肉薄してきたセリカテラーの右拳が、猛烈な風切り音とともにクロコの視界を完全に塞ぐ
ガギィィィン!!!
クロコは紙一重のところでアサルトライフルのスチールフレームを斜めに滑り込ませ、その凶悪な打撃の軌道を頭上へと滑らせるようにして受け流す
片手しかまともに使えないという致命的なハンデを負っているはずのセリカテラーは、そんな五体の不満足など微塵も気にする様子もなく、唯一動く右拳の鋭い連撃に、カウンターの膝蹴りやしなやかな回し蹴りといった苛烈な体術を織り交ぜ、嵐のような波状攻撃を絶え間なく繰り出し続けてくる
(これ以上、セリカに、自らの命を削るような自滅行為を続けさせるわけにはいかない……!)
クロコの胸の奥に、これまでの戦場で培ってきた冷徹な計算とは全く異なる、焦燥に似た熱い感情がふつふつと湧き上がる
このまま戦いが長引けば、セリカテラーの肉体は、その脆い精神ごと完全に崩壊し、二度と元の姿へと修復不可能な暗黒の領域へと堕ちてしまう
一刻も早く、彼女の自由を強引に奪い、その足を止めなければならない
そう決意したクロコは、一瞬の交差の隙を見計らい、自らの完璧だった防御陣形をあえて自ら崩した。ガードを固めていた両腕をわずかに引き下げ、自身の顔面を無防備に晒すような、戦術的にはあまりにも不自然で大胆な「隙」を、意図的に作り出したのだ
「──ッ!」
セリカテラーの濁った瞳が、獲物を見つけた猛獣のようにギラリと狂気に歪んだ。顔面の守りが完全に薄くなったその一瞬を、彼女の野生的な戦闘本能が、好機として見逃すはずがなかった
勝利を確信したセリカテラーは、残された右拳をこれ以上ないほど深く引き絞り、クロコの眉間を粉砕せんと一直線に突き出す
だが、それこそが、クロコの仕掛けた──普段の、冷静なセリカなら絶対に引っかかるはずのない、冷徹な罠だった
「……分かりやすくて助かるよ、セリカ」
「!?」
網膜に迫る拳の軌道を、最初から完全に読み切っていたクロコは、上半身をわずかに捻る最低限のフットワークだけでその必殺の一撃を完璧に回避。それと同時に、勢い余って完全に伸びきったセリカテラーの右腕のベタつく手首を、自身の左手で電光石火の如く掴み取った。即座にその懐へと深く踏み込み、自らの背中を彼女の無防備な胸元へと完全に密着させる
重心の完全な掌握。クロコは野生の狼のような爆発的な踏み込みとともに、自身の腰を支点にして、セリカテラーの身体の全質量を前方の空間へと一気に投げ出した
鮮やかな、そしてあまりにも重厚な──決死の一本背負い
ドガァァァァンッ!!!
人間の肉体が叩きつけられたとは思えないほどの、硬質で重い大音響がリノリウムの床に炸裂した
いくら色彩の力で痛覚が麻痺しているとはいえ、背中からフロアへと猛烈な勢いで叩きつけられたその物質的な『衝撃』までは相殺できない。セリカテラーの肺の奥に溜まっていた空気が、「がはっ……!? げほっ……!」という苦悶の絶叫とともに一気に外へと力任せに吐き出され、その網膜の焦点が、ショックで一瞬だけ不規則にブレる
すべての行動が停止する、コンマ数秒の決定的な隙
長年の過酷な戦場を、たった一人で生き抜いてきたクロコが、その千載一遇の好機を逃すはずがなかった。彼女は投げ飛ばした勢いのまま後方へと鮮やかに跳躍し、空中で瞬時にアサルトライフルのストックを肩に深く押し当てて射撃姿勢を固定する。床の上で立ち上がろうと身を悶えさせるセリカテラーの胴体に向けて、引き金を冷徹に、寸分の迷いもなく引き絞った
タタタンッ!!!
「っ……があぁっ!? 嘘、でしょ……っ!?」
放たれた5.56mmの精密な弾丸が、セリカテラーの華奢な胸元と肩口に正確に着弾し、火花とともにその身体を激しく穿つ。弾丸の持つ強烈な運動エネルギーを正面から受け止めたセリカテラーの身体は、まるで操り人形の糸が切れたかのように後ろへと派手に吹き飛び、そのまま管理棟の頑丈なコンクリートの壁へと、激しく背中から衝突するのだった
「はぁ……、はぁ……、はぁ……」
セクター内に、一瞬の、ひどく重苦しい静寂が訪れる
聞こえるのは、極限の集中状態から解放されたクロコの荒い呼吸の音と、壊れた天井の隙間から微かに響いてくる、遙か階下での元カイザー理事のあの醜悪で下品な高笑い、そして爆発の地鳴りだけだった
壁に寄りかかったまま、ぐったりと頭を垂れていたセリカテラー。しかし、その細い肩が不自然にピクリと揺れた
「ふ……ふふっ……、あははははは!!!」
静寂を文字通りズタズタに引き裂くようにして、セリカテラーが突然、狂ったような甲高い大笑い声を上げ始めた
その笑い声には、これまでの憎悪や憤怒とは明らかに質の異なる、どこか底知れない歓喜の色が不気味に混じり合っている
「……何が…可笑しいの」
クロコはアサルトライフルのレシーバーを握る指にさらに力を込め、油断なく銃口を向けたまま、低く警戒するような声を向けた
「ひさしぶりよ……本当に、久しぶりだわ、この感覚……! 痛い……、身体のあちこちが、信じられないくらいに痛いのよ……っ! ふふふ……あはははは! そうよ、思い出したわ……『痛み』って、こんな感覚だったじゃない……!」
セリカテラーは動かない左腕をだらりとさせたまま、残された右手で自らの顔を覆い、狂ったように笑い続ける。その目元からは、狂気の涙が滲み出ていた
「……?」
彼女が一体何を口にしているのか、その言葉の真意が全く理解できず、クロコは眉を深くひそめることしかできない。ただ戦術的な警戒レベルを引き上げる
「しかも……あはは! 見てよこれ! 弾を撃ち込まれた場所が……全然、回復していかないのよ!! 最高じゃないの……っっ!!」
「──っ」
セリカテラーが顔から手を退けた瞬間、クロコはその言葉の意味を理解し、息を呑んだ
セリカテラーの足元や拳からは、過酷な酷使による断裂を埋めるように、今もなお紫黒い光の粒子がパチパチと不気味に迸り、急速に肉体を繋ぎ合わせ続けている。リミッター解除による自傷ダメージは、色彩のシステムによって確かに修復されていた
──しかし、今クロコが明確な意思を込めて撃ち込んだ胸元と肩口の銃創だけは、どれだけ時間が経とうとも、あの禍々しい光の粒子がピクリとも現れる気配がない。ただただ赤黒い鮮血が、色彩の修復の手を頑なに拒絶されたかのように、リノリウムの冷たい床へと静かに滴り落ち、小さな血溜まりを広げ続けていたのだ
(なんで……? 他の、自分で肉体を酷使した限界突破の傷は瞬時に塞がっているのに……なぜ、私の撃った弾の傷だけが、回復できない……?)
クロコはアサルトライフルを構えたまま、網膜の奥で戦術データを高速で弾き出しようとするが、理論的な答えが導き出せない
今までのセリカテラー自身の攻撃や自傷による損壊と、今しがた自分が与えた決定的なダメージ。その二つの間に、一体どのような構造的な違いがあるというのだろうか
「あはは! つまらない、ただの消化試合の戦いになると思ってたけど……。ねえ、これ、最高に楽しくなりそうじゃない!」
セリカテラーは胸元の傷口を自身の右手でわざと乱暴に抉り、指先に付着した血をペロリと舌で舐めとった。その双眸に宿る昏い光は、底知れない狂気と、待ち望んでいた死への歓喜でさらにギラギラと輝きを増していく
「……私は、少しも楽しくない。不愉快なだけ」
クロコの声はどこまでも冷たく、そして沈んでいた。かつての仲間のそんな壊れた姿など、一秒たりとも見ていたくはなかった
「それは残念ね!! だったら、無理矢理にでもその澄ましたツラを恐怖で歪ませてあげるわよっ!!」
「!」
次の瞬間、空気の爆縮音が響いた
これまで頑なに接近戦での泥仕合を挑んできたセリカテラーが、初めて背中のスリングから愛用の突撃銃を凄まじい速度で引き抜き、その銃口をクロコの胸元へと正確に突き付けたのだ
ガガガガガガガガッ!!!
至近距離から放たれる、容赦のないマズルフラッシュ。クロコは野生の直感のままにリノリウムの床を強く蹴り抜き、右側の空間へと滑り込むようにしてその弾幕を紙一重で回避する
背後のコンクリート壁が激しく砕け散り、激しい火花と鋭利な破片がクロコの頬をかすめていったが、彼女は転がりながらもすぐさま体勢を立て直し、すぐに応戦の引き金を弾いた
タタンッ、タタンッ!!!
お互いの距離が数メートルほど離れ、激しい銃撃戦へと移行する
皮肉なことに、間合いが離れて銃撃戦になった分、クロコの脳内には戦術的な思考を巡らせるためのわずかな「余裕」が生まれていた。弾丸を躱し、遮蔽物に身を隠すコンマ数秒の合図の中で、彼女の思考は先ほどの不可解な現象へと再び収束していく
なぜ、先ほどのアサルトライフルの弾丸は、セリカテラーの絶対的な自己再生を無効化し、消えないダメージとして刻み込むことができたのか
小鳥遊ホシノがセリカテラーと激突し、奇跡的に生還を果たしたあの日。アビドス病院のベッドの上で、青白い顔のままクロコたちにその戦いの全容を語ってくれた時、そんな「特定の攻撃だけが再生能力を完全に拒絶した」などという不可解な現象は、一度たりとも報告されていなかった
アビドスの誰もが認める絶対的な最高戦力であり、神秘の出力においてもキヴォトス屈指の領域に位置する小鳥遊ホシノ──彼女の容赦のない盾の強打も、至近距離からの精密な銃撃も、色彩によって反転したセリカテラーの前には、一時的な制動以上の意味を成さなかったはずなのだ。どれほどの深手を負わせようとも、セリカテラーは泥泥とした闇の底からゾンビのように何度でも蘇り、その無限の超回復をもって、ホシノを精神的にも肉体的にも限界の向こう側へと追い詰めた
アビドスの精神的な大黒柱であるホシノの全力が通じず、今の、満身創痍であるはずの自分の攻撃だけが明確に通っている
小鳥遊ホシノと、この私。一体、何が決定的に違うというのか。
(ホシノ先輩に無くて、今の私にあるもの……。アビドスの生徒としての神秘の総量? 銃の口径の違い? それとも、肉体的な変質度合い、あるいは──)
「戦いの最中に、その澄ましたツラで余所見をしてんじゃないわよっっっ!!!!」
「っ……!」
思考の海の深淵に沈みかけたその刹那、セリカテラーが硝煙の弾雨を強引に突っ切って、クロコの完全な視界の死角へと回り込んできた。常軌を逸した制動による、真横からの容赦のない鋭い銃撃
「くっ……!」
クロコは咄嗟に身を翻すが、戦術的な意識を切り替えきるのがコンマ数秒だけ遅れる。直撃の軌道。しかし、その刹那にクロコの身体に深く染み付いていた数多の戦場の本能が、半ば無意識のうちにアサルトライフルの銃口をセリカテラーの突撃動線へと向けさせ、弾かれたように引き金を引いていた
バァンッ!!!
「いったぁっ……! ぐっ、うあぁっ!」
鋭い乾いた金属音とともに、セリカテラーの右の太ももを、クロコの放ったカウンターの一発が深く掠め飛んだ
本来の彼女の防御壁、あるいはキヴォトスの生徒の頑強な肉体からすれば、それはただ表面の肉を僅かに削り取っただけのかすり傷に過ぎない。すぐに色彩のドス黒い光がその傷口を覆い尽くし、何事もなかったかのように一瞬で肉が再生し、結合するはずの、あまりにも微々たる損壊
しかし──その太ももの生々しい傷口からも、やはり不気味な光の粒子は、ただの一粒さえも溢れ出そうとはしなかった
「あ、が……っ、なんで……っ!?」
セリカテラーは突撃の推進力を削がれて一瞬だけ大きくバランスを崩し、その顔を屈辱と困惑の苦痛に激しく歪ませる。彼女の太ももの破れた布地の隙間からは、先ほどの胸元の傷と全く同じように、ドロリとした赤黒い生血が止めどなく溢れ出し、彼女の細い足を伝って冷たい床へと静かに流れ落ちていった
(間違いない……。やっぱり、私の攻撃だけが、セリカを包むあの再生能力を根本から無効化させている。……でも、どうして? 理由が、どこかにあるはず……)
血を流し、肩を大きく上下させて息を切らせるセリカテラーの姿を網膜の奥に焼き付けながら、クロコの脳裏に、一つのあまりにも冷酷で、あまりにも絶望的な『仮説』が、暗雲を切り裂く雷霆のように鮮烈に閃いた
色彩の力とは、キヴォトスに存在する既存の「神秘」を強制的に反転させ、この世の理とは異なる性質の「恐怖(テラー)」へと書き換える、不条理の権能だ。ゆえに、この世界の通常の生徒たちが持つ「輝かしい神秘」や「純粋な光の干渉」に対しては、絶対的な拒絶と排他、そして因果を無視した無限の再生という形をとって、完璧な無敵の防御壁を形成する
だが、もしも
その絶対的な防御壁を内側から撃ち抜いた攻撃の主、その本質が──この優しい世界の住人ではなく
(そうか……。私のこのヘイローも、私のこの身体も……すでにあの滅びてしまった世界で、一度『色彩』に直接触れ、完全に反転させられているんだ……)
クロコは、自身の頭上に浮かぶ、ひび割れて煤けた灰色のヘイローの存在を無言で意識した
自分自身がすでに、世界の崩壊とともに「テラー化」の絶望を経験した個体なのだ。同じ虚無の本質、同じ色彩の濁流をその身に宿した、同質の存在。だからこそ、自分の放つ弾丸や殺意には、セリカテラーを保護している色彩の防壁が「外部からの敵対的な干渉」だと正常に認識できず、同調するように素通りさせてしまうのだ
異物ではなく、同族の牙だからこそ、その肉体を内側から直接切り裂き、呪いのように治らない傷として深く刻み込むことができる
(私は……あの終わってしまった時間軸で、先生を守れず、すべてを失った砂狼シロコ・テラー。だから、この世界で同じように歪んでしまった彼女を、その手で確実に殺すことができる……。……なんて、皮肉で、残酷な結末だろう。)
自らの存在そのものが、かつての愛おしい仲間を確実に死に至らしめるための、この世界における「唯一の天敵」になってしまっているという不都合な真実に気付いた瞬間。クロコの胸の奥は、アビドスの砂漠に吹き荒れる極夜の寒さよりも遥かに冷たい、底知れない絶望と自己嫌悪の感情で満たされていくのだった
アサルトライフルを握る指先が、その精神的な衝撃の重さに耐えかねて、ほんのわずかにカタカタと震える
(……でも)
クロコは、少し離れた壁際で息を荒くしているセリカテラーを、冷徹な野生の双眸で再び静かに見つめ直した
セリカテラーは、その顔に狂気的な愉悦と、思い通りにいかない目の前の現実への苛烈な怒りを、ちょうど半分半分に混ぜ合わせたような、ひどく歪な表情を浮かべてこちらを鋭く睨みつけている
彼女は右手の爪を立てて自身の黒いプリーツスカートの端を力任せに引き裂くと、即席の止血帯のようにして、先ほどクロコの弾丸が深く掠め取った右の太ももに、乱暴な手つきで硬く巻きつけて止血を試みていた。その裂け目からは、今も色彩の修復を拒絶された赤い生血がじわりと滲み、ボロボロの布地をドス黒く汚していく
セリカテラーの現在の動きは野生の獣のように俊敏であり、自身の骨肉がどれほど軋み、壊れるかも一切気に留めない、あの常軌を逸した狂暴なパワーは非常に厄介極まりない。だが、それは万全のホシノや、数多の地獄を潜り抜けてきたこのクロコが、戦術的に勝てないほどの領域では決してない
アビドスの牙として戦い抜いてきた二人の技量をもってすれば、力ずくでねじ伏せること自体は十分に可能だった
しかし、これまでの戦闘において最大の障害となっていたのは、どれほどの致命傷を与えてもゾンビのように無限に蘇る、あの『色彩の回復力』という絶望的な壁だったのだ。そして今、その壁を内側から完全に粉砕し、有効なダメージとして相手に蓄積させられるのは、皮肉にも同じくテラー化しているクロコ自身の攻撃だけなのだと、戦況が明確に証明している
今の、限界を迎えて暴走しているセリカを物理的に止めることができるのは、この広大なキヴォトスにおいて、同じ性質の闇を宿した自分一人だけだ
「だから……さっきから目の前で、くだらない考え事をしてんじゃないわよっ!!!」
セリカテラーが裂けるような悲鳴をあげながら、残された右手だけでアサルトライフルの引き金を乱暴に引き絞った
「死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇっっっ!!!!! あんたなんて、アビドスなんて、世界なんて……全部消えちゃええええええっっっ!!!!!」
激しい銃声とともに、マズルフラッシュの強烈な閃光が、最上階を支配していた深い暗闇を断続的に、かつ白々とした狂気の色で照らし出す。しかし、その銃弾の軌道は、戦闘初期に彼女が見せていたあの針の穴をも通すような精密さとは程遠く、まるで狙いが定まっていないかのように、部屋の四方八方へとバラバラに、無軌道に散乱していた。跳弾がコンクリートの床や鉄製の天井を激しく叩き、耳を聾するような金属音とともに甲高い火花を無数に散らす
クロコは、自身の戦闘計算に基づいた最低限のステップと、わずかな上半身の回避運動だけでその拙い弾幕を難なく躱しながら、硝煙の向こうにいる相手の、些細な一挙手一投足に鋭い視線を凝らした
激しく銃身を震わせながら弾丸を無差別に撒き散らしているセリカテラーの細い右腕。よく見れば、その指先と手首が、本人の強固な破壊の意志とは全く無関係に、ガタガタと目に見えて激しく痙攣しているのが分かった
(もしかして……。これまで麻痺によって感じていなかった『久しぶりの生々しい痛覚』が、私の弾丸によって脳に直接流れ込んだせいで、急激な肉体と精神の過労が彼女を襲っている……?)
急激に発生した、色彩の自己再生システムの不具合。そして、肉体を直接内側から裂かれるような生々しい致命傷の痛み。それら想定外の事象が、セリカテラーの強靭な精神力を内側から確実に蝕み、その戦闘継続能力を急速に奪いつつあるのだ
このまま、自らの得意とする的確な間合いを保ち、防戦に徹しながら隙を見て的確な弾幕を浴びせ、精神的にジワジワと押し切りさえすれば。そう遠くないうちに、セリカテラーの動きは完全に止まり、彼女をここに「打倒」することができる。それは、数多の戦場を冷徹に生き抜いてきた砂狼シロコ・テラーにとって、あまりにも確実な勝利のロードマップだった
(……だけど。このまま、セリカを『ただ』圧倒的な力でねじ伏せて、肉体を壊して倒してしまってもいいのだろうか)
確かに、これ以上の銃弾をその華奢な肉体に撃ち込み、骨を砕いて動けなくすることは容易だ。しかし──そうやって強引に、暴力の結末として勝利を収めたとして、彼女の壊れてしまった心は、あの頃の、部室でいつも生意気に笑っていた明るいセリカに、本当に戻るのだろうか
誰の手によって、どんな不条理によって植え付けられたかも分からない、この世界への深い憎しみと怨嗟の数々。そして、自分の知っている大切な仲間たちが、自分のあずかり知らぬ場所で一人残らず消え去ってしまい、暗黒の孤独の荒野に一人きりで取り残され、生きる希望のすべてを完全に失ってしまったあのセリカ
そんな彼女の肉体をここでただの『動かない捕虜』として捕獲したところで、彼女の凍りついたままの魂に、これからの明るい未来や本当の意味での救いなど、本当に訪れるのだろうか
激しい銃撃戦の最中、クロコの脳裏を過ったのは、かつての平和で、何でもない、だけど何よりも愛おしかったアビドスでの日常の残像。その一瞬の、戦士としては致命的とも言える精神的な迷いと、セリカの『救い』に対する深い深い、哀しき思考
悲劇的な破綻が発生したのは、まさにその一瞬の隙の瞬間だった
「……ふふ、あはは。せっかく楽しくなってきたのにね。……やっぱり、その程度なのね」
「──っ!?」
油断した。ハッキリと、自らの破滅を、手遅れなタイミングで理解してしまう
お互いの距離が数メートル離れ、中距離の銃撃戦へと移行したという現状に、自らの思考の戦術プログラミングを無意識に書き換えてしまっていたのだ。セリカテラーが、自らの両足の肉や骨を爆破させるほどの致命的な負荷をかけてでも、一瞬でこちらの懐へと間合いを詰め、肉薄してくる『あの狂気の自傷跳躍』を仕掛けてくる可能性を、思考の優先順位から完全に除外してしまっていた
視界が、一瞬にして、上下左右に反転する
立ち込める黒煙と硝煙の霧を強引に引き裂いて、セリカテラーの歪んだ、しかし凍りつくほどに冷たい、一切の迷いのない眼差しが、クロコの目の前に再び至近距離で出現していた
「ごふっ……っ!?」
完全なノーガード
セリカテラーはクロコの懐へと鋭く潜り込むと、残された右拳に、その身体の全質量と色彩の狂暴なエネルギーを極限まで凝縮させ、クロコの無防備な腹部へと、真っ直ぐに突き刺した
ドッ、カァァァンッ!!!!
鈍い打撃音の直後、クロコの体内で、肋骨や内臓がメキメキと嫌な音を立てて悲鳴を上げるのが分かった。キヴォトス人としての、そして『テラー』としての強靭な防御力を容易に貫通し、その凄まじい衝撃波が直接背骨へと突き抜ける
あまりの激痛と衝撃に息を吸うことすら許されず、クロコの華奢な身体は、まるで射出された砲弾のように真後ろへと派手に弾き飛ばされた
凄まじい勢いのまま、数十メートル後方の頑強なコンクリート壁へと背中から激しく衝突する。ドォォンと大きな地響きのような衝撃が管理棟全体を揺らし、崩れ落ちた壁の鋭利な破片とともに、クロコの身体は床へと力なく崩れ落ちた
握っていたアサルトライフルが手元から離れ、冷たいリノリウムの床を虚しくカランカランと転がっていく
(や、やばい……。意識、が……急激に、遠のく……っ)
腹部から脳へと突き上げる、内臓を直接灼熱の炎で灼かれるような強烈な激痛。背後のコンクリート壁に激突した際の衝撃で頭を強く打ったせいか、クロコの網膜の視界は、外側からどろどろとした暗い闇に侵食されるようにして、急速に、真っ黒に染まっていく
身体中のすべての神経が引き裂かれるような悲鳴を上げ、脳の防衛本能がこれ以上の苦痛を拒絶するように、彼女の意志を無視して強制的に意識をシャットダウンしようとしていた
指先一つ、睫毛一つ動かすことすら叶わず、血の海と化した冷たいリノリウムの床に横たわるクロコ。その薄れゆく朦朧とした意識の向こう側で、セリカテラーの、あの狂気と冷酷な殺意に満ちた重い靴の足音が、コツン……コツン……と、命を刈り取る死神の足音のように静かに近づいてくるのが、微かに聞こえていた
(ここで……私は、終わるの……? 誰も……救えないまま……また、私は……)
急速に全身の体温が奪われ、深い深い闇の底へと沈んでいく感覚。その、完全に閉ざされゆく暗闇と静寂の境界線で
突如として、セクターの激しい硝煙の臭いも、全身を引き裂いていたあの激痛も、すべてが嘘のように遠のき──彼女の精神の奥底で、真っ白な、どこまでも穏やかな光の空間が広がった
次回の投稿は21日の深夜12時になります!