アークナイツ「慈悲光塔」RTA 1098年10ヶ月 作:おじさん
ホモちゃんが王になる……じゃなかった、王に謁見するRTAは気ままなセカンドライフを謳歌する。 〜ホモは武器だけじゃなく、あらゆるものに『加速アーツ』を付与できるし、ホモの意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?〜
お前今王になるって言ったか?
アニメが10月から放送ですね。ウレシイ……ウレシイ……。
前回はアルバートニキの長話を聞いたりフラグの芽を摘み取ったりしました。
飯食ってちょっと動かして
今日は謁見日ですね。
一応今日で自由操作も再び出来るようになりましたね。
……といっても、今回は解説したりすることが一切ないんですよね。
王の御前に立ったらムービーに入るので、スキップして今回は終了です。
期待をしていた視聴者兄貴姉貴達は騙して悪いが、
「なるべく早く終わらせるよう頼んではいるが……無理はしないでくれよ。何かあったらすぐに呼んでくれ」
隠しノードをクリア、クリア後に発生する後処理まですべて終えるとトロフィーが獲得できます。
じゃあ俺、トロフィー名予想して帰るから……。
■
「そう固くなるな。普段……かの光騎士と会話する時のようにすればよい。この国は旅人たる貴公に忠実たることを命じた覚えはない。それに、言葉を飾り真意を隠されるのは不快だ」
「……では、お言葉に甘えよう」
「よろしい」
王が一つ頷く。
玉座に座した王は、煌めく冠を戴冠した大柄で若いペガサスだった。
絢爛ではあるがどこか落ち着いた衣服を纏い、腰に剣を差している。王もまたカジミエーシュの『騎士』であった。
「まず確認を行う。貴公があの場を打開した技術は巫術であると聞き及んでいるが、相違ないか」
「ああ。私の巫術にてあれを攻撃出来るようにした」
今度はレヴァナントが一つ頷く。
王はアーツではなく巫術と口にした。巫術という名前が未だ一般化していないこの時代だ。この場に並び立った臣下たちは不思議そうに顔を見合わせる。
想定の範囲内……どころか、そう聞かれるであろうとレヴァナントは確信していた。
王の耳に入るように、この3日間を仕組んでいたからだ。
「余の知識では、巫術とはサルカズのみが使う特異なアーツであると記憶している」
ほのかに気配がざわめく。
王の御前で臣下達が声を上げたわけではない。ただ、互いに顔を見合わせては、レヴァナントの様子を注意深く睨む。
当然だ。サルカズに継承される技術を使うものが、王の前に立っているのだから。
「余の知識が誤っているのならば、指摘するがよい。それを許そう」
「いいや。貴方の認識は合っている。その通りだ」
「ふむ……」
今度こそ場がざわめいた。
レヴァナントが──フェリーンの身体で生きる少女が、サルカズであると認めたからだ。
レヴァナントの言葉に驚愕する者、忌み恐れる種族が王の御前に立つことを警戒する者、呪われた種族に己が害されるのではないかと怯える者。
未知への疑念、逸話への恐怖、異常への警戒。渦巻く感情の中、誰かが剣を抜くまではそう時間はかからなかった。
「魔族め、このカジミエーシュに何をッ……!!」
「下がれ」
「陛下……!?」
剣を構えた臣下を王が制す。
その視線に従う他なく、臣下は怯えた眼差しのままに剣を納める。その視線の先には、依然として澄ました表情のレヴァナントが立っていた。
「種族による無意味な差別を余は好かん」
玉座から王が立ち上がる。逆光を纏ったその表情をレヴァナントが読むことは叶わない。
きらびやかな刺繍が施された赤いケープの裾を揺らして、一歩、二歩とレヴァナントとの距離を縮める。
足音が高く響くごとに、空気は張り詰めていく。臣下たちは知らずのうちに息を呑み込んで、その場から動けずにいた。
「しかし、余が王である以上はこの国を揺るがす不安の芽を摘み取らねばなるまい」
す、と空気を裂く音が響く。
レヴァナントの首元に、静かに首に刃が添えられた。
「その上で問おう。──貴公は、何者だ?」
煌めく切っ先に照らされて、そこでようやく王の表情を知った。
まさしく真剣に、こちらの存在を見定めんとする瞳。
怒っているのか、恐れているのか、見下しているのか。こちらを見据える瞳は感情のすべてを覆い隠していて、まるで読み取れない。
ただ、返答次第で首が飛ぶということだけは確かだった。
この身体にそれが無くなった所でレヴァナントは死ぬわけではない。
しかし、やはり。勝手に身体を借りて勝手に死ぬというのは、どうにも後味が悪い。
首に添えられた刃と、王の表情とを交互に見てから、レヴァナントはようやく口を開いた。
「サルカズのレヴァナント。名をホルス・モーヴィストと言う」
「ほう……レヴァナントという言葉の意味するところを余は知らぬ。述べてみせよ」
「サルカズの種族の内の一つだ。身体を持たずしても生きる者たちを示す」
「では、その身体は何だ?」
「荒野にて飢え、思考することが不可能になった少女の身体だ」
「なにゆえ、貴公はその身体でこの国を跨いだ?」
「私の旅のためだ。旅のために彼女の身体を拝借し、一時的にこの地に世話になっている」
「貴公が今回の事に手を貸したのはなぜだ?」
「理由はない。何かを、誰かを助けることに理由は必要ないだろう」
「……ふむ」
王の質問に対して、レヴァナントは淀むことなく答えていく。
隠すこともやましいこともこの旅にはない。強いて言うなればそれは己がレヴァナントであるという事実だけだ。
そしてそれはもう述べたのだから、残りはすべて些事に他ならない。
十秒か、二十秒か、それ以上か。
張り詰めたまま流れる空気はどこか重苦しい。
首に刃を添えられているのはレヴァナントだけであるのに、それらを見守る全員すらも、同じく命の危機にあるような表情を浮かべていた。
態勢はそのままに、王は臣下に向かって口を開く。
「用意してあるだろう。持って参れ」
「し、しかし……!」
「元よりそのつもりだったのだ。構うまい」
「……は、御言葉のままに」
王は再びレヴァナントに向き直ったかと思うと、フ、と小さく笑ってから剣を納めた。
どうやら何かに納得したらしい、とレヴァナントは内心で安堵した。緊張の糸が緩むと同時に、周囲からも止めていた息を吐き出す音が聞こえる。
「しばし時間がかかるだろう。貴公から何か言葉はあるか?」
「……まずは、剣を納めてもらったことに感謝を」
「言ったであろう。余は種族による無意味な差別を好まんと。貴公はどうやらこの国に暗雲を齎す者でもない。剣を向ける理由などはないようだからな。して、それだけでよいのか?」
「では、質問をしても?」
「許す。述べよ」
「騎士とは……何だ」
ほう、と楽しげな声が王から漏れる。
レヴァナントは『騎士』の多くを知らなかった。それこそ、5年共に居た騎士と、南下してきた脅威に共に立ち向かった高慢な騎士ほどである。
しかしこの5年、レヴァナントはあの集落で多くの日々を過ごした。『騎士』になることを望む少年、『騎士』への慕情を抱く少女。『騎士』の栄誉を羨んだ青年。『騎士』を馬鹿馬鹿しいと吐き捨てた女性。
誰もが『騎士』のことを知っている。しかして誰もが違った情景を『騎士』に抱く。
かの騎士は、己を罪人だと言った。罪人であっても、どうか『騎士』という夢に縋りたいのだと。
かの高慢な騎士は、己は割を食ったと言った。しかしてそういうものなのだと。
レヴァナントは『騎士』の多くを知らない──否、多くの者がそれぞれに抱く情景たちが、『騎士』という輪郭をぼやかしていく。
どれが、どこまでが、何が『騎士』なのかを、レヴァナントはこの5年間で知り得なかった。
「その質問に答えよう」
「……」
「隣人を助ける者、敗北に耐え凌ぐ者、諦めず立ち向かわんとする者、己の信ずるものの為に立ち上がる者。これらは皆騎士である」
「それは……随分と、幅が広いな?」
「騎士であろうとする者すべてに、騎士になる権利があるのだ。少なくとも、余が王たるこのカジミエーシュではな」
「……そうか、良い国だな。わだかまりが解けた。感謝する」
──どうやら、己の見てきたものすべてが『騎士』であったらしい。
あれもこれも、悩む必要などなくすべてが騎士たり得る存在であった。少なくともこの国では。
なんと輝かしきことか、とレヴァナントは微笑む。
己の故郷がこうであったら、サルカズという種族が差別されないものであったら、鉱石病がこの大地を蝕むことがなかったら、そう考えずにはいられない。
立て続けに浮かんでゆく思考に一度蓋をして、レヴァナントは息を吐き出した。
そしてレヴァナントが王に向かって丁度一礼をした後に、先の臣下が何かを丁重に持って戻ってくる。
王の目配せに従い、臣下はレヴァナントに両手でクッションを差し出す。
クッションの上には、金色に煌めき、凝った飾りを纏った小さな勲章が鎮座していた。
「……これは?」
「貴公への勲章だとも、『影』騎士ホルス・モーヴィストよ」
「!?!?」
おお、とレヴァナントの後方で声が挙がった。
切っ先を向けられようとついぞ反応しなかったレヴァナントの尾が大きく膨らんだからである。
おおじゃないが。レヴァナントは心中で悪態をつくも、当然声にはならなかった。
なんと件の勲章をよく見ると、黒猫の意匠があしらわれているではないか。どうなっている、と顔を上げた先に居る王は、なにやら悪戯が成功した悪餓鬼のような顔でこちらを見下ろしている。
王と、勲章と、それを差し出す王の臣下。それらを何度も交互に見て、わたわたと行き場のない手を上せて、レヴァナントはなんとか言葉を出そうと試みる。ようやく絞り出した声は動揺で酷く震えていた。
「私は……旅人だ。この国の騎士でもない」
「余の国を守った者にそれに見合った褒賞を与えているのだ。何もおかしくはあるまいよ」
「……」
「そうむず痒い顔をするな。ほら、付けてみせろ」
「…………」
「似合っているではないか」
似合っているらしい。もう知らん。
レヴァナントはヤケになっていた。
「誇れ、
レヴァナントの胸元で勲章が輝く。
掘り込まれた黒猫の意匠は、どこか誇らしげな顔をしているように見えた。
「隣人を助ける者、敗北に耐え凌ぐ者、諦めず立ち向かわんとする者、己の信ずるものの為に立ち上がる者──それ即ち騎士である」
王が告げた『騎士』というのは、あまりに広い。
かといって誰も彼もがレヴァナントと同じ勲章を賜るわけではない。
その事実が、胸元の勲章をやけに重くしている様に感じた。
「貴公は強き心の持ち主で、騎士たる者だと余が認めた」
サルカズが──この大地で捨て置かれるような者が『騎士』か。とレヴァナントは小さく笑った。
それを見透かしたのか、王もまた笑う。
「種族など関係はあるまいよ。貴公が守ったことこそ事実なのだから」
「……そうか。……感謝する、ルドヴィク2世。私はこの5年間、貴方の国に生かされてきたのだから」
「その庇護が斯様な騎士を育んだのであるならばそれこそ本望だとも」
王はどこか満足気にそう告げる。
『騎士』が守護する国が、また次なる『騎士』を産み、その連鎖が国を回していく。なるほどこれが『騎士の国』たる所以かと、レヴァナントはどこかで納得した。
「貴公は国を離れ、再び旅に出るのだな?」
「そのつもりだ」
「では努々忘れぬ様に。貴公はカジミエーシュを救った騎士であり、その誇りと責を担い生きる身であることをな」
「……」
「くく、重いか」
「ああ……この様な重責は初めてだ」
「変わらずにそのまま在ればよい。貴公の生き様は騎士に足りるものであるのだから」
ふと、これまでに聞き届けてきた『騎士』という多くの情景が頭に浮かんでは沈んでゆく。
人それぞれに抱いた、バラバラな情景。『騎士』という大きな夢、その一欠片たち。
──そうか。私は
「では、下がることを許そう」
「……ああ、失礼した」
レヴァナントは深く一礼する。
視界に入った胸元には、小さな金色が輝いていた。
今週の更新は以上になるかと思います。
また来週末を楽しみにしててくれよな!!
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