自分用   作:raian sinra

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20話

## 【BLEACH × 宝鐘マリン】現世決戦篇 第二部:断界の深淵と、海賊の卍解

### 第一章:断界の揺らぎ、魂の深層へ

断界。

そこは、外界と切り離された「時間の止まった空間」であると同時に、人の魂が持つ『深淵』に最も近い場所でもあった。

「……ッ!!」

宝鐘マリンが魂の海で両親の真実に触れ、愛という名の錨(いかり)を拾い上げたその瞬間、断界の空気は一変した。

これまで彼女の魂を蝕んでいた、虚化という「呪いの泥」が、自らの意思によって強制的に排出されていく。代わりに、両親から受け継いだ命の炎と、海賊として積み上げた誇りが、彼女の霊子構造を書き換えていく。

マリンの周囲を、巨大な水の竜巻が渦巻いていた。

それは、もはやただの水流ではない。断界に満ちる莫大な霊子を直接喰らい、水という形に変換して自身の身に纏う『霊子操作』の究極形。

「……聞こえるか、紅海月」

マリンは閉じた瞳の奥で、静かに呟いた。

『ええ。あなたの魂の海は、もう濁り一つないわ。……さあ、船長。あの傲慢な神の座を、私たちの海に引きずり下ろしましょう』

マリンの右手が、ゆっくりと紅海月の柄を握りしめる。

彼女の霊圧が、断界の壁を限界まで圧迫する。空間が耐えきれずに悲鳴を上げ、亀裂が入る。

「出航せよ——」

マリンの声は、海賊の号令のように力強く、そして深海のように静謐だった。

「——卍解」

### 第二章:覇海・宝鐘紅海月(はかい・ほうしょうくれないくらげ)

ドォオオオオオオオオオオオンッ!!!!

断界の狭い空間に、収まりきらないほどの巨大な群青色の光が爆発した。

マリンの周囲に展開していた水流が、一瞬で「巨大な海」へと変貌する。

それは断界という閉鎖空間の中に、もう一つの「深海」を創り出す現象だった。

マリンの足元から、どこまでも深く、暗く、それでいて星空のように光り輝く『深淵の海』が溢れ出す。そして、マリンの背後に、巨大な『幽霊海賊船(ゴーストシップ)』の幻影が、幽玄にその姿を現した。

船首には白骨の装飾が施され、マストには群青に染まった海賊旗が翻る。

そして、マリンの姿もまた変わっていた。

彼女の肩には船長を象徴する真紅の外套が羽織られ、右目には光り輝く群青の眼帯が装着されている。その姿は、かつての「実験の失敗作」などではない。数多の荒波を越えてきた、孤高の海賊船長そのものだった。

「——卍解」

マリンは、背後に浮かぶ幽霊海賊船に繋がる『巨大な舵輪(だりん)』を握りしめた。

彼女が舵を回すと、空間そのものが回転する。

「『覇海・宝鐘紅海月(はかい・ほうしょうくれないくらげ)』」

その言葉と同時に、断界の空間がマリンの支配下に置かれた。

ここは深海一万メートル。

この領域内では、彼女の意のままに水圧が変化し、霊子の海流が敵を切り裂く。

「……悪いね、一護。先に海を荒らさせてもらうよ」

マリンは舵を激しく切り、断界の霊子そのものを群青の槍へと変えた。

数千、数万の『水の槍』が、空間の彼方へと向かって放たれる。その威力は、断界の壁を易々と貫通するほどに研ぎ澄まされていた。

「これなら……藍染の防御も、引き裂ける……!!」

マリンの覚醒を目にした一心は、壁に寄りかかりながら、口元に満足げな笑みを浮かべた。

「……へっ。完全に自分自身を船長として定義しやがったな。あの姿なら、あのバケモノ相手でも十分に渡り合える」

### 第三章:偽り空座町、血塗られた序曲

断界での修行を終えた彼らが、ついに本物の空座町が転送された尸魂界の決戦の地へ辿り着く。

そこは地獄の様相を呈していた。

藍染惣右介と市丸ギン。その二人の前に、尸魂界の死神たちは為す術もなく倒れていた。

特に、崩玉と融合し、蝶のような悍ましい翅を広げた藍染の霊圧は、もはや死神の感知を許さない。

「……ようやく来たか」

藍染は蝶の翅を揺らし、不敵に笑う。

その時、一護と共に黒腔から飛び出したマリンが、藍染の正面へと踊り出た。

「藍染ッ!!!」

「宝鐘マリン。またお前か。……死の淵を何度も彷徨いながら、よくぞ懲りずに戻ってきたものだ」

マリンは言葉を返さなかった。

彼女は紅海月を鞘に収めたまま、静かに舵輪を回す動作を空中で行った。

「……私の海へ、ようこそ」

マリンが手をかざすと、彼女を中心に広範囲な『群青の領域』が展開される。

偽り空座町の建物が、木々が、瞬時に群青色の水へと飲まれていく。ここは、マリンが定義した海中だ。

「……ほう。空間を別の性質に置換したか。面白い」

藍染が指先を向け、マリンの心臓めがけて破壊の光を放つ。

だが、その光はマリンの領域に触れた瞬間、猛烈な水圧によって軌道を曲げられ、空間の彼方へと消えた。

「無駄だよ。この海の中では、アンタの霊圧も、重力も、全て私の船長権限(オーソリティ)でコントロールされるんだ!」

マリンが舵輪を強く切り、無数の群青の水流を藍染に放つ。

水流は鞭のようにしなり、藍染の蝶の翅を一つ、また一つと切り裂いていく。

「……少しはやるようになったな、失敗作」

藍染が翼を羽ばたかせると、凄まじい衝撃波が水圧を押し返す。

マリンは後方に吹き飛ばされそうになるが、水流の足場を即座に作り出し、空中を滑走する。

「黙れ!!」

マリンは幽霊海賊船の幻影から、霊子を固めた巨大な大砲(カノン)を召喚し、全力の一撃を放った。

「海賊の挨拶(キャノン・サルート)!!」

ドォォォォォォォォンッ!!!!

群青の砲弾が藍染を直撃し、爆炎が舞う。

一護もまた、その隙を逃さず、仮面を装着した状態で天鎖斬月を振り下ろす。

「月牙ァァァアアア——天衝ッ!!!」

二人の、命を懸けた全力の一撃。

それは、藍染の繭を少しずつ、確かに削り取っていく。

「ふふ……ふはははは! 良い。実に良い!!」

爆炎の中から現れた藍染は、翼を失いながらも、その瞳に狂気じみた愉悦を宿していた。

「君たちの抵抗こそが、私の進化を加速させる糧となる。……さあ、もっと私を楽しませてくれ!」

マリンと一護。

海賊船長と死神代行。

己のルーツを否定された者と、宿命に抗う者が、ついに神を喰らうための戦いを開始した。

この後、彼らは藍染の進化の果てにある「異形の怪物」と対峙し、マリンの領域(卍解)が引き裂かれ、最後の一護の『無月』へと物語は繋がっていく。

しかし、この空座町でのマリンの卍解は、藍染の慢心を打ち砕き、彼に初めて「自分の計画を邪魔する可能性」を意識させた、歴史的な一撃となったのである。

 

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