自分用   作:raian sinra

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X8話

## 【BLEACH × 宝鐘マリン】千年血戦篇:霊王宮の試練と、魂の真実

### 第四章:霊王宮の誓い、深淵より出でし二つの刃

### 第一節:刀神の賛美と、新しき刃の重み

「……ビューティフルだゼ。これ以上ないってくらいの、最高の仕上がりだ」

王族特務・零番隊『刀神』二枚屋王悦は、鍛冶場の熱気が立ち込める鳳凰殿の奥で、満足げにサングラスを押し上げた。

彼の視線の先には、燃え盛る炉の炎を背にして立つ二人の姿があった。

一人は、両手に大小二振りの漆黒の刃——『真・斬月』を握る死神代行、黒崎一護。

そしてもう一人は、腰に佩いた新たな鞘から、息を呑むほどに美しく、そして禍々しい一振りの海賊刀を引き抜いた宝鐘マリン。

「『真・紅海月(くれないくらげ)』……」

マリンは、自身の新たな魂の形であるその刀身を、食い入るように見つめていた。

かつては群青色一色だった刀身。しかし今は違う。光を完全に吸い込むような漆黒の刃(やいば)をベースに、まるで深海の海流が脈打つかのように、ドクドクと群青色の波紋(刃文)が絶え間なく揺らめいている。

その刀からは、以前のような暴走の危うさは微塵も感じられなかった。

滅却師(クインシー)を確実に腐食させる『虚(ホロウ)の劇毒』。それが、死神の清浄な霊子によって極限まで圧縮され、完璧なコントロール下に置かれているのだ。

「……信じられないワゾ。あんなに重くて、痛くて、暴れ回ってたアタシの魂が……今は、羽みたいに軽く感じる」

マリンが刀を軽く振ると、ヒュンッ、と空気が悲鳴を上げた。ただ素振りをしただけなのに、鳳凰殿の強固な霊子空間に、黒紫色と群青色の飛沫が鋭い軌跡を描いて残る。

「軽く感じるのは、お前が自分の『ツギハギの魂』を一つ残らず受け入れて、完全に己の力(コントロール)の下に置いたからだヨ」

王悦がニヤリと笑う。

「お前のその刃に込められた『毒』の純度は、もはや虚圏(ウェコムンド)のどの大虚(メノス)よりも濃い。ユーハバッハの野郎がどれだけ未来を見通す『眼』を持っていようと、お前のその劇毒の海は、奴の神話に致命的なバグを起こすはずだゼ」

「……ああ。グラサン、いや、王悦チャン。アタシ、もう二度と自分のルーツから逃げない。……失敗作でも、泥水でもない。アタシが、この海で一番ヤバい猛毒の船長だ」

マリンは真・紅海月を鞘に収め、その柄を力強く握りしめた。

### 第二節:試し斬り、王宮を揺るがす群青と漆黒

「……おい、マリン」

不意に、隣に立っていた一護が声をかけた。

彼は両手に握った二振りの斬月を軽く回し、鋭い視線をマリンへと向けていた。

「下に降りる前に……少しだけ、付き合えよ。互いの新車の『乗り心地』、確かめておきたくねェか?」

一護の口元には、かつての戦いの中で幾度となく見せてきた、好戦的で不敵な笑みが浮かんでいた。絶望に沈んでいた瀞霊廷でのあの顔は、もうどこにもない。

マリンのオッドアイが、ギラリと猛禽類のような光を放つ。

「……へっ。言ってくれるじゃん、一護。アタシの新しい船の出航祝いに、アンタのその二刀流、サビにしてやってもいいんだワゾ?」

「やれるもんならやってみろ!!」

ドゴォオオオオオオオンッ!!!!

何の合図もなかった。

二人の霊圧が同時に爆発し、霊王宮の強固な石畳がクレーター状に粉砕される。

一護が巨大な右手の長刀を上段から振り下ろす。それに呼応するように、マリンは抜刀の姿勢から『真・紅海月』を下からカチ上げた。

ガギィイイイイイイイイイイイインッ!!!!!

二つの真なる斬魄刀が激突した瞬間。

鳳凰殿を覆っていた滝の水が、二人の霊圧の衝突によって発生した衝撃波で一瞬にして『蒸発』し、上空の雲が巨大な円形に吹き飛んだ。

「おぉっと! アタシの御殿をぶっ壊すんじゃねェヨ!!」

王悦が慌てて霊子の結界を張るほどの一撃。

「重ぇ……! なんだよその刃、マリン! 前の比じゃねぇぞ!!」

一護が長刀で鍔迫り合いをしながら、驚愕の声を上げる。

マリンの細身の刃から伝わってくる物理的な質量は、まるで『海そのもの』を圧縮して叩きつけられているかのような、異常な重さだった。

「当たり前だろ! こちとら曳舟のおばちゃんのメシを限界まで食って、魂の器を深海レベルまで広げてきたんだ!! アンタの二刀流こそ、変な形してるくせに生意気なんだよ!!」

マリンは鍔迫り合いを左手で強引に弾き返し、間髪入れずに踏み込む。

「——『毒海流(ホロウ・ストリーム)・一の波』!!」

マリンの刃から、三日月型の群青と黒の斬撃が放たれる。

それはかつてキルゲの部下たちを溶かした無差別な毒液ではない。極限まで刃の『表面一ミリ』に毒を圧縮し、斬った対象の霊子結合のみを破壊する、洗練された必殺の斬撃。

「月牙ァアアアッ——天衝ォオオオッ!!」

一護もまた、左手の短刀から漆黒の月牙を放つ。

ズガァアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

毒の水刃と漆黒の月牙が空中で正面衝突し、霊王宮の空を二色に染め上げる大爆発を起こした。

爆風の中、二人の影が目にも留まらぬ速さで交錯する。

一護の二刀流による変幻自在の連撃。それをマリンは、死神の『白打』と虚の『響転(ソニード)』を完璧に融合させた動きで躱し、刃で受け流す。

(すごい……!)

マリンは、一護の刃を受けながら内心で戦慄し、同時に歓喜していた。

(一護の霊圧に、一切の迷いがない。死神も、虚も、滅却師も……あいつの中にある全部の力が、寸分の狂いもなく一本の太い線になってる!)

それは一護も同じだった。

(マリンのやつ……前みたいに、虚の力が暴走してねェ。あの底知れぬ猛毒の霊圧を、完全に自分の『手足』として制御しきってやがる!)

「ハァアアアアアッ!!」

「だァアアアアッ!!」

最後の一撃。

互いに全力の踏み込みから放たれた刃が、互いの首筋からわずか数ミリの位置でピタリと止まった。

巻き起こった突風が、二人の死覇装と真紅のコートを激しく煽る。

「……へっ」

「……ふっ」

静寂の後。

どちらからともなく、二人は武器を下ろし、ニッと笑い合った。

言葉による確認など必要ない。互いの魂が、これ以上ないほどに研ぎ澄まされ、世界の命運を懸けた戦いに挑む準備が完全に整ったことを、刃を通して理解したのだ。

「……合格だ。お前ら、最高の刃(ツレ)を持ったな」

王悦が、結界を解除しながら満足そうに拍手をした。

### 第三節:天上の誓い、群青の海図

試し斬りを終え、呼吸を整えた二人は、鳳凰殿の縁——霊王宮から下界(尸魂界)を見下ろせる絶壁へと歩みを進めた。

「……見えねェな。瀞霊廷が」

一護が険しい顔で呟く。

遥か眼下に広がるはずの瀞霊廷は、巨大な『影』——見えざる帝国が展開した真世界城の基盤——に完全に覆い尽くされ、黒い十字架のような異様な気配だけが上空まで立ち昇っていた。

ユーハバッハの圧倒的な力が、世界を確実に侵食している証拠だった。

「……総隊長が死んで、護廷十三隊がボロボロになって……世界がひっくり返ろうとしてる」

マリンは、吹きすさぶ冷たい風を全身に受けながら、眼下の巨大な影を睨みつけた。

「一護。アタシはね……昔、自分が『泥水』から生まれた失敗作だって知った時、世界中が敵に見えた。いつか、自分の中のバケモノに食われて死ぬんだって、ずっと怯えてた」

マリンは、腰の真・紅海月にそっと触れた。

「でも、違った。この世界は、アタシにたくさんの宝物をくれた。あんたたち黒崎家の温もり、ルキアちゃんや恋次のバカ騒ぎ……。全部、アタシがこの海で拾い集めた、何よりも大切な『錨』だ」

マリンのオッドアイに、強い、あまりにも強い決意の光が宿る。

「ユーハバッハが神様だか何だか知らないけど……アタシの海図(セカイ)を、勝手に真っ黒に塗り潰されるのだけは、絶対に我慢ならない」

マリンは、一護の方を向き、真紅の海賊コートの裾を翻した。

その姿は、霊王宮の清浄な空気の中でも全く色褪せない、孤高にして強欲な海賊船長そのものだった。

「アタシは、護廷十三隊の死神みたいに、世界の均衡(バランス)のために戦うわけじゃない。……アタシは海賊だ。自分の大切な船員(クルー)を護るため、自分の海を取り戻すため……ただひたすらに、あのヒゲ野郎の喉首を狙って、猛毒の牙を突き立てるワゾ!!」

マリンの宣言に、一護は頼もしそうに笑い、自らの真の斬月を背中に背負い直した。

「ああ。……俺も同じだ。俺は俺の大切なものを護るために、ユーハバッハを斬る。……行くぞ、マリン」

### 第四節:降下、最終決戦の地へ

「天柱輦(てんちゅうれん)は使わねェ! このまま直接、突っ切るぞ!!」

一護の言葉と共に、二人は霊王宮の絶壁から、眼下の黒い影に向けて同時に身を躍らせた。

ゴォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!

凄まじい風圧が二人の全身を叩きつける。

霊王宮と瀞霊廷の間には、七十二層の強固な障壁が存在する。本来ならば正規の手段でなければ通り抜けられない絶対の壁。

だが、今の彼らには関係なかった。

「退けェエエエエエッ!!!」

一護が漆黒の霊圧を前方へ放ち、マリンが群青と漆黒の混ざり合う高水圧の螺旋をドリル状に展開する。

バァアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

第一の壁が、ガラスのように粉砕される。

第二、第三、第四——。

真の力を手にした死神代行と、劇毒の虚を完璧に統べた海賊船長の突進は、霊王宮の障壁すらも紙切れのように引き裂いていく。

「ハァアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

落下速度は音速を超え、彼らの周囲の大気が摩擦熱で赤熱化し、まるで二つの隕石のように光を放ち始めた。

一護の放つ黄金と漆黒の光。

マリンの放つ、深海の底のような群青と猛毒の黒い光。

それは、絶望の影に覆われ、静寂と死に支配されようとしている尸魂界に対する、最大の反撃の狼煙(のろし)。

(待ってろ、ユーハバッハ……!!)

マリンは、真・紅海月の柄を両手で握りしめ、落下しながらも眼下の影の中枢を鋭く睨み据えた。

(神様が視る未来なんて、アタシの嵐で全部掻き回してやる。……宝鐘海賊団、尸魂界奪還へ向けて……全速前進だァアアアアアアッ!!!)

七十二の障壁を打ち砕く轟音が、尸魂界の空に響き渡る。

魂の真実を掴み、真なる刃を携えた二つの特異点が、今まさに神の箱庭へと牙を剥こうとしていた。千年血戦篇・最終決戦への扉が、途方もない衝撃と共に開かれようとしている。

 

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