自分用   作:raian sinra

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X13話

## 【BLEACH × 宝鐘マリン】千年血戦篇:真世界城(ヴァールヴェルト)の激闘

### 第二章:巨神との激突、ジェラルド・ヴァルキリー戦への乱入

### 第一節:天守閣への回廊、神の兵士の咆哮

浦原喜助たちにアスキン・ナックルヴァールの足止めを任せ、黒崎一護、井上織姫、そして宝鐘マリンの三人は、真世界城(ヴァールヴェルト)の中枢たる天守閣(王座)を目指して、崩れゆく霊子の回廊を疾走していた。

「急ぐぞ! ユーハバッハの霊圧が、城のてっぺんでとんでもねェことになってやがる!」

一護が前方を睨み据えながら叫ぶ。

「はいっ!」織姫が息を切らしながらも必死に追従する。

だが、彼らが天守閣へと続く巨大な連絡橋に差し掛かったその時。

ズゴォオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!

彼らの進行方向にある巨大な広場から、城全体を大きく揺るがす規格外の爆発音と、凄まじい衝撃波が叩きつけられた。

「うわァッ!?」

一護たちが思わず足を止める。連絡橋の強固な霊子外壁が、内側から弾け飛ぶように粉砕され、空中に無数の瓦礫がバラまかれる。

「……なんだ、今の衝撃! ただの霊圧のぶつかり合いじゃない、物理的な質量がデカすぎるワゾ!」

マリンがオッドアイを細め、爆煙の向こう側を凝視する。

煙が晴れた先にそびえ立っていたのは、見上げるほどの、いや、城の塔よりも遥かに巨大な『巨神』の姿だった。

星十字騎士団(シュテルンリッター)、親衛隊「M」——ジェラルド・ヴァルキリー。

彼は自身の能力『奇跡(ザ・ミラクル)』によって、ダメージを受けるたびにその傷を「神の尺度」へと変換し、肉体を際限なく巨大化・強化させるという理不尽極まりない能力を持っていた。

そして、その巨神の足元で死闘を繰り広げているのは、護廷十三隊が誇る最強の隊長格トリオ。

更木剣八、朽木白哉、そして、肉体を一時的に成長させ『完成した大紅蓮氷輪丸』を顕現させた十番隊隊長・日番谷冬獅郎であった。

「オオオオオオオオオッ!! 素晴らしいぞ死神ども!! 貴様らの刃が私を傷つけるたび、私に新たなる『奇跡』が宿る!!」

ジェラルドが、巨大な剣『希望の剣(ホーフヌング)』を大上段から振り下ろす。

剣圧だけで真世界城の広場が真っ二つに割れ、凄まじい暴風が一護たちを吹き飛ばしそうになる。

「朽木隊長! 日番谷くん! それに、剣八まで……!」

一護が思わず足を止め、彼らに加勢しようと真の斬月を構えかけた。

「——バカッ! 止まるんじゃないよ一護!!」

マリンが、一護の背中を力強く蹴り飛ばした。

「痛てッ!? 何すんだマリン!」

「アンタの標的(ターゲット)は誰だよ! あんなデカブツに構ってる暇があったら、一秒でも早くユーハバッハの喉首にその刃を突き立ててこい!!」

マリンは、真・紅海月を鞘から抜き放ち、一護と織姫の前に立ちはだかるように背中を向けた。

「あの巨神は、アタシが加勢する。……隊長さんたちが束になって倒せないなら、アタシの『猛毒(ホロウ)』でその奇跡ごと腐らせてやる。だから、ここはアタシに任せて先に行け!!」

「マリン……!」

一護は葛藤するように歯を噛み締めたが、上空から降ってくるユーハバッハの漆黒の霊圧が、一刻の猶予もないことを告げていた。

「……死ぬなよ、マリン! 絶対に後で合流しろ!! 行くぞ、井上!」

「はいっ! マリンちゃん、気をつけて!」

一護と織姫は、ジェラルドの視界の死角を突くようにして、天守閣へと続く崩れかけの階段へと飛び込んでいった。

それを見送ったマリンは、真紅の海賊コートを翻し、神の兵士が暴れ回る広場へと、躊躇うことなくその身を投じた。

### 第二節:奇跡の概念と、海賊の乱入

戦場は、すでに常軌を逸した次元へと突入していた。

更木剣八は自身の卍解の強大すぎる力に肉体が耐えきれず、右腕が弾け飛んで地に伏している。

日番谷冬獅郎が『四界氷結(しかいひょうけつ)』でジェラルドを完全に凍結させたかに見えたが、ジェラルドは「凍結された」という絶望的な状況すらも『奇跡』の糧として変換し、氷を内部から粉砕してさらなる巨大化を遂げようとしていた。

「ハァアアアアアッ!! 私の『奇跡』は留まるところを知らぬ! 凍気も、刃も、すべては神の戦士を彩るための試練に過ぎない!!」

ジェラルドの巨体から、神々しいまでの光の霊圧が噴き上がる。

もはや物理攻撃も、霊子による概念攻撃も、彼を殺すことはできない。

「……厄介極まりないな。まさかこれほどの化物とは」

千本桜景厳の無数の刃を操りながら、朽木白哉が忌々しげに呟く。

日番谷もまた、息を切らしながら完成した氷輪丸の冷気を練り直していた。

「斬っても斬ってもデカくなりやがる……。理屈が通じねェ相手だ」

ジェラルドが巨大な右拳を振り上げ、満身創痍の白哉と日番谷へ向けて、街区一つを消し飛ばすほどの質量の一撃を叩き落とそうとした。

——その、絶望的な落下の軌道上。

「大波(おおなみ)ッ!!!」

空中の死角から、突如として群青と漆黒が混ざり合った『極太の高水圧の刃』が放たれ、ジェラルドの巨大な右腕の関節に凄まじい衝撃と共に叩き込まれた。

「ぬゥウウウッ!?」

ドゴォオオオオオオオオオンッ!!!!

想定外の方向からの異常な質量の直撃に、ジェラルドの巨体が大きくバランスを崩し、その右拳は白哉たちから大きく逸れて無人の瓦礫の山を粉砕した。

「……何者だ!?」

白哉が視線を向ける。

そこには、空中に霊子の足場を作り、身の丈に合わない重圧を放つ海賊刀を肩に担いだ宝鐘マリンが、不敵な笑みを浮かべて立っていた。

「よォ、隊長さんたち。随分とデカいおもちゃに手こずってるみたいじゃないか。この海賊船長(アタシ)が、少しばかり舵取りを手伝ってやるワゾ」

「宝鐘……マリンか」

日番谷が目を見張る。「なぜお前がここにいる。黒崎と天守閣へ向かっていたはずでは……」

「一護には先に行かせた。このデカブツが背後から天守閣をぶっ壊しでもしたら厄介だからね」

マリンは、立ち上がろうとするジェラルドを見下ろした。

「……ほう。死神の援軍か。だが、小娘一人増えたところで何が変わる? 私の『奇跡』は、貴様ら全員の絶望を糧にしてさらに輝くのだ!!」

ジェラルドが咆哮する。

「奇跡、奇跡って……バカの一つ覚えみたいに五月蝿い野郎だね」

マリンはオッドアイを冷たく光らせた。

「奇跡ってのはね、海図(マップ)を持たない行き当たりばったりのバカがすがる言葉だ。アタシたち海賊は、そんなフワフワした概念(もん)に命は預けない」

マリンの体から、霊王宮で極限まで練り上げられた『虚の劇毒』が、黒いオーラとなって立ち昇り始めた。

「アンタのその理不尽なプログラム……このアタシの『猛毒(バグ)』で、内側からグチャグチャに書き換えてやるよ!!」

### 第三節:卍解・氷海共鳴(ひょうかいきょうめい)

「面白い! ならばその毒とやらで、私の奇跡を侵してみせろォオオオオッ!!」

ジェラルドが、再び『希望の剣(ホーフヌング)』をマリンに向けて薙ぎ払う。

「日番谷くん! 朽木隊長! アタシに合わせて!!」

マリンは刀を両手で強く握りしめ、剣圧の迫る虚空に向かってその刃を突き立てた。

「——卍解」

「『覇海・宝鐘紅海月(はかい・ほうしょうくれないくらげ)』ッ!!!」

ゴバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

解放と同時に、真世界城の広場全体が、極限の水圧を伴う「深海一万メートルの海」へと強制的に置換された。

凄まじい質量の海水がジェラルドの巨体を包み込み、その動きを泥沼に沈んだように劇的に鈍らせる。

「ぬ、おおおおおッ!? なんだこの水圧は……!!」

神の戦士の筋力をもってしても、空間そのものが持つ深海の重圧には逆らえない。

(……なるほど、これが今の彼女の力か。霊圧の中に、悍ましいほどの『虚(ホロウ)』の毒が混じっている)

白哉が、マリンの展開した海の性質を即座に見抜く。滅却師にとって絶対の毒である虚の力。それを物理的な海として展開し、ジェラルドの霊子を常に削り続けているのだ。

「日番谷くん! アタシの海を……アンタの氷輪丸で、全部凍らせな!!」

マリンが叫ぶ。

「……無茶を言う。この広大な水量の海を、俺の氷で丸ごと固定しろだと?」

日番谷はわずかに目を見開いたが、すぐに口角を上げ、完成した大紅蓮氷輪丸の刀身に絶対零度の冷気を収束させた。

「……だが、悪くない戦法だ。お前の海ごと、この巨神を永遠の氷棺に閉じ込めてやる!!」

「『四界氷結(しかいひょうけつ)』!!!」

日番谷が刃を振るう。

その瞬間。

マリンが展開した極大の水圧を持つ『群青の海』に、日番谷の『絶対零度の冷気』が伝播した。

海水という完璧な媒介を得た四界氷結は、通常よりも遥かに速く、そして絶大な範囲に広がり、ジェラルドを包み込んでいた深海一万メートルの海を、瞬く間に『極寒の凍土』へと変貌させた。

ピキィイイイイイイイイイイインッ!!!!

「な、にィイイイイイイッ!?」

ジェラルドの巨体が、水圧で動きを止められた状態のまま、文字通り「完全に」氷結・固定される。

海全体が一つの巨大な氷塊となり、ジェラルドはその中心で身動き一つとれない彫像と化したのだ。

「……やったか?」日番谷が息を吐く。

「……いや、まだだ。あれを見ろ」白哉が氷塊の中心を指差す。

氷に閉じ込められたジェラルドの瞳が、狂気のような光を放ってギョロリと動いた。

『私を氷の檻に閉じ込めたか!! だが、これもまた絶望!! ゆえに奇跡は発動するッ!!』

メリ、メリメリメリメリッ!!!

ジェラルドの内側から発せられる熱量と神の霊圧が、四界氷結と覇海による絶対の拘束すらも内側から破壊し始めたのだ。

「バカな……! 海の質量ごと凍らせた氷を、力業で破ろうとしているのか!?」日番谷が驚愕する。

「——破らせないワゾ!!」

氷塊の表面を蹴り、マリンが超高速でジェラルドの巨大な足元へと接近していた。

彼女は、自身の卍解の海を凍らせた際、意図的に『ある物』だけは凍らせず、自身の刀身の中に極限まで圧縮して残していた。

それこそが、滅却師の根源を破壊する、純度100%の『虚の霊子水』。

「奇跡の力で傷が治るなら……その『治るシステム』そのものを、猛毒で腐らせてやる!!」

### 第四節:猛毒の注入、奇跡の崩壊

マリンは、ジェラルドの足首にある、先ほどの剣八の攻撃で生じた『巨大な斬り傷の隙間』——氷の檻の中で唯一、霊子が剥き出しになっているポイントへと肉薄した。

「喰らいな!!」

マリンは、真・紅海月の漆黒の刀身を、ジェラルドの傷口に深々と突き立てた。

そして、刀身の中に圧縮していた『劇毒の霊子水』を、ジェラルドの霊子血管(システム)の内部に向けて、一滴残らずポンプのように直接流し込んだのだ。

「——『深海劇毒注入(アビス・インジェクション)』!!!」

ドクンッ……!!!

ジェラルドの巨体が、ビクンと大きく波打った。

氷を破壊しようとしていた神の霊圧が、突如として不協和音を奏で始める。

「ぐ、お、あァアアアッ!? な、なんだ、この……悍ましい毒は!!」

ジェラルドの顔が苦痛に歪む。

彼の体内を駆け巡っているのは、滅却師にとって絶対の異物である『虚の力』。それが、彼を構成する霊王の力を内側から激しく腐食させていく。

「肉体が……崩れる……!? 私の奇跡の再生が……追いつか、ないッ!?」

ジェラルドの能力『奇跡』は、受けたダメージを巨大な力へと変換するプログラムだ。

だが、マリンの注入した虚の猛毒は、「ダメージを与える」のではなく、「プログラム(滅却師の霊子)そのものを根本からエラー(バグ)化させる」という性質を持っていた。

再生しようとする端から、虚の毒がその新しい霊子を腐らせていく。

無限の再生ループの中に、修復不可能な致命的なノイズが混入したのだ。

「今だ!! 朽木隊長! 日番谷くん!! こいつの『奇跡(システム)』は今、アタシの毒で完全にバグってる! トドメを刺してェ!!」

マリンが、刀を突き立てたまま叫ぶ。

「……見事な手立てだ、宝鐘マリン」

白哉が、残された霊圧の全てを千本桜景厳に注ぎ込む。

「いくぞ、日番谷隊長」

「ああ……これで、終わりにする!!」

白哉の無数の桜の刃が、毒に蝕まれて脆くなったジェラルドの巨体に殺到する。

『殲景・千本桜景厳』——『奥義・一咬千刃花(いっか・せんじんか)』!!!

全方位からの億を越える刃が、ジェラルドの肉体を微塵に切り刻む。

「ガァアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

そして、バラバラに崩れ落ちようとするその霊子の欠片の全てを、日番谷が最後の一撃で撃ち抜いた。

「『氷天百華葬(ひょうてんひゃっかそう)』!!」

虚の毒によって再生機能(奇跡)を完全に喪失し、無数の刃に切り刻まれた神の肉体。

そこに絶対零度の華が咲き乱れ、ジェラルド・ヴァルキリーという絶対的な巨神は、完全に粉砕され、真世界城の虚空へと霧散していった。

### 第五節:終幕と次なる絶望への序曲

「……ハァッ……ハァッ……」

マリンは刀を引き抜き、氷に覆われた石畳の上に膝をついた。

極限まで圧縮した毒を全放出する荒業。霊王宮の試練で器を広げていなければ、彼女自身の魂が先に破裂していただろう。

「……終わったか」

日番谷が、氷輪丸を収めながら深く息を吐く。

白哉もまた、静かに千本桜を鞘に納めた。

「宝鐘マリン。お前がいなければ、この巨神を打ち倒すことは叶わなかったかもしれん。……礼を言う」

白哉が、マリンに向けて静かに頭を下げる。

護廷十三隊の誇り高き大貴族が、一人の元・海賊(そして藍染の実験体)に対して明確な敬意を示した瞬間だった。

「……よしてよ、朽木隊長。アタシはただの……お節介な船長なだけだワゾ」

マリンは照れ隠しに笑い、立ち上がった。

「それに、アタシたちの目的はこんな門番じゃない。……一護が向かった、天守閣の——」

マリンが天守閣を見上げようとした、その時だった。

カッ!!!!

天守閣の最上部。ユーハバッハの居る王座から、突如として空を裂くような『強烈な光の柱』が立ち昇った。

それは、彼らが霊王宮で一度目にしたものと同じ。

——『聖別(アウスヴェーレン)』。

「な、なんだあの光は……!?」

日番谷が目を細める。

光は、城の下層で浦原たちが倒したはずのアスキンや、今マリンたちが完全に粉砕したジェラルドの「霊子の残滓」を強制的に回収し、一筋の光の奔流となって天守閣のユーハバッハの元へと吸い込まれていった。

つまり、ユーハバッハは「不要になった、あるいは敗北した親衛隊の力」を全て自らの中に吸収し、さらなる神の次元へと昇華したのだ。

「……嘘だろ。あいつ……味方の力まで全部、自分のメシにしやがったのか」

マリンのオッドアイが、驚愕に見開かれる。

ズゴォオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!

天守閣の上部が、凄まじい霊圧の爆発によって内部から吹き飛んだ。

「一護!!」

マリンが絶叫する。

王座のある天守閣から溢れ出たのは、光すらも飲み込むような『絶対的な漆黒の影』。

それが真世界城全体を飲み込もうと、波のように押し寄せてくる。

ユーハバッハの『全知全能(ジ・オールマイティ)』が、一護の力を、そして世界そのものを完全に掌握しようとしているのだ。

「……急ぐぞ!! 一護が危ない!!」

マリンは、疲労の極致にある体にも鞭を打ち、真・紅海月を握り直して崩れゆく天守閣へと駆け出した。

白哉と日番谷、そして意識を取り戻しつつある剣八も、それに続く。

巨神を討ち果たした彼らを待っていたのは、神すらも喰らった真の王による、絶望的な世界崩壊のフィナーレ。

宝鐘マリンの「劇毒」は、全知全能の神の未来視(ビジョン)に、致命的なノイズを走らせることができるのか。

物語は、千年の血戦の真の終着点——ユーハバッハとの最終決戦へと、ノンストップで突入していく。

 

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